【人】 XII『吊された男』 ユグ――花畑へ―― ……こんばんわ、カルクドラ。 [>>55そう控えめに声をかければ、驚きが返ってきた。 その反応は正しい。ひとり『死神』を呼びつけて、まさかふたりで来るとは思わないだろう。 それもいつだかユグがここに来たばかりのときのように、ぴったりと後ろに付き添って。 改めて自分の甘えが気恥ずかしくなってきて、視線を下げる。 カフェオレについては、丁重に断った。先生から分けられようとしても>>151、同じく。 強く勧められれば、受け取ってしまうけれど。 ユグは勝手についてきただけだ。 構わないで、気にしないでと言うように縮こまっている。] (154) 2022/12/21(Wed) 1:05:04 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[無論、カルクドラと言い合いになるだとか、刃傷沙汰>>56になるだとか、そういったことを心配して来たわけではない。 流れで。思わず。つい。 言葉にするならそんな単語がふさわしかった。 それ故に、『一度ゆっくり話がしたい』といった切り口からはじまるカルクドラの語り>>57を聞くほど、じわじわと居た堪れなくなっていく。] (155) 2022/12/21(Wed) 1:05:37 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[それでも。 『僕は僕』『神話時代の人じゃない』などといった言葉が出るたびに、今更ながら、そうなのだと改めて思う。 そんなことにも気づけないような、四年間を過ごしていた。 七年過ごすよりは、短いけれど。 わかっていたつもりで、わかっていなかった。 言葉の上では違う人間なのだからと言いながら、『証持ち』の、『箱庭』の人間として、扱おうとしていた。 こんなことにもならないと、理解できなかったのだ。 それに改めて、気付かされる。] (156) 2022/12/21(Wed) 1:06:47 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[ただ、やはり邂逅の瞬間の話>>58や、今の思いを聞こう>>59というような場面になれば。] ……あの。 ホリックゼリーでも、お持ちしましょうか。 [こんな場に刺激的な商品名を上げたのは、ほかでもない。 カルクドラが先生との茶席に推していたからだ>>1:42。 売店には代金さえ置いておけばいいだろう、などと考えつつ、席を立とうとしたら>>153。] (157) 2022/12/21(Wed) 1:07:14 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ……え。あ、の。ええと。 [唐突に話を振られたので、戸惑ってしまった。 あまりこのタイミングで答えに窮するのはよろしくない気はするものの、すぐに出なかったものは仕方ない。] (158) 2022/12/21(Wed) 1:13:27 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ――僕は、そうですね。 あまり、昔のカルクドラを知らないのですが。 それでも、あなたと言葉を交わすのは好きでした。 本をお借りして、知識に触れるのも。 神学のお話を聞くのも。 それが、カルクドラの努力や、改善の試みによって得られたものであるなら、僕は。 とても――嬉しく、思います。 [カルクドラも、もうひとりの僕の師のように思っていた。 だからこそ、先生との対立は心苦しかったのだけれど。 今ここでその蟠りが少しでも解けるようなら、充分だ*] (159) 2022/12/21(Wed) 1:13:35 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ――翌朝―― [再び玄関ホールに集められる。その足取りは、やや重い。 もちろん、想定内ではあった。 昨日集めた意見を受けて、"どうするか"が伝えられるのだろう。 それでも、はじめと意見を違えたことや。 最終的にどちらに振れるかわからない現状に、不安は募る。 とはいえ、行きたくないなどと駄々をこねるつもりもなく。 白のローブを羽織り、きゅ、と軽く引き寄せる。 まるで、自分自身を抱きしめるかのように。 ] (175) 2022/12/21(Wed) 2:57:05 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ (176) 2022/12/21(Wed) 2:57:53 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ“ 世界を滅ぼすのはやめにしよう ” [欲しい言葉を、聞いたはずなのに。 そうあってほしかったはずなのに。 胃を裏側から返されるような不快感と恐怖が全身を駆け巡る。] (177) 2022/12/21(Wed) 2:59:02 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ“ ……だが、もう、いい ” [ずきん] “ この醜い世界で生きるといい ” [ずきん] “ わたしを否定するお前たちなどいらない ” [ずきん] “ ……お前たちは、 ” [ずきん] “ わたしの愛する子らでなかったということだ ” [ずきん] (178) 2022/12/21(Wed) 3:00:01 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[他ならぬ。 他ならぬ自分が。 神の寵愛を裏切ったこと。 彼の人の表情を曇らせていること。 慕い続けた神から見捨てられること。 信じていた愛をあっさりと否定されたこと。 ひとつひとつが、心臓に 楔 のように突き刺さる。] (179) 2022/12/21(Wed) 3:00:37 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ(――……あなたと共に) (いたくないわけでは、ないのです) [意識の奥では、そう叫び声を上げるものの。 もう届かないのだろうという予感があった。 表面を滑るだけの虚しい言葉を音にするだけの心を持てず。 追い縋りたいような感情は、乱れた呼吸にかき消される。] (180) 2022/12/21(Wed) 3:00:59 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ――っ、 ぅ、 [たまらず、口元を両の手で覆う。 ああ、いまが朝一番でよかった 朝食を済ませていたら、きっとここで全部吐き戻していた 崩れ落ちる『世界』の身体も、視界に入ってはいるが。] (181) 2022/12/21(Wed) 3:01:28 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[ 手を貸さなければ こんなことしている場合じゃない どうにかしなくては 突き放される覚悟もなかったのか これが自身の選択だ 望みどおりじゃないのか ] (182) 2022/12/21(Wed) 3:02:12 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ (183) 2022/12/21(Wed) 3:02:32 |
XII『吊された男』 ユグは、メモを貼った。 (a41) 2022/12/21(Wed) 4:08:23 |
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