【人】 楯山 一利友紀さんの話を聞きながら 肉まんを食べきり、酒を口にする。 …おっと。もう空になってしまった。 すかさず次の缶に手を出し、開けて飲んだ。 「ファンの鑑」だと俺が言った後の 友紀さんの表情は、なんだか困ったような 釈然としないような感じに見えた。>>98 あまり自覚がないのか、 それとも色々と考えすぎる性格故に 模範的と言えるような存在ではないと思っているのか。 そこは分からなかったけど……。 芸能人ってのは、自分の努力だけじゃなく 友紀さんのようなファンの支えもあるからこそ 輝き続けることが出来るんじゃないかなって。 だから、その人からすれば "ファンの皆様"って立場になると思うし。>>99 友紀さんはその中でも特に 熱意溢れる大ファンだったんだから 大事にすべきファン様だろうって思うんだよね。 (117) 2022/10/16(Sun) 13:32:46 |
【人】 楯山 一利だから、なんでそんなに 自信なさげなのかは分からなかったが こうやって話を聞いている限りでは 誰かの為にあんなに熱意を注げて、 長年ファン活動を続けられるって言うのは 並大抵のことではないよなぁって思うから ファンとして、もっと誇りや 自信を持っても良いんじゃないかって思った。 (118) 2022/10/16(Sun) 13:33:49 |
【人】 楯山 一利「文句を言う価値もない、かぁ…。 友紀さんの中で、あの人は そこまで落ちぶれちゃったんですか? もう……全部、大嫌いなんですか?」 浮気をしたから、人としてもう無理。 な領域にまで入ってるのは、聞いてて分かるけど その人の良かったところ、大好きだったところまで すべて悪で、無かった事に出来るものなのか? そこまで、相手を否定出来るものなんだろうか? 俺が同じ立場だったら、友紀さんのように 当然怒りはするし、悲しむと思うけど 価値がないと思う所まで 見放すことは出来ないかな。 相手が手の届かない太陽みたいな存在でも。>>100 長い間ずっと見つめ、応援して来た人で 恋焦がれて来た人のことを、完全に嫌いにはなれない。 (119) 2022/10/16(Sun) 13:34:35 |
【人】 楯山 一利だからこそ、思う。 その人の為にも、結婚相手の為にも ……周りの応援してくれる人たちの為にも。 ちゃんと自分の行いを悔いて改めて もう二度と繰り返さないようにしてほしい。と それに、全てを否定してしまったら 自分が今まで応援して来た行動だって 否定しちまうようなことにもなりそうで それこそ悲しいし、余計に空しくなりそうだ。 まぁ、これはあくまでも俺の考えだし 本人が考える時間を減らしたいと言ってる以上 そういう考えを、強く推す気はないけど。 (120) 2022/10/16(Sun) 13:35:17 |
【人】 楯山 一利「無理に、考える時間を減らそうとか 忘れようとしなくても、 良いんじゃないですかね。 友紀さんのその気持ちは、 これからも大事にして良いと思うんですよ。 だってそれだけ、大好きだったんですから。 恋した気持ちも、応援して来たことまでも 否定しないでくださいね。 友紀さんのやって来た事は 寧ろ、誇って良い。と、俺は思うんで。」 自分の気持ちを涙を流しながら吐露する 友紀さんを見ていたら、ちょっと情が湧いて来て なんか励ましたくなった。>>101 こうやって心底悲しむファンがいるってこと どうにかその人に伝われば良いのになぁ……。 (121) 2022/10/16(Sun) 13:35:58 |
【人】 楯山 一利おでんのこんにゃくに齧りついた。 もうアツアツじゃないけど、 まだほんのり温かかくて美味かった。 公園に来たばかりの時よりも ちょっと気温が下がって来た気がするが 酒と温かい食い物のお陰で、内側はポカポカ。 でも酔っている感じはない。 至って俺の頭はクリアだった。 友紀さんは、吐き出して少し落ち着いたのか 今度は俺のことを尋ねて来た。>>102 俺のことなんて、友紀さんに比べたら 本当にくだらないからなぁ…。 話すのも、なんか恥ずかしいくらい。 でも友紀さんだって、恥を忍んで こうして打ち明けてくれたワケだろうし…。 中身が空になるまで、酒を一気に飲み干し 3本目の缶を開けたところで 観念したように、腹を割って話し始める。 (122) 2022/10/16(Sun) 13:36:57 |
