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人狼物語 三日月国


132 【身内RP】穏健なる提案【R18G】

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【秘】   の名残 カミクズ → 不運 フカワ


滔々と穏やかに言葉で最期を綴りながら、
夢のない夢の縁へ、ゆるりと足を進めていく。
足取りは迷いのないものだった。

「今の僕は心から笑えてるんだと思う、それは本当の事。
 でも、あの時置いていかれたくないと思って泣いたのも
 触れられなくたって、涙も嘘じゃない、本当の事。
 きみに誕生日を祝ってもらえて嬉しかった事も、
 きみに殺されるなら、それでもいいと思えた事も。
 きみと生きていたかったのに、きみの死を願っているのも」

「また失敗しても、後悔したくても後悔したくない事になっても。
 それでも一緒に居たいと思うのも、本当の事」

「それくらいきみの事が好きで、大好きで
 きみじゃないと嫌なのも、本当の事」

「きみにずっと僕のものになって一緒に居て欲しいのも本当で、」

「でも、ここできみと死にたいのは、
 ただここできみと死にたいからだ」

そうして今際の縁へと辿り着いて、振り向いた。
そこにあったのは、多分。
きみへの重たい感情だけを残して、全てを投げ出したような。
行き着いてしまった先の、けれど晴れ晴れとした笑みだった。
(-164) 2022/03/13(Sun) 0:24:46

【秘】 亡骸のツバメ カミクズ → 不運 フカワ


「ずっと考えてたんだ。」

この行き止まりで語るべき事と言えば、あとはそう。

「僕はあの時きみに、
 わかりやすい言葉で言うなら、きみの事が好きだと言ったけど
 正確にはきみの事をどう思っているんだろうって」

誰の代わりにもならない人。
一緒に生きたかった、一緒に死んで欲しい大好きな人。
これが恋愛なんて、
実にわかりやすく伝わりやすい言葉で言い表せたなら。
どんなにかよかっただろう、とさえ思う。

「──結局はわからなかった。
 僕にもわからなかったから、全部あげる事にしようかなって」

「四つの愛も、その中には分類されない愛も、
 それからもっと大きな枠組みのものも、愛以外も全部。
 僕がきみに抱く、感情のすべて」

「ああ、結局ここでは喧嘩はできなかったけど」

「きみが持っていきたいものだけ、持っていくといいよ」

きみにとってのツバメには、なれなかったかもしれないけど。
それでもせめて、きみのさいごに寄り添うツバメの亡骸に。
なんて願いは、分不相応なものでしょうか。
(-165) 2022/03/13(Sun) 0:25:56

【置】 亡骸のツバメ カミクズ


「──そうだ、そういえば。」

「そう、失敗した時の事は、一応考えてて。
 だって人生って思い通りにいかないものだし、
 確実に死ねる方法なんて、正直他殺くらいしかないから。
 だから僕は次善の策になり得るものを
 今度は・・・ちゃあんと考えておいたんだ。聞いてくれる?」

「あはは…笑わないで聞いてくれるといいな」

「あのね。これで上手にきみが死ねなかったら、その時は」

「──僕、きみの事を殺しに迎えに行くよ。」


記憶転移この世界が僕に味方してくれれば、だけど…
 どれくらい待たせる事になるかは、わからないけど
 でも、何となくできる気がしてるんだ。
 僕じゃない僕・・・・・・が、きっときみの事を殺しに迎えに行くから
 ここで一緒に死ねなかったら、その時は。」

「待っててね、邦幸さん。」
(L3) 2022/03/13(Sun) 0:26:48
公開: 2022/03/13(Sun) 0:30:00

【置】 亡骸のツバメ カミクズ


もう幸運も不運も祈らない、ただきみの確かな死を祈ろう。
祈るばかりは癪だけど、死者にできる事はそれ呪うだけだから。

全部自分のせい、生きて苦しんで罪悪感を贖うなんて選択肢
僕にはもう選べない死んだ僕が奪われた選択肢。
それを一人で選んで自分勝手に満足するなんて、

ずるいから、羨ましいから、やめてくれないかなぁ。


そんな綺麗でも何でもない、どこまでも身勝手で我儘な、
それでも、心よりの気持ちで。


──本当は、罪悪感に耐えられないのは、僕ではなくて。
──きみの方だったんじゃないかと、今となってはそう思うんだよ。
(L4) 2022/03/13(Sun) 0:27:22
公開: 2022/03/13(Sun) 0:30:00

