人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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クロノはなわずらいの トットに投票した。
ラピスはなわずらいの トットに投票した。
エルナトはなわずらいの トットに投票した。
フィウクスはなわずらいの トットに投票した。
リアンはなわずらいの トットに投票した。
シャルロッテはなわずらいの トットに投票した。
アオツキはなわずらいの トットに投票した。
バレンタインはなわずらいの トットに投票した。
トットはなわずらいの トットに投票した。

トットは村人の手により処刑された。

フィウクスエルナトを見張った。

シャルロッテバラニを蘇生させた。

【赤】 高等部 ラピス

バレンタイン! 今日がお前の命日だ!
2022/05/06(Fri) 21:00:00
月が姿を変え、新たな一日が始まった。村人は集まり、互いの姿を確認する。
バレンタインが無残な姿で発見された。

幽界の歪み
突如として空間が歪み、この世とあの世の境界が曖昧になってしまった! 今日に限り、生者も死者の声や姿をハッキリと捉える事が出来るだろう。

現在の生存者は、バラニ、クロノ、ラピス、エルナト、フィウクス、リアン、シャルロッテ、アオツキの8名

バレンタインは、車椅子に揺られている。
(c0) 2022/05/06(Fri) 21:01:02

【独】 半分の仮面 リアン

最後の吊り
<<エルナト>>who
(-0) 2022/05/06(Fri) 21:01:40

【独】 雷鳴 バット

/*
ラピスちゃんの赤顔かわいいな 良くなりました
(-1) 2022/05/06(Fri) 21:02:44
天のお告げ(村建て人)は、メモを貼った。
2022/05/06(Fri) 21:04:57

【墓】 充実 バレンタイン


『───ご飯、今日は……食べられないな』

食堂に瞳を向けて。
数少ない情緒を映し出していた唇は、
堅く、きつく閉じられているというのに。

『中庭に行こう。
 あまりびっくりさせてはいけないから』

どこかしらが、代わりに言葉を紡いでくれる。
ずり落ちかけだった帽子は、
今日はしっかりと頭のてっぺんに乗っかっている。
(+0) 2022/05/06(Fri) 21:05:55

【独】 雷鳴 バット

/*
水仙鏡勝った
第三部完です
(-2) 2022/05/06(Fri) 21:05:59

【独】 恋の呪い シャルロッテ

/*吊りは回避
あとは襲撃 バラニのくじ運に祈っています エーン おねがい!
(-3) 2022/05/06(Fri) 21:06:41
バレンタインは、不安な言葉を溢れさせない。あまりにも、不自然なほどに落ち着いている。
(c1) 2022/05/06(Fri) 21:06:51

【人】 司書 エルナト

姿を再び見せてくれる人。
入れ替わるように消えていく人。

今日はちゃんと定刻より早く、つまりいつも通りの時間に
食堂の椅子に座って、周りを見て。

昨日、待っててと言ったまま消えた子は。
案の定今日の朝は現れないことを確認して。
あぁ、と一人、納得の息をついて。


「……皆、ご飯はちゃんと食べようね。」

昨日、食べたご飯のおかげで、随分ましになった空腹感に
安堵の息をついて、そう言葉を吐くのだった。
(0) 2022/05/06(Fri) 21:08:13

【独】 高等部 ラピス

/*
つらスンギ
(-4) 2022/05/06(Fri) 21:08:38

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

「君も……昨日までの私の方がと、言うのかい……?」

ただ尋ね返すその言葉の中に、どこか寂しげに見えるような表情を僅かに浮かべる。

実際には治っていなくても、もう大丈夫だと思わせれれば彼の親はよかったのだろう。
やがて効き目が薄くなり、もっと強い物を、と薬の量を増やすことになったとしても。

そしてなにより、バラニもこれを飲まずにはいられないほど追い詰められていたのだ。
綻びが生じたそこに付け込まれ、言葉巧みに唆されて、こんなものに頼ってしまった。

「けれども、飲まなければ駄目なのだ、私は……」

そこから言葉は続くことはなかった。
握り締められた薬を見つめて、瞬きをひとつ、ふたつ、繰り返して。

「……私はもう、寝ることにするよ。
 なんだか、眠たくなってきてしまったからね……おやすみ、エルナトくん」

強引に話を打ち切るように、バラニは寝台に横たわってしまった。
軽い受け答えには応えてくれるだろうが、他愛のない談笑をする気にはなれなかった。

薬はあなたの手に委ねられていたが。

(-5) 2022/05/06(Fri) 21:10:14

【秘】 中等部 バラニ → 司書 エルナト

──翌朝のこと。

またしてもバラニの姿は見えなくなっていた。

昨日の朝と同じだけれど、この朝はちゃんと置き手紙が残してある。

『また先生に呼ばれた。心配はしないでくれたまえ』

手紙にはそう書かれている。
(-6) 2022/05/06(Fri) 21:11:16
バラニは、今朝も朝食の場に来ることができなかった。
(a0) 2022/05/06(Fri) 21:13:49

