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人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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視点:


【人】 司書 エルナト

姿を再び見せてくれる人。
入れ替わるように消えていく人。

今日はちゃんと定刻より早く、つまりいつも通りの時間に
食堂の椅子に座って、周りを見て。

昨日、待っててと言ったまま消えた子は。
案の定今日の朝は現れないことを確認して。
あぁ、と一人、納得の息をついて。


「……皆、ご飯はちゃんと食べようね。」

昨日、食べたご飯のおかげで、随分ましになった空腹感に
安堵の息をついて、そう言葉を吐くのだった。
(0) 2022/05/06(Fri) 21:08:13
エルナトは、「昨日までの君の方が好きだった」とはっきり告げた。たとえ今の君も君だとしても。
(a3) 2022/05/06(Fri) 21:21:49

エルナトは、喪失感を覚えている。それは、それは例えるなら…………
(a4) 2022/05/06(Fri) 21:23:21

【独】 司書 エルナト

「僕の可愛いペットが、居なくなっちゃった……」
「あーあ、残念。」
(-8) 2022/05/06(Fri) 21:23:57
エルナトは、………朝、部屋の置手紙にひとつ、息を吐いてから食堂に来たのだろう。
(a5) 2022/05/06(Fri) 21:24:28

【人】 司書 エルナト

>>1 クロノ

「………?」
「クロノさん、どうかした?」

食堂で食事の準備もしない君が目に付いて。
ゆっくりとした足取りで近づきながら、声をかける。
(2) 2022/05/06(Fri) 21:27:28

【人】 司書 エルナト

「……なら、いいけれど。」

明らかに様子がおかしい姿。
でも、問いただしても仕方ないから、そのまま見送る。
………随分と変わり果てた、同級生の姿も。

君の声、好きだったんだけどな。


お腹をさすった。


「…そろそろ行こうかな。」
「図書室は今日も営業中だから、よろしくね。」

そうとだけ告げて、食堂を出て行った。
(5) 2022/05/06(Fri) 21:57:53
エルナトは、今日も図書室で本を読んでいる。いつも通り。
(a10) 2022/05/06(Fri) 22:12:23

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

「リアンさん。」

食堂から、図書室に向かうまでの廊下。
ゆったりとした動作で歩いてる所に声を掛けられて、
振り返ってその姿を見る。
端麗な顔………は、もう随分仮面で見えなくなっているが。
それでも直ぐに誰か判断できる程度には、聞き慣れた声だった。

「………。」

質問に、少しの間。
いつも浮かべてる柔らかな笑みは変わらないまま。

「昨日はね、ちゃんと食べたんだ。」
「でも、やっぱりお腹いっぱいには食べられないね。」
「成長期だからか、すぐお腹が空いちゃって。」

あはは、と笑う。
少年の食事の風景は、多くの人が一度も見たことがない。
(-23) 2022/05/06(Fri) 22:34:46

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

「あはは………そうだね、人前では食べないかな。」
「可哀想だから。」

という、なんだか普通とはずれた回答。
てく、てくとそちらに近づいて、目の前まで立てば、
身長差分、少し見上げる形。

続けられる質問には、くすくす、と笑い。

「もしかして、心配してくれている?」
「やっぱり上級生は、下級生の事が気になるのかな。」
     
あなた

それとも、"王"だからかな?なんて首を傾げて。
うーん、と顎に指をあてて、思案して。

「まぁ、そうだね。体質……というか、病気かな。」
「人と同じものが食べられないから。」
「……あなたなら僕のご飯が作れるよって言ったら」
「食べさせてくれる?」

ちらり、と鷹色の目が君を見る。
お腹をさする。
お腹が空いて仕方ないな。仕方ないよ。
ご飯を目の前にしたら、お腹が減るのは仕方のない事。
じわり、溢れる唾液を、こくりと飲み込んだ。
(-26) 2022/05/06(Fri) 23:07:26

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

少年はほとんどの時間をここで過ごしてきた。
親には捨てられたと自認しているし、実際にそう。
此処での暮らしは、どちらかと言えば育ちが良い方、
になるのかもしれないが。

