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【人】 人造生物 ユスターシュ―― ジョスイ邸にて ―― [向かったのは、主様の嘗ての親友が暮らす屋敷。 屋敷の前までやってきて、当然のように門番に止められれば。] この家のご主人にお伝えください。 僕の主…『北の賢者』が借りていたものを返しに来た、と。 [そう門番に告げて小さな包みと封筒を門番に託そうとする。 包みの中身は、嘗て賢者が剣王より借り受けたピン留め。 北の地で互いに背を預け、共に此の地へやってきた 掛け替えのない親友から借りたもの。>>41] (63) 2022/11/30(Wed) 21:38:48 |
【人】 人造生物 ユスターシュ[もう一つの手紙には、差出人こそ書かれていないが賢者が愛したドナータが影街で息を引き取ったこと。 数年前に賢者が遠い地で命を落とした経緯について事細かに記されていた。] 『――貴方を許せと言われたら、それはできない。 ですが、僕は貴方に復讐するつもりはないし、 貴方を害そうとも思いません。 この街に来て、僕は色々な人や物を見てきました。 その中には貴方に支えられてここまできたという人もいました。>>48 僕は、貴方の人となりを全く知りません。 主様は、貴方のことを強欲な人だったと記していました。 でも、その強欲さがこの街に活気をもたらしたこと、 そして、貴方の強欲さに掬い上げられた人たちがいたこと 僕は僕自身の目でそれを見てきました。』 (64) 2022/11/30(Wed) 21:39:55 |
【人】 人造生物 ユスターシュ『主様の命に反しますが、僕は、復讐を望まない。 人間は、一人だけでは生きていけなくて。 誰かの命が失われるということは、 その人に連なる誰かが悲しむということだから。』 [主様が殺されたとき。 ドナータが息を引き取ったとき。 あのとき感じた張り裂けそうな悲しみや苦しみを、他の誰かに感じてほしくない。 それは、僕の願い。 僕自身が生きて、この街で生きる人たちに触れて思ったこと。 主様の親友にとって『美』こそが己の全てを賭して全うすべき道だというならば。 復讐を選ばない、誰かを悲しませないことが僕にとって選ぶべき道だ。] (65) 2022/11/30(Wed) 21:41:33 |
【人】 人造生物 ユスターシュ『貴方が突き進んできた『美』を貫く道に 破滅させられた人もきっとたくさんいたと思います。 僕の主様やドナータのように。 でも、貴方の『美』への姿勢に掬いあげられた人、 救われてきた人、貴方を愛した人だって きっと同じくらいいたのではないかと思います。 あらためてほしい、とは言いません。 だけど、時折でいいから自分の進んできた道を省みてほしい。 貴方の人生に関わった人たちに思いを馳せてほしい。 そして、そのなかに貴方を愛する人がいたならば ――どうか、その愛を大切にしてあげてほしいです。』 [もし、この手紙を読んだとして。 彼がこの言葉に耳を傾けてくれるかはわからない。 それでも、なにかしら石を投じたかった。 僕にとっての大切な人を、忘れないでほしかった。 彼に向けられた愛が切り捨てられることのないよう、願った。 そこに関して杞憂なのは知る由もないけれど 何れにせよこの手紙が屋敷の主の許に届く頃には、 包みと手紙を持ってきた者は既にその場を後にしているはず]* (66) 2022/11/30(Wed) 21:42:21 |
【人】 人造生物 ユスターシュ―― 後日譚/街の何処か ―― [主様の親友に手紙を渡した日の夕暮れ時。 この数日間ですっかり好きになった馴染みの宿屋の屋根の上。 陽が傾き始めて遠くの海が柑橘類の色に染まるのを見つめていた。] …。 [――歌いたければ、またいつでも呼ぶといい>>0:225 あの日、彼はそう言っていたけれど。 今は、大丈夫だろうか? 今は歌いたいというのとは少し違うし、もしかしたら忙しいかもしれないけれど。 ただ、彼にお願いしたいことがあったから] (74) 2022/11/30(Wed) 23:50:13 |
【人】 人造生物 ユスターシュ――…ファントム。 聞いてほしいことがあるんです。 [この街の神出鬼没な彼の名を呼んだ。] [果たして、彼は現れてくれただろうか。 もし、姿を見せてくれたならば] 今晩は。突然呼び出してごめんなさい。 それと、来てくれてありがとうございます。 [嬉しいけれど、それと同時に少しだけ胸が痛くて 浮かべた笑い顔ははにかむような、微苦笑めいたもの。] (75) 2022/11/30(Wed) 23:51:08 |