リアンは、いつも通り。
(a1) 2022/05/06(Fri) 21:14:13

シャルロッテは、食堂を見回したのち、トレイに幾らかの朝食を載せ、すぐに出て行った。
(a2) 2022/05/06(Fri) 21:16:05

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 中等部 バラニ

トン、トン、トン。
ノックの音がゆっくりと三度。

「――バラニ」
「私だよ」

次いで、聞こえるのは掠れた声。
(-7) 2022/05/06(Fri) 21:17:39

【人】 童心 クロノ

いつもより早めに寝て起きて、いつもの朝。
食堂に来て居る人と居ない人を確かめて、

「………あれ……、」


新しく居なくなった二人を、確かめて。
分かりやすく動揺を顔に出した。
配膳の手伝いも食事の準備もしないで、
椅子に座って、じっと何かを考えている。
(1) 2022/05/06(Fri) 21:19:20
トットは、ここにはいない。人より食べ物が乗ったトレイも、慌ただしくて軽い足音も、今朝はここにない。
(c2) 2022/05/06(Fri) 21:20:49

エルナトは、「昨日までの君の方が好きだった」とはっきり告げた。たとえ今の君も君だとしても。
(a3) 2022/05/06(Fri) 21:21:49

【墓】 充実 バレンタイン


『動くのには不便じゃないし、
 こうして喋ることもできる。
 目を使えば文字だって打てるし、
 
 最初はどうなる事かと思ったけど、
 意外と普段通りに生活ができちまうな』

まるで眠っているみたいに、
身体が弛緩していて、呼吸で胸が上下してるだけ。
それでも饒舌な電子音は独り言を垂れ流す。

『ああ、でも本は読めないな、───
 エルナトから借りた本、返すのはいいとして、
 できれば読み切ってからがいいんだけど』

誰かに読んでもらおうかな。
それとも、与えられたタブレットに、
どうにかして入れてもらえないかな。

大人にどんな我儘を言ってやろうか考えながら、
電動の車椅子は少年を乗せてゆったりと進んで行く。

その裏には、ひたすらな不安を隠したまま。
(+1) 2022/05/06(Fri) 21:23:03
エルナトは、喪失感を覚えている。それは、それは例えるなら…………
(a4) 2022/05/06(Fri) 21:23:21

【独】 司書 エルナト

「僕の可愛いペットが、居なくなっちゃった……」
「あーあ、残念。」
(-8) 2022/05/06(Fri) 21:23:57
エルナトは、………朝、部屋の置手紙にひとつ、息を吐いてから食堂に来たのだろう。
(a5) 2022/05/06(Fri) 21:24:28

【秘】 中等部 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

「!」

ノックの音に過敏に反応してしまう。
扉の向こうから何やら少し騒がしい音が聞こえてきた。

「…………シャルロッテ、くん?」
「ど、どうしたのかね……私に、何か用でもあるのかい……?」

返ってくるのは、酷く怯えたような声ばかり。
そしてそれは、いつもの彼の声よりも少し甲高いものだった。

動揺で声が上擦ってしまったのだろうか、それはわからないが。
(-9) 2022/05/06(Fri) 21:27:01

【人】 司書 エルナト

>>1 クロノ

「………?」
「クロノさん、どうかした?」

食堂で食事の準備もしない君が目に付いて。
ゆっくりとした足取りで近づきながら、声をかける。
(2) 2022/05/06(Fri) 21:27:28
バラニは、皆が朝食に向かったのと入れ替わるように自分の部屋に戻って。
(a6) 2022/05/06(Fri) 21:27:49

【人】 高等部 ラピス

普段通りに食堂に顔を出す。
人が足りないことがいつも通りになっていることには苦い気持ちが混ざるのだけれど。

「………?」

連れてきた下級生たちのトレイに配膳をして、席まで送る。
自分の分もゆっくりと準備をしながら、
分かりやすく落ち着かない様子のクロノを見て思案げにしていた。
(3) 2022/05/06(Fri) 21:28:50
バラニは、そのまま寝台に身体を預けて、布団に包まるように身を丸めていた。
(a7) 2022/05/06(Fri) 21:29:50