「へぇ、どんな思惑?」
「ラピスさんは優しそうだよね、あんまり関わりはないけど。」
「よく、下級生のお世話をしてるのをみるし。」

何にせよ気にかけられているのは事実。
嬉しいね、なんて笑う。無邪気な笑み。
異彩の両眼をじっと眺めて。

「本当に?」
「うん、大丈夫、貴方でも用意できるよ。」
「人なら誰だって用意できる。」

その言葉を聞けば。
嬉しそうに、身体を寄せる。

許しまで得たら、もう我慢できない。
空腹は耐えがたい。


(-29) 2022/05/06(Fri) 23:35:38

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

それから、手を君の頬へ伸ばす。
拒まれなければ、両の手で触れる。

「僕ね。」
「……人の体液しか食べられないんだ。」

そうして、告白する。
自らの病を、自らの食事の対象を。

「汗とか、涙とか、唾液とか。」
「…血とか、尿とか、精液とか。」
「そういうものしか食べられなくて。」

だから、人前でそれを食べるようなことはしないし。
お腹いっぱい、食べる事も出来ない。
そもそも、分け与えてくれる人自体が少ないから。
気持ち悪いから。


だから、お腹が減って仕方ない時は。
自分でも抑えつけられるような、初等部の子を無理やり。
"食事"にしていた。これまで、ずっと。
他の班の子を。……最近は、この班の子まで。


「リアンさん。」
「食べてもいいの?」

少し荒くなった息。熱を上らせた顔は。
餌を前にした、飢えた獣のようであった。
空腹の抑えが利かない。
(-32) 2022/05/06(Fri) 23:42:35
司書 エルナトは、メモを貼った。
(a14) 2022/05/06(Fri) 23:56:50

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

「殊勝な考えだね。素敵なことだと思う。」
「どんな理由であれ、気にかけてくれて悪い気はしないもの。」
「……悪い気がする人もいるだろうけど。」

赤髪の彼を思い浮かべつつ。
まぁ、あれは特殊な例というものだろう。

「高く評価してるんだね。ラピスさんの事。」
「仲はいいの?」

なんていう雑談。
普通の少年らしく、人の事には興味があった。

(-45) 2022/05/07(Sat) 0:30:21

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

でも、普通の少年ではないから。
今、こんなに飢えに苦しんでいる。

「………わぁ。」

はらりと取れた化粧。
その内側にある黒いものに、声を上げ。

「どうしたの?これ。貴方の病気?」
「すごいね、気付かなかったな。」

もう少し化粧を爪で落として、しげしげと見つめる。
それから、齎される言葉には。

ふ、と思わず吹き出して、それから、笑い声をあげた。

「あっはははは…………おかしい事言うんだ、リアンさん。」
「貴方はミルクを飲むときに、牛の柄を気にするの?」
「僕にとっての貴方達は、そういう存在なんだ。」

ずっとこの食性で生きてきたから。
人間を牛や豚と同じ『家畜』としてしか見れない。
自分に食糧を提供するだけの生き物。
良くてかわいいペット、その程度の、認知。


空き教室に、後ろからついていき。
扉を閉めれば、そのまま鍵まで。

(-46) 2022/05/07(Sat) 0:37:08

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

それから、貴方に抱き着いた。
ぎゅっと、身体を押し付け熱を伝えるのは。
愛や恋や性によるものではなく。
ただ、熱して汗を出させるためだけの捕食行動。

首に腕を回して、見上げる。



「……ちゅーしていい?」



汗も涙も、今は出ていない。
だから一番すぐに取れる給餌手段を、口に出した。
(-47) 2022/05/07(Sat) 0:40:39

【秘】 司書 エルナト → 優位 リアン

随分周りをよく見ているのだろうな、と思った。
やはり王という自認がそうさせるのだろうか。
あるいは元から面倒見のいい性格なのかもしれないが。

「疲れるんじゃない、隠し事をするのって。」
「他に知ってる人はいないの?」

流石に同室の人に隠すのは大変な気もするし、
多少は知られているのかもしれない。
それでもきっと、多くの人は君を、見た目麗しい上級生くらいにしか思っていないだろう。自分もそうだったし。
それらの努力も全て王であるためというならば、
それはもはや、執念にも近いものだな、と思った。

「そんなに王であることが大事?」

広がる黒に、これ以上ここで暴いて、
誰かが通ったら困るだろうと、指を止めて。

(-56) 2022/05/07(Sat) 2:13:30

【秘】 雛鳥 エルナト → 優位 リアン

それから、"王への嘆願"が、笑い飛ばされたことに。
少年は少しだけ、泣きそうな顔をして。
ご馳走が乗ったお皿を下げられたみたいな気分。

でも、その後の行動に。
"王からの贈物"に。

「…ん……ちょうだい…………?」


舌を出して、受け止めるように。
垂らされたそれを、口の中に運んで。
ぬちゅ、と口の中で転がして、絡めて。
君の顔を、とろんとした目で見つめながらずっと、そうして。
それからようやく、こくん、と喉を鳴らして飲み込んで。
はぁ、と漏れた熱い吐息は。
すこしばかり君の香りに染まっていた。


