14:01:09

人狼物語 三日月国


74 五月うさぎのカーテンコール

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 …………。


[何となく見ていられなくなって、そっと視線を外した。
唾液で溶かされた飴は柔らかくなって、甘噛みしたら、ぱきりと音が鳴る。

なんだろう。顔が見れない。
飴のお裾分けは、出来なかった。*]

つまみ食いってか、自分で作ってると味見?
ま、出来たてがうまいのは同意。

その歳でキッチンドランカーにはなるなよー?

[ひとりなら誰も咎めやしないのだが、褒められた行為じゃないだろう、おそらく。

 窮屈そうに座る麦の方に、おもむろに手を伸ばす。
 なんとなく触れたくなって、体温が欲しくて。]

んー、ふふ。

[口元緩ませ、叶うなら、頬なり肩口なり撫ぜるように指先を遊ばせる*]

クミンとー、ターメリックとー。
ちょっとずつですよ。卵サラダも少しだから。


[あとコリアンダーも、とスパイスラックのご開帳を願った。消費が購入に追いつかないだけあってなかなかの品揃え。
あ、タラゴンもあるぞ。]

[二往復目のテーブルには、ヒヨコのようについてった。
たこ焼き機の加熱をオフに。
空焚きダメ、ゼッタイ。
それから、作りかけだったタコのアヒージョを救出。
ちょっと奮発した刺身用だから半生でも大丈夫。

乾杯はキッチンカウンターで。]


んー、スモークサーモンからのぉワイン!うまい!
大人になったらキッチンドランカーなりたい、弟子入りします。



……ジンさん酔ってます?
酔ってるでしょ。酔ってるんだー。


[頬に触れる指に笑って、
緩んだ口元へオイル煮になったタコをくっつけた。]


はい、あーん。


 あ〜花火大会、な……。
 そこは休みが難しいかもしれない……

[二人で行きたいところやりたいことは沢山あれど、イベント日程が「土日」と決まっているものは休みが取りにくい。
その帰りの外食需要が高まるからスタッフの数も必要となるのだ。

お盆休みはあるから、お盆にやっている花火を探して遠出してみるならできるかも?と言って。]

 ごめんな。

[彼女の楽しみに水を差した罪悪感でしゅんとしながら頭を撫でた。
もし見に行けなければ二人で手持ち花火をしよう。
少しでも彼女が「一緒にできない」ことへの寂しさを感じることがないように。]

[今も。
彼女がしたいことや自分がしたいことを取りこぼさない様にと思っている。

ベビーカステラは明日。
りんご飴は今日。

暗号に気づいてそわそわする彼女が愛おしくて笑ってしまう。
りんご飴を舐める舌の赤さに違うことを想像しそうになって上手く見られないのは卯田もだった。

そんな二人の様子を見た店主は『若いねェ』とニヤニヤしていた。]

[小さくて甘い飴を舐めた後は、折角だからと立ち寄りの温泉に誘った。
男湯と女湯に分かれているから、一緒には入れないけれど、折角温泉に来たのだから、色んなところを楽しみたいと主張して。

その裏にある意図には気づかれていないと思う。
女性の方が長風呂だと思うから、先に出て用意したいものがあった。
とはいえ彼女がのぼせを危惧するなら、用意は明日に回すことにする。*]

[口の中にタコをむにゅっと押し込んでから思った。
あれ、美味しそうだな?]


あー…


[追いかける。タコを。
座ったまま覗き込んだ、オリーブオイルで濡れた唇へ。
顔を寄せて、
触れてしまう距離のほんの2cmほど手前で一瞬だけ止まった。]


──……


[オリーブと、ガーリックの香り*]

[また痕をつけてくれるらしい嵐に口元は緩んで。
お風呂で寛いでくれている姿を見て、ほっとする。
背中から抱きすくめて、ぎゅっと抱き締める。
邪な考えは、今は横に置いておこう。]


良かった。
今日は少し、無理させたから。


[彼女は知る由も無い事だけれど……
自分は生活圏に人を入れるのが苦手で。
自宅を訪れるのは仕事絡みの人だけで。
こうして一緒に風呂に入るのも、まして合鍵を渡すような人も。
嵐が初めてだと言うことは……
何時か、話す日が来るかもしれない。

公園で彼女の姿を見た日から。
最初から結婚を念頭に置いて行動してること。
何時か彼女も知るだろう。]

[ゆったりとした時間に齎された問。
問われた意味を、少し考えて居たら、更問が来て。]


え? 見たい。


[ノータイムで口から出ていた。]

