87 【身内】時数えの田舎村【R18G】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
あまり手の入っていない、雑木林の中を分け入って少し。
今はもう、誰も参る事の無い、寂れた神社。
昔もお婆ちゃんっ子やお爺ちゃんっ子でもなければ
この場所の存在は殆ど誰も知らなくて。
だからここは、今も昔も二人だけの秘密基地だった。
「みんなは来てくれるかなあ」
月日に埋もれる事も無く、今も形を保ったままの石畳を踏んで
一人ぼっちの王様は、ここじゃなくてもいいやと笑う。
「来ないってことは、
他にもっといい場所があるってことだものね」
「ひとりじめなんてずるいから、それなら探しに行こうかな」
「だってみんなの秘密基地は、一つだけじゃつまらない!」
| >>2:164 >>2:@7 百千鳥 夜長 【2日目釣り】 2日目時空ですが見学の夜長さんがいるのでこちらでお返しします。 「鬼走で合ってる。百千鳥は記憶力がいいな」 「ああ、釣れたな」 無口な男二人に挟まれている少年の構図。その中心に捉えられた大物がスイスイ、もしくは狭苦しそうに泳ぐ。 「彰良は本当に準備も面倒見もいい。昔からその気質はあったが、頼り甲斐が出てきた。他はそう変わらなく思えるのにな」 焼いてもらう発言を聞きながらバーベキューが組み上げられて行く様子を見る。夕凪とこの二人の手伝いが終わった後は、自分も御山洗の手伝いに行こうとするだろう。 (1) 2021/08/12(Thu) 21:42:37 |
誰もいない家で一人眠ることになった、そして、再び川辺には訪れなかった。
村で見かけられなくなった。どこに泊まったかも誰もわからない。
| 鬼走は、夕凪に誰かがついてきたなら任せたし、そうでないなら彼女が起きるまで見守って、それから別れただろう。 (a8) 2021/08/12(Thu) 22:25:32 |
| 鬼走は、以降、何度夕凪を送って行った筈の家を訪れても彼女に会えない事をまだ知らない。 (a9) 2021/08/12(Thu) 22:26:33 |
あまり手の入っていない、雑木林の中を分け入って少し。
誰も来なくなってしまった、秘密基地。
月日に埋もれる事も無く、今も形を保ったままの石畳を踏んで。
違和感に気づいた、もしかしたら自分だけ。
「―――なれなかった」
聖なる乙女のような君になりきる事が出来なかった。
自分は誰も導くことが出来ない子供のまま。
なりきれなかった自分は何か大切なことを忘れている気がする。
どうしてここにいるんだろう、何を忘れているんだろう。
夕凪がここにいたい理由は――――。
遊びたいか ら ?
『強く思い出さなきゃ。
”この田舎”に縋る以外にすることがあるはずって、伝えるんだ』
「あそびましょう、狼さん。
なんだか向こうに狸さんもいるみたい。
面白いな、ずっといたい気分になってくる」
あなたの言葉を聞きましょう。
あなたの楽しいことをしましょう?
あなたと一緒に過ごしましょう。
それが、夕凪にとって幸せなことになるはずだから。
みんなの秘密基地は、やっぱり賑やかじゃないと寂しいから。
百千鳥
夕凪はいくら探して見つからなかった。
だけどあなたが誰かに声をかけている内にひょっこり顔を出す。
自然の香りを纏わせながら、夕凪は楽しそうに笑いかけただろう。
「モモチくん海に行きたいんだって?
夕凪が運転しようか、昨日ぐっすり寝たから今日は元気なんだ。
やりたいことがあったら、何でも用意してあげる!」
「──ようこそ!」
一人ぼっちの王様は、待ちわびたとばかりに来訪者を出迎えた。
「いいよ、いいよ、一緒にいつまでも遊んでいよう。」
迷夢の中に、甘い肯定を投げ掛けて
「遊び相手だって、遊び場だって、いくらでもあるんだから」
「みんなもきっと、みんなの居るこの村が好きなはず」
どこまでも、幼気な夢を謳う。
「ずうっとここに居たいはず!」
きっと、皆がそうなのだと信じて疑う事も無く。
「だからみんなでずっと、遊んでいよう?」
卯波の撮った写真は、現像もしていないのに、家に散らばっていた。
愛用のデジタルカメラと、『晶』と書かれたインスタントカメラを置いて、何処かへ行ってしまった。
寂れた神社の縁側に座って、
ふらふらと足を揺らしている。
「二番目。おまけ。
ついてくるもの。
枠の外だけの子。
あははァ……何も変わってないんだ」
心からの対抗心を向けて、
心からの嫉妬を向けて、
そうして受け取った感情は、
『あなたも大切だけど、
他にも大切な人がいる』
という残酷な言葉だった。
連れてきてもらった子の肯定が心に染み渡る。
田舎の外に対する想いが消えて、田舎の中の気持ちだけになる。
周りの景色の綺麗さが、ひたすら毒となって、
自分の身体を蝕む──そんな、思いだ。
百千鳥
「いいよー、任せておいて。
歩きでも行けると思うけど、持ち物は車が楽だからさ。
眠くなっちゃった人も運びやすくなるからね。
やりたいこと? 夕凪はスイカ割りもしたいし、泳ぐのもしたいな〜。
あとはー」
あたりを見渡して、頬に指を当てながら子供のように何かを考える。
「みんなを巻き込めたら何でも!」
例えばビーチフラッグ。
例えば本格的砂のお城建築など。
他の貝殻集めや女の子らしい提案は夕凪からは出てこないようだった。
「……カメラ、何処か行っちゃった」
唯一の取り柄であった、
思い出を四角に切り取ることすらできない。
劣等感に押しつぶされそうだ。
「……」
微笑む。
いつか自分がカメラに映るために練習した笑顔は、
自分の心を覆い隠す殻となって顔に張り付く。
それでも、抑えきれない涙を、
指先で拭って──ふと、手を見つめる。
また頭がちくりと痛む。
言いようのない違和感だけが、そこにある。
自分の華奢な指先と、青年らしいしっかりとした指が、交互にチラつくのを見た。
境内からでて、自分の家へとまっすぐ進む。手入れのされてない雑木林を、まっすぐ。
秘密基地は、みんなの国。
一人きりの王様は、ある時不意に、二人の迷い子に呼び掛けた。
「ねえ、みんな!」
「
みんなは誰と遊びたい?
