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人狼物語 三日月国


184 【R-18G】ヴンダーカンマーの狂馨

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到着:隻影 ヴェレス

【人】 隻影 ヴェレス



            
☦︎︎


       哀しみの兆しが鳴り響く。
       空の棺が聖堂を後にする。


(14) 2022/11/04(Fri) 7:41:56

【人】 隻影 ヴェレス

 

 ──── 先刻;へレース聖堂

 [故人への別れを終えた聖堂の境内では、
  祈りを捧げる者、喪主に言葉を掛ける者等が疎らに残る。

  出棺の準備が着々と進む傍ら、
  最前列のベンチに座したまま膝元を見詰める少年は
  喪主としてこの場を取り仕切るには余りにも若い。]
 
(15) 2022/11/04(Fri) 7:42:26

【人】 隻影 ヴェレス



  「あんなにも若くて綺麗な人だったのに」

                「即死だったから苦しまずには済んだ」

    「当主さえ参列しないとは一体……」


 [ヴェレス・エルドレッド・アスター。
  周囲の囁き声に反応すら見せないその少年は
  最愛の母を失い、心を取り落としているように見える。

  出自を、キュラステル最大の研究機関を束ねる一族。
  その指導者は知恵の民たる人間ヒューマでありながら
  ありとあらゆる種族を娶る事で自らをも実験台とした……

  魔人の血を継いだが、混血故に魔力を持たず。
  賢者の血を継いだが、次男坊故に跡取りでなく。
  虚弱で、出歩く事も稀な籠の鳥。
 
  ────それが少年に対する
世間一般の認識
である。]
 
(16) 2022/11/04(Fri) 7:43:53

【人】 隻影 ヴェレス

 
 [グレイス・エドウィナ・アスター。
  かつて異邦より迎えられ第二夫人となった彼の母。
  その最期は悲惨にも、十数年住まう屋敷の
  最上階からの転落死と云われる。

  生まれつきの美貌は視線を奪い、優れた魔力を有する。
  魔人の中でも取り分け美しく希少性の高い種族は
  『宝石の魔人』と呼ばれたが。

  彼女の急逝に際して、ヴェレスの父親にあたる
  アスター家当主はおろか、息子を除く血縁者に至るまで
  誰一人として聖堂に姿を表すことはなかった。

  世間ではこうも囁かれた。
 “息子がああだから夫人も徒爾になったのでは”……
  死を悼む人々でさえ、根拠の無い噂話に夢中だった。]
 
(17) 2022/11/04(Fri) 7:44:33

【人】 隻影 ヴェレス

 
 [軈て、花に飾られた空の棺が
  黒い馬車に乗せられて聖堂から離れていく。
  少年は使用人達に連れられ、
  質素なからくりの車に乗り込んでその後へ続く。

  背後では古い鐘が別れを告げている。
  見送る様に、何度も、何度も。

  若し、その音色にあなたが顔を上げ
  音のする方へと向かったのなら、
  郊外の墓地へ向かう葬列を見掛けるかも知れない。

  或いは、告別式そのものへ参列する事も
  一般参加が赦される以上は有り得る。

  いずれにせよ、少年の失意と哀しみは
真実
である。
 遠目からの表情のみでも、それが見て取れる事だろう。]
 
(18) 2022/11/04(Fri) 7:45:09

【人】 隻影 ヴェレス





        ………… …………


 
(19) 2022/11/04(Fri) 7:45:36

【人】 隻影 ヴェレス



  人々の視線の消えた車内。私は思考する。
  父上は朝早くから、いや。
  ここ数日はずっと兄上共々忙しくしているようだった。

  家族の葬儀すら無下にして研究に没頭しているなんて。
  ただ血は争えないが、母は異なる。

  母は私を愛していたし、私も母を愛していた。
  
  『宝石の魔人』たる同類はこの島において他にない。
  故に心を許し合えるのも二人だけだったのだから。
  
(20) 2022/11/04(Fri) 7:45:52

【人】 隻影 ヴェレス



  そうだ。血は争えない。
  母が人知れず滅茶苦茶になっていた時も、その前後も。
  精神錯乱を起こした時から、死体が発見されるまで。

  私はずっと読書に耽っていた訳だから、
  学者気質というものは受け入れ難い。
  況してや棺を前にして眠気が襲うなどとは。

  人々は
私をアスター家の影の象徴として見ている

  今日この日浴びた視線からひしひしと感じ取った。

  …… ……

 
(21) 2022/11/04(Fri) 7:46:22

【人】 隻影 ヴェレス




       ( …………疲れた。少し、眠ろう…… )


