22:00:25

人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


フィオレ徒花 テオドロに投票した。
ニコロ徒花 テオドロに投票した。
アリーチェ徒花 テオドロに投票した。
テオドロ徒花 テオドロに投票した。
ルチアーノ徒花 テオドロに投票した。
リヴィオ徒花 テオドロに投票した。
エルヴィーノ徒花 テオドロに投票した。
ネロ徒花 テオドロに投票した。
カンターミネ徒花 テオドロに投票した。
ダニエラ徒花 テオドロに投票した。
ヴィンセンツィオ徒花 テオドロに投票した。
ダヴィード徒花 テオドロに投票した。
ペネロペ徒花 テオドロに投票した。
ロメオ徒花 テオドロに投票した。

テオドロは村人の手により処刑された。

カンターミネ! 今日がお前の命日だ!

ニコロ! いざや恩讐の碧落に絶えよ!

月が姿を変え、新たな一日が始まった。村人は集まり、互いの姿を確認する。
ニコロが無残な姿で発見された。
カンターミネが無残な姿で発見された。
ヴィンセンツィオが無残な姿で発見された。

幽界の歪み
突如として空間が歪み、この世とあの世の境界が曖昧になってしまった! 今日に限り、生者も死者の声や姿をハッキリと捉える事が出来るだろう。

現在の生存者は、フィオレ、アリーチェ、ルチアーノ、リヴィオ、エルヴィーノ、ネロ、ダニエラ、ダヴィード、ペネロペ、ロメオの10名



天のお告げ(村建て人)

本日の処刑投票先:
ネロ
(#0) 2023/09/20(Wed) 21:05:14


道は外れたはずなのに結局同じところに辿り着くのかと、苦笑いをした。

ごめんな、と笑った

ルチアーノは、どら猫は、今日も一匹だ。
(a0) 2023/09/20(Wed) 21:17:44

あるモーテルの入口。
冷えた風が肌を撫でる。女は立ち尽くしていた。


「una regina fulgida e bella al pari d'una fata
 siede accanto alla culla tua dorata...」



口ずさむのは『子守歌Ninna Nanna』。
歌うその声が微かに震えた。
…本当はそんな資格なんてない。自分が1番、分かっている。

誰かを檻に入れただけ、大事な人が檻へ行く。
なんて分かりやすい構造だろう。
世界は案外、そうやって帳尻合わせて回っているのかもしれなかった。

あなたよりも遅く寝たから、あなたより目覚めるのも遅かった。

その部屋にはもう姿はなくて、きっと仕事に向かったのだろうと思った。仕事をフけるような人間でないと知っていたから。
冷めた残り物を口に運んでから、袋の中に入れたままのネックレスを握りしめた。
あなたはこれがお揃いのものだなんて知らなかっただろうけど。

「……もし、あなたが捕まったとしても」
「私、泣かないわ」

「それが今生の別れになるわけじゃないんだもの」


「……そう、よね」


嫌な予感はずっと、胸の奥で燻っていた。

ふと気付くと、左手の小指のエナメルに傷が入っている。
女はそれを見つめた後、愛おしそうに唇を寄せる。

そうしてしばし静寂の間そのモーテルを見つめる。
くるりと踵を返した。約束を胸に。

…あたしは今も、ひとりじゃない。

フィオレは、報告を聞いて…目元を拭った。それでも、絶望はしなかった。
(a1) 2023/09/20(Wed) 21:39:00

ペネロペは、知っている。
(a2) 2023/09/20(Wed) 21:46:34

ふっと息を吐くように笑い声が零れたのは、
多分無意識だった。

「……嫌な予感ってやつは、当たるんだ」

最早懐の端末は不必要なもので。
唯一残るのが自分だということが、皮肉にも感じた。
さて、どうしたものか。

「………いや、何を言っても仕方がないな」

忘れ物として残されたものを暫し思い浮かべ、
しかし頼るのは明日が無事に訪れたらでいいかと
足を止めずに歩き続ける。

「──さて、仕事をしようか」

リヴィオは、今日も変わらずいつも通りだ。
(a3) 2023/09/20(Wed) 21:47:32

【人】 無敵の リヴィオ

増えた仕事を片付けていく。
人の気配が消えていく街の見回りをする。
変わらない、すべきことを行うだけだ。

「…今日も医者の顔を見ることは難しそうだ」

黒手袋を嵌めた右手を擦り、
今日もまた友人の顔を思い浮かべる。

そろそろ浮かぶ顔が呆れに変わってきた。
このままでは小言も浮かんできそうだ。
振り払うように左手を動かし、再び歩き出す。

街と署内の行き来を繰り返す、
忙しない男の姿がそこにあった。

#街中 #警察署
(0) 2023/09/20(Wed) 22:29:11
――新しいアジト。

そこで男からの留守電を聞いた女は、静かに息を吐き出した。
彼の情報が正しいのならばこれで終わり。
大切なものをどれだけ取りこぼしても、…彼らが大切にしていたものはきっと守ることができる。

それでいて、あのまどろみの中のような日々に戻ることはもうできない。
そのことを嘆く資格もないことなんて分かっているから、ただそっと目を閉じた。

…まあ、仕方がない。
だって最初から。あたしは。

裏切り者
だったのだし。


天のお告げ(村建て人)

【ロケーションタグ】

墓下ロケーション、にて交流が可能です 
タグにて発言があった人は、某時刻に同じ牢にいたことになります。

モブもいるので、何かを話していても紛れはするかも。
それでも聞かれちゃいけない話は、やっぱり内緒話が一番ですね。
(#1) 2023/09/20(Wed) 22:35:42


フィオレは、買い出しから帰ってきたのち、新たな報告を聞いた。
(a4) 2023/09/21(Thu) 0:52:42

「───何だって?」

寝耳に水というには、あまりにも。
自分の思想、その根底を掘り返すような話だった。

己はよく知っているはずだ。それが何を意味するのか。

「……そうか。じゃあ、俺とアリーを攫ったのも……」

20年もの時間。彼の傘下であってもおかしくはない。
ショックは意外と言うべきほど少なかった。
元よりそのつもりだったから。肩書に踊らされず、
この目で何が正しいのか見極めてみせるのだと。

「とんだ古狸だな。
 でも、彼のおかげで今の俺がいるのには違いない」

何なら辞職願を叩きつけたところだったから、
今後の事を考える為には丁度良くすらあった。

ひとつひとつ。縛り付けていたものから決別する。

#収容所

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

「………………は?」

信じられないものを見た。
証拠の数々すら、すぐには飲み込めない内容だ。

警部が、あの、養育院からも……?