「ねぇ、もっと……もっと欲しい…………」


上気した顔で、尚も求めるように口を開いて待つ少年は。
さながら、雛鳥のようにも見えるだろう。
(-57) 2022/05/07(Sat) 2:21:07

【秘】 雛鳥 エルナト → 王 リアン

「おや、じゃあ意外とレアだ。」
「嬉しいね、王の秘密を知っちゃった。」
「穴倉に叫ばないといけないかもね。」

ロバ耳の王様。
本好きな少年らしいジョークであった。
勿論、実際に口外するようなことはしない。
隠されたものを暴いて広める趣味もない。

「……そう、やっぱり貴族って。」
「そう言うのがとっても、大事なんだね。」

という顔は、此処に来て初めて少しばかり陰りを見せた。
少年と同室の彼が貴族の生まれであるというのは、だれしもに知られている話。
彼も常に模範であろうと、立派な大人であろうとしている。
そのために"治療"を受け、薬の力まで借りて。


「……あんまりわかんないや。」
「肩書き通りに振舞うのって、疲れそう。」

なに一つの重荷も背負ってない少年には、
その覚悟も、プレッシャーも、理解はできないのであった。

(-79) 2022/05/07(Sat) 16:59:57

【秘】 雛鳥 エルナト → 王 リアン

「ぅぁ………」


体を離されれば切なげな声。
しかし給餌がまだ終わらない事を知れば、
はやく、はやくとせびるように自分の体を抱いて。

鮮血が、溢れて。


「あぁ………っ」


という小さな叫びは。
その腕のグロテスクな様相に。
突き立った鋏が齎した生々しい傷に。
……ではなく。

床に零れてしまったご飯への、悲しみから。


でも、すぐに新鮮なご飯の方に目を向けて。
君の手を、抱くように掴んで。
服が汚れようと気にすることもなく。
その傷を上から、下まで。
這うように、ぬるりとした舌が撫で上げるように。
動いて、血を掬っていく。

「…おい、しい………リアンさんの……とっても…美味しいよ………」


ほんの少し前まで、血を口にするのには抵抗があったのに。
今はもう、何も感じはしなかった。

血を吸いだそうと強く吸い付けば、
君に強い痛みを与えるだろうか。
(-80) 2022/05/07(Sat) 17:07:07

【人】 司書 エルナト

>>+9 バレンタイン

ちらり、と。
建物の影からひょっこり顔を出す少年が一人。
そこに目当ての人物がいることを確認し、
少し悩み………それから、小走りで駆け寄る。

「バレンタインくん。起き……てるよね?」

確か目は動いてたはず。
正面にいた方が良いかな、と立ち位置を整えて。

「本、読めたかなって。」

その状態だと読めないんじゃないかな、なんて。
一つの心配であった。
(7) 2022/05/07(Sat) 19:00:07

【人】 司書 エルナト

>>+10 バレンタイン

「…そう、よかった。」

いつも少し眠たげな声。
先日ははきはきとした声。
今はそのどちらでもなく、何の感情もない電子的な声。
どうしたって、いつものように微笑むことはできない。
可愛がっていたペットが、補助具を付けないと
歩けなくなったような……そんな気持ち。


「……謝らないでよ。別にいいんだ。」
「最後まで読もうとしてくれたなら嬉しいな。」
「本は、最後まで読まないと意味がないからね。」

物語なんて、ラスト一ページで急に変わったりするものだから、と。
少し眉を下げながらも、微笑んで。

「……まだわかんないよ。何か起きるかもしれないさ。」
「……そうだ!本、今どこにある?」
「良かったら、読み聞かせしてあげようか?」

結構、初等部の子達にも好評なんだよ、なんて。
今度はしっかりと笑いかけて見せて。
(9) 2022/05/07(Sat) 19:31:32

【人】 司書 エルナト

>>+11 バレンタイン

「……うん、よかった。」
「君が、ただの器だけになってしまったらって、心配だったけど。」
「ちゃんと君が、そこにいるみたいで、良かった。」

動かぬ体、電子の声。
人と呼ぶには些かばかり冷たくなりすぎてしまったけれど。
でも、きちんと心は君のまま。
それに、何もかもを投げ捨てたりしてるわけでもない。
君が落ち込んでいないのならば。
自分が悲しんでいてはいけないなと、緩く首を振り。