【秘】 亡骸のツバメ カミクズ → 不運 フカワ


「じゃあ、いこうか」

ふ、と。
穏やかに笑みを零して。

「先にいくから──ちゃんとついてきてつれていくね」

きみに向けて両腕を広げて、後ろへ、さいごの一歩。

「おいで、邦幸。」

──あ、やっぱりこれはちょっと恥ずかしいかも。

そんなどこまでも場違いな照れ臭さを感じながら。
ぐらり、視界が傾いで、 浮遊感に身を委ねる。
消えた柵の向こう、縁の向こう、広がる空を背に、身を投げ出す。

今度は、自らの意思で。

不思議と、もう怖いとは思わなかった。
死ぬ事よりもずっと怖くていやだと思う事を知ってしまったから。
(-166) 2022/03/13(Sun) 0:27:53
カミクズは、きみに手を伸ばして。
(a48) 2022/03/13(Sun) 0:28:00

カミクズは、さいごの一歩を踏み出して。
(a49) 2022/03/13(Sun) 0:28:05

カミクズは、世界を手放した。
(a50) 2022/03/13(Sun) 0:28:09

【秘】 共犯者 ツルギ → 共犯者 ユス

通帳を片手に、水を一気飲み。グラスをそのまま置こうとして、リュックに入れる。空き巣の証拠は最低限でいいからね。
使う予定のない荷物をまた増やして、リュックの中に。

バットを持つ君へは、「いってらっしゃい。」と軽く返事をした。コンビニに行く人を見送るくらいの軽さで。

現れた君の母親を見て、やっぱり顔立ちが少し似てるなあ、と思った。
俺とあの女程ではないけれど。

蹴飛ばされた鞄の中から財布を探し出して、現金だけを回収する。

繰り返される殴打音。間近でしか聞いたことがないから、離れた場所から聞こえてくるのは少し新鮮だった。
背中に向けた、品定めをするような視線に君は気付いているかな。


あの日はどんな感じだったっけ。

………上手く思い出せなかった。いつもそう。
意図的に思い返すと、薄い膜が張ったみたいにボヤけて景色が見えなくなる。
呻き声が煩わしくて、泣き声が煩かったことだけは、はっきりと思い出せるのに。
(-167) 2022/03/13(Sun) 1:14:19
共犯者 ツルギ(匿名)は、メモを貼った。
2022/03/13(Sun) 1:15:10

共犯者 ツルギ(匿名)は、メモを貼った。
2022/03/13(Sun) 1:15:39

ツルギは、なんだかつまらない。
(a51) 2022/03/13(Sun) 1:16:05

【秘】 怪物 ツルギ → 共犯者 ユス

青年の濁った瞳が、硝子のような冷たさを滲ませていた。
君にご褒美笑顔をあげなきゃって思うのに、口角が全然上がらない。

「………お疲れ。」

自分でも驚くくらい冷たい声が出た。
かつて母だった女が、呆れた時に出す声色に近い気がした。

氷とかじゃなくて、これは、そう───包丁みたいな。
失望だ。


俺にとっての生きる理由は、いつか理解者が作り出せるかもしれない≠ニいう可能性であって。
決して、君自身じゃない。


俺はね、義徳。
君≠ニ書いて、望み≠ニんでいる。
だから好き。


「…服、着替えなよ。返り血付いてる。」

君とこの青年に大きな違いがあるとすれば。
視野の広さ、というよりは……視野の高さかもしれない。
自分を含むどんな人間にも代わりがいると知っていて、だからこそ君を希少だと考える。
君も俺も、山に転がる石の一つ。ひょっとしたら、同じ形の石があるかもしれない。
そんな山を、青年は見下ろしている。