」
「アタシ達、きっと二人が連れて来てほしい人を連れて来るよ」
「一番に遊びたい人を呼んで、それからいろんな事をして遊ぼう」
「──いつまでも!」
/*
という事で墓下のお二人に次回襲撃先のアンケートなのじゃ!
とは言っても妾、黙狼どのの襲撃先は本当に自由にしてほしいと思っておるからの
だから絶対に連れて来る事ができるとは言えないのじゃけど、
妾一人で決めてしまうのも勿体無いから是非お聞かせ願いたいのじゃ!
あくまでも参考にしたい程度のものじゃから
ロール的にはこの人が居てくれたら嬉しいな、くらいで
あまり気負わず答えてくれると嬉しいなのじゃ!
いずれはみなを連れて来たいの……のじゃ……のののじゃ…
| >>11 添木 「好きにしていろ。とは確かに言ったが、お前達も飲みすぎた上に二日酔いになれという意味では言っていなかったんだが?」 呆れと若干の怒りの混じった声を投げかけながら私服のシャツを羽織る。この手の浴衣は着崩れしやすいのでさっさと着替えたいのが強かった。ボタンを留めつつ冷蔵庫を開けてスポーツドリンクを広縁の机に置く。 「朝は味噌汁が出るからマシになるだろ。昼までに治せ。彰良と夕凪の調子が悪いなら次に駆り出すのはお前と瑠夏になる」 (15) 2021/08/13(Fri) 1:42:48 |
昨日向かった川辺に夕凪は一人で座っていた。
描き途中だったページに描きたされていくのは皆の姿。
「写真じゃ、ないし」
どこか気に入らなかったのかそのページを破ると一人一人の姿を書き始める。
編笠、青嵐、涼風、髪置……卯波、茜、百千鳥。
「みんな見た目変わったね、またしっかり顔を見たくなっちゃった。正確にかけないと悔しいし、……みんな忙しいかなあ。
ゆっくり羽を伸ばすだけじゃなくて、ずっとここにいればいいのにな」
夏の空に独り言を飛ばして夕凪は、あなた達を探しに行った。
誰かと会いたかった、スイカをくださいなと八百屋のおばさんとお話をして、誰かと会いたかった、スコップやバケツを色んなところから借りて、誰かと会いたかった、少し大きめの車を借りて、忙しないはずなのに疲れを見せずに楽しそうにしていた。
「晶兄、来てたんだ」
見てもないのに、そんなことを言う。
「……デジタルカメラもいいけど。
今はこっちじゃないとダメかな」
首に下げるためのホルダーを外して、
インスタントカメラの方に引っ掛けて、結ぶ。
そうして、思い出により近づいた卯波は。
ほんの僅かに、背と髪が伸びた。
子供が、成長でもするように。
相変わらず中性的な雰囲気はそのままに。
「──ふふ」
頭の痛みが、少しだけ楽になった。
| >>@3 夜長 「何やってるんだ?」 朝よりそれなりに後。昼にみんなが集合する前くらいの時間。下見で来た海に何故か変な位置で微動だにしない和臣を見て、見つめ続けている。周囲を見てもナマコしかない。凶悪なウニやクモヒトデの集団がいるわけでもなし、ナマコに驚いてる発想がない。 (16) 2021/08/13(Fri) 2:10:24 |
| >>@4 夜長 「ただのナマコだ」 本当にナマコしかないので事実しか言えない。 「ただのナマコだ和臣」 だが不安げな声なのは理解できるので説明をした。 「ただのナマコ以上の何物でも……ったく、ほら。支えといてやるからそれから足を離せ。噛みやしない。踏み続けてると互いに悲劇だぞ」 しかしながら声もナマコという事実も何も届いていなさそうなので、岩場に乗って腕を掴む。ついでに相手の手を自分の肩に当てて支えにさせる。 (18) 2021/08/13(Fri) 2:29:40 |
| >>17 添木 「完全に自己責任だろう。お前の馬鹿をやった責任を律儀に全部取ってたら体が幾つあっても持たん」 適当な仮病なら無視でも良いが、自業自得の極みとは言え本当に二日酔いの頭痛があるのは着替え終わりに横目で見やった際に汲み取った。 つかつかと真っすぐに広縁に座ってる所に向かい、勝手にその手を取る。取って暫く触れていたかと思えば、唐突に親指と人差し指の間を10秒押してくる。絶妙に痛気持ちいいの加減で。 (19) 2021/08/13(Fri) 2:57:35 |
| >>@5 >>t9 夜長 「礼よりナマコに慣れる方が先決だ。俺じゃなくて雪子に見つけられてたらまず写真を撮られてたぞ」 その後に助けてはくれる。その点では似てるかもしれない。これからする事も合わせて。視線を浜辺の方の小さな小屋に移した。海の家と言える大層な施設でもない小さなものだが、時間的に開いてはいるのを確認する。 「和臣、何でもいい。自分でナマコを二匹選んで採れ」 (20) 2021/08/13(Fri) 3:23:03 |
寂れた社に背を向けて、
下草に埋もれかけた階段を下りて行く。
みんなを呼びに行かなければ。
次は誰を迎えに行こう、そう考えて
みんなは誰と遊びたい?そんな問いの答えを思い返す。
編笠。
青嵐。
涼風。
髪置。
鬼走。
その内の一人は、何れ来るだろう。
そんな漠然とした確信があった。
そして、その内の一人は──
| >>@6 >>t10 夜長 「両方赤か。見る目があるな」 引っ繰り返し腹部の色を確認して呟く。一般的に赤ナマコが一番市場価格も高く美味しいと言われているはずだ。踏まれたナマコやウミウシや毒性のあるニセクロナマコを採らないだけでも十分なのに良い目利きをしていると褒める。 それだけ告げて岩場を渡り、誰も使われていない海の家に戻る。最早秘密基地に近く開いてると言っても無人で、埃が被ってないのが幸いと言う最低限の器具としかない。何故か腐ってない調味料はある。目の前で淡々と採ったナマコを捌いて、皿にポン酢と一緒に置いて手渡す。 「お前が固まってた奴の正体だ。食えば恐怖心も消えるだろ」 (24) 2021/08/13(Fri) 3:50:21 |
「
本当は、二人がここに居るの、知ってるよね?