【墓】 雷鳴 バット

普段もたもたと食事を選んでいる青年は、今日も小等部を誘導する。
遠巻きに。青年を避ける子は日に日に増えたり、減ったり。
だからいなくなった人々のようにはうまくはできない。
それでも、姿を現さない子どもたちに目を向けて、誰がいないかを確認したりはした。
出来ることは少ないものだ。彼らのようには、できない。

>>5:1 クロノ
「……大丈夫?」「配膳、手伝おうか」

やっぱりそうした仕草をするまでには時間が掛かったから、
最初に貴方に掛けられた声、というわけではなかっただろう。
それでも、通りすがりにちらと声を掛けたりはした。
大きく返事はなかったとしても、気づけになるくらいでいいのだ。
(+2) 2022/05/06(Fri) 21:31:10
充実 バレンタインは、メモを貼った。
(c3) 2022/05/06(Fri) 21:35:45

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

『不思議ですね』

含みなく返される言葉に、また同じく首を傾げた。
視線が自分の手に向けば、まじまじと眺める。
器用ではない青年の仕草は、どこか好ましい。
いつかは話さなければならないだろうと思っていたそれについて話すために、黒板に言葉を連ねた。

『これが病気だから です』

短くそれだけ答えて、ゆっくりと黒い布地に手をかけた。
現れた素肌は日に当たらないせいで真っ白。
ただ、それよりも異質なものがあった。
部分的に、深い青色の鉱石が肌を覆っている。
そこだけ夜空を切り取って貼りつけたような青色が、あなたの視界に入るだろう。

まるで、ラピスラズリのような。
(-10) 2022/05/06(Fri) 21:36:57

【墓】 充実 バレンタイン

やはり不安はとめどなく湧いているけれど、
それを表現する方法は今のところ奪われた。

選択肢が無くなってしまったら、
考えることが少なくなって済む。
消極的な、ポジティブ的思考だけを頼りに。

これがもたらされた治療の結果で。
バレンタインに与えられた、
“病と、ギムナジウムに対して最適な形”だ。
(+3) 2022/05/06(Fri) 21:38:00

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 中等部 バラニ

扉の向こうで立つ音に、瞬きをひとつ。
誰かがいるのは間違いない。
エルナトは食堂で見かけたから、順当に考えれば、それはバラニの筈だ。
そうして思考を巡らせている間に、室内から声が返って。

「そうだよ」
「食堂にいなかったから、朝ごはんを持ってきたの」
「開けてくれる?」

何だか妙に高い声だと思った。
酷く怯えているようだから、そう聞こえるだけかもしれないけれど。
何にせよ、受け答えから、目的の人物であることは確かだろう。
そして、こんな風に動揺しているのなら、昨日の彼とは違うということだ。

『お願い』を、聞いてもらえたのかもしれない。
(-11) 2022/05/06(Fri) 21:40:39

【人】 童心 クロノ

エルナトとバットの声と、ラピスの表情にハッと顔を上げ
ぶんぶんと首を横に振る。


    ん、」

「なんでもない、
だいじょうぶ、
なんでもない……


焦り調子で言いながら椅子を降りて、
ぱたぱた、食事の準備へと向かっていく。
(4) 2022/05/06(Fri) 21:41:56

【独】 高等部 ラピス

/*
よくもこんなことに加担させてくれたなギムナジウム
(-12) 2022/05/06(Fri) 21:43:42

【独】 童心 クロノ

/*
バレンタイン、くくりさんもとい紅緒さんじゃないか?
エルナトはあれんだ。
(-13) 2022/05/06(Fri) 21:50:32

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

まずは、拒絶されなかったことへの安堵が勝っただろう。
それから目に見えたものをうまく認識できず、反応が返らなかった。
指で、美しい色彩を拾い上げて。微かな木漏れ日に照らして、首を傾げた。
青色は張り付いているのではなく、人体と一体化しているのだ。

「……きれい……」

呟いた言葉に嘘はないものの、少しだけ眉はひそめられた。
手袋に包まれた指先でつついて、ひっかいて。
合間合間から見える真白い肌色を引っ張って、関節のあたりを曲げてみる。
手付きは無遠慮だ。そうした配慮は、あまりできるほうではない。

「痛くない?」
(-14) 2022/05/06(Fri) 21:55:04

【墓】 雷鳴 バット

>>4 クロノ

「……」「ごめん」

誰でも心の準備はあったはずだ。畳み掛けてしまったなと、反省。
思えば戻ってきてから、その前も、誰かのためとなることはあまりしていない。
準備をする背中だけを見守るように追いながら、自分もそれに続いた。
(+4) 2022/05/06(Fri) 21:56:29