同じ形の誰かがいたら。
そちらの方が可能性が高かったら。
この青年は、何の躊躇いもなく君を手放してしまう。

俺、思ってたより短気みたい。
でも頑張るよ。気を長くして、待ってるよ。
(-168) 2022/03/13(Sun) 1:20:01

【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


「っ、ぅ、う………!」

嫌だ。
ばくばくと心臓が鳴る。

人の死を想像するのは、これで2度目。
それでもこの恐怖にはどうしても慣れない。

瓦礫を退ける。──が、散らばるのはその限りではない。
キャンパスの木片や窓のガラス片があれば容赦なく手指を裂くし、
鉄筋ならば動かす事も容易ではないだろう。

「ッ、痛……」

それでも、やめない。


この障害物を退けた先。
 ───誰のものか判別も付かない肉があるのか。
 ───大切な人の笑顔があるのか。

幸福でも、後悔でも、
目を逸らしたくはないから。

「……………エノっ!」

(-169) 2022/03/13(Sun) 1:35:25
アクタは、喜劇が好きだ。幸せな物語が好きだ。
(a52) 2022/03/13(Sun) 1:35:54

アクタは、何度でも名前を呼ぶ。
(a53) 2022/03/13(Sun) 1:36:14

アクタは、微かな声が聞こえた。
(a54) 2022/03/13(Sun) 1:37:07

【秘】 演者 アクタ → 美術 エノ


──それからは、無中だった。


「エノ!エノっ……!!」

もうちょっと、筋トレとかしておくべきだったな、とか考えて。
こんなVR空間じゃ関係ないか、なんて考えて。

ペットボトルひとつ分の小さな隙間に腕を突っ込んで。
絞り出すような呻き声を頼りに、君を薬局の残骸から探していく。

手指の感覚なんて無い。
じくじくするけど、
これをW痛いWと認識するのは、もう少し先の話。


──顔を見つければ。
──胴を掻き分ければ。
──手足を掘り起こせば。

「ば、ば………バカ!
 しっ、心配ばっかかけやがって……!」


砂埃を頬にくっ付けて、ぼとぼと涙を零しながら
宝物にそうするように、優しく君の体を抱きしめるだろう。
(-170) 2022/03/13(Sun) 1:38:26

