82 【身内】裏切りと駆け引きのカッサンドラ【R18G】
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| >>4 誰とも知れない声 「これも遊びなのか?」 ぽつり。 途切れてしまった声に言葉を投げます。 当然返ってくるわけもありません。 「……ムルイジはどこに行ったんだ?」 挙げられた名の中でひっかかった人が居ました。 緑色のバクチを教えてくれた人。 数日前からとんと姿を見ません。 彼の声が言うには画面の中に隠れているという事ですが、さてどうしましょう。 ハマルはそんなに強くありません。 けれど。 「ムルイジなら王も咬み殺せるって言うかな」 (18) 2021/07/08(Thu) 9:56:02 |
| >>17 ニア 「そこは大丈夫って言うところだと思うぞ!」 怖いっすよ〜なんちゃって。 「?カードも使うのか?」 (19) 2021/07/08(Thu) 9:58:54 |
まず、体は仰向けに台の上に横たえられた。首に輪を嵌めずり落ちないようにしているが、シリコンを噛んで傷が出来ないようには配慮されている。
腕はやはり透明の覆いのつけられた箱の中へと入れられた。腕の下にはクッションがあって、力を抜いても壁に当たらない。
ただ、腕のすぐ横に何か……モーター式で駆動する、鋸刃のような大掛かりな器具が横たわっている。
それは腕よりも太く、差し詰めカートゥーンのドリルにも似た、でも全く違う……有刺鉄線のようにとげとげした何か。
足元には何かのペダルがあった。数は三つ。透明のアクリル玉覆われているが、膝下を全て入れないとならず、しかと膝が天井に引っかかって足を抜きにくい。
ペダルにはラベルが張られている。客席にもナフにも見えるように表裏にしっかりと。
そこにはこう書かれている。『200万ドル』『5000ドル』『4.65セント』。
ところで、貴方が暗殺を請け負った報酬というのはどんなものだっただろう? 実費に換算し、経費を差し引いて、感情的な値を差し引いて。
貴方の命の価値はいくらだった?
「ナフ、選択肢は三つ。あのペダルを踏んで解答するのよ。
ペダルを踏むと軽い電流が流れます。痛めつけるためではありません。ペダルから簡単に足を離さないようにするためです。
チョンっと踏んですぐに引き上げてはつまらないし、賭けにもならないでしょう?
貴方が己の価値を考えるの。正答はひとつだけ。命の価値はいくらでしょう、貴方の命の価値はいくらでしょう?」
動揺も冷めやらないだろうに、女はそっと囁くとすぐに客席の方を向いた。パチパチと拍手が二人を迎える。
スポットライトとカメラは正しくナフの方を向いて、貴方が主役であることを指すように惜しみなく飾った。
「皆様、固唾を呑んでお見守りください、じっとですよ……彼が怯えてしまわないように。
命の価値は、
命の価値は、
命の価値はーー」
船の狂気が抜け殻だった自分に満ちているのを感じる。
罪悪感こそ抱けど、
暗殺者の彼が友人の破滅を喜んだように。
少年は、酷く震えている。
横たわっている器具にも、女の声にも、置かれた状況そのものにも、恐怖を感じて。
「お、おれ の 命」
考えろ。考えろ。考えろ。
家族には、好かれていたと思う。
友達は、多くはなかったけれど。
踊り手は、家族が教えてくれた舞いを広めたくて。
殺しは、小さな弟妹を育てる母親を助けたくて。
―――選択肢がなかったとはいえ、身を犠牲にして、貢献してきたはずだ。
あの人以外の、
誰にも褒められなくても―――
「痛いのは、嫌だ……」
200万ドルの価値は、ないだろう。
けれど、4.65セントでは家族を助けられない。
それならば――――答えは。
少年は、青い顔のまま
『5000ドル』のペダル
に、足を、入れた。
電流を警戒して、奥歯に力を入れている。