」
根拠なんて何処にも無いけれど、やはり確信じみたものがある。
たとえば、夢の中で、無根拠にそうなのだと思うように。
にんまりと笑って、一人呟いた。
「いじわるしないで遊びに来てあげればいいのに。
それとももしかして、恥ずかしがりやなのかなあ?」
「まあ、どっちでもいいか。
そうだなあ、アタシが呼ぶのはあの人にしようかな。
だって誘わないと来てくれなそうだもん」
脳裏に浮かぶのは、いつも寡黙でどこか顰めっ面の大人の人。
それでも優しいあの人は、自分達が待っていると言えば
きっと、この場所にも来てくれるだろう。
涼風 二日目 川
「成長した俺の写真……か。ふふ、期待に応えられるかな。
何か遊びに行くでもなければ暫くは暇だから、大丈夫です」
言葉の一つ一つが、
ちくちくと胸の内を刺していく。
気遣うような笑みに返した、満面の笑みの下はもう既に陰りが満ちていること、何も明かせない自分の内側を偽って接していること。
全部仕方のないことだと、わかってるけど。
約束を、ひとまずは快諾して。
「いつかはもっといい写真を撮れるようになって、みんなが近くにいなくても俺の写真が届くようにします。
例え未来がバラバラだとしても……みんなの人生に関われたら、いいな」
写真を見てもらって褒められるのは嬉しい。
だから、写真を見せることは、楽しい。
今は、それだけしか考えないようにした。
その後に何が起こるか、露ほども知らずに。
青嵐
「……青嵐くん! 駄菓子屋で何のよう?
夕凪が驕ってあげようか」
海に向かう前、村のあちこちを歩き回っていた夕凪は駄菓子屋で見つけた背中に声をかけた。
にこりと、楽しそうに顔を出して冷凍庫を見る。
しかし現れ方は、まるで幽霊のように。
さっきまで姿が見えなかったの突然出てきたかのようだった。
「驕るついでに、訪ねたいこともあるんだけどいいかな」
| >>@7 夜長 「食ったことあるかは知らんがまあイケるだろ」 30代の無表情が二人、片方はナマコを食べて片方は見守る光景が繰り広げられている。不味いの言葉は出ないので調理具を洗って片付けをし始める。 「そもそも岩場で何してたんだ。ナマコ採りじゃないんだろ」 (32) 2021/08/13(Fri) 10:04:53 |
| 鬼走は、コリコリ音がするのを聞いている。雪子もナマコは獲っただろうなと物思いに耽る。 (a19) 2021/08/13(Fri) 10:05:37 |
青嵐
「驚かせちゃった? 今海に行く準備しててね。
村中歩き回ってんの。
青嵐くんバイトしてるんだ、えらいね〜。
夕凪たちは大学生になってからだったよ」
それじゃあお言葉に甘えて。チョコミントを。
昔はイチゴ味があれば飛びつく子供だった夕凪。
チョコミントを好きな夜凪は少し珍しかったのを覚えていてもおかしくはない、たまにゆずってやりながら二人でそれぞれの味を分け合っていた。
きっと今も弟のことを思い出しているのだろう。
「難しいことじゃないよ、
青嵐の、好きなこのタイプを知りたい、なって」
年上のお姉さんから繰り出されるあまりに突拍子も無い質問。
照れた様子も不思議と無く純粋に気になっているように思える。
「〜♪」
都会の一昔前のヒットソングを口遊んで、
インスタントカメラをあちこちに向けている。
川でたくさん遊んだのに、
身体は疲れ知らずで、するする歩ける。
……この辺りこんなナマコ多かったっけ。
「流石にコレ撮っても仕方がないですよねえ」
まだまだ被写体探しは続く。
| >>@8 夜長 「秘密基地探し?……」 言われて必死に当時の記憶を紐解こうとする。秘密基地。自分の世代から単語もあれば、前の世代から引き継いだものや新たに年下達が言い張った物もあったはず。海関係はなんだったか、と思った矢先にボートの話が出て一つ思い出す。 「あったな。歩きじゃいけない場所。行きたいのか」 (34) 2021/08/13(Fri) 13:56:00 |
| 鬼走は、ボートと泳ぎどちらを勧めるべきか迷っている。 (a20) 2021/08/13(Fri) 13:56:34 |
| (a21) 2021/08/13(Fri) 14:15:34 |
| >>33 宵闇【3日目 夜時空】 鬼走は音楽と言う物にとんと縁がない。宵闇のピアノ教室とそこに清和が入った時も新たな決闘の予感は感じはせども、自らそれを弾こうと思った事はない。 知らない景色ばかりが記憶に焼き付けられていく。同時に夢の場所が徐々に消えていく。目を瞑ろうが昔は弟分の家まで歩いて行けた。そんなくだらない自信は年を取るにつれて霧散して行って、今では何度か道を迷い度々角を確かめながら宵闇の家を探す程だ。 文字通り夢の世界だから道を間違えるのが当然だなんて知る由もない。 辿り着いた頃には当初予定していた時間より遅れてしまったが約束をしていなくてよかったと改めて思った。風から聞こえる音楽がなければ恐らくもっと経っていた。 「待たせたか。おばさん達も元気そうで何よりだ」 昼に海でどれだけ騒ぎがあって酒が入ったなどはまた別の話として、ご両親にも迷惑が掛かるだろうから余り遅くならない時刻に訪れて、曲が止むか終わるまで待ってから声を掛ける。 (36) 2021/08/13(Fri) 15:52:50 |
| >>@9【海の洞窟】夜長 「ここ」 唐突に言葉を発した。海食洞内に音が反響する。 「雪子とも来た事ある気がするな」 最深部で何かを探すように懐中電灯を向ける。当時残っていれば面白い程度で何か鋭利な石か刃物に近い傷が岩肌が、随分と下の方の位置に残っている。身長か到達記念かよくわからない跡が複数ある。恐らく鬼走や雪子の前にも後にも複数人が一度は訪れた証拠だろう。それに触れようとしたがしゃがむのが億劫で自分は止めた。代わりに夜長に声を掛ける。 「和臣。初日は妙な感じに見えたが。今はどうだ」 (37) 2021/08/13(Fri) 16:07:36 |