 [噎せ返る様な花の香が充満する車内で、
  赤い蝦夷菊の花束を抱いた少年は目を閉じる。

  葬列は未だ静かな朝の大通りを往く。
  既に埋葬を残すだけとなった、彼の母の待つ墓地へ。*]
 
(22) 2022/11/04(Fri) 7:46:44

【独】 隻影 ヴェレス

/*
名前変更できないセットなのを今の今まで失念しており、
ちょっと構成を変えるなどしました。

村建て前日にミーティングの予定が村期間中に入るのマジで草だけど頑張りすぎず頑張ります。
(-1) 2022/11/04(Fri) 7:47:50
隻影 ヴェレスは、メモを貼った。
(a4) 2022/11/04(Fri) 8:02:11

【独】 隻影 ヴェレス

/*
脳内メモ

学星院(最大の研究機関)
島中央の図書館の管理からあらゆる学問を司る。一部の発明品は同じくコレクションとして納められる。
アスター家現当主を>>41関連で出してもいい

・我々の神はこの島には居ない、淘汰された
 故にこそありとあらゆる神格を否定しない
 寺院参り

・落ち着ける場所、わざわざ人が人を虐げないで済む場所

・既に3個くらい叙述トリックがあるのでノーヴァにどこまで絡むかは考え中
(-13) 2022/11/05(Sat) 4:30:35
隻影 ヴェレスは、メモを貼った。
(a11) 2022/11/05(Sat) 5:22:17

【人】 隻影 ヴェレス

 

  「行ってらっしゃいませ坊ちゃん
   夕刻の打鐘前にはお戻り下さいね」


      ……うん、うん。分かってるよ。
       少し気分転換に出るだけだから。


 [日は高く昇らんとしている。
  簡略化された儀式は正午を待たずして終わり、
  母の埋葬を見届けた少年が再び屋敷を出る頃。]
 
(51) 2022/11/05(Sat) 6:52:24

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [香典返しじみたお気に入りの菓子折と、
  発明品の一つである写真機。
  その他の荷物を鞄に纏めている最中、
  若いメイドの一人が再び近寄ってくる。]

      「それと念の為……こちらを。
       冷えると“火難が相次ぐ”ものですから、
       もしもの際はどうかお役立て下さい。」


   ちょ……両手が今塞がってるんだ。
   真っ赤で綺麗だし腕にでも巻いておいてくれ。

 [取り落としそうになった書籍を鞄に詰め込んで、
  刺繍の施された天鵞絨の様な布を括り付けられて
  慌ただしく屋敷を出た。]
 
(52) 2022/11/05(Sat) 6:52:53

【人】 隻影 ヴェレス



 使用人達は日陰者である筈の私にも
 
毎日頻繁に、明るく接してくれる


 魔人の血を引く故の魅了性によるものかも知れない。
 それでも私は彼女らに応えたく、勉学に励む。

 痛ましい事故があったばかりでも、
 やるべき事は当たり前の様に降り注ぐから。
 私もまた、直ぐに前を向けるように
 心を癒す切っ掛けを必要としている。

 
(53) 2022/11/05(Sat) 6:53:05

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [少年が庭園の小路を抜けて振り返ると、
  鉄門の向こうでメイドが扉を締めるのが見えた。

  その直後、僅かな赤い光が辺りに散った様な────
  目の錯覚だろうと気にも留めない程度の変化を経て、
  この屋敷は夜を越すための砦へと変わるのだ。

  そう、その光こそ。]
 
(54) 2022/11/05(Sat) 6:53:21

【人】 隻影 ヴェレス



 ────閑話・アスター家現当主の今

 [キュラステル中央部、地下に膨大な書架を抱き
  ありとあらゆる学問の研究成果を記録し続ける
  至高の独立機関、『学星院』。

  最高学会ではとある計画の為、
 
島外より贈られた貴重な品
>>41を元に
  呪い避けの結界の開発が長らく進められていた。

  そして期日である今日、
  アスター家現当主ブランドンが船着場に現れる。
  海風を凌ぐ分厚いコートとハットを身に付けた姿は
  外の世界における裏組織を彷彿とさせる。]


