81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】
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| >>75 メイジ 「遊んでもらったのは、私もだから。 ……うん。吐き出させなきゃいけないし、背中叩いて、あげる」 冗談にも本気にも取れる言葉を紡ぎ、"またね"を返しただろう。 まだ、雨は止まないのだから。明日もきっと、会うだろうと。 (87) 2021/07/04(Sun) 17:28:57 |
| 「あ」
タマオは逃げるように去る背中を見送った。謝罪されるようなことなぞ何もないのに。締まりのない空気を纏ったまま、端に寄せられた布の塊を見やる。なかなか思い通りにいかないものだ。 (@7) 2021/07/04(Sun) 17:56:29 |
| (t27) 2021/07/04(Sun) 17:56:42 |
| >>78 ロク 「祖父は顔を見た事も、なくて。祖母は半年前に亡くなって ……お母さんもずっと前に出て行ったから」 だから、今はふたり暮らしだと肯定する。 村の人間……噂話に敏感な人々なら知っている話だ。隠す事でも、なかった。 「そう、でしょう? ……もし、心配させてたら。後で謝ればいいもの」 生きてさえいれば、どうにでもなる。 伸ばされた手に、怯えるように固まった。ぎゅ、と自分の身を抱きすくめる。 前髪を払えば、様子を伺うような目が貴方を見据えていただろう。 (88) 2021/07/04(Sun) 18:05:54 |
| (a23) 2021/07/04(Sun) 18:10:45 |
| >>83 メイジ 「おっと、こいつは一本とられた」 予定調和の様にそう言って。 どうだろなァ、とこれまた適当な相槌を打つ。 「酒が飲めるっつーと、ハタチかァ。 ……。……マ、正直モンなのはいいこった」 頬杖をついた儘ゆるりと目を閉じる。 これ以上、話を振るつもりは無いらしかった。 (89) 2021/07/04(Sun) 18:34:53 |
| >>84 フジノ 「……、……」 「確約は、できません」 「伝を紹介しましょう」 鞄から取り出したのは、手帳。 一枚の紙を破り、万年筆のインクを落とす。 男は文字を書き綴りはじめた。 「取引にするには少し理由が足りません。 もう少しだけ教えてください。 どんな夢を持っていますか。 あなたは将来、どこにいて、どんなことをしたいですか。 私に、教えてくれませんか」 あなたがその未来を話せば"取引"は"成立"する。 渡されたのは、どこかの住所だった。 (90) 2021/07/04(Sun) 18:53:27 |
| >>84 >>90 フジノ 「私を雇ってくれた主人の住所です。 裕福な家庭で生まれ育っていると聞き及んでいます。 脚を悪くしていて、私や他の人間が品物を売りに、 外に出かけることが多いです。人を使うことが、得意です。 雇われている私は恵まれていないとは、思いません。 『ミロクと、取引をしたことがある』と。 それできっかけは得られるでしょう。 少なくとも体が動かせる健常な状態、 または身を離れられる環境になった未来に、 連絡をすることを推奨します。 私が手段を持ち得ているわけではありませんから、 このような形ですが。 なにか手助けになるかも知れませんし。 あっさり断られるかも知れません。 こちらでよければ、いかがですか?」 男の口から告げて、手に入れる手段では無いこと。 男が約束をすることでは無く、あなたが伝える必要があること。 その条件をつけて、あなたその商品を提示した。 (91) 2021/07/04(Sun) 18:56:57 |
| >>85 ミロク 「私は哲学に明るくないので、“いつまで”かわかりません。 しかし病で寝たきりになった方に関しては、断言できますよ」
前を見据える。 医者としての面構えだった。
「“絶対に生きるべき”です。 病は患者がいなければ調べる事ができません。 永遠に不治の病のままでしょう。 生きる事こそが、世の為になります」
それは当人の意思を無視した、大多数側の言葉。 この言葉を救いとするか罰とするかは、貴方次第だ。 (92) 2021/07/04(Sun) 18:58:21 |
| >>92 アユミ 「ああ」 「あなたは、 医者 、なのですね」 なるほど。と呟いて薬を渡そうとして。 「……」 ふと、薄ら寒い違和感と、指に伝わる震えが、 己の感情の流れと行動を阻害した。 一度目を閉じ、また開けたとき、あなたはいただろうか。 「お待たせいたしました、お伝えいただいた薬になります。 以前は大変ご迷惑をおかけしました。 これで取引は完了となります。対価は、いただきました。 また、ご利用ください。 今度は―――不備がないように務めさせていただきます」 商人の挨拶を連ねながら、緩く笑みを浮かべ顧客の目を見る。 一つ薬瓶をその場に置けば、男は、技師との取引を終えた。 (93) 2021/07/04(Sun) 19:12:07 |
