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145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】
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「ほう〜?
溢れてしまうものを押さえつけるために眠っているんですね?」
ちぐはぐな声のトーンと台詞、表情。
笑顔や不安そうな顔のひとつでも見せられたなら、寄り添った良い先生になれたかもしれないのに。
アオツキの顔は、無表情から変わらない。
「凄いです、偉いですバレンタインくんは。
でも、……」
「少し、一人では抱えきれないものになっていますね」
正直、病は直ぐにでも治って欲しい。
だが……目の前の君をほの暗い噂の元に連れていきたいとも、思えなくて。
「全部は、君に負担があるでしょう。
少しずつ渡に溢してでも、教えて下さい。
私は君の味方で、協力者です。
我慢するだけの眠りも、より良いものにしましょう」
何処か、アオツキに刻まれた傷が傷んだ。
「……そうですね……」
同意ともとれるし、
逡巡ともとれる、曖昧な相槌。
ただ、無表情に見えるあなたの顔をそこまで悪いものとして解釈していないのか、強張らずリラックスしているようには見える。
「あなたのことは……信頼している、が……
……あなたに預けて抱えきれるかの信用は、
まだあんまりできてないとも……いえる」
何処までも見透かしているような。
あるいは見たまま考えの浅いような瞳は、
若干気まずそうに背けられた。
「確かに……気にすることなく、
目いっぱい昼寝は……してみたい……
……無理はしないように、してみます。
……『治療』は……出来れば、嫌なので……」
![](./img/stargazer/038.png) | 怒号にほんのわずかに目が覚めたようで、 辺りを見回す仕草がはっきりとしていて。
うーん、と考え込むように瞼を降ろすと、 ──コップ一杯の水で、錠剤を飲み下した。
「……言葉選び……が、……」
二人の怒り任せを窘めるようで。 だけどそこに二人はもういない。
人の真意総てを察せるほど聡明ではないから、 謝りに行くべきとは言えないし、 どちらが間違っていたかなんて、考えるべきでもない。
「……普通に、なる……か」
未だ波打つコーヒーに視線を戻す。薬も飲んでしまったし、 これは部屋に持ち帰っておこう。
静かな問題児は、いつも通りの眠たげな表情をしている。 もしかすれば、対照的に冷め過ぎているほどに。
(93) 2022/04/30(Sat) 4:18:13 |
| バレンタインは、僕も、高等部になったらあんな感じになるのだろうか。 (a19) 2022/04/30(Sat) 4:43:12 |
| (a23) 2022/04/30(Sat) 14:15:32 |
![](./img/stargazer/038.png) | 中庭の木陰に腰掛けて、幹に背中を預けぼんやりしているうちに、もう結構時間が過ぎていた。 悪戯なのかなんなのか、頭には帽子の上から花冠が飾られてあって、けれど今にも落ちてしまいそう。
「……」
読もうと思って持ってきた本は、風に吹かれ勝手に捲られていて。というか、どこまで読んだかわらなくなってしまった。 風の精が読むなら一言断りを入れてくれてもよかったのに。
そうして暫く本を見つめた後、鬱蒼と茂る森──ギムナジウムの校舎から離れたその先に、じっと視線を向ける。ジャステシアが食堂に姿を現さなかったから、噂話も一層耳にすることが増えた。
「仲良くはしなくても……いいから、 ……せめて、……いなくならなければ……」
朝のことを思い返しているのか、あるいは何か。ともかく、暫くはそこで何をするでもなく座っている。
(99) 2022/04/30(Sat) 15:06:51 |
![](./img/stargazer/038.png) | >>100 トット 重そうな瞼に伏せられた瞳が、 忙しなく動くあなたの顔を捉えると、 全体的にかなり遅れてその軌跡を追う。 「……かわいい。おそろい……」 頷く。というより、かなりどうでもよさそうだ。 横に座ったのを追ったらこれまでの頭の動きに晒された花冠がついぞ頭から落ちて。 「……ではなくなった、ね。 トット、こんな所にまで……遊びに来たのかい?」 一緒にかなり危険域まで垂れた帽子を、 頭のてっぺんに直しながら、そんな問いを投げかけた。 (101) 2022/04/30(Sat) 15:33:01 |
「そ〜ですね〜。
私も歳が成人しただけの子供らしいですから〜。
信用なんてからっきしでしょう、これからですね。
イシュカからもきっと、良い答えが来ますよ。
相談事得意ですから〜、不器用なりに」
感情の機敏はその青い瞳の先に映らない。
「……」
「……昼寝の時間、作ってもらえるように聞いてみます」
「焦らないように気を付けますね〜」
「実習生の人たちは……うん。
そう、……信頼はしてる……よ。
どちらかというと……手のかかる生徒が多くて……
大変じゃないかな、と……思わなくもないか」
もちろん自分もひっくるめて。
もし僕ならば疲れてしまう、と思う。
「ありがとう……ございます。
昼寝の時間……僕も焦らないように、待ってる。
……アオツキさんも……たまには昼寝、したらいい。
溢れないように押し付けるものがなかったら、
きっと……何も意味が無くて、楽しい。気がする」
自他を守るために、防衛本能として。
それがないことを意味の無いことだと表現して。
ただそれも楽しそうな事だと捉えているらしい。
![](./img/stargazer/038.png) | >>102 トット 「寝てた……」 わざわざ外に出てきてすることがお昼寝。贅沢。 木陰にいるあたり、日光欲もあまり好みでない様子。 「……お日様を浴びると、……健康になる。 トットは偉いね。……僕はあんまり浴びない…… でも、出ないと身体に悪い。だよな……」 色白の顔はその証左。 籠りっきりが良くないことなのは知っているからこそ、 これに関しては少し難しそうに口元を歪めた。 「花冠は……君の方が……似合う。 僕は……そんなに、身嗜み?気にしない、から」 (103) 2022/04/30(Sat) 16:12:47 |
![](./img/stargazer/038.png) | >>104 トット 「晴れている天気……うん、心地いい。 雨も好きな方だけど…… 濡れるから外には……出られないしな……」 暖かくのどかな日和も勿論いいけど、 見た目に違わず暗く湿ったところも好き。 何より日光が眩しいから木陰にいるんだものな。 「動く、かあ……」 「病気を気にしなければ……できると思うけど…… そんなわけにもいかないから…… 難しいか、も……ごめん」 表情こそ堅いが僅かに斜め下に目を逸らす仕草は、 言葉通りどことなく申し訳なさそうに見える。 視線を戻した時、花冠がズレていることに気づいて、 ゆっくりと腕を伸ばしてはそれを直してあげて、 うん、と満足気に頷く。自分がよくされていることだ。 「そのかわり……話すことなら、いくらでも。 髪は……そうだな。特別な手入れはしてない、けど…… なんでかさらさらで……重くて、落ち着く。不思議」 (105) 2022/04/30(Sat) 16:54:27 |
「お見通しですね〜。
これは私の振る舞いのせいでしょうか」
それこそ、専属という形をとらなければ一人の生徒だけを見続けることなどできない。
彼らが誰にでも与えられるもので解決がしているのであれば、もう既に改善している子は山のようにいただろう。
「……正直手のかかるのは生徒だけじゃないのが実情ですね。
それでも私は君たちが大好きだから動けるんですよ」
「君たちがなにかを一人でかかえきれないとき、
私は黙る壁に、wobbly manに、あるいはザントマンにでもなれます。
私達が求められていることは、……本当に一つ一つであれば、
大したものじゃあ……」
間。
「……た、大したこともあるときは、ありましたね
すみません……潰れたりしないようにしますよ〜」
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