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【秘】 規律 ユス → 普通 ナツメ「ナツメ?」 少女の様子がおかしい。 疑問に思ったのか本を閉じて貴方と向き合う。 付箋として可視化されたメッセージを読んだ後、座ったまま貴方を見上げる。 「一緒に行くものがいないのならば俺が同行しよう」 「ただ」 青ざめた貴方を、無色透明な視線が捉え続ける。 「 ナツメは どうしたい?」/* わあ。ではライブ始めましょうか……。よきようにやりましょう。 (-518) 2022/03/01(Tue) 18:24:08 |
【秘】 普通 ナツメ → 規律 ユス「え、」 こちらを向いたあなたの側に、途方に暮れて立っている。 無色透明に映り込む、深青が泳いだ。 薄く張った水の膜がゆらゆらと、揺れて。 「……私、は」 「行きたく、ない、……こわい」 「でも……」 ほんの少しだけ、目を伏せる。 瞼が湿って、瞬けばこぼれ落ちそうだった。 (-520) 2022/03/01(Tue) 18:43:07 |
【秘】 規律 ユス → 普通 ナツメ その顔を目に焼き付ける。硝子のような瞳にはかよわい少女一人だ立っているだけ。 ゆらりと揺れる深海が少しだけ隠れる様も見届けて、青年はおもむろに口を開く。 「俺は、俺ともう一人の命を除けば皆平等だ」 「皆平等に、どうなろうと構わない。 ここで予定通りお前と話をしても何一つ俺は気にならない」 読んでいた本を追いやる。 「行きたくない。怖い。それは、お前の心情だなナツメ。 共感は出来ないが、理解はしよう。世間一般的に、誰かが誰かを傷つける場所に飛び込むのは怖いらしいから」 感情が湧き上がり、あふれて落ちてしまいそうな深海から一切目を離すことなく言葉を続ける。 「でも、なんだ? 俺は人の気持ちを汲み取るのが上手くない。 言わなければ分からない。 行きたくない、怖いと思っていても、 それらと同居するお前の気持ちは何だ?」 (-521) 2022/03/01(Tue) 18:55:47 |
【秘】 普通 ナツメ → 規律 ユス 飾り気がなさすぎるあなたの言い様。 少女はちょっとだけ笑って、 「……正直すぎる、よ」 決壊する前に、セーラー服の袖口がぐい。雫を拭いとって。 ちょっと赤くなった鼻を、すん、と鳴らす。 そうして少女は「でも、行く」と声に出して伝えた。 「こわい、けど。あの、 ……放っておけない、から」 「…… 一緒に、行ってくれる?」 (-524) 2022/03/01(Tue) 19:20:44 |
【秘】 規律 ユス → 普通 ナツメ 笑った理由が分からなくて、必要以上にぱちぱちと瞬きが繰り返された。効果音を添えるなら「きょとん」といったもの。表情が殆ど変わらない青年の、数少ない仕草だった。 「嘘をつく理由が無いからな」 自分の手帳型端末を呼び出して、何かを書き込んでからしまった。少しして顕現したものを一緒くたにまとめて、片手で貴方に差し出す。 「ああ。俺にとっても利があるし、断る理由も特に無い。 一緒に行こう。ただ……」 ハンカチと保冷剤だった。受け取らなくても、その場合はテーブルに置いておく。 「心配して見にきた側が泣いているとあっては、現場の者も落ち着かないことが多いらしい。あちらに感情の起伏が激しいアクタがいるなら、余計そうだろうな。 歩いている間に整えておくといい。俺は勝手に前を歩くから、見る者なんて誰もいない」 「行くか、ナツメ」 そう言って喋るだけ喋って、宣言通り貴方を置いて先に歩き始めた。 (-526) 2022/03/01(Tue) 19:29:44 |
