【赤】 灯守り 小満――もう随分と昔の話―― 「小満さまはもうご承知おきかと思うのですが、何年か前に、森の方の牧場の旦那が亡くなったじゃないですか」 [発端は、軽い噂話からだった。] 「あの家の残された息子がね、なんというか、不思議な子なんですよ。いえね、気味が悪いとかじゃないんです。むしろいい方だとは思うんですけど」 「母子とふたりじゃあ回らないからって、あそこ、随分と動物を売ったでしょう。それで、母親が羊だの馬だの世話しながら、息子は教会を手伝ってるそうなんですが」 [話好きのおばさま方やら、その旦那やら。 街ゆけば時折、その子供の話を聞いた。] (*89) 2022/01/22(Sat) 17:31:15 |
【赤】 灯守り 小満「教会のみなし児なんかがね、まだ子供だからよくよく喧嘩だってするじゃあないですか。そんなときにその子が仲裁に入ると、しばらくしてすっかり仲直りしちまうんだってさ」 「泣いてる子供をなだめるのもうまいなんて聞くね。普通にしてるとなんだか捉えどころのない静かな子なんだけど、こと人の輪に入ると空気が変わるってんで、こないだあっちの爺さんなんかは『天使さまが宿ってる』なーんつって」 [だなどと言うから、さてどれほどたおやかな美少年がいるだろうかと様子を見に言ったら、 まあ見た目はまだあどけない線の細さもあって相応だったが 蓋を開ければ御し難いクソガキであったのだが。閑話休題。] (*90) 2022/01/22(Sat) 17:33:24 |
【赤】 灯守り 小満[その天使と呼ばれた少年は、器用にも教会の裏にあるオレンジの樹の上に登って、枝張りに背を預けながら木漏れ日の中で笛を吹いていた。 そうしているとそこらの牧童と何も変わらないという印象だったが、まだ13のその子供――それでも、教会の孤児と比べれば年長の方だ――が、なんらかの"能力"持ちであることは、会話の内容からピンときた。 人の心か、意識か、そういったものに作用するたぐいのものだろう。 ただ、それよりも俺が興味を惹かれたのは、その子供と目があった瞬間、自身の灯りが微かにふるえて、引き寄せられるような、そんな感覚があったからだ。 それが予兆だったのかどうかはわからない。 ただ、こいつなのか、という確信めいたものが脳裏によぎったのは事実。 もとから能力を得ているなら、素質も充分だ。 発端は噂話。しかして確実に、出会うべくして出会った。 これを天命と言うならそうかもしれない。出会いは喜ばしく、 ――そしてとても、悲しかった。 ] (*91) 2022/01/22(Sat) 17:34:25 |
灯守り 小満は、メモを貼った。 (a29) 2022/01/22(Sat) 17:40:59 |
【人】 灯守り 小満[ところで、天乃>>69>>70はどうもこちらの言動に意外性を覚えているようだが、まったく人をなんだと思っているんだろうね。 私だって人の輪の中に入るかどうかの検討くらいはするさ。 結果検討自体棄却されて首突っ込むのが大多数なだけで。 こんなに人のことを思っているのに、中央の子たちといったらお固いのが多くて困る。 君らが『小満さま』に抱く思いに気づいてないと思ったら大間違いだぞ。中央から目をつけられてるのは理解している。 面倒だ鬱陶しい苦手だ嫌いだなどといくつ並べられても、微笑ましく愛らしい児戯のようにしか感じないだけだ。 それも含めて嫌なんだろうけど。 不安だって、感じるものさ。 なるべく意識しないように努めているだけだ。 灯守りの灯りは理に歪む。心身に負荷をかければ、無論それが加速していく。 Take it easyが長生きのコツ……とは言わないが、気楽な天職にしがみつきたいものとしては、のんべんだらりと生きているのも戦略のひとつではあるのだよ*] (108) 2022/01/22(Sat) 19:27:33 |