| >>20 ニア 「んーよくわからないからニアの言う通りでいいぞ! 賭けるのはこの瓶!」 (7)1d10ハマルは安請け合いします。 よく分からないけど面白くなってきましたからね。 「『情報』を賭けてもいいぞ……といってもハマルは賭けられるような事はたぶん知らないけどな!」 (21) 2021/07/08(Thu) 10:55:52 |
| ハマルは、7 肉体or精神年齢が変わる薬 を賭けました。 (a25) 2021/07/08(Thu) 10:57:39 |
「命の価値は、5000ドル!」
笑い声がオーケストラの演奏を掻き消すようにこだまする。
ぴり、と電流が走るものの、細い針を刺したような鋭い痛みはあれど心臓を蝕むほどではないだろう。
けれども確かに足の動きは縫い止められるように硬直して、ペダルから足を離すまでには時間がかかる。
その、一呼吸深く肺に酸素を入れるように時間。たったそれだけの時間。
凄まじい轟音を立ててモーターが回転した。
左腕を捕捉している回転鋸はまず最初に肌に棘を引っ掛けて、シーツを巻き取るかのように皮膚を引き剥がした。
真っ赤な肉が露出して、思い出したかのように遅れて鮮血が噴き出す。容器の中に血は溜まることなく、繋がれたチューブから台の下のケースに流れていった。
回転鋸は止まらずに肉を轢き潰し、フォークで何度もステーキを引っ掻くように細い粗挽きを作り出した。
端々に見える白い芯は骨だろうか? 辛うじて当たらないものの、身動ぎをして暴れたならばそれも同じように巻き込まれるのだと言うのは想像に難くない。
少年の腕は側面の半分の肉をごっそりと抉り取られ、もはや自分の意思で動かすのもむずかしいほど原型を無くしてしまった。
「おや、これはこれは。どうやら間違えてしまったようですね?
選んだのは中間。思い切りのなさが不安を生んでしまったのかもしれない、悲しいことです……。
さあ、ショウはまだ終わっていませんよ。ナフ、さあ、選び取りなさい。
貴方の命の価値は?」
喜ぶ
客たちの顔を一人一人覚えている。墜とされても変わらない猛禽類の瞳だ。
その光景と、更にその光景を見てる奴を自分が見ていたら生き生きしていた。
電流は大した痛みではなかった。
ほっと息をついて――――
「………ぇ」
何が起こったのか、分からなかった。
凄まじい音がして、何かが刺さるような鋭い痛み。
皮が剥がされ血が噴き出すのを、腕がズタズタにされていくのを、呆然と見て。
一度機械が止まって―――
「あ ああああぁあああっ!!痛い、いたい…っ!!!
なんで、腕 おれ おれ、まちがって…っ!!」
初めてあった頃の落ち着いた雰囲気はもはやなく、喉を潰すのではないかと思わせるほどの声を上げて、涙をぼろぼろと零している。
痛みに慣れていないのは本当で。
痛い事をされないように、機嫌を損ねないように必死で生きてきたのだ。
少年は、舞いをしなやかに見せるための腕を失った。
それでもまだ、この遊戯は終わらない。
早くこの痛みから解放されたくて。少年は、足を引き抜いて、『4.65セント』のペダルを踏んだ。
自分の価値なんてどうだっていい。早く解放されたい。
喜びしか分からない。劈くような悲鳴の先にあるものしかわからない。
全ての感情が喜びに支配されている。矛盾した気持ちに気づけない。
骨に刃が当たって、痛みと恐怖で泣きじゃくっている。
幼い頃から母親によって丁寧に手入れされてきた左腕を失った。
少年は悲鳴をあげ、血飛沫は容器の口から少年の顔へ、胴体へも血を飛ばす。そばで補佐する女も例外ではない。
真っ赤な衣装に更なる絢を重ねながら、少年がよく見えるように顔の血を拭ってやった。美しい顔を皆に見てもらえるように。
少年の勇気を讃えでもするかのように、客席からは拍手喝采が上がる。見世物としてはとても喜ばれているらしい。
一度の痛みを与えられても、ショウは平然と、終わらない。
「命の価値は4.65セント!