誰か嘘だと言って欲しい。だれか。

#警察署
(1) 2023/09/21(Thu) 0:54:59
その日の朝。いくらかの人員と共に並べ連ねられた中に、
ほかのどこか作り物めいた捏造を匂わせるでっちあげとは明らかに異なる罪人の名があった。
その男は警察組織に属していながら、墨色の罪に身を浸していたのだという。

かつて貴方がたの上に立っていた、或いは目の上の瘤であっただろう男は、
或いは犯罪組織に属する人間として敵であった、そして話の通じる窓口であった男は、
その裏で全てを欺いて、幼い子どもたちのの切れっ端を売りさばいていたのだという。
ひとつは、路地裏から。ひとつは、幼い子供の遊び場から。
ひとつは、ノッテファミリーの息の掛かった、彼らの敷地であるはずの養育院から。

手引して手足のように使っていたのは街のチンピラや、ノッテのシマを荒らす輩、
島外から参入してきた小規模な国外犯罪グループなどだった。
警察からしてもノッテからしても、力をつけられてはまずい輩だ。
其々に対する反目であり、裏切りであると、挙げられた証拠の全てが物語っていた。
商品はどこからどこへ渡っていたか。この島から、島の外へ。特に、このニ年間に至っては。
"港"の主を欺いて、その影と背に隠れて利権を吸い上げていたのだと、調査が上がる。
長らく窓口として親しくしていた筈の、今は留置所の中の彼をだ。

ほそぼそと続いていた罪はこのニ年で拍車が掛かる。
養育院に寂しい風が通り抜けたように思うほどに、子供の数は徐々に減っていた。
表向きには、もしくはノッテファミリー内の監督者への報告では、
彼らの引き取り手として挙手するものが島外から多くなっていた、ということになっていた。
それが意味する真の意味は、もはや言わずもがなであろう。

幾人の、幾十人の子どもたちが、その未来を奪われてきたのだろう。
その醜聞は瞬く間に人の口にのぼり、午前の内に署内を駆け巡った。
勢いは激しく、疾く。ヴィトーと呼ばれた男の信頼が失墜し、嘲弄に変わるのは早かった。
そのうちに誰もが口にする。今までの、男へ対する不平不満。嫉妬。
さもそれが元よりの評価であったかのように塗り替えられる。
心変わりが早い、否。誰もそれが自分より上に立っていた人間だと認めたくないのだ。

そしてそのうちに、歳を重ねた警察官らからある噂が降りて広がっていった。
ヴィンセンツィオ・ベルティ・デ・マリアという男が警察になる前、
彼は一体どこから来たのだろうかということだ。

一人の年老いた警官が言った。
警察などになる前は、あの男はスラムの淫売だったと。
痩せた体に見窄らしい衣服をまとって春を鬻いでいたのを自分は知っていると。
一人が口にすれば、既に真っ赤に焼けた土壌に油を注ぐように嘲弄の炎は大きくなった。
やれ、前々からそうなのじゃないかと疑っていたと。
やれ、今の地位にあるのも体で取り入って寝室で成り上がった功績なのだと。
やれ、これまでの活躍と聞いていたのは全てでっちあげなのではないかと。

一度足元が崩れたからには、もう留まることはない。
まともな者が悪意の波を止めるには、人が人を下に見た時の高揚を鎮める術もなく。
その噂はひょっとしたら、留置所の前でももっともらしく囁かれたかも知れない。
それくらい、衝撃的だったのだ。それくらい、認められないものだったのだ。
噂話をするのは不真面目なものばかりではない。真面目なものもそれに従った。
まるで自分が今まで従ってきたものこそが、嘘の姿であったと目を塞ぐように。

笑いものに石を投げるのは、自らを守るためなのだ。
人はだれもが、強い生き物であるわけではなかった。

歌う。君は未だにマフィアとつながりがあるんじゃあないか?

そこでようやく、テディベアを投げ捨てた。通信は切断された。

安心した。俺で良かった。

フィオレは、ペネロペの言葉に、ただ小さく頷いた。
(a5) 2023/09/21(Thu) 2:18:52

ペネロペは、犬の方が好きだ。
(a6) 2023/09/21(Thu) 2:45:03

ペネロペは、テディベアを持って何処かへ出掛けた。《口からどんどん情報が出て来るねえ》
(a7) 2023/09/21(Thu) 3:09:09

夜。鍵を締める主の姿もないその部屋に戻って。
ローテーブルに買ってきた夕飯を置き、浮かない顔のままソファに寝転がろうとしたところで。
ベランダの花が目に入った。

「……そういえば、テオがいないから…お水、あげられてないのよね」

とりあえず今はジョウロで土を湿らせたらいいだろうか。詳しい園芸の知識が得られたらいいのだけど。
備え付けられているジョウロに水を汲んで、土に軽く水をやった。根腐れという概念くらいなら知っているから 上げすぎないようにして。

「帰ってきた時、枯れてたら悲しいもの」
「…お世話、してあげないとね」

手放さない。

【置】 口に金貨を ルチアーノ

その男は常に疑うことばかりしてきた。
誰かを信じることが怖かった、次は裏切られる事の無いように
いつも周りを見ていなければいけないと思うようになった。

しかし同じ程信じる事ばかりしてきた。
いつまでも疑っていたら怖いからだ、蹲って出ていかなければ暗い部屋のまま。
どうか置いていかないで欲しい、一人にしないで欲しかった。

