02:59:20

人狼物語 三日月国


205 【身内】いちごの国の三月うさぎ

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【人】 瑞野 那岐

[朝食を食べて、
 少し散歩する時間くらいはあったかもしれない。
 たった一泊二日の旅行は、短くとも。
 濃厚な密度で、彼と過ごせる時間だった。

 明日からは、また日常が戻ってくる。
 帰りの車の中で、その日常の話をするのもいいけれど。

 此処は、良かったと。
 次はどこに行こうか、とか。
 寂しさを感じさせるものよりは、
 次に繋がるものを、自然と口にしていただろうか。

 彼との思い出を増やすように、一つずつ。

 そうして、硫黄の香りを嗅ぐ度に、
 きっと、この日のことを思い出してしまうだろう。
(2) 2023/04/03(Mon) 2:13:06

【人】 瑞野 那岐

[そんな、考えが過ぎったからこそ。

 旅先から戻った休み前の晩。
 ベッドの中で、彼と横たわりなら一つ提案をした。]


  ……景斗さんって、フレグランス使います?

  決まったものがなければ、
  俺が見立ててもいいですか?


[硫黄の香りを嗅いで、思い出す香りがあるように。
 特定の香りで、彼を想うのもいいかと考えて。

 俺自身は仕事中には使えないから、
 休みの日ぐらいしか使うことはないけれど。

 彼ならば仕事柄、平気かと思って。*]
(3) 2023/04/03(Mon) 2:13:50
 

[ まさか"結局拒否しない"ということへ相当興奮する、なんて
  そんなタイプだとは思いもしていない。
  彼も知らなかった彼自身のことなら、それも当然か。
  羞恥や照れだけで「だめ」と言いながら、
  プレゼントの包装を紐解くように 彼の言葉、視線、指先で
  導かれるままに受け入れるのが最近の定石。

  ────甘え、甘えられ、食卓は出来上がる。 ]


  ……〜〜ッふ、…ぁッ、ん、……ン…っ


[ 喉奥から唸り声のように聞こえる、彼の声。
  媚肉の収縮と締め上げへ抗うように挿入は止まらず、
  水音が派手に鳴っては頬へ飛び散った。

  意識して声を殺し、深いキスで呑み込んで。
  それでも零れ出てしまう甘い喘ぎはきっと、
  この水音が掻き消してくれるはず。 ]

 

 

[ 外が薄暗がりの幕が下りるにつれ、照明で肌が照らされる。
  ───もうすぐで、瞬きの間に夜になるのだろう。
  夜でさえない時間からこんなえっちなことをして、
  こんな風に、外で彼自身のモノを受け入れる、なんて。

  ……──仕事柄か、或いは元々の声質なのか
  声がよく通ることの自覚は少しくらいはあるからこそ
  必死に我慢しようとしていたのに。 ]


  ッンん、っぁ、 ひァ、ぅ……っ


[ 温泉の熱と、ナカを満たす慾の双方で全てが茹る。
  思考回路が焼けて、ぼうっと輪郭を失って、
  ……どうして声を我慢しないといけないのか
  一瞬理解らなくなってしまうくらい。

  何を思ってか、彼が片手を腰から離して腰を浮かせた。
  せめて律動を止めてくれれば手伝えたのに、
  腰の動きを続けたまま移動しようと試みるものだから
  上手く意図も汲めなくて、気持ち悦い場所を突いて貰えず
  「やだ、ぁ、」と焦らされていることへ泣き言を。 ]

 

 

[ そこも微温湯のような快感を与えてはくれるけど。
  ──もっと悦くなれる場所をもう知っているから。


  還ってきて、と ねだる前に。 ]


  ──────〜〜〜〜っ、……ッッひ、ん ン…!!


[ ぐにゅ、と最奥に先端がめり込むように突き上げられる。

  ばちばち音が鳴るくらい、視界が白んで
  力が抜けていたはずの脚が快楽の衝動で水面を蹴り上げた。
  ばしゃり、音が鳴ると同時に熱杭がナカから抜けていく。


  強すぎる快楽に腰が抜ける。
  ぺしゃりと膝から崩れ落ちているうち、
  もう一度ナカへ入って来ることなく、彼の熱からは
  勢いよく、あつい しろ が噴きあげて、肌へ舞い散り
  腹や胸元──顔にも飛び散って。
  まるで外からもやけてしまいそう。 ]

 

 

