145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】
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「眠いですか〜〜……中々治りませんねえ」
一つ、このギムナジウムには問題を抱える生徒が多いのは、人生の3分の2以上の時間をこの場所で過ごしたアオツキにとって当たり前の知識だった。
少なくとも自分も感じている他人とは違う病を、彼が抱えていてもおかしくないと思っている。
では、それを癒やすことが役目なのだろうか?
「あまり改善が見られないと、
もっと怖い先生達に怒られちゃいますよ……ほ〜ら帽子も」
ずれそうになる帽子をのを戻してやりながら、前髪を整えるようにひとなで。
椅子を引っ張って隣に座れば見えない顔を覗き込んだ。
「先生達は、過剰に眠るバレンタインくんが見たくないんです。
私は少しでも貴方を起こすためにここに居ます。
でも……せっかくなら、楽しい気分がよくないですか〜?
眠ってるのと起きているの、どっちが好きでしょう」
「……」
瞼を重く閉じたまま押し黙って、
何か思い悩むようにやや前方に首を傾げる。
ともすれば、寝てしまったのかと思うくらい、
長く口を開かなかったのち。
「起きている方が……好きですが」
それは糸でも紡ぐかのような、かすかな声量で。
「でも、眠くしていないと……」
今にも、何か考え事をしているようなそぶりで。
「──内側から溢れてしまう」
だから結局、眠っている方が好きなのかもしれない、と。
気づけば少年は、真剣な眼差し──髪の毛越しであるが──で、あなたを見据えている。
強迫性障害。二つの病気はきっと、密接に関係している。
| >>76 不機嫌な同級生 矛先が此方に向いたことが分かれば、小さく溜息。 「僕は自分の憩いの時間を邪魔されたのが気に食わない。 幼子の癇癪なら多少は見逃せるが、よりにもよって学内最年長と実習生と来た。 ああ、場所を選ぶことも多少の我慢も出来ない幼子には違いないか?」 コーヒーを飲む手は止めず、声色は凪いでいる。 窘めるような温度で、しかしその実焚きつけるような物言い。 「尤もらしい理由を付けてこの場に出ない選択をすればいいものを、何故そうまでして律義に守っているのか疑問だな。 誤魔化す方法は幾らでもあるだろう、何故使わない」 「この数年来改善が見込めないその悪癖には、僕も我慢の限界だ。 僕は、貴様のそれが持続することを望まない。 故に、好転の手段があれば今すぐにでも試みるべきだ。 僕の快適な学生生活のためにもな」 声色は変わらないまま、自分の生活の障害となるのであれば取り除く手段を探すつもりはある。 そういった話を続ける。 (83) 2022/04/30(Sat) 2:08:47 |
「ほう〜?
溢れてしまうものを押さえつけるために眠っているんですね?」
ちぐはぐな声のトーンと台詞、表情。
笑顔や不安そうな顔のひとつでも見せられたなら、寄り添った良い先生になれたかもしれないのに。
アオツキの顔は、無表情から変わらない。
「凄いです、偉いですバレンタインくんは。
でも、……」
「少し、一人では抱えきれないものになっていますね」
正直、病は直ぐにでも治って欲しい。
だが……目の前の君をほの暗い噂の元に連れていきたいとも、思えなくて。
「全部は、君に負担があるでしょう。
少しずつ渡に溢してでも、教えて下さい。
私は君の味方で、協力者です。
我慢するだけの眠りも、より良いものにしましょう」
何処か、アオツキに刻まれた傷が傷んだ。
「……そうですね……」
同意ともとれるし、
逡巡ともとれる、曖昧な相槌。
ただ、無表情に見えるあなたの顔をそこまで悪いものとして解釈していないのか、強張らずリラックスしているようには見える。
「あなたのことは……信頼している、が……
……あなたに預けて抱えきれるかの信用は、
まだあんまりできてないとも……いえる」
何処までも見透かしているような。
あるいは見たまま考えの浅いような瞳は、
若干気まずそうに背けられた。
「確かに……気にすることなく、
目いっぱい昼寝は……してみたい……
……無理はしないように、してみます。
……『治療』は……出来れば、嫌なので……」
| (a17) 2022/04/30(Sat) 3:53:27 |
| 「………そうは言っていない」
吐き出された言葉を受け止め、周りのざわつきの中 ぽつりと零す言葉。 苛立ちに任せ煽ったのはこちらも同じだ。
しかし、諦観している理由を聞くには。 此れまでの努力を、苦労を尋ねるには、遅すぎたのかもしれない。
ああ、全く。 (92) 2022/04/30(Sat) 4:03:04 |
| リアンは、冷めたコーヒーを流し込み、ヒールを鳴らして 食堂を後にした。 (a18) 2022/04/30(Sat) 4:14:08 |
「そ〜ですね〜。
私も歳が成人しただけの子供らしいですから〜。
信用なんてからっきしでしょう、これからですね。
イシュカからもきっと、良い答えが来ますよ。
相談事得意ですから〜、不器用なりに」
感情の機敏はその青い瞳の先に映らない。
「……」
「……昼寝の時間、作ってもらえるように聞いてみます」
「焦らないように気を付けますね〜」
「実習生の人たちは……うん。
そう、……信頼はしてる……よ。
どちらかというと……手のかかる生徒が多くて……
大変じゃないかな、と……思わなくもないか」
もちろん自分もひっくるめて。
もし僕ならば疲れてしまう、と思う。
「ありがとう……ございます。
昼寝の時間……僕も焦らないように、待ってる。
……アオツキさんも……たまには昼寝、したらいい。
溢れないように押し付けるものがなかったら、
きっと……何も意味が無くて、楽しい。気がする」
自他を守るために、防衛本能として。
それがないことを意味の無いことだと表現して。
ただそれも楽しそうな事だと捉えているらしい。
「お見通しですね〜。
これは私の振る舞いのせいでしょうか」
それこそ、専属という形をとらなければ一人の生徒だけを見続けることなどできない。
彼らが誰にでも与えられるもので解決がしているのであれば、もう既に改善している子は山のようにいただろう。
「……正直手のかかるのは生徒だけじゃないのが実情ですね。
それでも私は君たちが大好きだから動けるんですよ」
「君たちがなにかを一人でかかえきれないとき、
私は黙る壁に、wobbly manに、あるいはザントマンにでもなれます。
私達が求められていることは、……本当に一つ一つであれば、
大したものじゃあ……」
間。
「……た、大したこともあるときは、ありましたね
すみません……潰れたりしないようにしますよ〜」
| (a28) 2022/04/30(Sat) 17:20:49 |
| (a31) 2022/04/30(Sat) 19:04:53 |
| リアンは、部屋を暫く空けている。朝には姿が見えるだろうけれど。 (a32) 2022/04/30(Sat) 19:05:25 |
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