| >>86 ロク 「さあ、わかりません。 何が起こってもおかしくありませんから」 窓へ目を向ける。 まだ雨足は強く、止みそうになかった。 ……手術室へ向かわなければならない。 「では、これにて失礼します。 ……何が大切か、予め選んでおくといいですよ 」 すれ違いざま、小さく呟いた。 尤も、聞き返そうとした所で──、 振り返った先には、薄暗い廊下があるだけだ。 (94) 2021/07/04(Sun) 19:18:42 |
| >>89 ロク 「ウソついてもしょうがないとこでつかないだけだよ。 だって、ウソつくのってすごい頭が疲れるからねー…… 頭がつかれるとね、お腹もすくんだよ」 それ以上話を振られないとなると 相変わらずの体勢のまま大人しくなった。 雨の音を聞きながら、ただただ時が過ぎるのを待っていた。 (95) 2021/07/04(Sun) 19:29:49 |
| >>88 フジノ 「そうだなァ。謝りゃァそれでいいだろうよ」 軽い調子で同意を返す。 軽やかな手つきで前髪を払って、直ぐに手を離す。 露わになった瞳に笑いかける。常より少し、柔らに。 「取って食いやしねェよ、お嬢サン。 なにをそんなに怖がってンだい」 (96) 2021/07/04(Sun) 19:36:08 |
| >>93 ミロク 貴方が目を開けた時、まだ女は立っていた。 「ええ、医者です。 ……一人でも多く救う事が、我々の仕事ですから」 時として、その手段は一つではない。誤る事さえある。 しかし。 正誤など後の世で明かされることであり、 現場の人間が選べる事など殆どありはしない。 薬瓶を手に取れば、小さく一礼する。 「こちらこそ、今後もよろしくお願いし ガシャン (97) 2021/07/04(Sun) 20:00:23 |
| >>97女の手から瓶が落ちる。 落ちた瓶は床に触れると高い音を立てて割れた。 それを目で追った貴方が顔を上げれば、 そこには誰もいない。 (98) 2021/07/04(Sun) 20:01:46 |
| >>94 アユミ 「お前サンは――」 もう選んでいるのか、と。 尋ねようとして、過ぎ去った女の方を振り返る。 そこには、誰の姿も無かった。 「…………。まァた、例のヤツかァ……? おもったより参っちまってンのかねェ……」 ――それにしては、耳障りのいいことのひとつも 聞かせねェで消えちまったモンだ。 ぼやき乍らそんなことを思って。 フラリと、女の消えたのとは反対方向へ歩いて行った。 (99) 2021/07/04(Sun) 20:18:40 |
| >>76窓の外、豪雨の中。 女が一人、立っている。 雨に打たれているはずの髪や衣服は乾いていた。
ふと、笑みを零す。
男を憐れむようにただ見つめて── いつのまにか、跡形もなく消えていた。 (100) 2021/07/04(Sun) 20:29:41 |
| >>100何も見出そうとしない者の元には、何も表れない。 男の瞳には、ただ雨粒が映っている。 (101) 2021/07/04(Sun) 20:34:21 |
| (a24) 2021/07/04(Sun) 20:34:46 |
| タマオは、空を見上げるセナハラの背後を、音もなく通り過ぎた。 (t28) 2021/07/04(Sun) 20:35:46 |
| >>90 >>91 ミロク 「……いいの?」 最初の言葉に目を伏せ、続いた言葉にぱっと顔を上げた。 さらさらと書かれていく文字に、ついそんな言葉が溢れた。 夢。将来。どこで、どんなことを。 口を開き、閉じ……やがて貴方に近づき、貴方だけに聞こえるようにそれを、話す。 (102) 2021/07/04(Sun) 20:41:39 |
| >>91 >>102そっと離れて貴方の差し出した住所を、受け取った。 果たして話した事は取引を成立させるに値するものだっただろうか? 「……それで、いい。 全部お世話になるつもりは、ないから。 あとは私が、頑張って……頑張らないと、いけないこと、でしょう?」 大事そうに、紙を両手で包んだ。 「……ありがとう、ございます。 もし、外で会えたら……その時はまた、お礼をします」 そうして頭を下げ。 それ以上の話がなければ、この日の会話は終わっただろう。 (103) 2021/07/04(Sun) 20:49:11 |
| (a25) 2021/07/04(Sun) 20:53:07 |
| (a26) 2021/07/04(Sun) 20:54:26 |
| (a27) 2021/07/04(Sun) 20:54:51 |
| (a28) 2021/07/04(Sun) 20:55:47 |
| (a29) 2021/07/04(Sun) 20:56:36 |
| >>96 ロク 「……人は、怖く見えるものでしょう?」 先日も似たような事を言ったな、と思った。 ここに集まった人々はフジノを嗤わない。 変に憐れむような目で見ることもない。 その事実は少しだけ調子を狂わせ、フジノの知っていた世界をあっという間に壊そうとする。 「……人は怖いし、痛いのが嫌。それだけ。 ……それだけだよ」 片手で前髪をそっと戻す。 その後、なにか言葉を交わしたかもしれないが……そうしない内に、フジノは貴方に別れを告げてその場から立ち去っていっただろう。 (104) 2021/07/04(Sun) 20:58:22 |
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