 
[ 思えば彼の白濁を肌で浴びたのは、
  これが初めてであるような気がして、ぽかんと呆けた。
  練乳を胸に零した時の再来みたいだ なんてこと
  考えられる思考の余地もない。 ]


  …………ん、む


[ 唇の近くについた慾の残滓を指先で掬い取り、
  熱に浮いた思考のまま、咥内へ運び入れる。

  苦いような、何とも言えない味が舌の上へ滲んで
  ──それなのに彼のモノだと思えば
  その苦味さえ甘いような気がするのだから、不思議だ。
  練乳の時はお行儀悪く舐め取らずティッシュで拭ったが、
  今回は、白うさぎも少し、お行儀が悪い。 ]


 

 

[ 飲ませ損なった、と謝ってくれるのであれば。
  ──そんなところも可愛いと思ってしまったので、
  別に 気にしなくたって構わないのだけれど。 ]


  ……ね、まだ できますか?

  からだ、あらった あと。
  ……へやでもういっかい、ここにも、のませて。


[ オーダーのやり直しは無事に通ったかどうか。
  ──きっと通してくれるという自信はあるけれど。

  どちらにせよ白うさぎと狼の夜は、帳が降りたばかり
  ここはフィクションではなく二人の現実。
  月が見守る夜に、互いを白へ染め上げる時間は
  まだまだたくさん残されているのだ。 ]

 

【人】 高野 景斗

[ アラームの音で目が覚める。
 昨晩も遅くの帰宅になり、コンビニで
 出来合いのものを買って、酒を飲んで
 眠りについて。

 僅かに酒焼けした喉に炭酸水を流し込んで
 無理やりこじ開けても食欲など湧きようもない。

 それでも何も口にしないままだと、
 体も脳も覚醒を拒否するからネットスーパーで
 箱買いした野菜ジューズを流し込み、
 シャワーを浴びて出社する。

 通勤ルートの途中に、パン屋があっても、
 定食屋があっても、心惹かれる事はなく。

 出社して雑務をして、殺陣の稽古をして
 昼近くになり漸く、何か腹に入れる余裕が出てくる。

 田舎から飛び出してきて、無我夢中で
 夢への道をひた走り、寝る間も惜しんで
 生活のため働く研究生の面倒見る振りをして
 昼食に連れ出し、勢い良く平らげるのを見て
 自分も、食事に手を付ける。 ]
(4) 2023/04/03(Mon) 14:26:35

【人】 高野 景斗

[ この恩忘れません、別にそんな言葉が
 欲しかったわけじゃない。手を差し伸べたい
 気持ちがない訳では無いが、

 誰かと共に食事に来て、
 自分だけ食事をせずにいれば相手に無用な
 心配や不安を与えてしまう。

 その状況を作るために連れ出していた、
 それを知るものは既に、デビューを果たし
 テレビ、ラジオ、舞台の中だけの人間になっている。

 ――それでも時たま、感謝や弱音を口にする相手に
 自分を選ぶような後輩もいる、人への感謝を
 忘れない。それもまた業界人として成功するために
 必要な事だと思う。天狗になった瞬間に、

 その椅子は
音もなく
、消えていくものだ。 ]
(5) 2023/04/03(Mon) 14:27:02

【人】 高野 景斗

[ 午後、収録日にはラジオ局に向かい、
 当たり障りのないトークの中、
 しれっと、旬の食べ物の話題も出すが、
 それを選んで食べることはあまりない。

 週に一度から二度、あの店に顔を出す時以外は。

 仕事を終えれば、スタッフと共に、
 食事に向かう事もなくはないが、

 大抵は、自宅に戻るまでの間に
 スーパーやコンビニに寄り、出来合いを買って
 という生活だった。

 同じことの繰り返しで、恐ろしく早く歳を重ねて
 いるような気がしていた。

 それでも何かを変えようと思えるほどの、
 熱意も切っ掛けも、若さもないと、思い込んで
 ただだらりと、生きることを全うしていた。 ]
(6) 2023/04/03(Mon) 14:27:19