「………それ、図書室から持ってった本じゃないよね?」
「数か月前から転々と帰ってきてない本があるけれど…」

すこしじと……っと君を見て。
それから、大丈夫だよ、と仕方なさそうに笑って。

「じゃあ、探してくるから少し待ってて。」

そうして一度、君達の部屋まで。
何事も無ければそれなりの時間の後、帰ってくるだろう。
(12) 2022/05/07(Sat) 20:08:04
エルナトは、パンの香りを良いとは思えないし、味なんてわかりもしないけど。でも、パンを食べる皆の顔は好きだった。
(a20) 2022/05/07(Sat) 20:09:18

エルナトは、そこかしこに置いてある本に溜息をついて、目当ての本を探す。
(a22) 2022/05/07(Sat) 20:31:24

エルナトは、ベッドの上にあったそれを拾い上げる。今まではここで寝ながら読んでいたのだろうか。
(a23) 2022/05/07(Sat) 20:44:46

エルナトは、少しだけ部屋を見まわしてから、君の元へと戻らないと、と足を出口へ向けた。
(a24) 2022/05/07(Sat) 20:56:48

エルナトは、本を両手で抱えて、来た道を戻る。
(a25) 2022/05/07(Sat) 21:25:33

エルナトは、この本の結末は、そんなに大きなどんでん返しもない、普通のものだけど。
(a26) 2022/05/07(Sat) 21:26:07

エルナトは、その普通をしっかりと受け止めることが、大事なのだと思うから。
(a27) 2022/05/07(Sat) 21:26:40

【人】 司書 エルナト

>>+12 バレンタイン

「……や、おまたせ。」

とてとて、小走りに戻ってくる。
両手で抱えるのは、烏と兎の絵が描かれた本。
君の正面にまた立って。

「本当にいろんな本が散らばってたね。」
「ちゃんと読んで、元の場所に戻しなさい。」

なんて言うお叱りも飛ばしつつ。

「どこまで読んだ?」
「続きから、読んであげようね。」

ぱらり、本を捲りながら、問いかけた。
(14) 2022/05/07(Sat) 21:30:17

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

「そうしたくて振舞う………」
「……そうしたほうが、楽?だから?」
「まぁ……やりたいことをやってるなら、いいのかな。」

一方でおそらくは前者側である彼は。
責任感とプレッシャーに押しつぶされて、そうして。
自分の心の成長を、薬に頼ってしまった。
彼の止まり木になれなかったことは、少し悲しく思う。

「うーん、確かに、肩書………」
「でも僕は、元々本は好きで、丁寧に扱ってたから。」
「あんまり肩書によって、って言うのはないのかも。」
「…あ、でも本が図書室に帰ってきてないと気になったりするなぁ……。」

これが責任って言うものなのかも。
そんな風に考えたり微笑んだりする少年は、
年相応の無邪気な様子であった。

(-101) 2022/05/07(Sat) 21:37:05

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

一方で、餌を与えられる少年は。
どこか妖艶で、大人びてるような、逆に幼いような。
まるで本当に蜜月の時を交わしてるかのような、その姿は。
やっぱり、そういう姿を見せればより多くの"ご飯"を生み出してくれると
わかっていてそうしている、捕食行動の一つでしかない。


「もっと…………もっと…………」


食べれど食べれど収まらない空腹。
甘ったるい声で懇願して、口の周りまで紅で汚して。
ぺろ、ぺろ、浮き出した汗まで丹念に舐め取る。
その細長い指の一つ一つを口に含んで、指の間に舌を這わせて。
それでも全然足りなくて、もっと、もっと欲しくて。
だから。


真新しい傷口に、思いっきり歯を突き立てた。


「美味しい……熱い……好き………リアンさん………好き…………」


ドバっと溢れ出した血を思いっきり吸って。
ぐい、と体を押し付けて、叶うなら押し倒してしまおうと。
愛を語るその言葉もやっぱり。
何一つの感情も灯らない、ただの捕食行動でしかない。
病で歪んだ少年の、ありふれた食事だ。
(-102) 2022/05/07(Sat) 21:47:36

【人】 司書 エルナト

>>+13 バレンタイン

「ん、じゃあ124ページからかな。」
「結構読んではいたんだね。」

残りはそんなに長くない。
夕ご飯までには読み終われるくらいの量。
例え君から何の反応もこなくとも。
きちんと、最後まで読み終えよう。
それが友達として、君にしてあげられる事だろうから。