それでも子供でもない自分に都合よく手なんて伸ばされない。
ほんの少ししかないプライドと意地が見栄を張らせて嘘をついてしまう。

だから、一人でも立って歩かなければいけなかった。

知りに行かねばならない、人などいくら疑ってもキリがない。
安寧の場所を求め彷徨うだけのどら猫が生まれた瞬間だ。
その猫は何でも奪っていくぞ、盗られたくないなら財布の紐は緩めておきな。

一体いつからこうなってしまったのか。
はっきりしたのは五年前、否、十年前からその予兆はあったのだ。




寂しくなかったのに。それまで感じたことの無い寂しさを感じる様になった。
憂いもなかったのに。それまで感じたことの無い悦びを教えこまされていた。
満たされていたのに。それまで感じたことの無い飢えも渇きも願いも抱えて。

何もかも変わった日から、自分の居場所は何処だった?
(L0) 2023/09/21(Thu) 6:12:16
公開: 2023/09/21(Thu) 6:15:00
ゆっくりと顔を上げれば。

微笑んで、告げた。

あなたの『  』になりたかった。

ロメオは、矛盾を抱えている。
(a8) 2023/09/21(Thu) 11:03:25

ロメオは、『人並み』にいつも背を睨まれている。
(a9) 2023/09/21(Thu) 11:04:42

月桂樹の葉を贈った

口に指をに突っ込んだ。

セクシャルハラスメントをした。

ペネロペは、テディベアの腹を押した。
(a10) 2023/09/21(Thu) 16:59:23

貴方が新しいアジトに潜ってどれぐらいの時間が経っただろうか。
いつまでも閉じこもってはいなかっただろう、
飲み物か何かの用事で外に出ればその足元に一匹の猫がまとわりついた。

その“灰色”の猫は『ぐるる』と喉を鳴らして何故か懐いて離れない。
その毛並みはきれいに整えられていたが、何処からか逃げ出してきたのか新しめの葉っぱや泥がついていた。

ここ暫くの女といえば。
警察署とホテルの往復。
惰性のように続ける食べ歩きのルーチン。
奇数日はサンドイッチ。偶数日はベーカリー。
まるで何も変わりなかったかのように、…その頻度こそ多少落ちるが勤務後の食べ歩きも続けるほどだった。
ダニエラ・エーコという巡査はそうあるものだから。


「……。」

さて、そして、そんな帰り道だろうか。
何故か猫に懐かれた女は足を止めている。
…いつかパン屋のお兄さんが困り果てていたのを思い出す。
確かに間違えて蹴飛ばしてしまいそうだ。動けない。

ならば抱き上げればいいのだと、割と真っ当な結論に至った女はしゃがみ込む。
そこでもう一度動けなくなった。猫とはどのように抱くものだろう。

「…………。」

諦めて、ゆっくりその手を伸ばしてみる。
右手だ。腕には時計がついている。
触れるというにはおっかなびっくりなしぐさでその身体についた葉や土を払おうとする。

女はこの歳にして猫に触れたことがなかった。

協力者であった男が傍にいたならば。
猫に触ったことない人間は多いだとか誰しも初めてはあるからとフォローしていたのだが。
生憎あれから連絡はないし、アジトを突き止める音沙汰もない。

その猫は誰かに飼われていたのだろう、
葉っぱを払われた猫はペットショップにいる彼らと遜色ない清潔さがあった。『ぬぁん……』
そしてやけに懐いてくる。強い衝撃を与えたり尻尾を握らなければ、あと落とさなければ抱きかかえることも容易である。
……逃げはしないだけで挙動不審がすぎれば抱えられてくれないかもしれないが。

その猫と暫し貴方が格闘していれば細い革の首輪がついているのにきづくだろうか。
タグこそついてないが、その革には文字が刻まれていて。
少し離れた通りの名前と、一軒のケーキ屋の名前が読み取れるかもしれない。

リヴィオは、リヴィオ・アリオストは幸福な人間だ。
(a11) 2023/09/21(Thu) 18:30:04

リヴィオは、だから、いつだって笑顔なんだ。
(a12) 2023/09/21(Thu) 18:30:19

葉っぱを払い、ついでにふうわりその背を撫でる。
嫌がる様子を見せない猫の様子を見て、戯れるように指先が額や喉元へと伸びていく。

少し触れてみると、あっという間だった。
元から遠目に眺める猫のことは好きだったのもあるかもしれない。
そうして首筋にその指先が伸びたとき、柔らかな毛に埋もれた首輪に気付いた。
…このケーキ屋の猫だろうか。

迷うような素振りのあと、遂に意を決した。
そうっと猫の身体の下に手を差し込むと、背を撫でたよりずっと柔らかな手触りと体温が伝わってくる。
ゆっくり抱き上げたところでどう落ち着けたらいいのか分からなくて暫くぶらん。
…下手くそな抱き方だったけど、それからどうにかこうにか形にはした。

首輪の住所に向かう。
革靴がいつもより少し控えめに、こつこつ。

勤務帰り、女は必ず自宅のアパルトメントに立ち寄る。
根城としているアジトはここより少し遠く、前あったアジトより更に遠くなったが、それでもここに立寄ることだけは欠かさなかった。

部屋にはかなりの数のダンボールが積まれている。
地震でも起きれば雪崩が起きそうなもの。イタリアは地震の多い土地だ。
そのダンボールの、真ん中で。

「…はあ。」

呆れだか溜め息だか、どちらとも取れない声を上げる。
……多分両方、しっかり含有していそうだ。
そうして疲れた眉間を揉みほぐし、ぱたんと端末を片付けた。

「…まあ」
「いいですけどお。」

そう呟く口許が微かに緩む。
べちゃりとデスクに頬を預けると、それも歪み冷たさだけが頬に移った。
…そうやって90度回転した視界に何かが映る。
ダンボールの山の中に少しも紛れられていない、ボストンバッグにスーツケースだ。