青嵐
「一緒に行こうよ、いっぱい遊ぼ? 時間が無くても強制連行。
趣味のためにお金稼いでたなんて、結構しっかりしてたんだ」
後ほど車もでるし、徒歩でもいけることを伝えて。
スイカ割りやいろんな事をしようと提案をした。
多分無理にでもつれて行かれる気はするだろう。
やんちゃなまま変わらず大きくなっていたと思っていたのに。
お金も大学のこもしっかり考えている話を聞いて、心の中で子供扱いしていたことを謝罪をした。
それにしても青嵐は可愛いなあ。
ここにきてからみんなが愛おしくなってばかりだ。
「そうだよ、彼女にしたいタイプ。
あんまりこういうのは……・夕凪には聞かせたくないことかな?」
| >>@10【海の洞窟】夜長 「落ち着いた、か。正直に言うと俺は気になってるんだ。お前みたいな妙に……そう。様子が変な奴らが多い」 跡に電灯を当てながら先日から思っていた疑問を零す。和臣だけなら別に問題なかった。雪子に振り回されている上に村出身ではないとなれば、色々あってもおかしくない。けれど鬼走が見ている限りどうにもそれだけには思えない何かがある気がした。 「不審って意味じゃなくあれはなんだ?何処を見てるんだ。それが妙に違和感を覚えて仕方ない。今のお前みたいに、久々の村の良さに気付いた。にしたって限度がある気がする」 男は世界の違和感には気付かない。ただ。人の違和感には気付く。それだけだ。 (43) 2021/08/13(Fri) 18:59:57 |
| >>41 宵闇【3日目 夜時空】 「その場合は容赦なく叩き起こしてたから問題ない」 そう言いつつも素直に起きるのを待つか出直すタイプとは知っているだろう。椅子を素直に借りて腰掛けつつ、行儀の悪い座り方に対しては特に何も言わない。普通の客人相手にしてたら肘鉄を入れたが、オフかつ実家で自分が相手なら問題ないと思っている。 「昔話の方が話しやすいならそれからでもいいし、感想も言」 何か変に言葉に詰まったが、無表情のままなので突然電源が落ちた様に見えかねない。更に少しすれば普通にまた動き出す。こちらも腕を組みだしたので行儀の悪さを言えなくなった。いきなり本題に入るより話題に入る方がいいかと思ってそれに乗る。 「俺は聞かれるタイプじゃないだろ。お前は?」 (44) 2021/08/13(Fri) 19:11:15 |
| >>42 御山洗 「人か田舎か、どちらもか。嫌いになったか」 手の内で持て余しているゴミを奪い取ろうとする。ゴミ袋など律儀に持って来ていないのでこっちが今度は手で持て余す事になるだけだが、意識を向けさせる為に行った事なので気にしていない。呟きをしっかり聞いていたのか、そんな意図には聞こえなかったのにそう一度は尋ねた後、言葉を重ねる。 「声に出して言い聞かせないと抑えきれない感情か」 (45) 2021/08/13(Fri) 19:18:02 |
この窓どうやって使えばいいかわからない ぽんぽこいっとけばいい?
| >>48 御山洗 【夜の河原】 「責めてない。心配したから聞いただけだ」 驚かせたか。と見下ろしていたが徐々に下がっていく視線を見てその隣に腰を下ろした。都会では音源でしか聞こえない夜の川のせせらぎの音が響く。田舎の特権と気付く奴は世界に何人いるのだろうか。 「……そんな叱られそうな子供の顔をするな。それが弾みじゃなくて本音でも怒る事でもないだろう。仮にされても言い返すくらいでいいんだぞお前は。心根が優しすぎる」 (49) 2021/08/13(Fri) 20:20:55 |
秘密基地にいるともだちと、内緒話をした。
元気がなさそうだからどうしたの、って。
寂しかったのは、夕凪たちだけじゃなかった事を知った。
なんだか、ここのみんながもっともっと好きになった気がする。
頭打ったのかと心配されてしまった。
「……頭を? わかんないや。
痛いところはないから気にしないで」
一瞬、視界が揺らいだような気がした。すぐに戻った。
「無茶はしないでね。
みんな
や夕凪
にとってこの夏が楽しいものにしようね」
夕凪は、この田舎の夏を楽しんでいる。
何もおかしくない、おかしくない、そうだ、なにもおかしいところなんてない。
「傍で撮ってよ、車の準備をしたら呼ぶからね。一緒に行こう?」
みんなもたくさん誘って、と、海で遊ぶ約束をした。
海に行くまでのちょっと、二人だけの時間だった。
青嵐
「笑顔が可愛い子? やっぱり笑っていてほしいものかあ。
そっか、青嵐はそうだったんだ」
一つ、また知りたいことが知れた。
聞こえない声を気にしないようにして。
あの子が知りたがってたんだ。
誰かのために、なんでだっけ。
「でもちゃんと好きな子にはアピールしないと青嵐ほどの格好いい子でも逃げられちゃうからね、気をつけなよ?」
複雑そうな表情をしていたのは答えが不快だったからではない。
文句がない答えで、青嵐らしいと思ってしまったからだ。
なんだか嬉しそうな、それでいて寂しそうなそんな表情を浮かべた後。
コロリと明るい笑顔に戻れば買って貰ったアイスを大事そうに抱える、一歩下がりあなた背を向け振り返った。
「それじゃあ、引き留めてごめんね。また後で!
アイス美味しく食べるからねっ」
海に着いて紙を広げて描くのは宵闇と清和と御山洗の姿。
目の前にいないのに正確にはっきりと描いているのは。
あなた達を夢の中で見たから。きっとそうだ。
「〜♫ やっぱり海はいいな。
ずっとこれなかったから、筆がとても乗る」
鉛筆でとんとんと、紙面たたいて。
あっという間に描けたあなた達を破って、風で飛ばされるのも気にせず適当な場所に置いてけぼりにする。荷物の下に置いたから迷子にはならないと思う。
「―――、宵兄さんはそう、ね、画になるって感じ。
編笠 くんは今度は服のまま飛び込むのはやめておきなよ?」
「そう?
じゃあ今はそんなにテンションがあがってないって意味?