さあ果たして彼の選択は……おや!」
まるで道端に美しい花でも見つけたかのように声を上げる。それはすぐにやはり、モーター音にかき消された。
高速で回転する刃が少年の残った腕を引き裂いたのだ。
刃には糸のように細い血管や神経が絡み、カツカツと引っかかる音を立てながらそれでも止まらずに奔らせる。
チチ、と火花でも散らすように鳴っているのは、肩まで繋がる組織を巻き取って引きちぎる音だ。
電流に呼び止められた脚がようやくペダルから離れる頃には、両腕は揃いの傷を抱えていた。
「さあ、残るペダルは後一つ。
皆様はどう見受けましょう、これにも仕掛けがあるのかどうか?
いいえ、神は彼を見放さず天上へと迎え入れてくれるでしょうか。
拍手でお見送りくださいませ、彼の勇気ある第一歩を!
命の価値は━━」
最後のペダルは、『200万』。それは彼の命の価値に、見合っているだろうか?
少年は再び与えられた痛みに、劈くような悲鳴をあげる。
意識を失うこともできず、頭は朦朧とし 視界は霞んで赤色しか写さない。
暗殺のためにナイフを振るった右腕も失い、肩につながる骨すらなくして、
少年は元々抱えていた望みも捨てたかのようにただ
「死にたい」
と思った。
自分に価値なんてない。だから、早く 早く楽にしてほしい。
嗚咽だけが、響く。
| >>22 ニア 「!それは知りたい。ハマルのことならちゃんと話すから…… わかった。じゃあ瓶と情報でバクチするぞ!」 「簡単にできる勝負がいい。 ブラックジャックでどうだ?」 (25) 2021/07/08(Thu) 13:26:31 |
最後のペダルが踏まれたならば、踏む勇気があったならば。
パン、パン! と甲高い破裂音が鳴り響くことだろう。
それはチープなクラッカーだった。祝祭の始まりのような音が鳴り響くと、両側から従業員が進み出る。
「命の価値は……200万ドル!
これこそがみなさまが此度の演目に投票し積み上げた金額になります。法外とお思いでしょうか、いいえみなさまの愛あればこそ!
良かったわね、ナフ。彼らはみな貴方のファンなの。戻ってくるのを待っていたのよ。
おめでとう、貴方の価値は200万ドル。貴方は皆に選ばれたのよ……」
賓客に、少年に。それぞれにポジティブな言葉を投げかける。
客席の中には貴方を見てうっとりと頰を染める貴婦人があれば、熱烈な愛の言葉を叫びかける紳士もあった。
貴方は求められているのだ。貴方が求められているのだ。
貴方に払われた価値は200万ドル。貴方の大切なものを守るのに、不足することはないだろう。
貴方自身は守れないけれど。
「"前座"はこれまで。いよいよナフには極上の踊りを踊っていただきましょう。
その為にも、彼が寵愛に満たされるさまを、ご覧くださいな」
血に塗れた台は斜めに傾けられ、体のよく見えやすいように。今度はうつ伏せに転がされ、顔は客席の方に向いた。
ペダルは運ばれていき、両腕の器具は取り外される。すぐさま傷口は清潔な布に包まれ、みるみる赤く染まった。
きつく肩口は縛り付けられて、パフォーマンス以上の出血がないように施される。当然だ。殺す意味などない。
かれの命には価値があり、値打ちがつけられ、金を生むのだ。
必要なだけの輸血も施され、命を失わず、気を失わないようにしっかりとケアがされていく。
ならば、なぜまだ、見世物台の上に?