【人】 高野 景斗

[ そこに色を差したのが、あの日だ。

 味気ない日常にふっと湧いた悪戯心
 内緒話をするように、そっと顔を寄せて。
 名前を問われて、答えたあの日。

 あの日帰り際、良いものが見れたと
 そう言った。悪戯の行方のことではなかった事
 それは伝わらなくても当然のこと。

 良いものがみれた、
 君の良い顔がみれた

 そう伝えるには少し照れくささが勝ったものだから。


 差された色は目の覚めるような赤でも、青でも、
 黄色でもなく、黒に青が少し混じるような、
 
 優しい色。久しぶりに黒以外を見るには
 ちょうどいい、
優しい
色だった。 ]
(7) 2023/04/03(Mon) 14:28:10

【人】 高野 景斗

[ 味気ない日々に色が差したことに
 自分より先に、周りの人間が気づいた。

 なにかいいことあったんですか

 そう問われて不思議そうな表情を浮かべて
 自分で気づいてないんですかと笑われて

 例の企画のことでしょうなんて言われて
 そうだね、と曖昧に頷いて。

 自分で理由を探し当てるより、
 店に顔を出す頻度が増えたほうが、先だったが

 名前を教えて貰ったときには、理由にも
 心当たりができていた。 ]
(8) 2023/04/03(Mon) 14:28:29

【人】 高野 景斗

[ 会うたびに一つ知り、二つ知りたくなり。
 よそ行きの顔ができなくなって。

 会わない日々を数えるようになり
 気持ちが抑えきれなくなって。

 撥ね付けられる事がないから
 欲に際限がなくなって。

 二人で過ごすことのできる日々が増えて
 好きと伝えてもいい関係になっても
 思いは尽きるどころか、増す一方で。

 今日もまた、知らない事を一つ埋めて
 ほくそ笑んで。 ]
(9) 2023/04/03(Mon) 14:28:49
[ 朝食を済ませ、合流までの時間。
 外を散歩しようと言い出したのはどちらだったか。

 川のせせらぎに混じって少し遠くに、
 水の流れる音がする。

 自分たちの居室の他にも部屋に備え付けの
 温泉からか、それとも足を踏み入れる
 ことがなかった家族風呂や、大浴場の方か。 ]

 蛍って見たことある?
 随分昔に、祖父の家で一度だけ
 見たことがあるんだけど、

 夏はそういうとこに行けたらいいなって。

[ 約束を口にすることへの戸惑いや罪悪感を
 消してくれたのも、君だったから。

 なんて大げさな理由なんか、いらない。
 ただ君と、見たことのないものを、一緒に見たいだけ。

 これが最後ではなく、これが最初なのだから。
 これから何度だって、そういう機会は作れるのだ。 ]

【人】 高野 景斗

[ 旅行から帰った後の日常。
 一年前と比べれば、全く違うが、ここ最近と
 銘打てば、そう変わりはない日々だった。

 アラームの音で目が覚める。
 昨晩も遅くの帰宅になったが、作り置きの
 おかずと、タイマー機能で炊いた米、
 春キャベツはレンジで軽く熱を加えて
 塩昆布とごま油で和えて。

 ゆっくり食事を楽しんだ後、入浴して
 眠りについて。

 目が覚めたら、炭酸水を流し込んで
 体と脳に覚醒を促して、コーヒーマシンの
 スイッチを入れ、トースターにパンを押し込み
 顔を洗って、歯を磨いて、昨晩の残りと
 マーガリン、いちごのジャム、を塗ったパン、
 粉末のスープ、で軽い朝食を取り、出社する。

 通勤ルートの途中のパン屋には、
 帰りによく寄るようになった。
 ここの食パン、彼も気に入っているから。
 明日の朝食は、これに決まりだ。 ]
(10) 2023/04/03(Mon) 14:30:12

【人】 高野 景斗

[ 翌日は休みだと連絡を取り合って
 彼を迎えにいく事にも、随分慣れた。

 
――従姉妹殿の、あたたかい目線にも。


 寝坊しても構わない日の前の晩、
 提案を受け、少し考えるように顎に手をやり ]