こんなに美人がそばにいるのになー」
わざとらしく笑いながら、サンダルで砂を蹴って。
はねるようにそばに近寄れば、編笠の腕をつかんだ。
「ほら、ナマコでも魚でも、わかめでもつかみにいこう?
陸に見える黒いわかめさんは腰が痛いみたいだから」
「調子、……? そんなことより。
夜凪の穴埋め、できるならやってほしくって。
触ったり捕まえるのも夕凪たちも得意じゃないよ、大丈夫なだけ!」
どことなく挑戦的に、愉快そうに目を細めてその手を引いた。
そうは言いつつ。
実際は押し付けたりもせずに水辺を歩いて見つけたものを掴んでみせて、驚かれたらリリースをしながら手を振ってさようならするだけであった。
「わあ、宵兄さんは相変わらずロマンチック。
夕凪も誰かに呼ばれてきっと来たんだと思ってるよ。
本当? もう聞かせてくれるの!
いつも兄さん人気者だから今しかチャンスはないかも、聞かせてほしいなあ」
| >>52 添木 【3日目 朝 旅館】 「責任を取って楽にしてやっただろ。そんな痛がる時点でお前の内臓が潰れてるんだ。だがその勢いの良さがある時点でもう十分休んで元気もあるから問題ないな」 実際に初日は割とこの二人は伸び伸びと楽しんでるだけだった気がするので、部下なども置いておいて手伝わせるならこっちだろうと見ていたのは事実だ。 清和と添木が会話をしている間に完全に朝食に行ける用意を済ませている。朝食だけならだらけた服装の人も山程いるだろうが、暑苦しいほどいつも通りだ。二人の会話が終わり、一度清和と別れたであろうタイミングで、 いつも通りに 声を掛けた。 「俺との買い出しの用事があったとは俺も初耳だったな」 (70) 2021/08/13(Fri) 23:44:17 |
| >>51 宵闇【3日目 夜時空】 「職場でも散々聞かれる質問だな。妻がいる想像ができるか?そもそも俺としてはお前達が雪子以外誰一人結婚していない方が驚きだ。ただお前らの人生な訳だし、人生経験や結婚願望について俺がどうこう言うつもりもない」 誰かを泣かせてたりあまりに無責任すぎる事をしてなければその辺は構わないと思っている。田舎出身だ。色々理解はある部類だ。元の彼女の前で言うのでないなら見逃す程度である。最低なのは否定しきらないが。 「30越えると更に来るぞ。遊ぶなら今の内に遊んでおけと言いたいが、今の面子だとお前ら3人が上から実質2番目の世代なのは肝に銘じとけよ。彰良と縁と夕凪が気が利くからお前らがバカやれるんだ」 (72) 2021/08/14(Sat) 0:00:06 |
御山洗
「ナマコですよー、御山兄さん」
川の時よりも幾分かご機嫌そうな夕凪は、彼らにバイバイと告げながら海の生物たちを逃していく。
「そーですね、ここの海はきれいで本当に楽しいな。
都会の方はは生き物なんて全然いないし、夕凪が描く空も灰色ばかり。
ここは、空も海も青くてみんなの表情がわかりやすくて……ずっとここにいたいなって思うぐらいです」
| >>54 御山洗 【夜の河原】 「向き不向きもあるだろ。職業柄必要と言うならそれは必要だがな。元々彰良は昔から口頭での指摘は苦手でも気は回るし観察眼はあった。それだけで十分だ」 言うのが他者より苦手なのは事実だと鬼走も思っている。その上で各々に長所があった。それを無いと悩む人間もいる中で、彼はそれが得意な部類にも感じた。かつての消極的な少年にも、当時似たような事を言った記憶はあるが、幼かった貴方にそれは伝わったか。伝わったとして受け入れられたかは未だわからない。自分だって注意か叱るとき以外は、ただ不器用な会話しかできず聞き手に回るのが大半だ。 「怖い?……怖いか。お前自身を苛むその感情は何なんだ」 (79) 2021/08/14(Sat) 0:49:26 |
| >>@11【海の洞窟】夜長 黙って彼が珍しく長く続ける言葉に耳を傾ける。少しずつ細かい疑念が芽生えていく。むしろ何故気付かなかったのか分からない程に、一つ一つの違和感は、合わさると最早疑念に変わる。 「その問いに答えてやる。代わりに、俺の問いにも答えろよ」 彼の答えを斬り捨て続けて一体何になるのと言うのか。頭を打ったとか記憶障害だと病院にすぐ連れて行くのが当然の対応だ。万が一、目の前の男が「和臣」じゃなかったとして、それなら何なんだ。ひと時の幻でいいじゃないか。 成り済ました人間の存在をそう楽観的で曖昧に済ませられる職業に男は就かなかった。それを後悔こそせずとも、今この瞬間はほんの僅かに残念に思った。違和感はあれども、初日から過ごした「彼」の事は気に入っていたから。 「翔についてはまだしも、瑠夏と久については散々話題に出した事がある。写真すら見せた事がある。雪子から聞いた上で気づかないにしては少々不器用同士の俺達にしても鈍すぎるな」 男は世界の違和感には気付かない。彼は気付きかけている。だから全ての解答と差異を一切の躊躇もせずに告げた。鬼走が知っている「和臣」について明らかな差異を誤魔化されない様に。想い出の名残、望郷の欠片に当てていた灯りを貴方に向けて問いかけた。 鬼走雅也は人の違和感には気付く。 それだけだ。 (81) 2021/08/14(Sat) 1:10:20 |
砂浜を歩いている。首にかけているのはインスタントカメラだ。
涼風
「あ!薫兄!どうしたんですか、
なんか変なとこでも……ああ」
胸元に下げているものへの視線が、
何を疑問に思ったかを教えてくれた。
「これ、晶兄とお揃いのやつで、
田舎の思い出も詰まってるし、折角だから持ってこようと思って。
ああ勿論デジタルカメラの方も、写真も持ってきてるから大丈夫ですよ。こっちは防水じゃないので、波のあるとこには持ってけませんしね」
緩く掲げれば、
『晶』と文字が記されているのが見える。
利便性よりも田舎の思い出が勝っているのは、何か心変わりがあったのか。
御山洗
「お兄さんは、今どこで暮らしているんでしたっけ?