「刮目ください、彼の美しい顔を、身体を。彼に称賛を。
これよりみなさまに、『エンジェル』の誕生をお見せいたします」
(金持ちの道楽というのは、
極まれば、正に狂気的だな)
200万ドル。
ただ日常を生きるだけでは、手に入るどころか、
目に入れることすら叶わない”非日常”の証。
それが、
こんな簡単に、一人の少年に注がれている。
たった一人の少年の、弄ばれ尽くされた人生。そのカタストロフィに金額を付け、価値を積み立てる。
怒り、 不快、 絶望
湧き上がる
歓喜、狂喜、悦喜
───
陶酔や恍惚の様相をみせる客たちを見るたびに、倒錯した明るい感情が湧き上がる。血の池が満ちて、ギラギラと悪趣味な照明を反射する舞台。それに相応しい感情で自分の内が満たされている。
他者の精神を掌握して弄ぶのが愉しくてしょうがない。
皆の身を、心から案じている。その先に喜びを見出してしまうだけ。
共犯者の一人が何処かで何かえらい事になっている気がしてきた…
滅茶苦茶愉快なものが見れた気がして地上を見れるカメラ探せないかなと思った。
折角だから自分が立ち去った後の瓶10本の録画みようと思った。
「ふーん見られたくないようなのが……」と言う顔をした。
さり気なく地上と墓下で意思疎通が図られたのを感じた。テレパシー?
/*
そういえば今のうちに連絡しておきますが、ちょっと仕事が激化してきた為夜殆どレス出来そうにない事をお知らせしておきますわ……多分研修合いの手も一回が限度だと思いますの……ご了承くださいませ……!スロウス、テンガン様ファイトですわよ……よきエッチを……!
まだ、意識を失うことを許されない。
体を動かされるたびに激痛が走る。
視界の霞みと、意識だけは開けてきた。
いっそ殺してくれたなら。
金だけを家族に寄越して、放っておいてくれたなら、良かったのに。
それが叶う場所でないと、気づいているけれど。
「……ぜんざ」
掠れた声が、漏れる。
これ以上のことが、あるのかと。
涙が、溢れる。助けてと、言いたかった。
| >>26 ハマルもニアすき〜 「 んりぉぱぼりら を知ってるのか!?」 わぁ偶然ですね! 「いやいやそれはさておき互いに仕切り直していざ尋常に!」 しゃっしゃっしゃっ。 ハマルも一緒に山を切りました。 これで公平なはず。 (41) 2021/07/08(Thu) 17:52:44 |
| >>41 「勝負!」 【ハマル1枚目】 (42) 2021/07/08(Thu) 17:55:44 |
| (a41) 2021/07/08(Thu) 17:57:13 |
| (a42) 2021/07/08(Thu) 17:57:31 |
| ハマルは、まさかの全く同じカードにびっくりしているのでスートは誤魔化して欲しいぞ! (a43) 2021/07/08(Thu) 17:58:36 |
| >>42 >>a42 ブラックジャック 「9が2枚!これで18だ! ハマルは ステイ するぞ!」 4以上でバーストです。 ハマルは思ったより安定志向なのかもしれません。 /* あとはそちらで好きなだけ引いてくださいまし! (43) 2021/07/08(Thu) 18:02:13 |
「12段はしごって奴ができねぇからやってくれ」した。
「お前何1人で拘束SMプレイしてんの?」と言った。
下手な縄で縛るより拘束できるから覚えたら?と思った。
ゲーミング右眼ほど酷くはない。少なくとも、絵面は。
そもそもあやとりなら引きちぎれるんじゃねえか?いいぞ千切っても。
よく分からないが念を送ることにした。よりギチギチになった。
ヤバいのは手首に巻き付いてる方なので「折り紙ができたら解いてやろう」した。
幼い弟妹が満足に暮らせていけるように、ナイフ捌きの技術を磨いた右腕を失った。
「猫折って」と自分が出来なかった奴を折り紙1枚差し出して来た。
もう一度やってみる事にした。立体的で可動部のある猫ができた。
「これ本にある猫と違う!」となったが、動かして遊んでいる。
