188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】
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[ わたしは神様を愛しているのに
神様の創りたもうた子に苛立つなんて!
『節制』は自分の中に生まれた矛盾に苦しみました。
こんな自分は『隠者』にだけは知られたくない。
ひとり苦しむうちに、ぽきり、と何かが折れました。
どんなに仲介役を続けても
ただその場では丸く収まるというだけ。
争いの火種がそれぞれの個性に在る限り
諍いが完全に絶えることはありません。
……つかれたな。
ふとそう思いました。
仲人役を務めることが虚しくなってきましたし
自分の存在は箱庭に必要がないような気もしてきました。]
[ やがて思いました。
わたしが間に立とうと、立つまいと
さして結果は変わらないのではないか?
愛する神様からの贈り物を使いこなせない己に
『節制』は、失望しました。
必要がないのなら、わたしが生み出された理由は何だ。
「わたしは、神様から愛されていないのではないか?」
奇しくも『運命の輪』と真逆の発想に至りました。]
[ 神様を、箱庭を愛するがゆえに積み重ねてきた
丁寧な暮らしが荒れるようになりました。
箱庭の何処かで諍いが起こっても
知らぬ存ぜぬを貫きました。
昼夜は逆転し、好きなだけ酒を煽り、殻に閉じこもり
美しかった紅い翼はぼさぼさになってしまいました。
そんな情けない自分を誰にも見られたくなくて
『隠者』には特別見られたくなくて
もしも『隠者』が自分の元を訪ねてきてくれても
ひとりにしてほしい、と拒んでしまいました。
そんなある日のことでした。
『悪魔』が、『愚者』を殺しました。
どんなに諍いが続いても殺し合いに発展することはないと
『節制』は心の何処かで油断していました。
だからこそ見て見ぬふりをしていました。
──取り返しのつかないことが起きてしまった。
わたしが間に入ったとて
止められはしなかったかもしれない。
だが、『愚者』の死は防げたのではないか? ]
[ 自責の念に駆られた『節制』は我に返りました。
神様が愛した、穏やかな箱庭を取り戻すために。
混乱に陥った箱庭を鎮めようと
『節制』は、再び諍いを仲介し始めました。
そのうちに誰かが刃を持ち出しました。]
──いけません
わたしたちがわたしたち同士で
傷付け合ってはなりません……!!
[『節制』は仲立ちを試みながら
どうにかして刃を奪い取ろうとしました。
力任せに奪い取ろうとしたその弾みで
『節制』の身体は場外へと投げ出され、
掌の中の刃は──── ]**
| (a25) 2022/12/20(Tue) 20:46:20 |
[ ひとりきりの恋人たち。
胸の証はとある楽園の模倣。
蛇の奸計で林檎を口にし追放された者たちの烙印。
その意に破綻をも内包するそれは、
夢を見なければ生きられない程に、
最初から完璧ではなかった証。 ]
[ 知っていた。識っていた。
完璧な器に完璧な魂。
それでも足りないのです。
足りないと思ってしまうのです。
或る日神に問いました。
「どうしてわたしたちを完璧に作ってくれなかったの」
造物主は答えます。
「そのままのおまえを愛している」と ]
[ 『恋人』が何をしたとて何を思うとて、
永遠の不完全に絶望し身を投げたとて、
正気の果てに箱庭の全てと心中したとて、
何をしても愛しいのだとその瞳は告げるのでしょう。 ]
──── ああ、反吐が出る。
自分で作った可哀想な人形を愛でるその目が煩わしい。
わたしたちが欲しいのはそれじゃない。
[ 『悪魔』の愛は禁断の果実でした。
そこにあり、魅力的で、どうしても欲しいと思うのに、
手を伸ばせばその愛は終わってしまうのです。
わたしたち、ふたりでひとつの完璧な存在。
だのにこの身の外に抱いた愛に気付いた時、
『恋人』の『完璧』は永遠に失われてしまう。
だから見ないようにしました。
『完璧』であるならば、『悪魔』は愛してくれる。
何故、と思えば問うたことはありませんでした。
向かい合うことを避けていたようにも思います。
心で想うことだけは、この心だけは自由だ、などと、
そんな都合のよい夢を揺蕩っていたかったのです。 ]
[ だから、箱庭の黄昏を招いたのが『悪魔』だとしても
それは構いませんでした。
愛とは許しで、愛とは受容で、
愛とは存在を肯定するものだと信じていたからです。
彼がどれだけ血に染まろうと罪に塗れようと、
望むものを得る道なら何がどうなろうと構わない。
わたしたちの終わりですら──
きっと完璧なまま終わらせてくれると信じたから、
どうでもいいと思えたのです。
彼が真に求めるものが何であったかさえ、
知ろうとしないままに。 ]
[ けれど、狂気のままの精神は擦り切れる寸前でした。
生まれた時から『完璧』ではないと知りながら、
それでも『完璧』を偽り生き続けるのは地獄でした。
だから、それは確かに救いだったのです ]
── ねえ、『悪魔』。
こんな最期を少しくらいは惜しんでくれるかな?