 唐突だね?
 いくつかあるけど、特にこれってのは
 決めてないな。

 君が見立ててくれるの?
 じゃ、君のは俺が見立てようかな。

[ 君の場合は職業柄、仕事中に使うことはないだろうけど
 まず間違いなく、その香りに触れる回数は、
 自分が一番多いと自負しているし。

 自分が使うとしても、相手もそうなるだろうから
 君が見立てる、なら少なくとも君にとって
 良いと思えるものを選んでくれるだろう。

 長く使えるようにオーダーメイドにするのも
 良いかもしれない。 ]
(11) 2023/04/03(Mon) 14:30:39

【人】 高野 景斗

[ 君が家に泊まる時、
 浴室から出てきた時なんか特に、

 自分と同じシャンプーの香りがしたりして
 密かに、どきっとしているのは、

 まだ言っていない。伝わってはいそうだが。

 なにせ浴室から出てきた後、
 必ず、短い時間でも、ぎゅうと抱きしめているので。

 そんな君が、俺の選んだフレグランスを纏う
 というの、なんだかとても、らしいことをしているように
 見えて、胸が踊ったものだから、

 乗り気、という返事をして。* ]
(12) 2023/04/03(Mon) 14:31:01
[息を殺せば膣が締まるのだということを初めて知った。
くぐもった声、ピストンの所為でずれた唇の端から漏れ出る喘ぎ、
絶対に他の部屋には聞かせたくないのに、今この交わりを解くことは出来ない。

まるで本当に月明かりで獣と化したようだ。

突く場所が偶然ずれたのを厭う声に「かわいい」と告げたかったのに、喉からはやっぱり唸り声のようなものしか出なかった。]

[力を溜めてから持ち上げた。
拍子に先に散々焦れていた真白が待ちわびた場所への捺印で達する。
耳を澄まされていれば外に感づかれるかもしれない不自然な水音と辛うじて押し殺せた声。
その後すぐに弾けた己の射程も弾速も気遣えず、飛び出た白は下品にも真白を穢した。

こんな粗相は初めてだ。
それもそう、普段はどんな勢いで出てもすべて避妊具の中だ。
デコルテを伝う白濁が昼間の練乳を思わせて、
あの時妄想してしまったからこんなことになったのか、など。
気怠い頭で考えていたら。]


 !
ちょっ!
練乳じゃないんだから!


[練乳の時だってきちんと拭き取っていたのに。
そんなもの舐めなくても良い。
おろおろと口を漱がせようとして、
源泉は駄目だと思い直す。

内風呂まで戻る必要がありそうだ。
どちらにしても、真白のこの状態を露わないと。]

[下肢に蔓延っていた絶頂後の痺れのようなものが落ち着いて、
内風呂に戻ろうと立ち上がりかけたら、
とっておきのオーダーが待っていた。

部屋で、なんて条件つき。
普段様々な客の我儘オーダーを「幸せプラス」の皿に変える魔法使いは、オーダーを出す側になっても指定が上手い。]


 僕だって、どんなマシロちゃんでも愛してる。


[まだ「できる」というのはこの後の部屋で見せようか。]

[真白を抱いて内風呂に戻る。
再びいちごの香りで汚れを洗い流した後、真白にはバスチェアに腰かけて貰って首を上向かせた。
もしかすると旅行用に自分用のシャンプー等を持って来ているかもしれないが、
部屋に一度戻る前に簡単にでも洗っておかないと、
目視しそびれた場所に白濁が散っていないとも限らないので。]


 痒いところはないですか〜。


[なんて美容院ごっこも楽しんだ後は脱衣所で拭き合いを。
二度激しく求め合ったからか、じゃれあいではすぐに昂らずに済んだ。]



 ――あ、そういえば……
 ごめんね、すぐにこっちに運んだから……
 待ってて。


[部屋には脱ぎ散らかした服が散乱し、荷解きもまだの状態。
この後に食事の用意もあると思えば慌てて腰タオルで自分だけ一度脱衣所を出た。

散らばった服をかき集め、真白の鞄と引き出しにある浴衣を持って脱衣所に戻る。
寝巻は自分で持ってきたのならそれを使っても良いし、
先程は浴衣から見える位置には痕をつけていないので、
浴衣でも大丈夫だろう。

あとは真白がどちらを脱がされたいか、という気持ちだけ。

男物の浴衣は特筆すべき点がないシンプルなものなので、着崩れに備えて下に白シャツを着て羽織り、少し太いベルトのような帯で結ぶ形だが。
女性ものは何着か選べるようになっていて、浴衣スリップと兵児帯もあるので着たまま大浴場に行くことも想定されているのかもしれない。]

【人】 グルメライター ヤワタ

[ドライヤーの当て方は今度練習させてもらうことにして、
本人に任せて自分だけ先に部屋に戻った。
受付に内線をかけて食事と同時に布団も用意してほしいと伝える。

下膳に関しては食器を纏めて部屋の外のワゴンに積んでおけば回収してくれるらしい。
いつ仲居が訪れるか気にしながら抱き合うのは避けたかったのでありがたい。

食事はメインが鍋で刺身に茶碗蒸し、小鉢もいくつか。>>2:-43
真白の希望によっては刺身は部屋つきの冷蔵庫に一旦置かせて貰って、鍋用の電磁調理器の電源も切っておく。
畳の続き間に布団も並べてもらっているから、後は朝まで誰にも邪魔をされることはない。*]
(13) 2023/04/03(Mon) 16:52:21
 