夜凪は大学を卒業してから、家を出るか悩んでいるところで」
自分で言った言葉に違和感を感じて首を傾げました。
不思議と家を出ていこうとする理由が明るい気持ちだと思えなかったから。
だけどなぜ実家から離れようとするのか思い出せなくなってしまっていて、その違和感にも気づくことができませんでした。
「……ここで暮らせたら本当に自由、なのかな?」
同じように集落に視線を向けた、美しい山はだに陽が照らされて村の色彩を引き立たせてくれる。
樫の香りと潮風とが混ざってそんな景色が陽炎のように揺らいで見えた。
宵闇
「…あ……・」
一本一本の糸から走った音が海の香りを夏を導いて奏でられていく。
不思議と涙がこぼれ落ちそうになって思わず拍手を遅らせてしまいました。
「ありがとう、ございます。
素敵な曲でした、宵お兄さんのような……なんていえばいいのでしょうか。
綺麗で、少し寂しくて、切ないのに、また聞きたいと思えるような曲でした。
優しい歌だったわ……?」
小さな声が紡がれて、暫くの間言葉を発せずにいたが、やっと思い出したように笑みを浮かべる。
「―――いい歌だった、お兄さん。
中毒性があるっていうのかな、どんな風に曲を作っているんだろう。
やっぱり誰かを思い浮かべたり、何かを考えているんですよね?」
墓下に見えてるらしい事を今知った。
恥ずかしいのでぽこぽこしときます。
涼風
昨日は確かにデジタルカメラを提げていた。
晶兄が持ってきたのをみて、
やっと自分が持ってきたのを思い出したくらいだ。
覚えてもいないのにどうやって持ってこれたのかは定かではないが、今は関係の無い話だ。
「……そうだね、こっちは補正とか気の利いたものついてないし。ブレるのは味といえばいいんですけどね。
でも小さい頃から使ってるから勝手は分かってるし、それでも、」
それでも。心に変化があったのには間違いなく、
「今日はこれがいいの」
前後の文脈をすっ飛ばして、
そう言って笑みを浮かべる。
恋するような、悪戯でもするような、
もしくはちょっとした獰猛さが滲み出すような。
少なくとも、作り物ではない表情だった。
「ごめんね、何のことかわかんないでしょ。
でも、薫兄を失望させるようなのは撮らないって約束しますよ!これだけが、唯一の取り得ですから」
編笠
「あははっ、変な声。
驚かせてごめん、だけど面白くって。
……そろそろ人も集まってきたし他の遊びでも――」
海の生き物たちはすぐに解放してあげて楽しんでいたが、
一度離れる前に気になったことを一つだけ聞いておいた。
「なんだかそれを聞いてると、
夜凪がすきなのか夕凪が好きなのかわからないね?」
「水着に着替えないの!?」
拝啓、十年前の俺。
十年後も振り回されております。
「相変わらず無茶しますね、瞬兄は。
一番昔から変わってないんじゃないんですか」
背中を追う、という点でいえば、
一番追いつきようがなかったのが彼だ。
向こう見ずでどこまでも走って、どこまでも男らしく格好良くって、もしかしたら自分の対極にいるんじゃないかとすらも思ったことがある。
彼を四角形に収める為に、カメラ扱いの腕を必至こいてあげたのは良い思い出だ。
「早く着替えてくださいね、風邪ひきますよ」
自分も飛び込んでみたら驚かれるかな、
なんて、子供っぽいことも考えてみる。
編笠
「浮かない顔じゃないですか、晶兄」
その姿を見つければ、サンダルを鳴らして歩み寄る。
首には晶という文字の目立つそれが提げられていた。
「今更時間の変化に気づいちゃったりしてます?
ノスタルジアに浸るのもいいけど、
折角の海なのに楽しまなくちゃ勿体ないですよ」
追いつけないなら、別のやり方もある。
後ろからではダメで、横にも並べなくて、
じゃあ、あとできることは『真正面からぶつかる』くらいしかないだろう、と、結論付けたから。
| >>t16 >>@12【海の洞窟】夜長 『 臣』 聞き取れなかった名前。銃口のように向けられた懐中電灯の灯り。一つ一つしらみ潰しのように、解答を投げた。回答はずれてはいる。「和臣」なら知らない訳がないことしかない。それにしては似過ぎているし、看破をされて困った素振りも何も見えない。見えるのはどうしてそんな顔をするという困惑ばかりだ。 「どうなってやがる?お前は和臣じゃないなら、アイツに双子の弟などの血縁者なんて聞いたことも──」 血、縁者? 彼が何度も言っていた言葉 『母さんは』 和臣が雪子の事で拗ねる?アイツが? ただ和臣が田舎慣れしてないと思っていた。 でも俺と一歳差の男が、釣りであんな挙動をするだろうか。変な生物を踏むくらいの事は雪子と付き合っていたなら散々あったはずだ。「和臣」なら。 そんな馬鹿なことがあるはずがない。どう見ても外見は自分の一個下の和臣と変わらない。ただ、一つ浮かんだある仮定を照らし合わせると彼の言動は何一つ、嘘はついていない。 「お前に。……お前にしか、渡してない物があるはずだ。何か、言えるか」 それを知っているのは、ひとりしかいない。 (94) 2021/08/14(Sat) 3:43:32 |
編笠
ふわりと身体が浮いて、
晶兄に抱きすくめられて、
何かを思う前に、辺り一面が水の中。
「っぷはッ───!しょっぱ!
あっはは、落とされたくないからって、
自分が落ちることないでしょ!ねえー!」
頭を左右に振って、
動物がやるみたく露を払った。
勿論近くにいる相手への迷惑は気にしない!
「あー、たのしい。
服のなかまで全身びしょびしょだあ」
「瞬兄〜〜〜!!!!俺もう一回飛び込む!!!」だ。
青嵐
「うん、勿論!
