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【人】 桧垣 やよい[ 誰かと手を繋ぐなんて、緊張して。 目の前に愛智くんの笑顔があるだけで、嬉しくて。 私にとっては、すべて、初めてのこと。 ] ありがとう、愛智くん ありがとう、愛智くん [ 声が、重なった、気がした。 ] (96) 2023/02/20(Mon) 7:57:26 |
【人】 桧垣 やよい[ 蓋を開けばクローバーのバレッタ 花言葉は詳しくないから、 私ね、込められた意味はわからない だけど、込められた愛智くんの、 想いならわかる気がするよ。 ] 私ね、ピンク、好きなんだぁ… [ お気に入りの色を、指先で撫でる 美しい葉っぱは葉月≠フことを思い出す ]ありがとう。 今、つけてもいい? [ 髪の毛に添えてみながら、 愛智くんに向けて、ほほ笑んだ。 ]** (99) 2023/02/20(Mon) 7:58:34 |
【人】 桧垣 やよい[ 可愛い、と言われて まるで桃の花のように頬をぱっと赤らめる だだだだって、そんな、照れる でも言った愛智くんも なぜか頬が赤い気がしたから、 お、お揃いっていうことでいいかな。 愛智くんが感情が乏しい、って 私ね、感じたことあんまりなかった その感情を、私や、わたしが。 引き出せていたならこんなに嬉しいことはない ] うん、 行ってらっしゃい。 [ ごみを捨てにいく愛智くんを見送って 私はそっと手を振った。 ] (106) 2023/02/20(Mon) 19:09:25 |
【人】 桧垣 やよい[ はづきちゃんがいなくなったこと、 まだ戻って来てくれるんじゃないか、って 心のどこかでは思ってたりして、 ………現実味は、まだなくて。 でも一方でちゃんとわかってる。知ってる。 もうふたりにはもどれないけど、 ちゃんとひとりになれたんだってこと。 ………ここに、いるんだ、って。 はづきちゃんが、 望んだ結果なんだって。 私は、心に刻まれた想いを信じてる。 ] (107) 2023/02/20(Mon) 19:10:16 |
【人】 桧垣 やよい[ 私は愛智くんが居なくなったタイミングで 自分のスマホに手を伸ばす。 開くのはメモアプリだ。 私たちは何年もずっと、ノートやメモを介して 逐一自分たちの行動を、記録してきた。 そうしないと、ズレちゃうから。 細かいことは記してないけど、 大抵のことは、今まで欠かさず書いてきた。 私はだから知らなかった わたしが付き合っていた人のことも わたしが病院に通っていたことも きっとそれはこれからも知らないまま はづきちゃんが望んだとおりに。 ] (109) 2023/02/20(Mon) 19:11:02 |
【人】 桧垣 やよい[ 本当にいたかはわからないし、 居たとしても、相手が気づかなければ 追いかけたりはしなかっただろう。 そのときは、戻ってきた愛智くんに おかえり、って手を振るだけ。 片手に、スマホは握りしめたまま。 ]* (112) 2023/02/20(Mon) 19:12:09 |
【人】 桧垣 やよい[ 何も知らなかった。 何も知らない私にとって、 朔也くんと私は、幼馴染。 この数年を、一緒に生きてくれた大切な友だち。 ふたり の間に何かあったことなんてこれっぽっちも知らない。 しいて言えば、わたしが、 朔也くんに私のことを相談していた。 そのことだけは知っている。 たった、それだけ。 それ以外のことは、 徹底的に、わたしは、わたしだけのものに閉じ込めた 関係も、感情も、思い出も、全部。 それが良かったのか、悪かったのか、 何も知らない私は、それすらも分からない。 私はこちらに気付いてくれた朔也くんに 私は、いつも通りににこやかに手を振った。 ] (126) 2023/02/21(Tue) 7:42:36 |
【人】 桧垣 やよいメッセージ? ああ……うん?? 私は、読んでないかな。 わたしは、読んだかもしれないけど。 ……って、んんっ… [ どう伝えたらいいんだろう。 朔也くんは、そう、わたしのことも知っている。 ] (127) 2023/02/21(Tue) 7:42:50 |
【人】 桧垣 やよい…そうだね。 私は、朔也くんとは、約束してない。 朔也くんは、全部、知ってたんだね。 私たちのこと。 [ ばれちゃった、みたいな顔して笑う。 私は、何も知らないから。 ]**いつも通り、高校の友人としての顔をして。 (128) 2023/02/21(Tue) 7:43:16 |
【人】 桧垣 やよいふたりとも、 自分が消えることを、望んだんだ [ 私も。そして、わたしも。 ] ひとりで生きていくのが どうしても、想像できなくて、 失うのが、いやで [ 私はもちろんのこと。 そう、わたしもそうだったのだ、と 私は、ちゃんと知っている=B ] (134) 2023/02/21(Tue) 15:11:36 |
【人】 桧垣 やよいでも、 わたしは、 もうひとりの、わたしは、 最後に、今の私として、 これから先を生きることを、望んだの。 [ そう、もうあの子はいないんだ、って それは、はづきちゃんの望みだったんだって、 それがどうするの?≠フ答え。 嘘だ、とか ]**それを否定するような言葉が出たら、 私は、きっと、悲しい顔をするんだろう。 だって私が、一番傍で、 わたしの決断を、ちゃんと憶えている≠フだから わたしの遺してくれた真実を、疑いたくはなかった (135) 2023/02/21(Tue) 15:12:16 |
【人】 桧垣 やよい[ 受け取った桜の形の飴細工 朔也くんは約束に来た方にあげるつもりだった≠ニ そういう意図があったのかもしれないけれど、 私はこうも思う、 朔也くんと約束していたのははづきちゃん ]これはわたしが受け取るはずだったもの。 ごめんね、私が。受け取っちゃって。 かわいい。ありがと。 食べるの、もったいないね [ 手の中の飴細工をくるくると弄べば 季節外れの桜が夏の夜空に煌めく。 春に生まれた、私たちのことを、……想う。 ] (149) 2023/02/21(Tue) 21:50:40 |
【人】 桧垣 やよい[ 本当は、春に生まれたのがどちらだったのか 今でも、私は真実を知らない。 だけど、そんなことはどちらでもよかった わたしか、私。どちらでも変わらない。 桧垣やよいが大切な人に見守られながら 春に生まれてきてくれたこと やよい、と名前を貰ったこと それがなかったら、 私ははづきちゃんに出会うこともなかった あなたがはづきちゃんになることもなかった 特別な友だちに、 出会うことは、なかったんだよ。 ] (150) 2023/02/21(Tue) 21:52:29 |
【人】 桧垣 やよい[ 一瞬の眩暈ののち、 私はすぐに、朔也くんの後ろ姿を見ることになる ぱち、と瞬きして、今度こそ見送るんだ。 もしまだこちらを向いていたならば なんで呼び止めたのかわからない私は、 そうだなあ、 「飴細工、ありがと」って言って微笑もうかな。 ]** (157) 2023/02/21(Tue) 21:56:09 |
【人】 桧垣 やよい[ 話できた?と聞かれたら、 一瞬悩んで、考えて、 心に問いかけて それからようやく、首を縦に振ったかな ] 大丈夫。 [ 大丈夫だよね、はづきちゃん。 その問いかけに、返る声はもうない。 私は、ひとりになったんだ。 ] (178) 2023/02/22(Wed) 19:26:46 |
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