ネロは、牢を尋ねた。
(a13) 2023/09/21(Thu) 21:22:10

……。
身体を起こす。重いんだ。これは。
結局、中身は何なんだろう。

「……。」

また眉間に皺が寄るのに気付く。
持ち帰る間の、墨を落としたような心地がにわかに思い出された。
あれから、別に状況は何ひとつとしてよくなってはいない。
寧ろ悪くなっているはずだ。
…現実だけをただ見つめれば、もうこの手の中には何も残っていやしない。

ならば、その罰が下るように。

手を振る。手錠の鎖が音を立てた。

「………。」

考えないようにしていたことが、すうと脳裏を横切っていく。
バッグの隣に膝を抱えて、ミントブルーの瞳を伏せた。

日差しが傾き、窓から差し込む赤い光に照らされる。
小波の音が聞こえる気がした。
瞼が少しずつ、重くなる。
そういえばここ数日は、あんまりしっかり眠れていない。
波の音に紛れ、歌声も聞こえるような気がしてきた。
髪を撫でる手が、ひとつ、ふたつ。…みっつ。

そして。





……寝息が、微かに聞こえている。
膝を抱えていた手がゆっくり、ことり、と床に落ちた。

平時ならちょっぴり遅く開くはずだった本日。朝市が中止になった日の#バー:アマラント
は通常通りの時間に開いた。

客の入りはここ数日で随分と減ってしまったものだけど、
それでも今日も、いつも通りに。

──もしかのもしか、何かがなければ客が一人も来ない明日だって。

片手でリンゴジュースを作った。17くらいコップに入った。

…力を一気に込め過ぎて飛び散った果肉を回収し、今度はゆっくり絞った。

【人】 口に金貨を ルチアーノ

昼間の人通りが多い目立つ煉瓦道。
その一角に赤のオーニングテントが目立つケーキ屋がある。
一番人気はティラミス、他にもタルトにパイにシュークリーム甘い香りが漂う人気店だ。

「Buongiorno、今日は予約を頼めるかあ」

メモに注文するケーキに連絡先に名前を記せば金と一緒に店員に渡す。
笑顔で受け取った女性店員は、サービスですと包みに入ったクッキーを男に差し出した。

「おっと、……どうもありがとう。
 丁度お腹が空いていたんで助かった」

言葉にして気づく、……昨日の夜吐いてから何も食べていない。
流石に食事をとるべきかとあたりを見渡して近くの裏路地へと向かって歩いてく。
ズキリと痛んだ頭がまた何か嫌な夢を見せてきたが、いつかの美少女のデスメタルを思い出してその幻影は振り払った。
(2) 2023/09/22(Fri) 11:24:15
昼間の人通りが多い目立つ煉瓦道。
その一角に赤のオーニングテントが目立つケーキ屋がある。
おススメが乗っている看板にはティラミスの絵、
他にも棚にはタルトにパイにシュークリームが並ぶ甘い香りが漂う人気店だ。

カウンターの中の女性店員がやってきたあなたと目があった。
灰色の猫が目に入ったのか、驚いた顔をしてエプロンをつけたまま路地の方へと駆けてくる。

『あ、あの! 
もしかして……爪が綺麗なお姉さんですか?


その猫、うちの猫なんです!と明るい声を出して両手を広げる彼女は、
わざとらしい仕草で嬉しそうに貴方から猫を受け取ろうとするだろう。

リンゴジュースを客に出した後、カウンターを掃除することになったのだった。#バー:アマラント

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

>>2 ルチアーノ

「Ciao ルチア。
 今日は元気そうで何よりだ」

あなたがケーキ屋から出てきて路地裏に向かう所。
あなたが気になって探していたのか、それとも偶然か。
とりあえず姿を見かけて、店内から出てくるのを待って追いかけた。
あなたの行動範囲はそれなりに把握している人間の動きであることは間違いない。

本当に元気そうかと言われると微妙なところだが、少なくとも昨日会った時に比べたら随分とマシだろう。
(3) 2023/09/22(Fri) 12:27:12

【人】 口に金貨を ルチアーノ

>>3 エルヴィーノ

「げっ、Ciao……エル。
 そうだな、散歩できるぐらいには調子はいい」

話しかけられると思っていなかったのか路地を歩いていた男は、
明らかに困ったような反応をして古くからの知人に返事をした。

「……い、今は見逃してくれるかあ?
 散財はしてないし、猫も漁ってない。
 後で連絡するから。ほれ、サービスで貰ったクッキーでも分けてやろう」

子供に餌を与えるような言い方で貴方にそれを差し出した。
(4) 2023/09/22(Fri) 13:06:37

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

>>4 ルチアーノ

「げっ、とは失礼だね。
 調子がよくなったなら何よりだけど」

あなたの困った様子を見て、少しだけ眉を下げて。
迷惑だったならごめん、と小さく謝る。

「別にキミを捕まえに来たわけじゃないよ。
 ……ただ、あの人と話はできたのかなって、聞こうと思っただけだ」

クッキーについてはやんわりと断った。
それをもらうために声をかけたわけじゃないからだ。
(5) 2023/09/22(Fri) 13:28:02

【人】 口に金貨を ルチアーノ

>>5 エルヴィーノ

「教えてやりたいのはやまやまだが、
 今はその話をしたい気分ではないなあ? ……諸々整理ができてないんでね」

回答はノーコメントだった。
謝罪にも気にしないでいいといいながら携帯を見る仕草は、相変わらず何かに追われているように忙しない雰囲気である。

「……それと聞き逃しかけたが、この俺を捕まえるとか言うのはどの口だ?
 まるで俺が悪いやつみたいじゃないか。
 こんな色男に手錠をかける真似なんてしてみろ、
 冤罪だと喚いて金をふんだくるからな」