わたしたちも少し残念だ。
最期だなんて言わず、
最初に殺してもらえばよかったかな、なんて。
ああ、でも。
きみに浮かぶ失望の色を見ることがなくてよかった。
きみの愛を失う前に、死ねてよかった。
[ そうして瞼を下ろします。
そこには音もなくただ優しく広がる夜がありました。
『恋人』はその不本意な死にも関わらず、
眠るように穏やかな顔をしていました。 ]
[ そうして『完璧』を守り通して死んだのです
それこそが彼への、彼/彼女の愛の体現なのでした ]
[ けれど神様、それでもわたしは
この世界の生きとし生けるものすべてを
あいしているのです
あなたのことも、
──あいしていたのです
]
[『正義』と『力』は
殺し合いの末、相討ちとなった。
一進一退の攻防
互いに満身創痍、そうして果ての、最期。
『力』の最期の一撃は、
『正義』の心臓を、静かに鋭く貫いた。
『正義』は『力』に抱きしめられた、
その事に気づいてはいたが、
それを振り払うことができなかった。
否……したくなかった。
『正義』の唇が戦慄いて、
何かを吐き出そうとした……が、
その何かは形にならず、代わりに鮮血が溢れる。
『正義』の手から、愛剣が滑り落ち、
からんと軽い音を立てた。
けれど『正義』が剣から手を話した時には、
やっぱり既に“ 手遅れ ”だったのだ。
『正義』は息絶えた………
『力』を道連れにして。]
[ 『ありがとう』
止めてくれて
『ごめん』
道連れにして
────鮮血が覆い隠した言葉たち]
[ だって、『太陽』の死は、事故だったのだから。 ]
| ―― 時は遡り/『月』の自室にて ―― [失敗とは、その多くが自覚して行われるものではない。 自らの行ったことが、取り返しのつかないことを招いた後に、 ようやく、振り返って自らのやったことを認める。 愚かしくも人とはそういうものだ。 『箱庭の子ら』のひとりである『審判』だったら、 あるいは、勘違いを認めようとはせず、もっとひどい言葉を叩きつけていたかもしれない。 「キミの言うことは信じない」だのなんだの。 だけど私は『審判』じゃない。 何の言葉も交わせないままなのは嫌だと思っているチェレスタだ。 その辺りの境界を見失わずにいられて……、 良かったと思う。心から] (141) 2022/12/20(Tue) 23:51:38 |
| ……う。 私だってそうだよ。実は。 ちゃんと君の話に耳を傾けることができるか、 ……怖かった。 [げに怖ろしきのは御しきれない感情とは難儀な話である。 すんなりと見えたのなら、それは、 >>19ヒナギクに頼んだおまじないが功を奏したからだよ、……と、 彼の気持ちがわかるのならそう認めていただろう] なんで疑問形がつきそうな言い方? …………まあいいけど。 [ほんとにいいのかなあ? と自問自答してみたけど。 心は不思議なくらいに凪いでいたのでいいってことにする] (142) 2022/12/20(Tue) 23:55:05 |
| [その後、そう。チェレスタが笑いかけた後。 放たれた言葉 >>20に内心ずこっけそうになってしまったが。 「いや少しかい!」って。 ツッコミしたがっている魂の奥底のやつには悪いが、 少しずつ、でいいと思うのだ。 好まざる相手に向かって笑いかけるのだって、 最初は変わったのかそうでないのか気付きにくいくらいのささやかさでもいい。 それを口に出せなかったのは、やっぱり、 世界と自分たちのこれからのことを考えてしまうからだ。 チェレスタは世界の存続へと舵を傾けた。それでも滅ぶというなら、 ……そういうものだ、と案外すんなり諦めることができてしまう。 世界の命運が定まってない今、 チェレスタの言った言葉はすべて感傷になってしまう。 ただ微笑って、彼の言葉を余すことなく聞いていたが、] (143) 2022/12/20(Tue) 23:55:55 |
| ………えっ。 私に嫉妬してる、……へえ? どうしたのいきなり。 [彼の過去を知らないからして、単純に興味が湧いてしまうが、 「内緒」と先回りするように言われてしまう >>21] (144) 2022/12/20(Tue) 23:56:26 |
| えー。……いやまあ今日のところは引き下がるけれど。 びっくりしたなあ。 ……でも、変だなあ。悲しくはないんだ。
[あまつさえくすくすと笑ってしまうチェレスタである。 どうして悲しくはないのか、言語化することはできそうで。
証持ちだってバレちゃうと、『証』の部分だけを見て、 『私自身』を見てもらえなくなることが、何度も……あった。 でも、彼は証持ちだから、理由はどうあれ、 ちゃんと『私』を見てくれてると思うから悲しくない……ってところか?
どうなんだろうなあ。 感傷ではない、前向きをするのにためらいはあったが、 一度零れた思いは止まらない]
もしも世界が続くなら、 「どうして嫉妬してるのか」と 「どうして嫉妬されて悲しくないのか」、 答え合わせ……できるといいね。
(145) 2022/12/20(Tue) 23:57:41 |
| [捨て置いたらその時点で後悔することになる。 >>22だから来た。 部屋に戻ったらしょげた自分が元気に顔を出すのはもう分かってることだし、 こうまで穏やかな時間を過ごせていることが、 そもそも夢なんじゃないかとすら思えてきたし。 だからこそ“いつでもどうぞ”なんて言えることに、 >>23今までは見えなかった強さ……のようなものを見た気がした。 『月』は移ろいさまざまに形を変えるのだ、 ……って辺りは関係ないかもしれないけど、 とにかく知らなかった一面を見たことが、 きっと何よりの収穫だった。 緊張からの解放を大きく抱えながらまっすぐ自室へと足を進めていた*] (146) 2022/12/21(Wed) 0:12:03 |
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