【赤】 灯守り 小満[先代雨水村雨には、まあ世話になった。 可能なら死に目には立ち会いたいと思うほどには。 それが叶わない灯守りも多いのだ、まったく。 私が灯守りとして小満の号をいただいた頃には、もう何度か会合にも連れてこられ、顔は知っていた相手。 座を辞する前の先代小満とも気が合ったようで、よくしてもらったとも思う。 だからこそ。 だからこそ、少しばかり甘えていたのか。 気ままな牧童の心のまま灯守りになった元天使は、好奇心、興味本位でふらふらと動くことが多かったので、今と変わらず何かがあると顔を出したり、中央の職員の頭を悩ませたりと自由奔放だった。 にも関わらず、雨水の灯守りがやってくるとふいとどこかへ逃げてしまう。まるで自分の興味はそこにひとつもなかったかのように、ふわりと。 もしも捕まることがあったなら、不機嫌隠さずに黙りこくってしまうだなんてのもしばしば。] (*108) 2022/01/22(Sat) 21:23:55 |
【赤】 灯守り 小満[なんとなく、嫌だったのだ。 この人の前だと、いつまでも子供でいてしまいそうで。 失った父親すらも、思い出してしまいそうで。 ] (*109) 2022/01/22(Sat) 21:24:53 |
【赤】 灯守り 小満[無論、若かりし時分の話であり。 この身体の時を止める頃には、くだらない話で笑い合うような仲のいい同僚でしかなかったと思うのだが。 いつ頃、どうしてそうなったかなんて覚えていない。 反抗期の抜け方なんて、そうそうわかったもんじゃないだろう。 相手にとっては笑い話だろうそれを、語り草にしないでいてくれるのはありがたい。 こちらとしても、なるべくなら完全に忘れてしまいたい話だ。 たまに私が包丁を握って、飲み明かす。そんな良き仲間でいてくれた村雨を想う*] (*110) 2022/01/22(Sat) 21:25:10 |
灯守り 小満は、メモを貼った。 (a35) 2022/01/22(Sat) 22:04:25 |
【赤】 灯守り 小満[先代も冬至を気にかけていた。 いいや新人とあらばそれだけで気にかけてしまう人柄ではあったのだが、その中でも年若で灯守りになった少女のことは、娘のようにすら感じていたかもしれない。 仕事がなくとも話をしようと試みたし、悩みがありそうなら解きほぐしたかった。 結果、何でもない『飛心』と冬至のゆきの間もまた、少し近づく。 とはいえ、しばらくは比較的年近の相手というくらいで、時折笛を吹いて聞かせただとか、それくらいの記憶が主。 本格的に仲のいい相手になったのは、小雪から風呂の話が出た、あの時くらいから。 露天で雪見に月見酒なんて洒落込んで、それから百年数えても、言葉遊びで笑い合うような仲でいる。 小雪は代わってしまったが、それでも皆々仲が悪くもなく。 今ある幸福を噛みしめる*] (*128) 2022/01/22(Sat) 23:16:43 |
【赤】 灯守り 小満[小満域に彼が入ってすぐに出逢った>>*132のは、ちょうど領域の外にいたからで偶然にも近かったのだが。 まあ、世界中探されはじめた相手が入域してきたら、市井でも小さく話くらいにはあがろう。 時間の問題だった、それだけ。 とっとと領域に匿って、格別の酒を出して。 先代の零した愚痴の話を聞けば、なーにが子育てだ、と肩竦め。 風呂の思い出話になれば、やっぱ今からもう一回行くか?なんて笑い。 いずれ小満を出ると聞けば、行くのか、と寂寥隠さず見送った。 命尽きるまで世界を巡りたい。 その願いを駄々で止めるほど、子供にはなれなかった。] (*133) 2022/01/22(Sat) 23:48:26 |
【独】 灯守り 小満/* この、これさ。 先代小満が『飛心を頼む』って菴にお願いしたりしてて その影響もあって(自分が任されたものに任せるわけにはいかないみたいな)『眞澄を頼む』されなかったとかおいしいなって思ったんだけど 流石に捏造確定がひどすぎて『眞澄を頼むとは言われなかった』というところまでだなという気持ち。 ここに埋める。 (-79) 2022/01/22(Sat) 23:55:09 |
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