「一体この俺に、なんの罪があって捕まえられると思っている」

そう笑って、貴方の横を通り抜けようとした。
(6) 2023/09/22(Fri) 14:41:33

【人】 花浅葱 エルヴィーノ

>>6 ルチアーノ

「警察と見れば逃げ出そうとするやつが一定数いるからね。
 ……今のキミのように?」

望む回答はもらえそうにないと見れば肩をすくめて。
通り抜けようとするあなたを振り返る。
とはいえ、去っていくのを止める風ではない。

「気をつけて」
「今は罪がなくとも逮捕してしまえる世の中だからね」

その背に言葉を残して、あなたが見えなくなるまで見送った。
(7) 2023/09/22(Fri) 15:11:11
煉瓦道の一角。人気のケーキ屋。この店のことは知っている。
だけど、ダニエラ・エーコのルーチンには存在しない店だった。
だから、立ち寄ったことはない。

「つめ…?」

小首を傾げ。両手は猫を抱いている。
今はお見せすることが出来ないが、
左手小指のエナメルは、傷が入って、剥がしもされずにそのまま。

けれどまあ、返答としては「ネイルなら少ししてまあす。」とそんなものだろう。
問題はどこから、その話を聞いたのかであるが。

猫を差し出す。
手放しても、数秒程はその体温が手の平に残っていた。


「──思い切り呼ばれてしまったわね、名前」

「諜報していたのがバレて叱られるのは慣れっこだけど……
 こうして人に報告している現場を見てしまうと、
 色々と複雑に思う所があるわね……」

「この夢は見納めになるのかしら。
 ……困るわね。ようやく取り柄が見つかったと思ったのに」


「そうだとしたら、この夢も寂しくなるな」

いつも通りの口調、とはいえそこに常の冗談めかした色はなく。
先日よりも情報量の少なくなったこの夢も相まって。

「あんたの事も伝えときゃよかったかね。
 女の秘密を勝手にバラすのはマナー違反かと思ったんだが」

件の二人の片割れに自分が『そう』だと伝えてはいたが、
あなたの自由意志を尊重してあなたの事は伝えてはいなかった。
向こうも得られる情報は限られているのだから、
白黒どちらとも付かない所から疑われるのは道理であった。

「疑わしくない奴もそれはそれで怪しいって事かね。
 あーあ、酒が飲めなくなっちまうな」

最後の一言だけは、いつも通り。冗談めかした調子で。

『ありがとうございます〜!
 少しまっててくださいね!』

笑顔で猫は受け取られて行き、その店員の腕の中で伸びたり収まったりしながら店の裏手の方に運ばれた。
流石に表で飼っているわけではないようだ。

そうしていると店員は暖かな色をしたブーケを抱えてあなたのもとへ帰ってくる。

『お姉さんみたいな美人さんが来たら渡してくれって
 色男さんが言っていました。こちらお届けものです』

そう言って貴方が渡されるのはピンクをベースとしたグラデーションが美しいのブーゲンビリアの花束だった。

【人】 コピーキャット ペネロペ

朝の慌ただしさは過ぎ、少しすればまた街が動き出す。
そんな静かな時間に、三日月島の灯台には一つの人影があった。

天気はあいにくの曇天。
朝に行き交う人々もそれに、或いは法案の陰に、
重たい空気に俯きがちに背を屈め、歩いていたことだろう。

灯台からの眺めも見通しは悪く、目に映るのは灰色ばかり。
ざあざあと鳴る波の音も平時に比べて心地良いものではなく。
今は侘しさばかりがそこにあった。

けれど、それでよかったのかもしれない。

目を閉じて、過去にこの島であった事を思う。
この島で失った家族を思う。

今となっては伝聞でしか知らない家族ファミリーを思う。

#三日月島_灯台
(8) 2023/09/22(Fri) 20:11:41
ペネロペは、暫くの間そうしていた。
(a14) 2023/09/22(Fri) 20:12:04

ペネロペは、自分の素顔を知らない。
(a15) 2023/09/22(Fri) 20:12:26

運ばれていく猫に、指先だけで手を振って。
その頃には手の平に残っていた柔らかさも温かさも消えている。

「…あー。色男さあん。」

ブーケを受け取る。…浮かぶ顔は2つくらいあった。
しかしタイミング的に、片方に絞ることもできそうだ。
…そうやってだれかの顔を浮かべながら花束を見つめるその瞳には、僅かな寂寥が乗った。

