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【人】 三ノ宮 緋雁─ 回想:植物園(桜花) ─ [桜花ちゃんはまた無茶を言う。>>159 見送られるのが嫌なオレへ。 素直に喜べはしないけれど、でも、不思議だよね。 そんな風に見届けたいと思ってくれるひとがいるのが、嬉しいことのような気がしてくるんだ。 そして、桜花ちゃんがくれたもうひとつの言葉たちは、オレにとっては意外極まりないものだった。 オレは人類同士なら『綺麗』を理解し合えるのかと思っていたんだ。 でも、桜花ちゃんはそんなことないだろうと言う。 AIだからわからないってわけじゃないんだとしたら、それも少し、嬉しいな。 ちゃんと“隣に立てた”みたいで] (161) 2023/11/30(Thu) 22:28:22 |
【人】 巫凪 桜花 ― いつかの何処か ― [草花が咲き誇る、緑の大地。 かつてそこには、桜色の護り人がいた。 無垢に白い外衣の下、袖口に一輪の朱を擁した護り人が。 今はそこに、万朶の桜が立っている。 桜の下には、いくつもの生命が眠っている。 花を散らす。 もう居ないひとの哀しみに。 花を咲かせる。 産まれ出づる喜びの言寿ぎに。 やがて訪う眠りが安らかなものであるよう、 揺籠の上に葉を揺らしながら。 巡り、還り、いつまでも。 未来の貴方に、届くまで*] (163) 2023/11/30(Thu) 22:47:47 |
【人】 苗床環者 メディウム ー どこかの地 ー [……あの日から、色々あって。僕らは雷恩のいる組織への同行を許可された。痛み止めは雷恩がいればどうにかなるし、ある程度の調剤も用意できるとの事だったから、少し戸惑いながらもそちらへ行くことにした。研究所のみんなはお祝いしてくれたし、外の貴重なデータを送るための機材も用意してもらった。 初めて見た、外の景色は『楽園』とは程遠い様相だったけれども。興味深いものがたくさんあって、退屈はしなかった。 不安だった共同生活も、なんだかんだで受け入れてくれるAIたちがいて。血と硝煙に塗れた彼らの生き様を直接見ることはほとんどなかったけれど、それでも僕らなりに馴染めていたと、思う。 …………外の空気は、澱んでいて、あちこちに危険な機械が跋扈していて。『旧人類』の犯した罪とは、ここまでのものだったのだろうか。考えても分かりそうにはない。ただ、僕は、僕らは。 新しくできた居場所で、あの人の隣で咲く。それだけだから。] (164) 2023/11/30(Thu) 23:58:02 |
【人】 苗床環者 メディウム[差し込んできた日光を浴びて、光合成をする。無機炭素がいくつか酸素になって空気に溶けていく。 僕ら1人ではこの世界を変えるなんて事は出来ないし、そもそも僕らがどうにかできるとも思っていない。『楽園』で真似事の失楽園を演じてみたりもしたけど、新たな礎なんてものになれる様な器でも、きっと無い。 ただただ、僕らは愛した人のために息をする。] …………さよなら。 [なんとなく口を吐いて出た言葉が、誰かに伝わるでもなく消えてゆく。いったい誰に別れを告げたんだろうか。かつて生きてきた『旧人類』へなのか、それとも僕らが僕らへと成る前の存在にだったのか。 ……僕らの雷恩が僕らを呼ぶ声がしたから、応えるようにそちらへと向かった。 彼らが失った楽園を、再び取り戻す日まで。その日まではさよなら。 ]** (165) 2023/12/01(Fri) 0:11:11 |
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