【秘】 普通 ナツメ → 規律 ユス「……少女マンガだ」 思わず手のひらを差し出して、受け取ってからぽそりと場違いな、間の抜けた感想を呟く。 押しとどめていた涙が、じわりと湧き出てくる。 逆効果だよ、ユスくん。 そして、少女も踵を返して図書館を出る。 ハンカチでくるんで目に当てた気遣いが、ひんやりとつめたくて、心地よい。 スカートの裾を揺らして、足早に目的地へ。 道中、相槌が返ろうとなかろうと構わず。 宣言通り先を歩くあなたの背中に、ずべずべと湿った声で本音をぶちまけていた。 「行きたくない……」 「でもいく」 「……夢に出そうだから……」 正義感とかは、ちょっと、普通の少女の身に余る。 そんなだから目の腫れはちょっと、残っちゃうと思う。 (-528) 2022/03/01(Tue) 19:44:34 |
ナツメは、ナツメを泣かした誰かさんと図書館を出て、薬局へ向かう。 (a78) 2022/03/01(Tue) 19:47:37 |
【秘】 規律 ユス → 普通 ナツメ 青年は振り返らない。三歩分前を歩き続ける。 その間も、後ろから飛んできた声には律儀に返し続けていた。こっちは相変わらずマイペース。 「そうか、行きたくないか」 「でも行くか。そうか。ならついていく」 「夢に出るのは大変そうだな。何日も何回も出そうだから」 普通の少女の、普通じゃない様子なんて見ていない。 だからきっと、目の腫れだって、知る由もないのだ。 /* わかりました。先に行ってるので多分先に入店してる短いレスくらいは投げちゃうかもしれませんが、その後は合わせます。 (-532) 2022/03/01(Tue) 19:51:06 |
【秘】 普通 ナツメ → 奇形 メイサイ「…………あ。返信してない。 あれ? もういっこ、きてた……」 白い指がぺらり、ページを捲る。 追加で送られたあなたからのメッセージ。 歩きながら見て、読んで、またちょっと瞳を潤ませた。 着くまでに、なんとかしなきゃなのに。 (-534) 2022/03/01(Tue) 19:55:46 |
【人】 普通 ナツメ>>薬局 「ユスくんと来ました」 三歩分遅れて、建物の中に入る。 冷やしながら歩いてきた目元は、それでもちょっと赤い。 血の流れたあと。命が削られた痕跡。 いやに静かな、すべてが決着した後のその場所。 「……ごめんね。 来るの。おそすぎたかな……」 長身に隠れて、まだ、決定的な何かは見ていない。 (37) 2022/03/01(Tue) 20:01:32 |
【人】 普通 ナツメ>>薬局 もうひとつ続きます 「え」 ――――死んでしまった? ――歩けないほどの、怪我? 身じろぎすると、ひやり。 スカートの生地越し、鋭い冷気を腿に感じる。 一瞬、目の前の光景にくらりと遠のきかけた思考が鮮明に呼び戻される。 まだ溶け切っていないそれで、 赤い目を冷やしてきた理由を思い出して。 自分への呼びかけに、ひとつ頷いて動き始めた。 (40) 2022/03/01(Tue) 20:26:11 |
【人】 普通 ナツメ>>薬局 息を吸って、吐いて。 「大丈夫、アクタくん。 がんばってくれて、ありがとう。 ……遅れて、ごめんね?」 駆け寄って、そう口に出す。 もう大丈夫だから、と伝わるように。 それから、膝をついて、怪我人の顔を覗き込んで。 「えっと……大丈夫……? じゃ、ないと、おもうんですけど……」 「休めるとこ、運びます。 合議は、ちょっとくらい、待ってくれるはずです。 あ……運ぶのに、担架、みたいなの。いるんだね」 「ユスくん、出せそう?」 少女は、息をしているものを優先した。 この場で頽れずに直視できる、ぎりぎりがそこだった。 (41) 2022/03/01(Tue) 20:28:56 |