【人】 楯山 一利「俺、幼馴染のアイツのこと……好きなんですよ。 姉としてじゃなく、女の子として。 でも、アイツはずっと 俺の事を弟としか見ていない。 だから、カッコ良くなって アイツを見返し……まぁ、振り向いて欲しくて 高校を卒業する頃から ブレイクダンスを始めたんすよね。」 ストリートダンスの一種で ヒップホップとか、ロッキンとか まぁ色々あるけどその中の、ブレイキンってやつ。 オリンピックの競技にもなったぐらい 結構メジャーな種目になって来ているんだけど 知ってますか?めちゃくちゃカッコイイんすよ! と、ダンスに関しては 嬉しそうに軽く説明をしたことだろう。 (123) 2022/10/16(Sun) 13:38:52 |
【人】 楯山 一利「始めて、もう3年になるんですけど ブレイクダンスのチームに所属して 毎日集まって、皆でダンスの練習してるんです でもアイツは、俺が悪い輩とつるんでる って思ってみるみたいで……。 まぁ、確かに見た目柄悪い連中多いですけど 別にやましい事も悪い事もしてないし 純粋にみんな、ダンスが好きで頑張ってるだけで。 なのに、なんも知らない癖に 両親や姉の私に心配かけさせんな って、咎めて来るんすよね……。」 そりゃ、何度も誤解を解こうとしたさ。 でも……いざアイツの顔を見て話をすると 頑張ってる事とか、始めた理由とか…… 素直に話せなくなっちまうんです。と 溜息混じりにぼやいて、ナッツをつまんだ。 「だからまぁ……さっきも言いましたけど>>94 俺がつまんねー意地張っちゃっただけです。 どうやったら、素直になれるんですかね……。」 友紀さんみたいに、好きな人に対して 目に見えて分かるぐらい 真っ直ぐな態度でいられるのって難しい。 チーズを齧りながら、公園の木々に目を移した。* (124) 2022/10/16(Sun) 13:41:22 |
【人】 楯山 一利友紀さんが抱いてた今までの気持ちも行動も 全部否定する程ってワケじゃないなら良かった。>>125 名前を付けて保存とか、上書き保存は 聞いたことはある気がする。>>126 あんまり考えたことなかったけど 男女の価値観の違いがあるんだろうなぁ…。 言われて見ればそうかも。 アイツ以外に恋をしたことはないけど 自分の事を好きだと言ってくれた子は 全員ちゃんと憶えてるし……。 って、またそれは違う話かも。 友紀さんの言い方はちょっと物騒だけど カビの生えてしまったものを放置しておけば、 いずれは他の綺麗な部分にまで侵食して 真っ黒になってしまう。 だからその前に、しっかりと除去したい。 綺麗な思い出をずっと遺す為に……。 ってことなのかなぁ。と そういうことなら、分かる気もするんだ。>>126 (143) 2022/10/16(Sun) 22:54:57 |
【人】 楯山 一利時間は掛かるだろうけど 徐々に心の整理をつけていって 好きだった気持ちとか、情熱とかを 大切な思い出に昇華出来れば良い。 友紀さんが少し笑ってくれたから>>127 こうやって吐き出すことによって ちょっとでも、スッキリ出来たのかなぁって。 それなら一緒に飲んだ甲斐があるし。 「きっと出来ますよ。友紀さんなら。」 自分の心を慰めて、護ることは大事なこと。 今までの気持ちに対しての、"これから"だって ちゃんと考えられる人なんだから。 貴女は強い人だから、想い出に出来ますよ って。安心させるみたいに、俺も笑顔で返した。 なんかいつも以上に 酒もおでんも、旨いなぁ……。 ぐいっと発泡酒を煽った。 (144) 2022/10/16(Sun) 22:55:15 |
