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人狼物語 三日月国


54 【半再演RP】異世界温泉物語【R18】

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視点:


[誕生日のメッセージはいつも日替わりギリギリに届く。
 ――毎年律儀に。
 なぜ迎えた直後でないのかと聞けば、
 それは妹ちゃんのもの、と殊勝な答えをよこしたので、
 いちいち祝わなくていい、なんて無粋はやめておいた。

 だから今年もメッセージを受信した直後に、
 初めてコールバックした。]

 『珍しいなァ、誕生日おめでと〜』

 どーも。
 温泉に行ってきたんですよ、この前。

 『へえ、いいじゃん。どこの?』

 遠いとこ。まぁそれはいいです、
 んでおまえ、前土産に入浴剤よこしかけたでしょう。

 『雑だな! うん、オマエがいらねーっていったやつね』

 あれまだあります?
 それと、こないだ言ってた果樹園に、
 今度妹来た時行きますよ。食事場所は任せました。
 未成年入れるところで。

[旅館に居た間に書き込んでいた脳内タスクを、
 これでもか、と一度に放出して、ふうと息をつく。
 戻ってきたのは、ふわふわとした笑い声だった。]



 『めっちゃ一気に言うじゃんオマエさァ』


[言葉ばかりは呆れたようなふりをして、
 声音には喜色が滲んでいた。
 思わず唇をもごつかせて、]


 ……まあ、十年分ぐらいありますし。

 『いーよいーよ、オレがちゃあんと準備しといてあげる』


[今度こそ閉口した。
 もしやと思うが、自分が妹に声をかけているときも、
 こんな声音なんだろうか。
 こんな、     
愛おしくてたまらない、というような、


 ――途端に恥ずかしいような面映いような、
   なんとも言えない感情が押し寄せて、スマホが軋む]



  ――それだけですんで、

[いたたまれなくなって、通話を強制終了した。]


[ソファの上で、毛布にくるまって縮こまる。
 思い出してはならないものを思い出した気がする。
 無心で最近置物を脱しつつあるテレビのスイッチを入れて、
 クリスマス特集!の音声で問答無用でチャンネルを変えた。

 ――世間はクリスマスだ。
 きっと、妹のところにも、"プレゼント"が届いたころだろう。]


 「楽しみだなァ妹ちゃんに会うの」

 おまえに会わせるために呼んだわけじゃねぇですけど。

 「えー会わせてくれるんじゃねぇの?」

 …………くれぐれも言動には気をつけるように。

[ココアを入れたマグを持って、隣に腰を下ろした顔を盗み見る。
 終始ご機嫌らしい横顔は、視線に気づくとうん?と首を傾ぐ。
 自分の分で両手を温めながら、ふいと視線を外した。

 ――あの電話以来、万事が万事この調子で、まるでぬるま湯だ]

[さてこの関係に、どういうラベルを貼るべきだろうか。
 年始まで滞在する妹とのエンカウントは避けられないわけで、
 どう紹介するべきか。
 浮かれたクソ野郎なので近づかないようにとでも言おうか。

 それとも、]


   ( ――ずっと、こいつが支えてくれてたから、
       だから辛くなったらいつでも帰っておいで、
       あの頃の自分じゃない、もう今なら、
       真里花の大事なものごと、支えてやれる――)


[――なんて、少しそれは、甘えすぎかもしれないけれど*]

[花は甘い蜜を湛えて蝶を誘う。
鳥は美しい声で鳴いて番いを求める。
そのどちらも持ってはおらず
求め方さえも知らなかった僕は、
君に何もかもを教えてもらった。

君を言葉で悪戯に煽るような真似をしながら
ただただ恥ずかしさを覚えるばかりで
虚勢を張るのに必死だった僕はもう居ない。
君がそうさせた。君が、僕を変えた。]


 ……うん。そうみたい、だね……?


[君の鼓動が普段より少し早いと感じられるのは
君が頻繁に抱きしめてくれて、
通常の速度を知っているからだ。

もっとこうふんして、と皆までは言わないが
誘導されるまでもなく
君の気持ちを知りたくて手を伸ばしたのだと、
指先で円を描いて鼓動に唇を寄せる。]

[自分がしたのと同様に胸元へと触れられれば
それだけで心臓がどきりと跳ねた。
恥ずかしさより今は触れていて欲しさが勝って、
手のひらをそっと君の手に重ねた。

君の手や唇は驚くほど正確に迷いなく
僕が強く反応する箇所を撫でて触れてくる。
決して偶然ではなく憶えてくれているのだと
気恥ずかしい喜びを感じてしまう心とは裏腹に、
執拗に与えられる快楽に呼吸は苦しくなって
零れる熱い吐息もうわ言のように君を呼ぶ甘い声も
ぜんぶ君の唇に攫われていく。