【秘】 共犯者 ユス → 怪物 ツルギ

 何も聞こえない。
 痛いほどの静寂が広がっている。耳に飛び込むのは自分の乱れた吐息だけ。

 家族がいない時の家はこんな感じだっただろうか。でも、一人でいた時の空気にしてはいやに気持ち悪かった。落ち着かない。

「………………はぁ」

 俯けば普段後ろに流しているはずの前髪がだらりと視界を塞ぐことに気付いた。鬱陶しさに思わず乱雑に片手で前髪をかき上げれば僅かに滲んだ手の汗が額をかすかに濡らした。

Wなんか事故でもあって、親が死ねばそこで終わるけどW。

 あの時、紛い物の世界の中で貴方が語った嘘を思い出す。

「……あれは確かに嘘だったな。
 死んだところで何も終わりになるはずがない。
 死者が齎すものは名残のみ。終止符をくれることなど決してない」

 もう一度、深いため息をついた。

「終わったところで、楽になるという気持ちなど手に入らないな」

 葬儀が面倒だなとか、遺産の処理も考えるだけで億劫だとか、そんな場違いな事が脳裏によぎった。
(-171) 2022/03/13(Sun) 3:56:31

【独】 共犯者 ユス

 ──こうして、似た状況を作り上げて気付いてしまう。気付いてしまった。

 ああ、彼と相互理解するのは不可能なのだと。

 可能性も、見いだせないと。


 胸に去来する感覚に意識を向ける。
 血の繋がる人間を全て殺した時から迫り来る何かが、みるみるうちに心を食い潰していく。

 無理だと悟った原因。心を埋め尽くす一つの感覚。

 ああ、それを、言い表すならば──。
(-172) 2022/03/13(Sun) 3:57:30

【秘】 この日の ユス → 怪物 ツルギ


「虚しいな」

(-173) 2022/03/13(Sun) 3:58:51

【秘】 怪物 ユス → 怪物 ツルギ

 ただただ虚しい。何もない。
 救いもない。絶望もない。
 楽にもならず、苦にもならない。

 ただ心の中に虚が広がっていくばかり。

 憤りは当然のこと、寂しいも悲しいも苦しいも何もなかった。

 全て自分の意思だ。
 自分の選択で殺した。
 家族だけじゃない。己もだ。
 考えることを放棄した時に自分は心を切り落としたんだ。

 他の人ならきっとやりようはあったかもしれない。でも自分はこの選択を取り続けた。やめる事ができた筈なのに、望んでこの選択をし続けた。

 人の心臓を貰い救われて、誰か見知らぬ人間が選ばれ死んでいく事実を踏み台にして生きて帰ってきたと思えば家族を皆殺し。
 親不孝者、忘恩の徒。

 命を踏み躙る怪物、人でなし。今の自分はまさにそれだ。
(-174) 2022/03/13(Sun) 4:03:01
ユスは、小さく喉を鳴らした。「……ふ、は。……はは、ははは……」
(a55) 2022/03/13(Sun) 4:03:23

【秘】 怪物 ユス → 怪物 ツルギ

 どうしてこんな生き物になってしまったんだろうな。
 父も母も堅物が過ぎるが、真っ当な人だったのに。何一つ不幸せな事などない、ごく普通の家庭だったのに。

 どうしてだろうな、なんでだろうな。
 同じ境遇にあっても、他の人はきっと違っただろう。

 ……ああ、ツルギが話していたな。

W生まれた子供に罪はないWと。

 罪は無い。罪が無かったとしても、だ。
(-176) 2022/03/13(Sun) 4:06:40

【独】 怪物 ユス


「俺は、生まれてきたこと自体が間違っていたんじゃないか」

(-175) 2022/03/13(Sun) 4:07:36

【秘】 怪物 ユス → 怪物 ツルギ

 結論を口にする。それでも何か思うところなどない。あったとしても、きっと生まれたそばから抜け落ちて周りに叩き落とされ潰れている。

 だって、自ら器の底を切り取ってしまったのだから。
(-177) 2022/03/13(Sun) 4:08:25

【秘】 怪物 ユス → 怪物 ツルギ

「…………」

 WそれWを見た。
 氷とかじゃなくて、これは、そう───包丁のような。
 馴染みのあるものだった。自ら何もかもを切り捨てた自分に呆れた人間がよく見せていたものだ。

 理解する。
 声に出さずとも、その声その目その態度が全てを伝えてくれる。
 可能性をまだ純粋に信じていたのなら、そんな反応見せる筈がないだろう?

 なんだ、もうお前も分かっているじゃないか。
 きっと無理だ、同じ景色を見るなんて。


 なんだかおかしくてもう一度乾いた笑いが出そうになった。目の前で笑ってやろうかと思った。

 笑ったまま、目の前で死でやったらどうなるんだろう。
 悲しむ? 泣いてくれる?
 ああでも、きっとただ可能性がありそうな人間を失ったと落胆するだけのような気もするな。

 お前が泣いていたのは、本心を晒した時だったから。
 夢が叶わず落胆するなんて、もう散々経験しているものな? 慣れているだろう?
(-178) 2022/03/13(Sun) 4:09:49