俺、さっき渡したのワイヤーか何かだったか?と思った。
強度を確かめに青糸で12段はしごに再挑戦してできた
満足したのでそっと手首拘束になってる上に、はしごと猫を乗せて立ち去った……
研修が終わるまでそのままだったらきっと解いてあげただろう。がんばれ。
仕方ないので従業員に切ってもらった。業務を滞らせてはいけない。
諸々の大惨事が起きていることは知らず、ボル(9)1d10を作っていた。
/*
これはシリアスな本編と全く関係のないどこかの、とってもメタな為そもそも本編とは関係のない時間帯
「仲良いよね墓下君たち!?なにさこのアクションの量!!!」
(仕事がやばくておしまいになっており村に来れそうにないんですけど元気出ましたありがとうございますわの意)
/*
「そこに挟まれたナフのアクションの気持ち考えたことあるかな!?ラサルハグ!バーナード!そこに正座!!!反省して!!!」
(PCはこうだけどPLは楽しかったのでいいと思いますわ。反省はしなくていいと思いますわ。アクション芸大好きですの)
大人しく正座した。反省はしているのかよくわからない。
ゴトン! と台が傾いた。背中がよく見えるようにだ。下側には細い桶が置かれ血を受け止めている。
まず、体をしっかりと固定した。なめしたベルトは肌触りがよい。何の慰みにもなりはしないが。
やはり仮面を付けた従業員が傍に立ち、幾重にも生命維持の為の装置や器具を取り付ける。
無理矢理に消費分を補う輸血に加えて、透明な薬が硬膜へと追加された。
「気絶されてしまっては見ごたえがないというもの。
副船長に投与したのと同じ薬を入れております、中身はご承知おきでしょう。
やはり人間を昇華させるのであれば、天にのぼるような気持ちでなくては……」
わっと笑い声が上がった。ジョークのつもりなのだろうか、この場ではきっとそうなのだ。
少年にとっては見えない背後で、何かが行われている。本人以外には、ようく見える。
よく手入れのされた刃物がスッと背中に入った。鋭すぎてすぐには痛みを感じないかも知れない。
背中の肉を観音開きにするように、体から離れすぎないように中央から離されていく。
信じられないほど手際よく薄い肉が退かされて、その下から骨が見えた。
肉と骨の境に、ヘラのような器具が入り込む。
ベキッ、とアーチを描く鎖骨の裏側から固いものの折れる音がした。
肩甲骨が剥がれ、背中に突き立つようにしているのだ。
広い骨が菱形筋からサクサクと料理でもしているかのように剥がされて、鎖骨から離れた。
からっぽになってしまった背中はまたパタ、パタと縫い合わされていく。
手術と言うには手荒で、そして暴力と言うにはやけに繊細だ。
異質だ。生命の維持のためではないのだから、当然といえばそうなのだろうか?
未だ露出したままの細い背中に。従業員は、今度は工具を手にした。
→
流石に。信じられないものを見る目で、“天使”が造られていく見た。
嘗て共犯者だった"暴食"の言葉は真実だったのだと理解した。
まず取り出された骨に取り付けられたのは蝶番だった。
ドアーのように骨が動くところを、従業員は客席に見せた。
それから、蝶番の一片はかすかに肉の隙間から見える鎖骨に打ち付けられた。
文字通り骨身に響くような衝撃がガツン、ガツンと少年の体を踊らせる。
ふらふらと、血と肉のこびりついた肩甲骨は外部に露出したまま、少年の体に戻された。
それから先は、こんな場でなければ職人芸と言って良いような様子だった。
肩甲骨に指を広げるような形のワイヤーが打ち付けられ――勿論体につながったまま――、
そこに人工皮膚が張り巡らされた。他者のものではないから、不適合の兆候もない。
無残な剥製のように広げられた骨組みは、銀で塗装されてきらきらと照明を反射した。
いずれはそこに羽が縫い付けられていくのだろうか。けれど今は、はだかの翼のまま。
ステージの上からフックが下がり、少年の皮膚に縫い付けられていく。
サスペンション、というパフォーマンスを知っているだろうか?