縮まった距離。
文字が見えた方が良いかな、と隣に寄り添う形にして。
二人で本を覗き込む姿勢になって。

「………うん、いいよ。」
「ちゃんと読むなら、いくらでも時間をかけて。」
「きっと本たちもそうしてもらいたがってる。」

にっこり微笑んで。
それから、ゆっくり、穏やかで柔らかな。
変声期の来ていない、ボーイソプラノの声で読み上げていくのだった。
(15) 2022/05/07(Sat) 22:07:39
エルナトは、「太陽には烏、月には兎───」「三つ足の烏は玉兎めがけてついに羽根を広げ────」
(a28) 2022/05/07(Sat) 22:08:55

エルナトは、静かに、読み進めていく。
(a29) 2022/05/07(Sat) 22:09:09

エルナトは、淀みなく読み上げていく。空が赤く染まる頃、ついに指は最後のページを捲り。
(a30) 2022/05/07(Sat) 22:30:06

エルナトは、「────めでたし、めでたし。」金烏玉兎の話を、君に聞かせたことだろう。
(a31) 2022/05/07(Sat) 22:31:03

【人】 司書 エルナト

>>+15 バレンタイン

当たり前の物語が、当たり前の結末を辿る。
ありふれた恋物語。
どこにでもある、普通の。
辿るべきところを辿った物語。

きっと世の中の全ての事は、同じように。
何一つ気にかけずとも、流れていくはずで。

「………?センセイ?」

君がどこかに語った言葉は、少年宛ではなくて。
だからそれの理解はできなかったけれど。

「……満足できたかな、なら、よかった。」
「…そろそろ晩御飯時だ。バレンタインくんは、ご飯は食べられないかな。」
「顔くらいは出しておく?」

出すなら、君の車椅子を押して共に食堂に向かうし。
そうでないなら、またね、と微笑んで。
本は図書室に戻すため、抱えて。
建物の中へ歩を向ける事だろう。
(16) 2022/05/08(Sun) 0:27:32

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

たとえ何一つ意味がなくとも、
その捕食行動はやめられない。
食虫植物が、常に虫を誘引する香りを出すように。
ただただ決められた行動を、顔を、声を出すだけ。

服も顔も、君の紅色に染まっていく。
でもそれを気にすることもない。
少年は、非力な方ではあるけれど。
血の抜かれた人間に負けるほどではなく。
引きはがされそうになれば、反発するように身を寄せて。
自分事倒れ込むように、押し倒す。

「何が違うの……?わかんない、わかんないよ………
 だって、貴方達は僕のご飯でしょ………?
 ご飯が好き……リアンさんが好き……すき、すき………っ」


ひと

君と飯の違いが理解できない少年は。
例えば唐揚げを食べて、鶏が好きだというくらいの温度で。
君に蜂蜜のような愛を囁き続ける。
馬乗りに胴体に乗って、顔を寄せて。

「ね、ちゅー……ちゅーしよ……?」
「ちゅーしたい………お願い………ちゅーしたいの…………」


泣きそうな顔で懇願して。
それが受け入れられれば、その薄い色の唇に貪りつくし───

(-116) 2022/05/08(Sun) 0:36:09

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

受け入れられないなら。
君の手に持たれたままの鋏を、奪い取って。

「もっと……もっと………っ」
「ぼくをいっぱいにして…………」


振りかざして。

肩に思いっきり振り下ろす。


何一つの躊躇もなく。
牛肉を得るために作業のように牛を屠殺するがごとく。
樹液を出すために木の皮を剥がすがごとく。
傷つけて、溢れたそれに貪りつくだろう。
(-117) 2022/05/08(Sun) 0:40:28
エルナトは、「今の方が君の事を沢山知れるのかもね」と車椅子の彼に笑って
(a35) 2022/05/08(Sun) 0:44:08