【秘】 怪物 ユス → 怪物 ツルギ

「ツルギ。ここは暗いな」

 徐に口を開いた。

「俺のいる場所は、周りが色褪せて見えたままだ。けれど此処が明るく鮮やかな訳じゃない。暗くて、誰もいない。
 
 誰もいないんだよ」

 こんな人でなしの周りなんて。

 けれどきっと、貴方と同じ場所にはいない。
 こんなにも近くにいるのに、自分たちは。

 ──ひとりぼっちのまま、それぞれのトンネルに閉じ込められながら並んでいる。
(-179) 2022/03/13(Sun) 4:10:36

【秘】 怪物 ユス → 怪物 ツルギ

 服を着替えろと勧めた貴方の言葉を無視して貴方の目の前まで歩み寄る。

 普段綺麗に整えられている髪も、数歩動いただけでぐちゃりと揺れて崩れた。濡羽色した前髪が、ばらばらと血に塗れた青年の顔を覆っていく。

「…………」

 一度濁れば、もう無色透明に戻ることは叶わない。
 人でなしの汚濁を湛えた眼差しが、じぃと貴方を見下ろしている。

「……………………」

 かすかに小首を傾げる。
 こきん、と己の首の骨が高く鳴いた。
(-180) 2022/03/13(Sun) 4:11:34

【秘】 亡骸のツバメ カミクズ → 怪物 ユス


当然ながら覚えのある言葉に、少しの間。

『あはは』

『そうですね 夢でくらいは』

『夢でくらいは、幸せになったって、いいですよね』

眠りから覚めれば消えるような、淡く、脆く、幸せな夢を。
二度と覚めない眠りの中に閉じ込めて、
誰にも話さずそっと抱いて眠るのだ、なんて。

ああ、言葉にするだけなら、随分綺麗な夢物語だな。
(-181) 2022/03/13(Sun) 6:57:30

【秘】 亡骸のツバメ カミクズ → 怪物 ユス


『そうじゃなかったら そうだなあ』

『きみにとってはそうだったんだなって、思うだけ、かも』

少し残念だとは思うかもしれないけど、結局は他者の感傷だ。
あなたのいいえ、の仮定にはそんな答えを返して。
それから、あなたの話に、また少しの間。

『そうですか』

『無駄な命なんて、僕は無いと思いますけど』

『少なくとも、本人以外の誰かが決めることじゃない』

本人が、嗚呼人生は無意味だったと嘆く事は、良いのだけど。
生きる事も死ぬ事もその人の自由で、その舵取りは本人次第。
少なくとも他者が勝手な評価を下して良いものではなくて。
無味乾燥な生はあったとしても、無駄な死は存在しない。

そもそもの話、意味ある死など本来存在し得ないのだと思う。
仮にあらゆる死に意味を見出そうとするならば、
災害、事故、病気、唐突な理不尽に命を奪われた多くの人間は。
ただただ、うつろへ向かって走っていた事になるのだから。

或いは、そうだな。
それに優劣を付ける事そのものが間違い、というよりも。
そもそもの話、全ての命には。
最初から、大した意味なんて無いのかもしれないな。
ただ、その過程に何かを見出す者も居るというだけの話。
(-182) 2022/03/13(Sun) 6:58:22

【秘】 亡骸のツバメ カミクズ → 怪物 ユス


『でも、そっか』

『きみにとって、少しでもなにか得るものがあったなら』

『僕の勝手な感想ですけど、よかったなって思います』

清掃員は、あなたの得たものを知らないけれど。
仮に知ったとしてもきっと、あなたがそれに満足しているのなら。
何を思っても、きっと『よかった』とは言ったんだろう。
何せ今のあなたの気持ちは今のあなたのものなのだから。
あなたがそうだと言うのなら、それは誰にも否定できないものだ。

始まりと終わりそれそのものには、大した意味は無くたって。
その過程に何かを見た事は、決して無価値ではないはずで。
その時の感情は、その時抱いた気持ちは、たとえ遷ろえども。
決してそれが嘘だった事にはならないはずで。
ならきっと、それで良いのだと、そんなふうに思うから。

