【秘】 普通 ナツメ → 園芸 ハナサキ 繋いだ手の、指の先。 そっと。優しく、すこしだけ力をこめる。 この手が、紙切れに名前を綴る。 この手を、私だけのものにできるのかもしれない。 ―――――― でも 。「……さっきのお願い、うそです」 私だけを見てなんて、そんなわがままは通用しない。 わがままを言える子どもではないから、制度に選ばれた。 「うそだから。……そのままでいて。 私のためなんかに、変わったりしなくていいから」 あなたにだって、何かを選びとる自由がある。 秤にかけた♡を捨てるときがくる。 普通の私には、その秤を狂わせる勇気すら、ない。 (-374) 2022/02/28(Mon) 16:58:06 |
ナツメは、普通の少女だ。 (a50) 2022/02/28(Mon) 16:58:28 |
【秘】 園芸 ハナサキ → 普通 ナツメ「うそ?」 離れかける温度を追うように手は押して。 ソファに膝を立てるような恰好で詰め寄りました。 逃がさないように──縋るように。 「本当に嘘ですか?」 張り付いた笑みを浮かべたまま詰問します。 「あなたはまだ何か我慢していませんか? 怖い事じゃ全然ありません。変わっているんじゃないんです。 最初からずっと私はそういう人間なんですよ。 ここでなら、思ってる事を言っても怒られたり殴られたりしません。 初めて見つけたんです……誰にもはばかられずにやりたいって、何をされても構わないって思えた事なんです」 そのまま押し倒してしまいそうな勢いで前のめりになっていきます。 「私の為を想うなら──最後くらい、わがままを言わせてください。 これでも……これでも本当に無いのだったら」 (-387) 2022/02/28(Mon) 18:25:33 |
【秘】 園芸 ハナサキ → 普通 ナツメ「もう味方はやめます」 もう、どっちでもいい。 「次から私に投票してくださいね。 私を変えたくないんだったらそうすればいい。 誰にも恨まれず、目立たずこれからも普通に生きていけますよ」 あなたが賢い普通の選択をするのなら、もう私は不要です。 ……やっぱり2番にもなれなかったんですね。 (-388) 2022/02/28(Mon) 18:27:37 |
【秘】 規律 ユス → 普通 ナツメ 最後のメッセージを行ってから、かなり長い時間が過ぎた後。 『ナツメ。俺の方の約束は済んだ。先に図書館に向かうが、そちらは時間に気にしないでほしい』 そんな簡潔なメッセージが送られた。 (-398) 2022/02/28(Mon) 19:56:38 |
【秘】 普通 ナツメ → 園芸 ハナサキ ソファがぎしりと軋んで、肘掛けに背中がぶつかった。 びくり、と薄い肩が揺れる。青々しい瞳が揺らぐ。 ――――けれど、それだけ。 「……ううん。言われたとおりに投票なんて、しません。 もう、自分で、決められます」 もう、一度はそうした。 後ろめたくて、押しつぶされそうで、しかたない。 何も言ってはくれない、ずるい子がいたから、ひとりで選んだ。 揺らぐ瞳で、少女はあなたを見つめる。 こんなふうに詰め寄られて、こわくないわけないけど。 目を逸らしたいほどの、非日常の恐怖じゃない。 そこにあるのは、いるのは、一つ年上の女の子で。 ……こんなのきっと、生きてれば普通にあることだから。 (-405) 2022/02/28(Mon) 20:15:24 |
ナツメは、えいっ。フォーチュンクッキーを思い描いた。 (a60) 2022/02/28(Mon) 20:16:56 |
【秘】 普通 ナツメ → 園芸 ハナサキ 思い描いたとおりに出てきた小さなクッキー。 少女は口で受け止めて、ぱきりとかみ砕く。 ぽろぽろ零れるくずと、唇に挟む、小さく折り畳まれた紙。 投票するのは……そう口を開くと、ぽとり。 二人の間、スカートの膝の上に落ちて。 中身も見ずに、少女は一人の名前を呼んだ。 「エノさん。話したことがない人だから。 そんな人を殺してでも、まだ、このままでいたいから」 それが今の答えです、と言って。 それから不格好に、眉を下げて笑う。 「……あとでまた迷うかも。 そのときは、相談にのってください」 ちょっとだけ、自棄だったりする。 本当はまだ迷ってて、恨まれるのが怖いのも図星。 なんかちょっと、言い方にムカついて無理しちゃった。 「今は、ハナサキさんの番です。 どうしたい、とか。ありますか?」 「言いたいだけ、言ってください。 大事な話だから。たくさん考えて、たくさん迷いましょう」 (-407) 2022/02/28(Mon) 20:21:27 |