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【人】 宮野 利光[ ぶるりとひとつ頭を振って。 また元のように岩場に腰をかけて。 にこにこと笑う仮面を被って 彼女を見ていることでしょう。 瞬きすら惜しむように、じっと。 * (17) 2020/09/07(Mon) 10:40:19 |
【赤】 宮野 利光[ ちり、ちり、と 腑の中に燻る、艶羨の 燈 淫らに重なり合う二人は夢中のよう。 口元には笑みを絶やさぬまま けれど目つきは幾分鋭くなっているのが 自分でも分かります。 こちらに目をやる彼女と視線が合うたなら その胸元に咲いた紅い 花 を触れられぬ距離でそっと指差して そのまま己の手の甲から人差し指に 唇を這わせて がり、と歯を立てましょう ] (*64) 2020/09/07(Mon) 15:38:39 |
【赤】 宮野 利光[ ぎらりとした目で見つめながら 上がる口角は何を待つのでしょう。 じんわりと滲む己の血を 見せつけるようにぺろりと舐め取って くつくつとまた喉を鳴らして 彼女を見ていましょうか。 ざぁと時折強く吹く風が、 露天に植えられた木々を揺すって まるで囃し立てるように鳴きました。 ]* (*65) 2020/09/07(Mon) 15:41:30 |
【赤】 宮野 利光[ きゅうと寄せられた眉は、 それは己に向けられた物 奥底に吹き荒れる黒い嵐を どうにか抑え込むように 含み笑いを喉で鳴らせばまた指を ゆっくりと舐め上げて。 胸元の紅い印を隠すように動く彼女と その豊かな谷間で捉えられた 男の物を少し冷やかに見下ろしました。 ] (*68) 2020/09/07(Mon) 17:47:44 |
【赤】 宮野 利光[ ざわと騒めく木々の揺れに 動きを合わせるようにそっと動いて 彼女の背中に音も無く近づいて。 夫を愛して止まぬ彼女を 愛されていると信じて疑わぬ男 と愛する資格さえ無い己 とで挟むように屈んで。 その白く薄い背中に指を伝わせました。 少し窪んでなだらかな曲線を描く背骨に沿って 上から下へと、触れるか否かという 繊細な距離で、そっと。 ]* (*69) 2020/09/07(Mon) 17:54:06 |
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