『これからを生きていくきみ達に、
 暫くは・・・手も声も届かなくなってしまうのは悲しいけれど』

『でも きみが振り返れば思い出は変わらずそこにあるから』

『それは、ここでの時間も、それから僕も』

『きみが覚えている限りは、ずっと。』
(-183) 2022/03/13(Sun) 6:59:26

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

きっと、それがオレンジジュースではダメだったのだ。
慣れ親しんだ、いつもの飲み物は。
作るのに慣れてるから、最小限のデータで作れるから。

レモンティーは、慣れてなかった。
だから作るのに、不必要なデータ量を使った。
その分削れた、瓦礫の隙間。
そこに、奇跡的に体が挟まってる。

それが、オレンジジュースではダメだった。
あの日、あの時、君がレモンティーを飲ませてくれたから。
それが、とても美味しく感じたから。
君があの時、ずっと傍に居たいと言ってくれたから。
最期の時は、君を思い出せる物を飲もうと思ったから。

君が。
青年を。
愛してくれたから。


だから、その体は、まだ暖かかった。
(-184) 2022/03/13(Sun) 6:59:59

【秘】 亡骸のツバメ カミクズ → 怪物 ユス


『でも、だから、ユスさん』

『ここで一度、お別れですね』

夢の続きという今の距離は、懐かしむには近すぎるから。
現実を生きていくきみ達は、夢の名残だけを持っていけばいい。

『僕も、その、情けない話ですけど。
 きみには何かとお世話になっていましたから。
 最初に気を遣ってくれたのもそうですし、
 一緒に掃除をした事も、それから今も。だから』

『ありがとう。それから、さようなら。』

『帽子は、テーブルかベッドの上に。』

『僕の部屋の中の事は あまり気にしないでくださいね』

──雑然とした、ある種の生活感に満ちた部屋。
もう帰る主の居ない、現実には存在しない部屋。
VR内に今この一時のみ再現された、部屋の主の人らしさの縮図。

床に落ちているのは、優しい色使いで描かれた一冊の絵本。
めでたしめでたしで終わる、誰もが知っている物語。

変わった所と言えば、一つだけ。
最後の──
神さまが、天使に貴いものを持って来させる頁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それ以降が切り取られただけの、
何の変哲もない、未完の絵本。

上葛掃守という人間が、最後に遺した憎悪反抗失望願望のかけらだった。
(-185) 2022/03/13(Sun) 7:02:28
カミクズは、『幸福な王子』の絵本が嫌いだった。
(a56) 2022/03/13(Sun) 7:02:37

カミクズは、正しくは、ふたりをそっとしておかなかった神さまが。
(a57) 2022/03/13(Sun) 7:02:42

カミクズは、それをうつくしいものと持て囃し吹聴する読者や世間が。
(a58) 2022/03/13(Sun) 7:02:47

カミクズは、物語を都合良く脚色する傍観者が、嫌いだったのだと思う。
(a59) 2022/03/13(Sun) 7:03:08

【秘】 美術 エノ → 演者 アクタ

「……アク、タくん…………」

抱きしめられる。
多少なりの怪我はしたけれど。
今は痛いと感じない。
また空が見えたことが、君の顔が見れたことが。
酷く現実感のないことに思えて。
もしかしたら、走馬灯なのかもしれないと思って。
でも、君が抱きしめてくれるなら。
その温かさが、それを現実だと教えてくれて。

「………………俺…………」

抱きしめ返す力もなくて、ただ身を預けて。
ぽろぽろと、涙だけがこぼれ落ちる。
怖かったんだ。
死にたくなかったんだ。
助けて欲しかったんだ。
生きたかったんだ。

ただそれらを、たどたどしく口に出して。

「…………生きてて……いいのかな……ぁ…………」

一緒に帰って、いいのかな。
震える体を君に押し付けながら、ただ、その許しを乞った。
(-186) 2022/03/13(Sun) 7:05:54

【秘】 園芸 ハナサキ → 普通 ナツメ

>>-157
「はい!お疲れ様です!」

こつん。
カップをつき合わせます。
緑茶で乾杯って大丈夫だったかな。
……二人きりのお茶会で気にする事でもないですね。

「でしょう?
 疲れも和らぐ甘さです〜お花の形なのもポイント高いです!」

小さな口の中に一口に頬張って顔を綻ばせました。
お気に入りのようです。

「そうですね。
 趣味、という程ではない手慰みレベルの接し方でしたけど花を見るのは好きでしたから」

家では庭に小さな花壇があってその中の手入れだけは自由にしていました。
さながら自分だけの箱庭。
訳もなく掘り返したり、季節外れの種を植えてみたり。
(-187) 2022/03/13(Sun) 10:05:51