【人】 人造生物 ユスターシュえっと、今日はお願いがあって貴方を呼んだのですが どこから話せばいいのか。 えっと……僕、人間じゃないんです。 [そこから話すのは自分が何者であるかと、この街にやってきた理由。 残りの寿命も恐らくあと幾日もないだろうこと。 そして。] あのとき、話しかけてもらえて嬉しかったです。 一緒に歌を歌えたこと、忘れられない思い出になりました。 本当に、ありがとうございました。 [この街で優しくして貰えてうれしかったことへの感謝。 一通り前提を話し終えれば既に日は沈みかけていて。 橙から深い藍へと空は目まぐるしく色を変えていく] (76) 2022/11/30(Wed) 23:52:58 |
【人】 人造生物 ユスターシュそれで、お願いなんですが。 …僕が持っている賢者の石と魔法具を 貴方に受け取ってほしいんです。 [言いながら、自分の左腕を胸へと添えると そのまま徐に身体の中へと腕を沈ませる。 まるで水の中に潜るように左腕は身体の中へ入り込み、 そうして次に腕を取り出したときには、 心臓ほどの大きさの赤く輝く石が左腕に握られていた。] (77) 2022/11/30(Wed) 23:55:04 |
【人】 人造生物 ユスターシュ僕は…、この石の力も、主様がくれた力も うまく使いこなせなかったけれども。 貴方なら、この力を街の人たちのために 使ってくれるんじゃないかって、 そう、思ったから…。 [勿論、賢者の石や魔法具たちをどう使うかは譲った彼次第。 だけど、彼はこの力を決して悪いようにはしないだろうと 短い時間なりに彼と接してそう、思ったから。 このまま自分の命が尽きて、主様が遺した物が 見知らぬ誰かに渡ってしまうよりも、誰かに託したい。 叶うなら、僕が信頼できる人に。]* (78) 2022/11/30(Wed) 23:55:27 |
【人】 人造生物 ユスターシュ[その頼みは聞けないね>>81 そう言われて掌中の石を胸の中へと戻されればいけないとわかっていても、しゅん、とわかりやすく俯いてしまう。 それはある意味彼の在り方をわかっていないからというのもあるが。 だが、続く言葉には顔を上げて。>>81>>83 そうしてまじまじと彼の顔を見つめることだろう] …いいんですか? [死ぬというのは、消えることだと思っていた。 主様と同じところに行きたいと願っていた。 でも、心の何処かでこうも思っていた。 『失敗作』の僕に健やかな、全うな魂があるわけがないと>>0:-118 主様の許へ行きたいと願う気持ちは本物なのに、 その願いが叶う光景がどうしても思い浮ばなかった。 いつか消えゆく命と心であるならば。 だったらいっそ、どれほど短くとも人に寄り添って、素敵なもの、温かなものを心に焼きつけて。 そうして悔いなく生きて、尊い思い出を抱えたまま消えることができたらどんなに幸せだろうと、ずっと、思っていた。] (101) 2022/12/01(Thu) 21:53:50 |
【人】 人造生物 ユスターシュ……僕は、 [ずっと、人間になりたかった。 誰かの傍にいたかった。 陽のあたる温かな世界をみてみたかった。 たとえ自分がどんな願いから生まれたものだとしても、 それでも、自分が存在するこの世界はとても美しいものだと、 そう信じたかった。 そんな願いを叶えてくれた、 この街の人たちに――自分も、何かを返したい。 彼の言葉は>>83 この街にやってきて新しく生まれた願いも、 それまでの願いも肯定してくれるものだった。] (102) 2022/12/01(Thu) 21:55:50 |
【人】 人造生物 ユスターシュ[胸の奥に戻された赤い石と、瞼の奥が熱い。 じわじわと視界が、双眸から零れる温かい水に歪んでいく。 いつか主様の仇を討つことができなくて零したときの水に似たそれは、だけどあのときよりもずっと温かくて、胸の内が切なくなる。] ―――…はい。 [くい、と袖で目元と頬を拭ってから踵を返して歩く彼の後を追いかけた。 これからのことは、まだ自分にもわからない。 だけど、彼らがくれたこの温かな気持ちに報いることができるのなら。僕は彼の言葉に応じよう]* (103) 2022/12/01(Thu) 21:59:58 |
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