[ 月に向かって跳ねるうさぎと、
  月の明かりで獣になる狼。

  似て非なるふたつ、──水面に揺れては消える月の中
  うさぎが狼を食べて 狼もうさぎを喰べている。
  言葉を失い、思考を奪われ、熱と互いの温もりを縁に
  たったそれだけを握り締め、どうにか輪郭を保ち。


  ────そんな、本当にけだものじみた交わり。
  知っているのは私たちだけで良い。

  月も星も、夜が明けたら太陽の明かりに隠れて、
  次の夜闇が訪れれば、もうすっかり忘れてしまえ。
  "二人きりの 秘蜜の交わり"になるようにと。 ]

 

 


  えへ、……やわたさんの味、覚えたくて。
  "こっち"でも。


[ 自分が唇の近くに付着した白濁を舐めるだけで、
  途端におろおろするのが面白くなって。
  くす、と笑いながらそんな風に軽く言葉を返した。

  今までは薄膜の中に吐き出されていた、彼の慾。
  練乳のように甘いわけがなく、苦いような──
  例えるのも難しい味がする。
  けれど彼の味だと思えば、難なく飲めてしまう気さえする。


  とはいえこのままだとキスが出来ないのは寂しいから、
  ちゃんと口を濯いで、熱の残滓を洗い流そうか。 ]

 

 

[ 愛してる、の言葉には満足げに咲って。
  「ん」と当たり前の顔で腕を伸ばせば、抱っこが叶い
  そのまま内風呂へ戻り白濁をいちごの匂いで洗い流した。

  勿体ないかも、──なんて少しの未練はあるものの
  洗わなければ先へ進めないジレンマ。
  バスチェアに腰掛け、指示通り首を上へ向ければ
  不思議そうな顔で目を瞬かせる自分の顔が
  彼の瞳には映っていたことだろう。

  美容院以外で髪を誰かに洗われるのも、
  記憶の限りでは初めてのこと。 ]


  ん〜〜……きもちよくて、むしろ寝ちゃいそう……
  ……なーんて。あははっ。


[ この後にまだオーダーが控えているのだから。
  ごっこ遊びには戯れで返し、鈴を転がすように笑いながら
  大人しく──楽しそうに髪を洗われていた。

  脱衣所で拭き合ってのじゃれあいも、
  その余韻と二度の交わりのおかげか 戯れで済んで。 ]

 

 

[ 待っててと言った彼が腰にタオルを巻き、一度出て行く。
  言いつけ通り良い子に待ちわびていれば
  自分の鞄と、浴衣を持って帰って来てくれた。

  女性用は幾つか浴衣に種類があるらしい。
  一応パジャマも持って来ているけれど、せっかくなら
  浴衣を着て温泉気分を楽しみたい気持ちが強い。
  ────たまには違う飾り付けも良いでしょう?
  でも、生憎と浴衣には縁がない人生だったので。 ]


  や やわたさん……
  浴衣、着方わかんない……たすけて……


[ 選んだのは、夜色の記事に白い小花柄の浴衣。
  帯はシンプルな赤茶色。
  そもそも浴衣の下は下着を着けるものなのか。
  ──無い方が狼さんの食欲を煽れるかどうか。

  情けなくへにょんと眉を下げ、手助けを乞いながら
  浴衣を着終えた後は、ドライヤーで長い髪を乾かした。 ]

 

 

[ 髪が長い分、乾かすのには時間を要してしまう。
  自分が戻った頃には彼が内線での連絡を終え、
  朝まで誰のことも気にしなくて良い空間になるように
  準備を整えてくれた後のことだった。

  料理をのんびりと楽しみたい気持ちもあるけれど
  燻り続ける熱を、あまり長く待てる余裕もない。
  後で食べるということが出来ない料理だけ先に頂いて、
  刺身や鍋は、"慾"の後にさせてもらおうか。 ]


  やーわーたーさんっ


[ 何はともあれ、布団の用意も終えて貰ったなら

  ────後はもう二人の時間。
  無邪気なうさぎの声音で彼へ抱き着き、腕を回して、
  赤い舌をぺろりと覗かせ ]

 

 




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14回 残----pt

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4回 残----pt

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