【秘】 怪物 ツルギ → 怪物 ユス

投げかけた言葉が返って来ないのは、気にしなかった。返事が欲しい言葉じゃなかったから。

君の、家族を皆殺しにした感想を。
冷たい金属のような瞳で受け止める。

死者は終止符に成り得ない。
終わっても楽になんかなれない。
ゴールを壊しても、レースは続く。続いてしまう。

自分より少し上にある汚濁を、ただ眼球に映して。
君の瞳に映り込む俺も、人でなしの顔をしていた。
鏡みたいだ。


きっと君が死んでも、落胆するだけなんだろうな。せっかく捕まえた珍しい虫が死んだ程度の落胆しか抱かない。

……正しく夢だったなあ。
将来の夢、という文脈で使われる夢≠ナはなく、
夢を見た、という文脈で使われる夢≠ナある。
文字通りの、夢想だった。
(-188) 2022/03/13(Sun) 10:45:02

【独】 怪物 ツルギ

───本当は、最初から気付いていた。
いや、それでももしかしたら≠ニ期待していたのだ。

相互理解など幻想で。


可能性は、硝子みたいに無色透明なんだどこにもないんだって。


人の命を三つも使って得た結論がこれだ。
人の命が軽いのか、俺たちの心が軽いのか。
それとも、どこかで間違えた?


…全然、近道じゃなかったな。近道をしたつもりが、知らない場所に来てしまった。
ちっとも上手くいかなかった。
始めから上手くいく確率の方が少なくて、だからこそ賭け≠セったけど。

俺は運がいいと思っていた。でもそれはやっぱり、命に関わることだけのようで。
身体ばかり無事でも、中身が伴っていないんだ。
(-189) 2022/03/13(Sun) 10:47:57

【秘】 怪物 ツルギ → 怪物 ユス

「…………………はぁ。」

───さみしいんだ、


紛い物の空間で漏らした言葉。俺という怪物が、心の臓を動かすための原動力。

淋しい。
淋しくて寒い。
いつもそんな自分を見下ろしている。

諦めきれたらどんなに楽だろう。

「………ああ、そっか。」

見限れたらどんなに安らかだろう。

「これ、虚しいって気持ちなんだ。」

どうして君みたいに、期待を捨てられないんだろう。
勝手に期待して、勝手に裏切られて、勝手にそれを繰り返したくせに。

今だって、そう。
(-190) 2022/03/13(Sun) 10:49:02

【秘】 怪物 ツルギ → 怪物 ユス

「……暗いだろ?」

君と出会ってしまったからかな。

「ひとりぼっちだ。ずっと。」

初めて会った時に死んでおけば良かった。
いや。もっと、もっと前に、死んでおけば。


怪物だから孤独なのか、孤独だから怪物なのか。

きっとどちらも正しい。これはイコールで結ばれているから。

俺たちは、生まれてきたこと自体が間違っていたんだよ。


導き出した結論は同じはずなのに、君の姿が見えないのは、そういうことだ。
思うところはあったはずなのに、生まれたそばから零れ落ちていく。器の底は、元から無い。

孤独を理解できるのは、孤独な者だけ。
寄り添うことなんかできない。
───だって、孤独なんだから!


生きる気力は元から喪っていた。
死ぬ気力は今無くなった。
殺す気力も失った。
全て無意味。

どっちでもいいんじゃなくて、どうでもいい。

果たして君に、俺に、何かしらの価値は残っただろうか。
……、…………わからない。
考えるのが億劫だ。

なのにどうして、苦痛だけが大きくなる!
(-191) 2022/03/13(Sun) 10:50:29