「色男さんはあ、このお店、よく来るんですかあ?」

おもむろに顔を上げた女は、気怠そうに間延びした声でそう訊ねる。
ブーゲンビリアは胸の前。香り立つことなく、ただ鮮やかに。

「あら、そんな気を使っていてくれてたの?
 いいの。ペネロペが考えて決めてくれた事なら、
 どちらでも私は気にしなかったわ」

勿論見つかった事を残念だとは思いはしても、
伝えていなかった事で貴方を責める事はない。

「ふふ、疑心暗鬼になった時の考え方みたいね。
 実際当てられちゃってるから何とも言えないんだけど」

そう言って今日はスプリッツを貴方に差し出して、貴方が口をつけるよりも先にこちらが自分の分をぐいっと煽る。

「……これはただの雑談なんだけど。ペネロペはさ、
 大切な人と会話をしていて、心が痛くなる時ってある?」


「そりゃあそうさ。同じ夢のオトモダチ、だろ」

実際の所は、互いに仲良くしていれば角が立つ。
そんな身分の関係だ。とはいえ。
夢の中であれば、そうであってもいいはずだ。

「大切な人と、ねえ」

あなたがぐいとグラスを傾けるのを見てから。
差し出されたスプリッツを、一口。

「俺は博愛主義なんだ。つまりファミリー全員が大事って事。
 だから気に掛かったり腹を立てる事はあるが、
 話してて心が痛む事はねえな」

「つまりあんたのそれはそうじゃないって事だ」

「ふふ……そうね、オトモダチ!
 そんなオトモダチをもしかしたら
 置いていく事になるかもしれないのは心苦しいけど……」

きっと帰って来て見せる。とまでは、言い切りたくても言い切れなかった。
ただでさえ不思議な空間で、過酷とわかっている檻の中。
ふわふわと言葉を濁すしかない。

「……博愛主義じゃない、ってこと?
 大切な、家族、なの。昔からそれが当然で、
 それがとても嬉しかった事なのに……」

「なのに心がなんだか痛くて、少し寂しいのは、
 ちゃんと家族として愛せてない、って事なのかしら……」

少し間違った方向に捉えながら、唸る。

ルチアーノは、真っ直ぐに睨みつけた。
(a16) 2023/09/22(Fri) 22:51:54

ルチアーノは、もうその目を逸らしたりはしない。
(a17) 2023/09/22(Fri) 22:53:11


「ま、それは始めっからお互い様ってもんだろうよ。
 元々いつまで続くかもわからない夢だ。
 そうならないのが一番っちゃあ一番だがな」

唐突に見るようになった夢は、唐突に終わるかもしれない。
ずっとの確証は無い分、却って飲み込める事もある。
とはいえ、やはりそんなもしもが無ければいいとも思うもの。

「博愛じゃないってのは間違ってないかもしれねえな」

家族として愛してるから
だろ。
 本当は家族それ以外に求めてる愛情の形があるから、
 家族として接すれば寂しいと思う。」

「愛ってやつなんじゃねえの。家族愛じゃない方のな」

にやり、笑って片手の指でハートを作って見せる。

――あれから。

目を覚ました女がまず行ったのは、ここ数日1度も開けようとしなかったこの『預かり物』を開けることだった。
スーツケースを部屋中央まで引き摺って開く。
しばしがさごそと何らかを行う物音がして、最後にぱたりと閉じられた。

「…さてと。」

とりあえず、ひとつ決めたことがある。
やっぱり1杯くらいで許してやるのは絶対にやめてやると、そんなことだった。

リヴィオは、"  "な人間だ。
(a18) 2023/09/23(Sat) 0:47:02

腹が減っている。

私の大事なものに手を掛けていたことを、
今更後悔してももう遅いってこと。

「その身に、嫌ってほど教えてあげる」



路地に咲いた可憐な花は、害虫を排除する食虫花の顔を隠している。

怒りも憎しみも知らなかった頃にはもう、戻れない。

嫌な予感がした。

ここのご飯はあまりおいしくないですね。

エルヴィーノは、牢屋に居る同僚たちにこっそりパンを差し入れした。
(a19) 2023/09/23(Sat) 1:49:42

取り調べを受けている。

やわらかな眼差しを向けている。

メモを貼った。

フィオレは、毒の花を芽吹かせている。
(a20) 2023/09/23(Sat) 2:27:15

アリーチェは、牢屋を後にした後、手で顔を覆った。
(a21) 2023/09/23(Sat) 2:31:03

「……家族、以外に欲しい愛情の形──?
 そ、それ、って、」

二本指のハートを見て、顔は真っ赤に染まって、
慌てて突き出した手に当たったスプリッツが転がるのを更に慌てた様子で直して(最もこの空間だからかすぐに元の場所に中身も戻った)、わ、わ。と言葉にならない声を上げながら、机にべちゃりと突っ伏した。

「……家族相手に、どうしよう」
「迷惑、になるんじゃないかな、嫌だったりして……
 ……嫌だなあ、きらわれたくない…………」

思ったより自覚症状はあったのか、愛と言われて案外素直に肯定をする。その分疲弊具合も多くみられるが。


ただ一つの懸念は。

「解放された時、私のしたことを許してくれるかな」

大事な弟にも、大事なあなたにも。
自分がマフィアだってことはついぞ告げられないままだ。

嫌われないといいな。
そんな、都合のいい言葉を思って。

歌う、歌う、歌う。

ペネロペは、缶ビールをもうひとつ開けた。
(a22) 2023/09/23(Sat) 2:40:01

灰色の猫はもう見えない。温もりも風と共に消えていった。
代わりにやってきたのは、秋の訪れに色鮮やかな葉を見せる花束だ。

『ええ、よく来ますよ!
 よかったらケーキも買っていって下さいね』

おまけしますから、と言って店員は笑顔で応対している。
二人の間の花は勿論静かで何も語らない。

2023/09/23(Sat) 3:21:23


「さあなあ。
 確かなのは言わなきゃ白黒どっちともつかないって事だ」

机に突っ伏す様子を見て、にんまりと笑う。
自覚症状があるようで結構、とでも言わんばかり。

「迷惑かどうかも、嫌われるか、受け入れられるかも。
 聞いてみなきゃわからない。
 逆に言えば、聞かなければずっとどっちつかずのまま。」

「あんたはそれでいいのか?
 どっちつかずの寂しさや苦しさをずっと抱え続けるより、
 
嫌われたくない
の方が大きいか?」

違うと言いたくなるような、ずるい聞き方を敢えてする。
意地悪な猫被りは、シュレディンガーの箱を差し出している。

歌うのをやめさせられた。

牢屋の中のベッドに潜り込んだ。

へらりと緩い笑みで頷く。

「えー、それじゃあ」
「看板のティラミスを――」

ダニエラ巡査は、そう笑って。
この日ホテルに持ち帰ったのは、ブーゲンビリアの花束と、ティラミスがひとつ。

自分の予想は大体合っていて間違っていた。
それでも、
どちらでもいいだろう
、とした部分が
結局丁度良くはまったので、都合よく利用させてもらった。
果たして
無実の人間
を牢に入れた事実を友人達は許してくれるだろうか。

「――なるほどなあ。あの馬鹿が結局……。
 やはり体が足りん……手回しも足りん。後で部下に書き直した送らんと」

誰かの背を追いながら男は一人ではない夜道を歩く。



「結局お嬢さんには会えんかったか」
「すまんな。本当の
裏切り者
はこの俺だ」

家族以外に触れられることが、こわい。

ひと回りほど小さくなったアジトのデスク。

7色の缶の紅茶アソート。
薄紅色のバスボム。
ライムグリーンのウィッグのテディベア。
ブーゲンビリアの花束。
そして冷蔵庫の中には、少しお高めのチョコレート。
部屋の片隅に、大きなボストンバッグとスーツケース。
鞄の中には、15mlの小瓶が複数と、脱脂綿にオイル。