エルナトは、君が食堂に顔を出すと言えば、嬉しげに笑って。だって、友達と一緒の方が楽しいから。
(a36) 2022/05/08(Sun) 0:45:03

エルナトは、るんるんと、楽しげに君の車椅子を押しただろう。
(a37) 2022/05/08(Sun) 0:45:36

【秘】 司書 エルナト → 充実 バレンタイン

ちなみに、道中にて。

「…ねぇねぇ、バレンタインくん。」
「君の体って、動きはしないけど……」
「汗とか、泣いたりとか……トイレとか」
「そういうのも、完全に機能してないの?」

そんな質問をしたことだろう。
(-118) 2022/05/08(Sun) 0:47:08

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

今までは、もっと奇麗に食べていた。
そりゃあ、舐めたり吸ったりはしたけれど。
傷口に貪りついて、肉ごと食らいかねないほどに
獰猛に食事することはなかった。

でも

(-122) 2022/05/08(Sun) 1:19:27

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

        自
       分の病
      の気持ち悪
     さと、病のせい
    で誰一人真の意味で
   愛する事ができないと言 
  う苦痛と、それらが溜まりに
 溜まった結果、重度の過食症にな
 ってしまって、ただでさえ満足に
 取れなかった食事は、常に飢餓を
 訴える体を満たすことが難しくて
 それでも今日まで出来るだけ頑張
 って我慢してきたのだけど、もう
 限界で、その時に貴方が声をかけ
  てくれたから、もう、飢えた
   獣は貴方に縋るしかなく
    て、お腹をみたして
     
(-125) 2022/05/08(Sun) 1:35:10

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

受け入れられない。
苦しい、もっと、もっと食べたいのに。
この飢えを満たして、満たして。
満たしたらきっと、ちゃんと人を人として見る事が出来て、
そしたら僕も普通に人を愛したり、愛されたりできて。
もう親に捨てられるような、気持ち悪い子供でいずに済んで。
だからもっと食べないと、もっと、もっと。



もっと食べるには、こうするしかなかった。



噴水のように溢れる血を、ごくごくと喉を鳴らしながら飲んで。
やがてその音が徐々に、徐々に感覚を長くしていって。
満腹にはなれないまでも、軽く満たされれば。
捕食行動は、もうとる必要が無くて。
顔を、あげて。


「……リアン………さん………?」
「だい、じょうぶ………?」


ようやく、欲望が覚めてきた頭で貴方の状況を見下ろして。
少年は、もう甘ったるくない声で、そう問いかけた。
(-127) 2022/05/08(Sun) 1:40:47

【秘】 司書 エルナト → 充実 バレンタイン

「へぇ……そうなんだ。」
「……そうなんだ……………」


と、相槌を打つ声は。
少しばかりの熱を帯びて。
絶対に逃げない餌がここにいる。
じゃあ次、我慢できないくらいお腹が減ったら。


「……おむつとか変えてあげようか?」
「……なんてね。ふふ………」

ドキドキと高鳴る鼓動。
きっと君に聞こえることはないまま、食堂までの道を歩いた。
(-129) 2022/05/08(Sun) 1:45:10
エルナトは、本音を冗談の皮で隠して笑った。
(a38) 2022/05/08(Sun) 2:06:03

エルナトは、人が  にしか見えない。
(a39) 2022/05/08(Sun) 2:06:23

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

決して君が悪いわけじゃない。
少年は元から、誰とも関係を深められない。
だって、他人と自分を対等に見れないのだから。
例え長く交流をしていたってきっと、誰かの特別にはなれない。

少年はきっと、救われる術が存在しない。


「うん………だいぶましになった………」
「ごめんね、僕………ご、ごめんね………」

ペットを虐待してしまったような気分だった。
可愛がっていたのに、つい衝動的に。
申し訳なくて、とりあえず傷口を抑えて。
でも、出来るのはその程度で。

「どうしよう………トットくんがいればな……」
「このままだと死んじゃうかな……医務室まで運べるかな……」

床に広がる血が、したことの重さを物語る。
直ぐに安静な場所まで運ぶからね、と声を掛けつつ。
大人を呼ぶか、と思案を巡らせた。
(-134) 2022/05/08(Sun) 2:48:08