 
(55) 2022/11/05(Sat) 6:53:41

【人】 隻影 ヴェレス



 [ブランドン及び学星院上層部と盗賊団を繋ぐものは
  有り体に言えば────
『利害の一致』


  次から次へと発明品を生み出しては蒐集品に加えられる
  彼等にとってたった一つの宝など些事でしかなく。

  命が放つ『欲望』から成るエネルギー。
  魔力によって収集したそれをより効率よく実用化する為の
  実験がこの日、行われようとしていた。

  数人の助手を連れたブランドンは、
  記録にある首魁>>38の姿を瞳に入れると
  朝の喧騒に紛れて目配せだけを送る。

  協力者がどれだけ居るかまでは把握していないが、
  “学星院の主要な建築には近付くな”という意味合いだ。]


 
(56) 2022/11/05(Sat) 6:53:56

【人】 隻影 ヴェレス




 「……さてお前達、今日は我々にとっての躍進の日だ。
  結界装置の設置箇所を事細かに把握しておくように。
  有事の際にはここが唯一の脱出口になるのだからな。」


 [指導者に連なる学者達のグループ。
  彼等全員の腕には赤い布────
  既に実用化された模造品が結ばれている。

  同時に、主要人物らの自宅や別荘など
  そこに住まう家族や人的資源に危害を及ばさぬよう
  所有物件もまた、結界により保護される。

  此度の事件の裏には
  協力者にして傍観者、そして観測者足り得る
  巨悪の存在がある事は確実だ。*]


 
(57) 2022/11/05(Sat) 6:54:14

【人】 隻影 ヴェレス

 


 ──── 正午:『慈厳寺』

 [多宗教の入り交じる特異点でありながら、
  この島に彼等の神は御座無く。

  それ故にこそ、数多の神格を肯定も否定もしない。
  敢えて敷居を踏む様な真似もしないのだ。]

        そしてもし、我等の神と同等に
        慈悲深く聡明な神が在るのなら…………


 
(58) 2022/11/05(Sat) 7:39:28

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [雨が降った訳でもなかったが、
  境内の木々は不思議と露に濡れ煌めいていた。
  この辺りでは珍しい植生の間を擦り抜けて
  少年は本堂の方向へと向かう。

  彼にとって、死者の魂を鎮めるのがどの神かなど
  最早関係がなかった。
  少なくとも、好奇の視線と根も葉もない噂が降り注いだ
  あの聖堂の管理下では安らかに眠れないだろう、と
  改めて祈りを得る為に此処を訪れたのだった。


  もしその寺院の住職に取り合って貰えたのなら
  今日までの事情を惜しまず打ち明けることだろう。
  作法なんて分からないから、差し入れの袋には
  何となしに名店のバームクーヘンが入っている……]

 
(59) 2022/11/05(Sat) 7:39:49

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [学者としての好奇心で調べた限りでは、
  『仏』とその信徒以上に深い慈悲を懐く存在を
  如何なる宗教にも見出す事が出来なかった。

  少年が語ったのは、此度亡くした母が
  元は遠く、宗教も異なる土地の生まれだったこと。
  母が懐かしむ様な文化的特色はこの島に存在しないこと。

  そして即ち、母子共に自らの神から遠ざけられ
  この島以外の世を知らずに生きていたという事を
  細々とした語り口で明かすのだろう。

  今際の言葉すら耳には届かなかった怠惰の罪を、
  赦されたい想いが強かったのかも知れないが。]

 [腕に巻かれたままであるその呪布が、
  この島の摂理に対する裏切りの証であるとは
  知る由もなく────……**]


 
(60) 2022/11/05(Sat) 7:41:04
隻影 ヴェレスは、メモを貼った。
(a13) 2022/11/05(Sat) 7:46:13

【人】 隻影 ヴェレス

 

 ──── 慈厳寺;異神の息吹を聴く刻

 [切り分けたバームクーヘンの隣、湯気立つ焙じ茶。
  自然と調和した空間ながら、気の抜けない様な荘厳さが
  漂うのは、この寺が大きくなってしまったからなのか。

  少年は周囲の立ち振る舞いに合わせて靴を脱ぎ、
  正座して住職の言葉に耳を傾けた。]
 