心地良さと焦れったさに潤む蕩けた瞳で見上げれば
楽しそうな、悪い男の顔で微笑む君がいた。


──ずっと前にも、
同じような色を宿して笑う
楽しげな笑顔を見た覚えがある。

君があまりにも僕に甘くて優しいものだから
あれは僕の見間違いだったのじゃないかと
ずっと思っていたけれど、
やっぱり見間違いではなかったらしい。]

[君のそういう顔も僕は堪らなくすきなんだよなぁ。
そう伝えたら、君に笑われてしまうだろうか。]


 ん……
 
ぬが、して。



[尋ねずとも答えなんかわかりきっているだろうに
恥じらわせることを楽しんでいるんじゃないだろうか。

その先を期待して君を誘い招き入れるように
早々に湿り気を帯びてしまっていた薄布は、
少しも早く取り払われることを望んでいる。
仕立ての良さそうな肌触りの良い
濃い色の浴衣は濡れたら色移りして、
高額なクリーニング代を請求されてしまいそうだなぁ
なんて妙に冷静な思考が一瞬だけ浮かんで飛んだ。]



 ……どこへなりと、触れてくれと
 さっきそう言ったね……?


[君の後を追うのは得意中の得意なんだ。
焦れているのは僕だけじゃない、君もなんだろう?

君も脱いでくれるんだよね。
そう確かめるように、
熱を持った膨らみを撫でるように掌を伸ばした。]*

── それから ──

[空の部屋の合鍵を受け取って。
だからと言って、勝手に部屋に上がるような事はしなかったけれど。何時でも部屋に入れるのは、くすぐったくて、心地良い。
貴方の部屋で過ごす時間も増えて。季節は巡って。
心の中に、想いは降り積もって。
その想いが、当たり前になった頃……]


ねえ、空。……
愛してる



[睦言ではない、何気ない瞬間に。
微笑んで、告げたなら。
私は溢れる思いのままに、そっと貴方にキスをした。
2人切りの、貴方の部屋で。**]

― 後日談 ―


[二人お揃いのリングを頼む店を選ぶのは、とても大変だった。

彼の指にも邪魔にならないような細いリングに割印になるように二人の名前を彫るのは相当な技術が必要で。
それなりにお高くなってしまったのだけれど構わない。

そしてこっそりと後日、店を訪れて追加のオーダーをしたことは、彼には言わない。

細い指輪にさらに文字を入れたのだから、さらにお値段が跳ね上がったのだが。
でも、それができる技術の店だったからこそ、そこにお願いをしたのだから。


完成して指輪を受け取り、そそくさと嵌めた後は、よほどの時でないと彼の前ですら指輪を外すことはしない。

外すとしたら、どちらかというと仕事に疲れた時や、彼がいない時だけだ。


そして今日も、仕事に疲れた目を休め、指輪を回して少し浮かせる。
その隙間に現れたものを見てほほ笑んだ。


追加で字を入れてもらったのは自分の方の指輪だけ。
表からはわからない裏側に、鏡字になるように文字を入れてもらったのだ。
疲れなどで少し手がむくんだ時に、指輪の内側が食い込んで手に刻印の跡が残る。


左の薬指に現れる、彼の名前。
それを見れば自分が彼のもののような気がして嬉しくて。
肌に浮かんだ彼の名前を見て。

ああ、早く彼に会いたい。

そう思い、もう少しがんばろうと思えるのだ。



彼は知らない、誰にも言わない、自分だけの秘密。

小さな小さな秘密*]

 


    ……っ


[耳に触れられる動きに合わせて
 ぴく、ぴく、と肩を揺らした。

 降りてくる言葉は
 自分が彼にとって特別な存在だと告げている。

     泣きたいほど嬉しい。]
 

 
[ だけど、それ以上に
ましい。 ]
 

 
[やはり、ということは
 比較対象があるのだろう。

 自分の不在時
 彼がオレの替わりに抱いたのは
 あいつか、それともあいつか……。

 名前も朧げな元仲間達の顔
 それとそれらを抱く彼の姿のイメージが
 次々と湧いて……、くるしい。]
 

 
[自分から捨てた役割に
 何の執着も未練もない

 筈

 なのに、どうして胸が痛いんだろうか。]
 

 
[そんな心境でも
 奥まで……、と言われれば
 身体はぞくぞくと震えてしまう。]


    すみません……、……はい


[達したことについて謝罪してから
 立ち上がり、背を向ける。

 壁に手をつき、足を開き、尻を高く掲げた。]
 

 
[貫いて貰えれば
 けだものになって
 他の苦しみはみんな忘れられた。]