[突然俯いた嵐に。
え?これ、買ってくれてたりするんだろうか。
織戸さんと話してた買い物ってそれ?と。
色々考えて……

言葉より雄弁に身体が反応してしまいましたが。
密着してるから、嵐にも全部筒抜けで。
睨まれたりとかしたら。]


……だって。見たい。


[素直に欲望を口にして。
お腹の前の手を解いて、ふに。と、柔らかな胸に触れた。*]

弟子入りするもんじゃないでしょー。
おやめなさいよ、行儀わるいし。

[弟子入り志願にはそんなふうに肩すくめ。
 なるやつは勝手になるんだろうけど。]

へーき、まだへーき。

[言いつつ顔は緩みっぱなしだし、酒を飲む手も止まらないし、止めたら止めたで何かに触っていたい。
 酔っていないという奴は酔っているの典型的なパターンだ。
 大丈夫、まだまだ泥酔ではないのだけは、本当。]

あー。

[くれるものはもらおう。
 まだかすかに透明感のある蛸を、口で受け止め――]

……、

[近づいてくる唇と、暗くなる視界。
 は、と正気に返るような時間。
 数秒で詰まる距離。寸前で止まった、躊躇い。
 どうしよう、と迷ったこちらの思考も、一瞬。]

ん。

[アルコールのせいか、それとも胸のうち生まれた、甘い感情の種のせいか。
 止まった唇はこちらから重ねに行った。
 口に物が入っているので、触れた、だけ*]

 あ、そっか……
 
[申し訳無さそうに話す彼に、SASANKAのことを思い出す。
なかなか休みが合わないことは、今までの経験からも分かる通り。
飲食業、しかも夜までやっているとなれば難しい。
少し残念な気持ちはあるけれど、あのお店で働く彼を否定したりはしたくない。
彼の言うお盆休みに淡い期待は抱きつつ、頭を撫でる手にゆっくりと瞬いて微笑みを乗せる。]

 ううん、大丈夫です。
 基依さんがお店を大事にしてることは知ってますから。

[飴を持つ手に力を篭めて、ぐっと握り込む。
夏が訪れるのは一度ではないし、いつかは偶然休みが重なるなんてこともあるかもしれない。
二人だけの手持ち花火でもきっと十分楽しめる。]

[ふんだんに甘さを含んだ飴は、舌の温度に蕩けてなくなっていく。
店主さんに揶揄われて、りんご飴のように頬を染めて俯いた。

飴にコーティングされたりんごが覗いて、歯を立てる。
しゃくりと小気味いい音がなって、甘さで溢れた口内にりんごの酸味が広がっていく。]


 ……おいし、


[甘さも酸味も、恋と同様に食べ尽くした。]

[それから二人で訪れたのは、日帰りの温泉。
温泉地に訪れたのなら楽しむ他はない。
入り口で手を振って別れて、一人女湯へと向かった。

浴場では丁寧に髪と身体を洗って。
彼と付き合ってからは、身体に痕を残されることが多かったけれど、今日ばかりはその痕が無くて良かったと思う。
痕を付け始めたら一つだけでは済まないから、きっと公衆浴場には入れない。

身体中についた泡を洗い流した後、鏡を見て痕一つ残らない身体を見つめる。少しばかり物足りなさを覚えて肩口を撫でた。

お風呂上がりには、また新たな下着を身に着ける。
フロントホックのパールホワイトのブラジャーに、セットの腰元で紐を結ぶタイプのショーツ。いざという時のために下着を多めに持参して良かったと思う。
肌には甘い匂いのするボディミルクを忘れずにつけた。
これは肌触りがいいと褒められた日から、かかしたことはない。

きっと彼の方が先に出て待っているだろう。
余り待たせては悪いから、メイクは湯上がりとあって最低限に留めて。
待ち合わせ場所へと急いだ。*]

[キス魔じゃない。
だって、ずっと前からしたかった。
せいぜいが微酔い程度、酩酊の言い訳なんて効くはずもない。
ただ少し、抑制の箍は緩んでいて、]


    、


[止まったのは一瞬。
こら、って叱って、距離を稼げるかどうかくらいの猶予だけ。
そしてそれは起こらず、]


……ん



……ふは、美味し、


[叶うならタコをもぐもぐする頬に触れ。
もう片手でグラスを手探った。
持ち上げて縁に唇をつける。傾ければキリリとした白ワイン。]


ああ……これ。
好きです。大好き。


[ねー、と首を傾げて覗き込む。
微酔いだけど、アルコールの支配下には居る。]