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

「それは」
「そうだけど…………。」

その為に人を傷つけてしまったことも。
血を飲むことに、何一つの抵抗が無くなってる事も。
傷つけたのに、心の底からそれを悪いと思えない自分と。

色んなものが申し訳なく感じて、言葉尻は下がっていく。

いずれ自分は、本当にただの怪物になってしまうのではないか、
そんな不安を、抱えて。

「……うん…………わかった。」
「聞いてみる……けど、今はあんまり喋らないで……」

体の負担だから、とぐっと傷口を抑えて。
多少痛いだろうが、我慢してもらうほかない。
きっと後程大人を呼んで、しっかりとした器具で運んでもらうはずだ。

「……トットくんの血を飲むと、回復力が上がるんだって。」
「だからきっと、それを飲めばすぐよくなると思うんだけど…」

本人から聞いた話。
どの道、今はまだ姿が見えないから、叶わぬ話。
(-149) 2022/05/08(Sun) 12:45:24

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

「……トットくん。」

ちらりと見かけた姿は、昨日とは若干変わっていて。
なんとも華やかな右目になっていた。
人によっては怖さすら感じるビジュアル。

「………大丈夫?」

昨日までは、ころころ表情が変わっていたのに。
今は夢見心地な笑顔だけな君に、声をかけた。
(-150) 2022/05/08(Sun) 12:55:09

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

流れのない水たまりに浮いた花弁のような動き。
花の蜜みたいに甘ったるい声。

可愛らしいけど、ちょっぴり不気味。


「うん、昨日帰ってこないから心配してたんだよ。」
「無事………ならいいけど。」

本当に無事かはおいておいて。
掲げられた紙袋に目を向けた。
お腹が減った。


「それは……大丈夫なのかな?」
「……お花の位置も変わってるけれど……」
「その目の花は、抜けないの?」

ちらり、見えてるかもわからない右目に視線を移し。
(-152) 2022/05/08(Sun) 13:10:28

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

「副反応………」

と聞くと、最初に思い浮かぶのは薬だが。
何か、されたのだろうなというのだけがわかる。
……気にしても仕方ない、そう思う。
どの道何かしてあげられることもないし。
きっと、望まれてもいない。

「戻るならまぁ、良かったかな。」

片目だけじゃお勉強もしにくいからね、と微笑んで。
それから、差し出された紙袋を受け取って。
ふわっと、花の香り。
大事なご飯。


「うん!ありがとう、すっごく欲しかったんだ。」
「………俺達って、前も言ってたけど。」
「君以外に誰かいるの?」
(-156) 2022/05/08(Sun) 16:25:03

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

夢見心地、がきっと一番正しい表現。
脳みそまで溶けてしまってるんじゃないかというほどの。
そんな印象を、抱いてしまう。

それで、君の言葉を聞いて。
指すものを見て。
想像することが正しいかどうか、分からないけど。

蛞蝓に寄生して、脳を乗っ取る虫がいるように。
君にとっての花が、そうなのかなとか。
だとしたら、それを食することは。


急に腕の中のものがなんだかおぞましく見えて。
それを。

(-161) 2022/05/08(Sun) 17:09:03

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

…手放すことが出来ないくらい、
少年はもうずっと、追い込まれているから。



紙袋の中に手を入れて、掴んだ何かも分からない花弁を。
口に運んで、舌先で転がして。
よく噛んで、飲み込む。胃が僅かに満たされる。

「…うん、とっても美味しいよ………」
「…君達の事、大好き…………」


熱っぽい瞳と声でそう告げる。
お腹が減った、満たしたい、満たしたい。

「本当は、その目の花も………」
「君自身も、食べちゃいたいくらい。」


君から出るご飯を、すべて食べたらお腹いっぱいになれるだろうから。
でも、そんな事をしたら気持ち悪く思われる。わかってる。
分かってるから、紙袋のもので我慢しなきゃと、また一つ、口に運ぶのだった。
(-163) 2022/05/08(Sun) 17:14:20

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

一方でこちらも、多幸感に満たされていた。
食べられる、満たされる。
食べられるものをいくらでも、いくらでも。
それがどれだけ、嬉しい事か。


花が咲いた瞬間をみれば、それが皿の上に載せられた
最高級の料理のようにも思えて。
だからもう、我慢なんてできなくて。

顔を近づけて。

咲いた花を直接齧って、引きちぎる。



「あぁぁぁ………っ!」



嬌声にも似た声をあげて、満たされる胃袋をさすって。
取り出されたものに、視線を動かして。

(-186) 2022/05/08(Sun) 19:34:10

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

「………いいの?」


指を絡めるようにして、その薄い刃を取る。
手が震える。
恐怖じゃなくて、………過ぎた幸福感から。

「いいの?」


荒くなる呼吸。
まるで、ソフトクリーム食べ放題の機械の前に立たされた子供みたいに。
好きなものを、好きな時に、好きなだけ。
それより幸せなことがあるだろうか?