【人】 楯山 一利友紀さんがぽつぽつと口にする疑問には>>128 思い当たることはチラホラあって。 「んー……。 将来の心配も、されてるかもしんないっすね。 バイトを転々としてて、定職に就いてないですし。 要は、フリーター……です。」 あんまり胸張って言える事じゃないから ちょっとバツが悪そうな感じに、頭を掻いた。 そういえば、友紀さんって働いてんのかな。 幾つぐらいなんだろう…? 俺よりも年上に見えるんだけど 子供の時から、あの俳優さんを応援してたなら 俺と同年代だったりすんのかなぁ? まぁ最近の風潮的に 女性に年齢の事とか身の上を訊くと セクハラになるっぽいから 初対面でもあるし、質問は出来なかったけど。 (145) 2022/10/16(Sun) 22:55:48 |
【人】 楯山 一利ダンスに対しての真剣度、か……。 始めようとした理由は物凄く個人的なことだけど なんでブレイクダンスにしたかってのは 路上でダンスしている人たちを見て 純粋にカッコイイって憧れたから。だったな。 始めてみたら、案外楽しくて ハマっちゃったってのもあるけど。>>129 「最初は…… アイツに異性として見て欲しいって。 そんな思いから、でしたよ。 でも、始めてみたら楽しくなって 周りのダンサーたちの実力を見て 俺も頑張ろうって、意気込んで。 いずれは、デカい大会に出たいなって思ってます。 子供の時からやってる人たちと タメ張れるぐらいには、上手くなりたいって。 流石に、まだ実力はないんで 食っていけるようになれるとは思ってませんが …真剣で、やってます。」 ただそういう思いを、親やアイツに 伝えた事なんて一度もなかったな…って 友紀さんに言われて気付かされる。 (146) 2022/10/16(Sun) 22:56:48 |
【人】 楯山 一利でも、真剣に伝えたところで 鼻で笑われるか、怒られるかとしか思えず 言い出せなかったってのもあるなぁ。 特に、アイツには……。 「アイツとはもう、子供の頃から一緒で 近過ぎる故に……ですかね。 今更、どう話せば良いかも分かんないです。 それに友紀さんの言う通り…… 怖いんだと思います。 もしも拒まれたら、姉弟どころか それ以下になっちまうんじゃないか、って。」 真剣度も、アイツに対する想いも。 言葉にすることで、どうなってしまうのか。 それを恐れて、口には出せずに どうにかして動いた結果が、これだった。 自分の女々しさに嫌気が刺して溜息を吐く。 超遠回りしてるのも否めないし。>>130>>131 (147) 2022/10/16(Sun) 22:57:53 |
【人】 楯山 一利「どっちが上……か。 なんか、難しいっすね。 どっちも……大事です。 贅沢かもしんないですけど。 俺の想いが通じて、今以上に 男女として付き合えたら理想ですし ブレイクダンスの良さも、 俺がマジに頑張ってることも 分かって欲しい気持ちもありますし。」 アイツが俺を男として意識してくれるには、 友紀さんの言う通り、結局は自分の気持ちを しっかり伝えないとダメ…なんだろうけど。 「今更……好きだなんて言って マジに受け取って貰えますかね。 アイツにとっちゃ、俺は弟なワケですし。」 まるで行き場を失って 袋小路にハマっているような気分だ。 どうしたって、抜け出せない関係性。 そう思い込んでいるだけかもしれないが そうじゃないと言い切れる保証だってない。 俺は情けなくも、頭を抱え込んだ。* (148) 2022/10/16(Sun) 23:01:25 |
【人】 楯山 一利と、思い違いをしちゃっただろう。 だから、「すんません。」と ペコっと会釈だけして、 公園を突っ切っていく人を見送る。 日も暮れて来ただろうか。 少し気温も下がったかもしれない。 まぁ俺は酒のお陰であんまり寒くないけど 友紀さんは大丈夫なのかな?と、チラリ。 視線を戻した。** (150) 2022/10/16(Sun) 23:07:21 |
(a22) 2022/10/16(Sun) 23:24:05 |
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