直に皮膚にいくつものかぎ針を取り付けて、人間の体を浮き上がらせるものだ。
的確な場所に、十本以上ものフックが薄皮を通過していく。
人間の皮膚というのは存外に丈夫なものだ。重心を分散すれば、こうした芸当もできる。
偏らず皮膚を破ることもなくしっかりとフックは体重を支え、ゆっくりと少年の体を客席に見せた。
まるで磔にされているか、そうでなければ、天から降りてきた神の使いのようだ。
痛みがない、なんてことはないし、血は細く流れ続けているのだけれど。
オーケストラはいよいよクライマックスというように、激しい演奏にホールを揺らす。
夥しいほどの出血と血の匂いに満たされた空間は、今まででいちばんの拍手に満たされる。
まさしくそれは――
「さあ、紳士淑女の皆様、今宵こちらにいらしたあなた方はとても運がいい!
これこそ一番人気の演目――『エンジェル』でございます!
愛し愛されし我らの踊り子に、あなた方の愛を――!」
真面目にあれは悪趣味とかじゃなくて俺とジャンルが違うと思った。
噎せ返るほどの悍しい匂いに、表情は笑っていても、目が震えている。
条理を笑い飛ばすような光景に、正気が削り取られるような感覚を覚えた。
「は、はは」と嗤いを溢す。まだ狂気へ、堕ちきれていない。
天使?これが?
神の国に御坐す使い、それが、こんな、
命を冒涜し、“神聖さ”など笑い飛ばし、引き裂いて踏みにじっても足りないような───
理解を拒む。脳が、本能が直視することを拒む。
だが目を離せない。
賓客らの歓声が、演奏が、頭を掻き乱す。
此れを望み、愛する客は、最早
我々と同じ人間と言ってもいいものだろうか?
狂騒は心を蝕む。焦点は最早定まらない。
────ちっぽけな正気を守るために、目を瞑った。
侵されるような倫理道徳を持ち合わせていない。初めから。
「っ、……ふ…」
脂汗が滲む。
未だかつて、入院すらしたことのない少年は どの器具が何の役目を担っているのかも分からない。
ただ、されるがままに。痛みを堪えていた。
血とは別に、透明な薬が追加されたのをぼんやりと見ていると
背中に何かが刺される感覚と、遅れて。
以前堕とされた時の、玩具による刺激とは比べ物にならないほどの―――
「あ、ああ―――!?い、っ、が……!」
剥がされる、打ち付けられる。
そのたびに、仮面の下の目が見開かれて、歯を食いしばる。
口の端からは、唾液がこぼれて 下半身は意思と関係なく硬く勃起して体と台に挟まれながらも 何度も白濁を吐き出しては、また硬くなって少年の体力を奪う。
悲鳴とも喘ぎともつかない声が口から零れていく。
―――ふと、体が持ち上がる。背中の皮膚が引っ張られるような痛みと、全身に響くように広がる快感に、頭にまた思考に靄がかかる。
恍惚とした表情を浮かべた、羽を生やした少年は、血の匂いの中で 地上に立つ従業員達をぼんやりと見下ろしている。
| >>49 ニア 「う〜〜〜〜〜〜やっぱりニアは強いな!」 圧倒的じゃないですか。 大人しく最初に手にした(4番の)瓶を取り出してごくごく飲みながら話します。 幸せな光景ってなんでしょう? 「経緯と言われても……ハマルがここに居るのは遊ぶためだぞ! 遊んで遊んで、遊びつくすんだ。 故郷には遊びなんてほとんどなかったし、だから」 ありゃ。 「……ハマルは なんでこの船に居るんだ? 」 頭を抱えています。 ふらふらな足取りでニアに寄りかかりそうな勢いで近づきましたね。 (51) 2021/07/08(Thu) 22:12:11 |
強く双眸を閉じる。目を合わせたら、“連れて行かれる”。そう錯覚した。
| >>51 ニア 「……う」 おやおや。随分と気分が悪そうです。 あっでもそろそろ薬の効果が出てくるんじゃないですか? 「――見える。みんなで遊んでる。 みんなずっと一緒で遊ぶ以外になんにも考えなくて良くて何をしても遊べて楽しくてうるさいけどやっぱり楽しくてなんっ度も繰り返して飽きちゃってもやっぱり楽しくて何やってるのかわからないくらいに続けてもやっぱり楽しくて楽しくて楽しくて楽しい ぞ!」 楽しそう! 「なんだこれ?」 (53) 2021/07/08(Thu) 22:23:25 |
