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人狼物語 三日月国


184 【R-18G】ヴンダーカンマーの狂馨

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視点:


【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [若きリーダー、ジェイクの牽引により
  限られた資金で初めに発表された発明が
  誰でも扱える、大衆向けの写真機だった。

  “プロトタイプ”の段階では度々発生していた
  予期せぬ事象が写り込む『不具合』は解消され
  人々は切り取ったままの風景を残す事が可能になった。

  島民は勿論、外部からの旅行者や
  復興に手を貸すボランティアまでもが訪れる
  一種の観光地として成立している。

  家族写真などの撮影は勿論、
  ギャラリーとしての鑑賞も出来る施設の壁には
  厄災の戒めとなる無数の写真が展示されている。]
 
(71) 2022/11/17(Thu) 21:07:16

【人】 碧き叡智 ヴェレス


 


 [────その、片隅に。

   災厄をきっかけに解体・移転した保存施設の
   敷地内を写した数枚の写真がひっそりと飾られている。

    緑の多い風景を撮ったものが殆どだったが、
    唯一、人物が映り込んでいるその写真に
    心当たりがある者はもう、殆ど居ない。

     居た所で、彼がこの発明の祖であると
     今更口に出せる人間も居ないのだろう。
     ……いや、言える筈がないのだ。]


 
(72) 2022/11/17(Thu) 21:07:30

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [その日限りの記憶を、永遠の一枚へ。
  写真館を訪れる人々は今日も絶えず。

  美しく手入れされた植木が立ち並ぶ庭園には、
  事件の際に何処かの施設から逃げ出した青いカナリヤが
  いつの間にか住み着いているようだ。*]

 
(73) 2022/11/17(Thu) 21:07:41

【人】 住職 チグサ

[寺院にたどり着くよりも早く、きな臭い香りが鼻を突きました。
 
 いつでも見守ってくださったご本尊様。
 幼少期から繰り返し体に刻み込んだ経典。
 我が子と定めて育て上げた、傲慢になってもなお可愛いお弟子さん達。
 それらいっさいが炎に包まれ、赤い舌先で夜空を舐めています。
 周囲の木々は熱風に煽られ、表や裏を見せながら木の葉が散ってゆきます。
 逃げ惑う人々の中に在って、唯一静かな目でその惨状を見つめておられる方が在りました。
 それは、思いもよらぬ方でした。]

 あなたがやったのですか──何故?

[欲に狂った街を見た後で、なんという愚問でしょうか。
 彼は内側にどのような欲を飼っていたのでしょう。一体どのような衝動の果てに、寺院を燃やすという行動をなさったのでしょう。

 お医者様の傍に、あの愛らしい助手の女性もいらしたでしょうか。
 そうだとしても、ぱちぱちと爆ぜる音に微動だにせず、またいとし子の宿るはずの腹部は赤く濡れそぼっていて、狂ってしまわれたのはむしろ幸いという有様でした。]
(74) 2022/11/17(Thu) 22:37:10

【人】 住職 チグサ

[のろしが、雨を呼んだかのようでした。
 視界が霧に包まれ、しとしとと雨が降り注ぎます。
 
その雨には、欲を雪ぐ力がありました。

しかし、火の勢いを止めるにはあまりにも頼りないのでした。
 赤い炎は霧雨に阻まれ、その境界を曖昧なものにしていました。

 ぱち、ぱちん、と。火の粉が爆ぜて、私の頬を炙ります。
 私が命を燃やして守り、築き、育て上げた、掛け替えのない執着の塊。
 放下着。それらは全て捨て去られ、煙となってしまいました。
 本来であれば、私が自身の手によって捨て去らねばならなかった。けれどその修行も果たさぬままに、彼が成してしまいました。
 もはや、その存在は、私の胸の中だけ。]
(75) 2022/11/17(Thu) 22:37:51

【人】 住職 チグサ

[そう。お弟子さんとの時間は、見守ってくださったご本尊様は、生きる智慧を授けてくださった経典は、未だに消え去っていません。私の胸の中に刻まれています。
 私の自我が在る限り、それらは存在し続けるのです。
 私はノーヴァ様の手首を掴み──爪が食い込むほどに強く、掴み。
 玻璃のように澄み渡った、何物にも焦点を当てない瞳に、老いさらばえた我が瞳を合わせ。
 
 あなたはそれでいいのですか、と暗に問いかけたのでした。]
 、、、、、、、、、、、、
 まだ、私が残っていますよ。

[と。]
(76) 2022/11/17(Thu) 22:38:47

【人】 住職 チグサ

[ここで果てるならば、彼の手にかかりましょう。
 災難に逢う時には災難に逢えばいい。
 死ぬときには死ぬのが良い。
 それこそが災難を逃れる妙法といえましょう。
 けれど、彼が迷いの果てにこの寺院を頼ってくださったならば。
 救ってくれる神もなく、見守ってくれる御仏もなくとも、僧侶は確かに在ります。
 ならば、迷い足掻く方に耳を傾けるのは、僧侶の務め。

 私は彼に丁寧に合掌すると、その場で座禅を組みました。
 ただ、しとしとと降り注ぐ小雨のように。
 彼の話に静かに耳を傾けるため。
 あるいは彼に毀されるため。]**
(77) 2022/11/17(Thu) 22:40:21





【人】 人狼 ラシード



腑分けられたのは陰謀だけではない。
首魁たる人狼もまた、文字の通りに腑分けられた。
血は搾り取られ、骨肉とはらわたは薬液に浸され、
子種の宿る陰嚢は個別に研究機関へと回された。
稀少な先祖返りを果たした獣人のデータは金になる。
閉ざされた市民を救い、保存施設を再建し、
大陸からの信頼と、流出した人材を。
日常>>70を、取り戻すための。

人道に反した学星院の計画は裁かれたが、
全ての元凶たる獣に対する非人道的な扱いを
憐れむ者は殆ど居ない─────

    これもまた、  収められた罪だ。間違いなく。
 
(78) 2022/11/17(Thu) 23:03:52