[霜降の紫明、立春の蘭花、雨水の村雨――
特に村雨は、どことなくかつての小満を思わせる雰囲気があって若い頃はいろいろと構ってもらった。その内容は、まあ、ちょっと青すぎて語りたくないところもあるが。簡単に言えば遅すぎる反抗期が私にもあったってことだ。
立夏は正直、蛍の印象ばかり。隣だし接触の機会は他より多かったはずなんだが、ほとんど本人には会わず。悔しくて唐突に会いに行ったりしたっけな。
白露はどうしているだろう。急に失踪をしたと聞いた時はどこぞの親友のことが一瞬過ぎりもしたが、手紙すらといった調子らしく今なお気がかりではある。
それこそ目の前の小暑だって、まだ先代の印象が強い相手だ。
まったくあいつときたら、自分の妹に向かって人のことを『考えると負け』
だなどと、人聞きの悪い。
こんなにも人畜無害だって言うのになあ*]