「いいの?」

エルナトは、人が家畜にしか見えない。
だって、全てが自分の餌を生み出す存在だから。
だから。
家畜からご飯を得ることに、何の躊躇を持つことも無くて。


「いいの?」


だから、そんな事を言われてしまったら、もう。
……我慢なんてできない。



君の肩口に刃を宛がって。
思いっきり、引き裂いた。


そうして、君を抱きしめたまま、かぶりつくだろう。
(-188) 2022/05/08(Sun) 19:40:06

【置】 司書 エルナト

大人達に連れられて、どこかに連れてこられた。
園芸部の管理する場所の一つ。

「…………はい、僕がやりました。」

ぼや騒ぎも。
初等部の子への悪質な悪戯も。
2名への
常軌を逸した加害行為
も。

「…だって、ただの家畜じゃないですか。」
「あの子達も、貴方達も。」
「ただのご飯じゃないですか。」

ご飯を得るために行動をして、何が悪いのか。
エルナトはまるっきりわからなかった。
エルナトは歪んでいる。

エルナトは、人間を家畜にしか見れないから。
エルナトは、人に、家畜に思う以上の感情を抱けない。

大人達が溜息をつくのを、不思議そうに眺めた。

フゴフゴ、という音が聞こえた。
(L4) 2022/05/08(Sun) 19:45:19
公開: 2022/05/08(Sun) 20:45:00

【置】 司書 エルナト

───家畜と人が違うという事を、学びなさい。

大人達がそう言って、部屋を出て行った。
意味が分からなかった。
ようやく暗闇に視界が慣れてきて、
ここが豚の飼育小屋である事に気付いた。

「………気持ち悪い。」


エルナトにとって、人が家畜であるならば。
本来の家畜は、何一つの益ももたらさらない、
ただの気持ち悪い生物でしかなかった。
臭いし、不味いし、可愛くないし。
人はあんなに可愛いのに、なんでこいつらはこんなに
気持ち悪いのだろう、と常々思っていた。

「……?な、なに……?」

豚たちが自分に擦り寄ってくるのを見て、壁際に後ずさった。
(L5) 2022/05/08(Sun) 19:49:00
公開: 2022/05/08(Sun) 20:50:00

【置】 司書 エルナト

ガン!
と強く体当たりされて、つい尻餅をつく。
そこに、自分よりずっと重い生き物が、覆いかぶさる。

「さ、触らないでよ、きもちわる………っ!?」

なんて、悪態をつき終わる間もなく。
視界に入ったものをみて、ひっと小さく喉から声が出た。

「や、やだっやだやだやだ!!なにするの!?!」
「や、えっやめて!僕はお前と同じじゃない!」
「きっ気持ち悪い……!やだっ!やめろ!!」

おかしいと思った。
此処に入る前に、服を脱がされたことも。
何かを体に塗られたことも。
今、こいつらが興奮していることも。
その興奮の象徴を、大きく主張していることも。

人が家畜を食べ、少年が人を食べ、家畜が少年を食べる。



「い”っ…!痛いいたいいたいいたいイタイ!!!
 ぐっぎ、………ぃぃいいい!!!」



叫び声も、ミチミチと何かが無理に広がる音も。
獣が獣らしく動く音も、それに合わせて出る苦悶の声も。

どこにも聞こえることはなかった。
少年は、人と家畜の違いを知れた。
(L9) 2022/05/08(Sun) 19:56:10
公開: 2022/05/08(Sun) 20:55:00

【秘】 司書 エルナト → はなわずらいの トット

咲き乱れた花を食べる、食べる、食べる。
全部、ひとつ残らず、一つ逃さず。
口の中に、腹の中に収めては、悦に浸った声を出す。
君の声が、肉の焼ける音にすら聞こえるくらい、
もうエルナトは、君を食べ物にしかみれなかった。

「トットくん……好き……好きだよ………」
「君のご飯……美味しくて、気持ち良いよ………」


という愛の言葉も。
ただ、そう言えば、今までの"ご飯"はより多くの食べ物を
出してくれたからというだけの。
経験に基づく捕食行動でしかなくて。

強く強く抱きしめる。
傷口から血を絞り出すかの如く。
強く吸い付いて、互いの熱を伝え合う。

「もっとちょうだい?もっと……もっと………」
「壊れて何にも考えられないくらい…気持ちよくなって………?」


互いの快楽のために身を寄せ合う様は。
性交と何一つも変わらない様相で。
まだまだ、足りないから。

胴体をザクザクと突き刺した。


満足できるまで、ずっと。
(-204) 2022/05/08(Sun) 20:28:53
エルナトは、もう動かなくなった"餌"を、自室に持ち帰った。甲斐甲斐しく手当てをしよう。
(a57) 2022/05/08(Sun) 20:58:15

エルナトは、人が家畜のお世話をするように。
(a58) 2022/05/08(Sun) 20:58:32

 




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