どうせ洗えばいいですしね!」
今度はもう一人の先輩の手を取って、
もう一度防波堤の端へと連れられて行く。
一ノ瀬卯波いっきま〜すだの、
声量の足りない掛け声を発してみたりするだろう。
結局、あの時だって変わらない。昔の自分なら、いいよできないし、とでも断っていただろう。自分が一歩後ろに退いていただけだ。
今日は、その一歩を、十年越しに踏めた。
ノスタルジアも、たまにはいいことをする。
| >>90 >>a33 >>91 添木 【3日目 朝 旅館】 「……痕つけてないだろうな」 パチンと首筋を押さえる。然程怒る様子もない。言われた事も不本意ながら事実ではある。大袈裟に溜息をついた。 「お前は散々変わったって言われてたが、やっぱり何一つ変わってない。俺が交番赴任した時も、お前が警視庁から飛ばされて偶然再開した時も。寂しがり屋でグレてた男はどこのどいつだ。が。今のだけは褒めてやる」 (101) 2021/08/14(Sat) 4:26:35 |
心からの笑みが、
四角形の枠のなかに映し出された。
御山洗
「……夕凪たちは、家族でまだ住んでて。
夜凪は」
近くに住んでいたんだという感想を埋め尽くすほど、余計な思考がめぐる。
不安を励ましてくれているのがわかるのに、言葉に連想でつながってしまった過去の言葉が頭に浮かんで止まらなくなってしまった。
「夜凪が、夕凪から離れたいって」
それを意味するのは自立だったり就職だったり。
だが双子にとっては? 仲違いとも取れるような明確な拒絶に聞こえるのかもしれない。
「どこでもいいのかな。私も、どこでもいられると思っていたの。
でもね、私……今好きだと思える場所が、わからないのよ。
家族も大好きで、もちろん夜凪も大好き。絵を描けるならどこでも良かったのに。
あの子に離れるって言われて、わからなくなったわ。ここで一人で帰らないのも悪くないのかなって思うくらいに」
| >>98 御山洗 【夜の河原】 「それを素直に受け止められれば苦労しない、と言う顔だな。……部下にもよく言われる。俺はその辺りの心がないらしい。だから俺は俺に出来る事として信じられる日まで言い続けるだけだ」 報われなくても、伝わらなくても自己満足だから構わない。勿論それで御山洗が楽になるに越した事はないが、こういうのは理屈じゃないと言うのもわかる。昔から言い続けて伝わらないなら止めると言う発想にはならない男だった。 「……また心がないと言われるかもしれないから、一つ。ゆかりと言うものはそんな簡単に切れるものとは思わない。例えば俺と10年会わなくなったとしてそれで村の頃は消えるって事はない、と、俺は思う。それは村も同じと思っていたが……違うように感じるのか。二つ、問いただしたの俺だが向き合うのが怖いなら別に怖がったままでいいんじゃないのか」 珍しく最初に少し発言の時間が空いた。時折、いつも淡々と滑らかに述べられる言葉が度々引っ掛かりを覚える。考え込むと毎回出だしが遅れたり噛むのは幼少期からの癖だ。 (104) 2021/08/14(Sat) 5:09:49 |
| >>t17 >>@13 【海の洞窟】夜長 聞き間違えたのじゃないかと思う位にあっさりとその単語が出た物だから、思考が停止して収められた「それ」を確認する為に触れる手がなかなか出なかった。即答されるどころか、現物を持っている?その時点でもう疑おうとしても、どんどん証拠を出されてこちらが追いつめられる気分だ。そんな事は本来あり得ない筈なのに。 「何でそんな姿になってでも律儀に持って来てるんだ」 もう、笑うしか無い。親愛なる親友一家を壊した存在なら許してはと考えたのに、仮定にそぐう物をひたすら叩きつけられれば、こんな夢幻と、言い捨てられない。 「いくら何でも父親に似すぎだろ、──晴臣」 親愛なる友人夫妻の大事な大事な、「齢7歳」の息子の名を、見せられた懐中時計の傷を確認して間違いなく本来は元は自分の物と確認できてしまったから、形容しがたい混じり合った感情を全て込めながら、眉尻を下げながらその「 臣」の名を呼んだ。 (105) 2021/08/14(Sat) 5:20:25 |
青嵐
「いやいや、流石に水着に着替えますよ。
でもこーいう何にも気にしないで遊ぶの、すっごい楽しいね。今までも、もっとやればよかったかもです!」
髪を結び直し、上着を絞って、
笑いを零しながら振り向いて言う。
「晶兄も誘わないとね。
ちょっとつまらなさそうな顔してたから、
目いっぱい遊んで忘れさせてあげないといけません」
青嵐
「だって川も海もあるんだよ〜?
そりゃ用意してくるに決まってるじゃないですか。
田舎くらいでしか好き勝手出来ないよー。向こうだと気を遣わないとあんまりいい目で見られないし……いつもみんなと暮らせてたらよかったんですがね」
水を含んで重くなり、張り付く服が、
気色悪くも、楽しさの証でもあり。
大人ぶることから羽根を伸ばせるのが、何よりも心地よかった。
「そーですよ、行こ行こ。
晶兄こそちょっと大人になって、一歩引いちゃう感じになったんでしょうかね」
涼風
「───そう、だな。田舎の外にいる間に忘れちゃってたんだけれど。俺は何よりも、自分が撮りたいと思ったものを、最高の角度、時間で切り取って、それをみんなに観てもらうのが好きだから」
散々遊んで、水に艶めく髪を手櫛で纏めながら。
片手間に傍に戻ってきて、話の続きをする。
「昔からずうっと俺は、人の思い出の一部になろうとしてたけど、違った。
俺が、みんなを、どこにでもある綺麗なものを、何度も、何度も何度も思い出にする。写真と変わらない。田舎に帰って、それに気づけたんです」
その背中を押してくれたのは、薫兄も含めた、
田舎の人たちだっていうことが、何より嬉しい。
「みんなを、俺の記憶の、その枠の中に。
昨日は写真がみんなの下へ届いたらいい、って言ったけど、俺は……自分の足で皆を撮りに行きたい。
将来は、そんな仕事を選ぼうかなって思いました」
田舎に永遠に残りたいと思う。それができたら素敵だと思う。
それが叶わないのだとしても。出来ることがある、とも思った。
御山洗
「……私がくっつきすぎるせいで、あの子が鬱陶しがっていたのね。
ちゃんと話したから、当てずっぽうじゃないわ。
もう大人だしそれぞれ自立をしないといけないのは確かじゃないですか。
だからね、仕方ないのよ」
漠然とした不安は田舎の思い出で薄れはするが埋めるものにはならなくて、ただ、今だけは何も怖くないような満たされた気持ちになっている。
また一瞬で、恐ろしいほどに消えてしまう。
思い出さなくてはいけないことが、話さなければいけないことがあるのに。
「弱音を吐いてごめんね。
しんどかったけど、今はなんだか、清々しい。
兄さんのおかげかも?」
まるで別人になったのように、迷子になっていた姉の様子は見えなくなり、凪いだ心にあなたのことばがふり続けた。
「……なかなおり、できるようにする」
言い聞かせるように緩く手のひらを握りしめて海の静かな波を見つめていた。
なんだか、あなたのまえでは偽りの姿を見せてばかりのような気がした。
青嵐
「今更気付いた?瞬兄のそういう、
細かいとこ気にしなかったり、
気楽に構えてるところは美徳だけど、
たま〜に苦言言われてるの、俺は知ってますから」
時任の姉さんがちょっとね〜と、
聞きようによっては思わせぶりなことを言う。
それでも見習うとこは見習うべきではあるが。
「あはは、そうだね。こんなに揃って会えるんだし、
会えないことはない。でもちょっと寂しいけど。
色んなとこ飛び回って、みんなに会いに行くって目標を立てたから本当に『会おうと思って会いに行く』ようにしますよ、俺は!」
無遠慮な手に頭を掻き撫でられ、
あ!折角髪結び直したのに!と文句ひとつ。
それでも心地よさそうに目を細めて。
「え、かけっこってそれは俺に勝ち目ないけど!