「明日よりナフには"従業員"として復帰させていただきます。
それまでの投資によっては、彼の"翼"の完成は早まることでしょう。
彼を御使いに昇華するのは誰であるか、早いものがちですよ……」
口笛を吹き手を振り手を打ち鳴らし、ショウのエンディングを歓呼が華々しくかざる。
白い花びらがぱっと舞い散り、辺り一面に散った血ですぐに染まってしまう。
快楽にとろりと溶けた少年の表情を向けられた客は、いっそう興奮した声を挙げるだろう。
貴方は彼らにとってのアイドルとなった。此処で愛され、欲されていくのだ。
「これよりナフは処置にあたります……すぐにでも元気な姿をお見せいたしますよ。
その時にあなた方の天使がどんな"ぐあい"になっているか。存分にご想像ください。
ご覧いただき、誠にありがとうございました」
貴方を求め見上げるような喧騒の中で、一時幕は下ろされる。
次の演目に向けて少年の体は降ろされ、台は片付けられて辺りの血もきれいに掃除されることだろう。
苦痛は終わったのだ。そして終わることがない。すぐに、傷口に対して適切な処理が行われる。
正しく、手術や手当がされるのだ、ようやく。貴方は大事な従業員なのだから。
「お疲れ様、ナフ。……今はどんな気持ちかしら、気持ちがよくってなにもわからない?
これが貴方の甘受すべき幸福であり、今後の人生なのよ。
貴方に掛けられた命の価値は、きちんと貴方の身元に送金すると約束しましょう。
なに、ほかの演目に賭けられた金がありますからね。心配しなくたっていいのよ」
貴方の乗せられた担架はステージの控えへと走り、貴方の体を運んでいくだろう。
勿論俯せで。改造された貴方の体は、もう仰向けに眠ることは出来ない。
施術さえ終わったならば、大丈夫。貴方は貴方の好きな者のところへ、会いに行ける。
貴方達は同じ従業員なのだから。何も心配しなくていい。
貴方達は同じ従業員なのだから。何も苦しむことはない。
貴方の命の価値は200万ドル。
売り買いされる命の価値は、帳面に書き込めるほどのものなのだ。
/*
オッス! オラ狼!
エピローグを目前にした襲撃について、現状相談事がありますの。
というのもその原因のガンガン一端ではあるのですが、このタイミングで墓下に来るとエピローグの語りに困る人、或いは今の流れに突っ込むと様々な事情により身動きがとれずみんなでエピローグに参加するのが難しくなってしまう……などの人がいらっしゃると思うんですのよね。
今の状態でランダムに襲撃先を選ぶと芳しくないのでは? というのが要点です。
パスするか、それとも快諾してくれそうな方(キエとか)(失礼)にお願いするかにして、
ランダムで行う以外の方法を取れないかと模索しています。
いかがでしょうか?
担架へ横たえられた少年は、意識がもうあるのかないのかわからないような状態だ。
ただ、送金するという言葉を聞いて。ほんの少しだけ、口元に笑みを浮かべた。
本当に、意味が分かっていたのか定かではないけれど。
哀れな少年は、愛される天使となって この船で生きていくことになる。
少年の願いは、もう叶わない。
踊りを────踊りを?また、見てもらえるだろうか。
それから、色々な事を考えながら。意識は闇の中に沈んでいった。
/*
まずはお疲れ様でしたグラトニー、ナフ!濃厚な時間でしたわね……本当にお疲れ様!
そして襲撃に関する件ですが、一番手っ取り早くて安牌なのは「パス」ですわね……
おそらく生きているであろう猟兵にズドンしてもらう為には噛んでもらわなければならない=誰かを襲撃しなければならない となりますから、誰も襲撃死しない形にする……となると多分……それくらいかしら……
| >>55 ニア ヤバいやつですね。 「ハマルはダイジョウブだゾ! お菓子もたベルぞ〜」 (57) 2021/07/09(Fri) 0:11:03 |
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