この部屋にある、女の私物はそれだけだった。
女の自室とまた別の意味で、生活感のない部屋だった。
けれど変わらず、その部屋の明かりが消えることはない。
帰ってくる時女は、誰もいないその部屋に必ず、「ただいま」といった。

アレッサンドロ・ルカーニオ。
裏社会での通称を"黒眼鏡"という男が率いるのは、
ノッテ・ファミリーの活動において、主に物流を取り仕切る部門である。
彼らは密輸や禁制品の販売、人、物──場所を動かすだけで金が発生するもの。
そのほぼ全てに関わり、あるいは自らで全てを賄い動かしていた。

特にアレッサンドロの支配力が強いのは、多くの港湾設備を擁する三日月島周辺。
当然ながら海運業が強く発達したヴェスペッラにおいて、
彼らはいつしか──少なくとも、先代のカポ・レジームの時代には既に――"港"と呼ばれるようになっていた。

元ソルジャーらしさ、というのか。
規律と不正にひどくうるさいアレッサンドロの剛柔組み合わせた監視の下で、
"港"は強く統制されファミリーの地盤を固めるための一角を担っていた。

アレッサンドロ曰く、
「あって当たり前の仕事でミスるとリスクがデカい」
「需要が常にある以上、こちらからリスクを取るより顧客を依存させたほうが稼げる」。
商品がなんであれば、物流とはまるで生物の血管のごとく、
常に物を動かし続けることこそ最大の利益を生む。


そういった理念の下、"港"はそれが非合法的性格を多分に含むことを除けば
ごくまっとうで理想的なビジネスのように運用されていた。

だがそれはあくまで、アレッサンドロ・ルカーニオの影響だ。
従わないもの、自らの運営方針・・・・にそぐわないものに
直接的な脅迫、あるいは暴力をためらいなく行使し、
従うものにはポケット・マネーからの恩賞を躊躇わない。
それが正しいかはともかく、部下にとって「従うことにメリットがあり、従わないことにデメリットがある」ことのみを徹底的に叩き込んだ彼の下であるからこそ、そのシステムは正常に機能していた。

それゆえ、アレッサンドロ・ルカーニオが逮捕されてからの"港"の人員たちの反応は、大きく別れた。

一つは、システムを維持する者たち。
全体の六割を占めるこのメンバーは、思惑はどうあれ数日前と同じことを行い、数日先も同じことを行った。
これが長期化するならばともかく、多少のトラブルで今までうまく行っていたやり方を変える必要はない、と思ったのだ。
勿論中にはアレッサンドロのシステムこそが心地よいと感じるものもいたし、
あるいは「気を抜いた途端に黒眼鏡が戻ってくるのではないか」とバグベア悪妖精に向けるような怖がり方をした者もいるが、
とにかく当面の間大きな動きをすることもないし、する必要もない者たちだ。
それは実に合理的な判断に思えたし、それこそが自然であると信じる者も多かった。

一つは、これを機であると動き出す者たち。
アレッサンドロは部下たちに十分な利益還元を行っていたが、
十分なんてものはない・・・・・・・・・・
逮捕の報をきいて早速自らの利益を拡大しようと、種々様々な活動が行われた。
そしてそれがうまくいくかどうかは置いておいて、アレッサンドロは"港"が自分の指揮下から外れた際、こういった活動を咎めるような仕組みまでは構築していなかった。
彼のことをよく知る部下曰く、「好きにやるならそれはそれでいいと思っていたのでは」──などというが、果たしてどうだろうか。
元々がマフィアという、法とは利益をどうやって味わうかのドレッシングに過ぎないと思っているような連中だ。
これらの数もそれなりに多く、後にファミリーが調べたところによれば全体の三割がこういった"独立"にいそしんでいたという。

そして残った、全体の一割程。
彼らは一見普段通りに業務を進めていたが、ときたま妙な振る舞いをしていた。
普段入らない場所に入り、普段しないことをする。
それはほんの少しだけ、ちょっとだけ足を延ばす程度のことで、
けれどそれをする意味も必要もないことだった。
それを見とがめられるものもいたが、「アレッサンドロからの指示で」と言えば大抵の場合は見逃される。
そしてそれは、別段長く続くものではない――ほんの少し、たとえば荷物を運ぶだけ。
そのことに気が付くものが、はたしてどれほどいただろうか?
いたとして、それが何を意味するのか、組み立てられるものはいるだろうか。
多くの者は、「アレッサンドロが釈放されでてくれば分かるだろう」と気に留めることもなかったが。

──とにかく。
総合すれば、"港"は七割が普段通り。つまりはビジネスにおいて影響は無視できない程度ではあるものの、これまで通りに営業を続けていた。
ヴェスペッラの海には今日も、静かに白と青が揺蕩い踊っている。

三日月島の朝焼けはあの日も今日も、変わらずに美しい。

ダニエラは、ふたつの中から、犬を選んだ。
(a23) 2023/09/23(Sat) 11:16:18

常日頃、閑古鳥と同棲するそのモーテルは、つい数日前の騒ぎから一転、ここ数日でさらに静かになっていた。
ある雨の日に立ち寄ったのと同じように女はそこを訪れる。
人目を気にして足早に入口へと近付くと、するりとその中へ入っていった。

入口傍のカウンター。
カフェインの香りを撒き散らしながら店番をする経営者の姿はそこにない。
超えて奥にある扉を潜ると、そこはそんな経営者の私室だった。
部屋の大半をキングサイズのベッドが占め、本当に寝るためにしか存在していないんじゃなかろうかと密かに思っていたことは誰にも言っていない。
さらに言えば彼女は徹夜の常習犯でもあったのだから、想像する更に数倍この部屋に価値はないんじゃなかろうかと思っていた。