(70) 2022/11/05(Sat) 21:11:06

【人】 隻影 ヴェレス



  敢えて語らなかった事も多くなる。
  
秘匿されし真実
は既に張り巡らされている。
  されど世俗のくだらない噂など、
  修行者達の耳には届かないのだろう。

  信仰の前には、身分も人種も関係なく。
  金で罪を濯ぐ事もない。

  住職の唱える言語を私は知らない。
  だが、図書館から拾い、継ぎ合わせた知識から
  その意味を推測する事は出来る。

  
故に、私は地獄に堕ちるだろうと────


 
(71) 2022/11/05(Sat) 21:11:25

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [目を閉じた、少年の表情が微かに曇った。
  それは単なる懺悔の過程と受け取られても不思議でない。

  自らの行いと気持ちに整理が付くことは暫くなさそうだが
  それでも渦巻いていた心は少し鎮まった。
 
心の底から死を悼む他者の存在を必要としていた
から。]


   ……母もまた、島で過ごす長い歳月の中で
   いつの間にか自らの神に祈る事を止めました。
           
(────其の理由を私は悟っている。)

   私が幼い頃は毎日の様に教義を話して聞かせたのに。


    母がそれで天に召されず果てたのならば、
    それはこの島がそうさせた事なのでしょう。
         …………この、國そのものが。


 [幾つもの思惑が混じり合う、黄昏の惨劇。
  その幕開けは刻々と近付いてきている。
            ・・・・・・・・
  そして────少年も
それを知っている
。]

   
(72) 2022/11/05(Sat) 21:11:46

【人】 隻影 ヴェレス



  仏教徒の精神が真の自己研鑽である以外に
  心が休まる理由はもう一つあった。

  此処の人々は容易く蠱惑に堕ちはしない。
  たとえば其れが、希少な魔人の血を引く存在の
  無意識下での魅了性だったとしても。

  ……だから、この場所では人間で居られる。
  過ちから何も学びはしない、愚かな人間の一角に
  漸く正しく加わった心地がする。


  ────嗚呼、だけど。浸ってもいられない。


 
(73) 2022/11/05(Sat) 21:12:33

【人】 隻影 ヴェレス



  優渥な方に祈って頂いて、母も浮かばれます。
  世間は、自覚のない悪意に満ちていますから。

     ……本当に、市街とは掛け離れた場所ですね。


 [あの日あの時、屋敷を飛び出しでもしていたら
  全ては良い方向に動いていた筈だと思う程度には。
  少年は視線を落とし、小さな膝を擦り合わせる。

  ────それから、不慣れな手つきで掌を合わせた。*]


 
(74) 2022/11/05(Sat) 21:13:00

【人】 隻影 ヴェレス

 

 ──── 午後;美術館前、午睡の庭にて

 [足を止めればうとうとしてしまいそうな木漏れ日の中、
  写真機を手に見上げた野鳥を捉える。
  極小化されたラング機関を介して生成される写真は
  “見たままの景色を写し取るとは限らない”。

  微小な魔力を動力とする過程で
  使用者の思惑を部分的に出力してしまうのだという。
  外の世界では未だ辿り着けない、学星院の発明品だ。]

 
(78) 2022/11/05(Sat) 22:30:22

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [その場で出力された写真は、
  白いはずの野鳥を鮮やかな瑠璃色へと変えていた。
  重たい写真機を首から下げ直し、息をつく。

  芸術は時折、学問と距離を置く為に重宝していた。
  表現者の様に思考のその先を鑑賞するでもなかったが、
  繁く通ったのでそれなりに目は肥えているつもりだ。

  ……何より、
  美術館において鑑賞者は人の目に留まらない。]

 
(79) 2022/11/05(Sat) 22:30:36

【人】 隻影 ヴェレス

 

 [白い美術館>>31の前に設けられた庭園は
  ある意味市街地の中にある野鳥の楽園でもあり、
  同時に思考整理の為の散歩ルートにも含まれていた。

  小さな背であちこちに写真機を向ける姿は
  背の高い植え込みに紛れてしまいそうで、
  “外見年齢”相応の行いにも見えることだろう。
 
あるいは、危なっかしい迷子にも……


  出力されたものは青い鳥、白詰草の四葉、
  針鼠に化けた土竜、蜥蜴がどことなく蛙めいたりと。

  何度も訪れた場所、何度も収めた被写体であっても
  写し取る度に現像される事象は異なる。

  夢中になっている内に、顔見知りの観覧客が横を通る。
 “また論文か? 気ぃ付けてな!”なんて声が掛かる。
  むしろ論文から離れる為の趣味と言えるけれど。]

 
(80) 2022/11/05(Sat) 22:30:57