もっと撫でてください。クッションよりいっぱい。

ジンさん、好きです。


[すき、と繰り返してワイングラスを空けた。*]

[自分にとってSASANKAは運命で、料理は人生で。
そこを尊重してくれて応援してくれる彼女だからこそ、好きになった。

彼女も料理から離れられない自分を好きになってくれたと言っていた。

それでも]

 寂しい、とか。
 もっとこうして、とか。
 そーいうのは、飲み込まないでくれな。

 俺が出来ることには限りがあるけど、出来ないことの「代わり」は最大限叶えたいから。

[人前で抱き締められない分、今は撫でる手に気持ちを込めて。]

[部屋で下着を替えてからはトイレに行っていない。
下着を替えるのは旅館に戻ってからでも良いだろうと思うのは男ゆえの無頓着か。

部屋付きの露天風呂よりも広い温泉は深いところがあって、卯田でも肩までゆっくり浸かることが出来た。
ついゆっくりしそうになって、危ない危ないと後にする。
タオルやドライヤーなどその場で借りられるのがありがたい。

そうして先んじて出た後に向かうのは、途中にすれ違った雑貨屋だ。
個人の財布から出して、包んで貰って。

気に入ってくれるかな、なんて、どきどきしながら待っていた。]

[出て来た彼女は先程よりもメイクが薄い。
それがまたどうにも湯上りの火照った肌と相俟って色気を高めていた。
喉が鳴ったのは無意識で。
駆け寄って寄り添ったのは、他の男を牽制したい独占欲。]

 なー紫亜。
 ちょっとこれ、つけてみてくれる?

[包みを渡す。
周年祭の時にもらったネクタイのお礼がまだだったと言えば受け取って貰えるか。

中身は紫の蝶のチャームが揺れるかんざし。
まとめあげた彼女の髪を彩るものが欲しいなと思ったのと。
会社で髪の毛を上げる時にも使えるかと。

(その場合痕をつけるのを我慢しないといけないというのを失念しているあたりが残念な男である。)
*]

[頭を撫でる手は酷く優しい。
落とされる声も、言葉も、
本当に大事にしてくれていることが伝わるから。

ぽっと胸に温かい火が灯る。
いつからか内に灯る明りは、一つ一つと増えていって。
そのうち胸いっぱいに埋め尽くされそうだ。

掌に甘えるようにすり、と髪を押し付けて双眸を緩める。]

 はい。
 もしあったら、口にします。

 ―――今は十分、幸せですから。

[幸せ過ぎて、怖いくらいだと言って微笑った。]

―― お風呂上がりに ――

[外に出れば既に基依さんの姿があって、すぐに此方の姿を見つけてくれることをくすぐったく思いながらも嬉しく思ってしまう。歩み寄れば彼の手にはお土産の包みがあって。]

 ……私に?
 何だろう……?

[虚を付かれたもののお礼と言われたら断る謂れもなく、包装を解いていく。
包みを開いたらそこには、可愛らしい紫の蝶が揺れていて。]

  わ、  わ
 
[眼を丸くして喜色の色を浮かべ、かんざしと基依さんの顔を交互に見比べた。]

[酔ったらキス魔に、という話をジョークのひとつで聞いた。
 それでも構わないとは思っていたが、かといってこれがアルコールの魔力だけとも思わない。
 好きだと言う想いを受け入れさせてほしいといったのは、俺だ。『次』を約束し続けているのも、俺だ。
 生殺しにし続けるくらいなら断るべきだった。そうでないから、踏み込んだ。]

うまいなら、よかった。

[やわらかい蛸を咀嚼し、飲み込む。
 触れてくる指には、頬を寄せつつ。
 斜めにグラスを傾けて、零さないように飲みきってしまう。]


 
かわいい……!

 付けてみてもいいですか?


[早速と纏めた髪を解いて、緩く髪を巻き直してからかんざしで留める。
鏡がない代わりに結わえた髪を見せるように後ろを向いて、基依さんの方を振り返る。]


 …………どうですか?
 似合います?


[そわそわしながら、彼の感想を待つ。
耳元で紫の蝶がひらひらと舞った。*]  

いーよ、今日はメリィの出番はお休みってことで。

[空いたグラスを置いて手招きして、両腕を広げる。
 腕の中に収まってくれるなら、肩口に頭を置いて抱きしめる。
 頬や髪、手の届くところをあやすように撫でた。

 メリィの名前に疑問を示されたら、あのクッションの名前だと言おう。
 もうここまで来たらクッションに名前が付いていることも笑い話だ*]

 




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