…実際には、そんなことはなかったと知ったのはつい数時間前のことである。

ペンライトを口に銜えて両手が使えるようにした女は、それからそこで暫く作業を行った。
たった1度しか聞かなかった手順だが忘れようもない。
大切で大好きな、昔馴染みの言葉なのだから。

男がその知らせ を聞いたのは、それが署内、或いは島中を駆け巡ったより幾らか後のこと。
またいつものように・・・・・・・牢を空にしていたその男は、ねぐらに帰る最中にそれを聞いたのだ。

ヴィンセンツィオ・ベルティ・デ・マリア。

その名は当然男だって知っていた。話したことさえあった。
同じファミリー・ネームのよしみ。広範な人間関係を築くのが不得手なこの男のためにと、気を配ってくれたのを覚えている。
その時の悠揚な笑みを覚えている。


────
がん。

がん。

がん。
がん。


それは憤りだった。
男の義憤が牢を打ち檻を揺らした。
食い締めた歯がぎりと鳴る。奪われ消された子どもたちのことを思ってまた心が逆立った。

「────くそ野郎が」


呻きに似た響きが落ちる。
まったく男は正義の徒であった。

真面目な警官・・・・・・だ。自他ともにそう認めるように。

『お前じゃ無理だ』と笑う。吐いて、汚れて、まだ笑う。

アリーチェは、止めてくれるはずの幼馴染二人は、傍にいない。
(a24) 2023/09/23(Sat) 17:45:13

 
「ち、違───!!」

「……違、わない、……かも、で、ええと……」

貴方の目論見通り、あと一歩で言い切りかけたのだが、
すんでの所でストップがかかり、踏み止まったらしい。
それでも差し出された猫箱は猫箱のまま、まだそこにある。

「……わからない、わからないけど……」
「せっかく掛けてくれた言葉を、その通りに……
 ありのまま受け止められなくて、一人傷付くのは、
 ……きっと、良くない事じゃないか、って思う」

片頬を机に着けながら、少し横向きの姿勢になり、
貴方の方を見つめる。

「……ペネロペだって博愛主義なんでしょ。
 もし、身近な誰かにそんなこと言われたら、どうする?」

リヴィオは、「これじゃあ無敵失格だね」といつも通りに笑う。
(a25) 2023/09/23(Sat) 18:15:07


「俺は俺でそいつはそいつだろ。
 そもそも俺の周りは恋愛っ気のある奴いねえし……」

身近な誰か、と言われて思い浮かべるのは
誰も彼も、というよりそもそも自分が無縁な人間だ。

「その上で敢えて言うなら、考える余地は無いわけじゃない。
 だからお前が踏み出さなきゃ前にも後にも進まねえんだ。」

「自分にも周りにも嘘吐いたまま生きてくよりは、
 いっぺん素直に言っちまった方が誠実ってもんじゃねえの」

不誠実な生き方をする人間は、他人事だからこそそう言える。

「う……わかってはいるのよ、皆全く違うって。
 でも、今、こんな大変な状況なのにこんな事言えるのは、それこそ夢の中くらいしか思いつかなくて……」

アリーチェの中でもさすがにこんな悪法が飛び交い逮捕者が続出している時に、友人相手であっても話すのは憚られるものだった。

かと言って、ない事にできる程器用な女かと言うとまた違う。
そう言った意味で、普段の意識とは違うここで、友人の貴方に相談できることは幸いであった。なんせ、ただでさえ落ち着かない女が自己の感情を整理できてないとどうなるかなんて、火を見るより明らかである。

「……それは、そう、かもしれない。
 嘘つくの一番苦手なのもあるし、つきたくない……

 どれを選んでも、絶対痛みがあるなら、
 わたし、誠実さを選びたい。ありがとうペネロペ。
 いつか平穏が戻ってきたその時は、進んでみる」


「おう、貸しはこれでチャラにしておいてやる」

そう言って、スプリッツのグラスを揺らす。
こちらも落ち着いて酒を飲める時間など限られているもので。
時間を気にせず酒に酔えるこの夢は大層都合の良いものだった。

「そんで……そうだな、
 何か進展があったら教えてくれや。お友達のよしみでな」

仮に、いつかこの夢を見る事が無くなっても。

一度会った縁なのだから、またどこかで会う事もあるだろう。
そんな縁を途切れさせない為の、他愛無い約束だ。

「……いい報告ができるといいなぁ……」

「勿論、大切なお友達だもの!どんな結果になっても、
 アドバイスしてくれたお礼の気持ちと一緒に
 ちゃんとお伝えしたいから、待っててね」

この見通しのつかない雁字搦めの時世が
いつまで続くかわからないけれど、

自分がもし捕まろうとも、夢をみなくなろうとも、
切れない約束を交わした所で、この日の夢は覚める事だろう。

冷たい牢の奥で毛布に包まり蹲る。
熱と、痛みの波に耐える為の仕草だった。
浅く呼吸を繰り返す最中に耳にする。
看守の噂話、は。

──君が目を塞いでしまざわるをえないことが、私は一番悲しいよ。

「……ヴィトー、さん」


自分の道を見つめていたい。
目の前にあるものをちゃんと見ていたい。
でも、もう。

だれの、いつの、どんな。
笑顔や言葉を信じたらいいんだろう。
わからないのに、信じたいと願うのはどうしたらいいんだろう。
一つを疑えば全てを手放してしまいそうで、それがこわかった。

ならその前に瞼を伏せてしまった方が、ずっと。

#収容所

十九年の人生で自分がした、悪いことを数えている。

この現実がこれまでの罰であるなら、帳尻が合うはずだから。

ペネロペは、知っている。
(a26) 2023/09/23(Sat) 20:57:58

ルチアーノは、猫は別に好きじゃない。
(a27) 2023/09/23(Sat) 20:59:28

 


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