行くぞて、も〜〜、待ってってば〜〜〜」
そんなこんなでもう一人の先輩の下へ改めて向かうのだろう。
卯波だけの四角形を作り続ける。一つに固執するあなたには負けない。
受け取ったカメラを一旦手荷物に戻し、
水着へ着替えることに。人も寄ることもないだろうと、
近くの物陰で思い切って衣服に手をかける。
上着をしっかり、細腕で絞り、
肌に纏わりついて離れないシャツを、両手をクロスさせて無理矢理引っぺがした──ところで。
ふと、自分の両胸に手を当てる。
筋肉の僅かな硬さ。なだらかな、
未だ成長を感じさせるような感触。
まだ解消されてない違和感が一つだけある。
何かしっくりこないような。現実味の薄いような。
カメラによって切りとられた顔を、
勇気を出して、なんとか、見つめようとする。
(──ああ)
自分が、今まで自分のことを見つめられなかったから。
『今の自分』の外見を、他人に委ねてしまっているんだ。
少年が、段々と元の形へ戻っていく──。
ゆったりとしたラッシュガードを着た。そしてもう一度「海だ〜〜〜!!!!」
反射的に腕をあげると、ナマコをキャ〜〜〜ッチ!!!
「油断も隙もないなあホント!」
ナマコさんが可哀想でしょ!(委員長)
「あ、茜ちゃん」
そして、透けてる様子に気付いたようで、
小走りで荷物を漁り、大き目のタオルを取り出してみせつつ、自分の胸元をとんとんと叩く。
「さっきも水かけまわってたでしょ、
一旦休憩にしようよ。両手のナマコは引き受けるから」
ほんのわずかに頬を染め顔を背けて、
気付いてくれ〜と気遣いをしてみて。
「こ〜らからかうんじゃありません」
だから見ないようにしてたんでしょ〜なんて言う。
ああ、そういう方法もあるんだ、とちょっとだけ感心したりして。
「茜ちゃんは着替えちゃんと……あるよね、茜ちゃんのことだもの。いや、安心した。
十年越しに女らしさを磨いたところを目の当たりにするとは思わなかったよ〜」
御山洗
「子供、のままの関係だったら?」
どういう意味だろう、と頭で思考を巡らせている間に水が飛びかけられる。
ぱちくりと目を瞬かせて見つめれば、覗くのは無防備な脇腹。いたずら心が芽生えてその腹に手を伸ばした。
「御山兄さん余所見してると危ないよ」
くすぐってみたい衝動が起きてしまったから。
遊んでみたくなったから。
そんな無邪気な理由でいつまでもここに要られたらどれほどいいか。
しばらくしてから皆の輪に戻ろうと声をかけた。
その時一体自分は誰を見ていて。
あなたは誰を見ていたのだろう。
「お兄さんも、溜まったものがあるなら海にでもなんでも吐き出してしまってください。
田舎に忘れ物をするのは、夕凪たちだ絵で十分です。
あと、風邪は引かないように!」
そう、笑って。
一歩海に向かって飛び込む構えを見せた。
卯波
「ああ〜次々女の子らしい単語。
メイク、……そっか、その年ごろくらいになるとするんだね」
何か思うことがあるのかうんうんと頷きながら。
大半は後輩がこんなに大人になって……という感情からくるものなのだろうが。
「俺は写真撮るひとだから、撮られる側の努力とかにも凄い興味があるんだよね。時間があったらちょっとだけでも教えてもらっちゃおうかな……俺がするわけじゃないんだけど」
宵闇に笑顔を返したとき
思い出したのは
双子でみんなのことを思い出していた数年前。
『お兄ちゃんは忙しいんだから僕たちに構ってばかりいられないさ。
だけどとっても大事にしてくれてる、夕凪もわかっているだろ』
わかっているわ。優しくて真面目な人だもの。
『涼風? 何してんだろうなぁ、まだ僕たちみたいに文章を書いてればいいけど。
それか新しい夢見つけていたりしているかもな』
それもいいと思う、もう何年も経ったんだから。
『編笠元気かなぁ〜、あいつと話すの大好きなんだ、なんか面白い仕事についたりしないかな。みんなが思いつかないような』
どんなことを好きになったのかな、とても気になるね。
『青嵐はさぁ、落ち着きが出たのか気になるよな。夕凪もあの時のこと……え、もういいって?僕が変わりに聞いてやるよ』
何をしているのか、二人で想像して。
会える日を夢見て、一緒に笑った。
『モモチは背ぇ伸びたのかな、まだまだ成長期だろうけど流石に夕凪の服はもう嫌がる歳だろ』
まだまだ可愛いわよきっと。
私の服も入るんじゃないかな。
いつまでもいつまでも夢を見るように話は続いていた。
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