【秘】 中等部 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

「っ……だ、駄目だ!」

返ってきたのは、強い拒絶の言葉。
自分でも君にそんな言葉を掛けてしまったことに気がつけば、唇を噛んで呻き声を上げた。

「……すまない、シャルロッテくん。
 それと、ありがとう……私のためにわざわざ……」
「朝食は……扉の前に置いておいてくれないか……
 後で必ず食べておくから……どうか、お願いだよ」

懇願するようにあなたに訴えかける。
顔を会わせたくない気持ちが、言葉からも滲み出ている。

しかし、その扉に鍵は掛かっていない。
踏み入ろうと思えばあなたはいつだってこの部屋に踏み入ることはできるのだ。
(-15) 2022/05/06(Fri) 21:57:17

【人】 司書 エルナト

「……なら、いいけれど。」

明らかに様子がおかしい姿。
でも、問いただしても仕方ないから、そのまま見送る。
………随分と変わり果てた、同級生の姿も。

君の声、好きだったんだけどな。


お腹をさすった。


「…そろそろ行こうかな。」
「図書室は今日も営業中だから、よろしくね。」

そうとだけ告げて、食堂を出て行った。
(5) 2022/05/06(Fri) 21:57:53

【人】 王として リアン

「……」

いつも通り、朝食を済ませて。
いつも通りのコーヒーを飲んで。

今日も人数を確認する。自分が守るべき笑顔は、いくつあったのだっけ。
随分と、減ってしまった。

気分転換なんてものでは、もうどうにもならないのだろうか。
(6) 2022/05/06(Fri) 22:00:39
司書 エルナト(匿名)は、メモを貼った。
2022/05/06(Fri) 22:00:53

リアンは、少し気になることがあって。食堂を後にした。
(a8) 2022/05/06(Fri) 22:05:01

バレンタインは、僕も自分の何もかもが嫌いなわけじゃなかった。
(c4) 2022/05/06(Fri) 22:07:31

バレンタインは、少なくとも、永遠にこのままなわけじゃないらしいから、それでよしとした。
(c5) 2022/05/06(Fri) 22:08:31

クロノは、パンを一個口の中に押し込んでから、食堂を後にする。
(a9) 2022/05/06(Fri) 22:10:04

エルナトは、今日も図書室で本を読んでいる。いつも通り。
(a10) 2022/05/06(Fri) 22:12:23

【墓】 雷鳴 バット

「……」

青年は今日もゆっくりと食事の列に並ぶ。
選ぶ品目はごく少なく、決まったものなのに、やけに長く食べるものを選ぶ。
それからやはりいつも通り、短い時間食卓に着く。
喋る口数も少ない。青年に話しかける人間は少ないから。
けれど、その日は違って。

「……何か」
「顔を出せるようになった時に」
「ちょっと、安心できること」「してあげられないかな」

重く立ち込める空気に耐えかねたか、ようやくそれを察知したのか。
ぽつ、とその場に残った人間に投げかけるように、短く声を発した。
(+5) 2022/05/06(Fri) 22:14:33

【赤】 童心 クロノ

そうしていつもの空き教室に、先に来る。
扉を開き、中を確かめて。
机の下や教壇や、窓の外やら、確かめて。

「……いない………」
(*0) 2022/05/06(Fri) 22:18:14

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 中等部 バラニ

大きな声に、刹那、足が竦む。
けれど、少■は深呼吸をひとつ、それから、かぶりを振って。

「――そのお願いは、聞けない」

静かな声で、あなたの望みを一蹴する。
トレイをひっくり返さないように慎重に片手で支え、確かめるようにドアノブへ手をかける。
試しに回せば、扉は何の抵抗もなく開いた。……開いてしまった。
少■は室内へ足を踏み入れる。
後ろ手に扉を閉めて、それから。

――錠の落ちる音がする。

「これは私が頼んだことだから」
「おはよう、バラニ」
「おかえりなさい」
(-16) 2022/05/06(Fri) 22:19:22

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット


「かわい、そう? 僕は幸せだ。
 幸せだから、皆を」

もう、既に代わりにしていた。
聞きたくない。

「代わり、に、なんて」

代わりにすることのなにが悪いのか、生徒に告げられた言葉。

一番に幸せにしたかった人はもういなくて。
この手の先にはより良くしたい世界《ギムナジウム》と、幸せにしたい子たちしか残っていない。

聞きたくない。言わせたくなど無かった。
可哀想な自分を掬うわけでもなく、零さないように手を差し伸べる貴方が誰かと重なったようなきがした。
(-17) 2022/05/06(Fri) 22:19:33
リアンは、出て行く直前で、青年のその声を確かに聞いた。
(a11) 2022/05/06(Fri) 22:23:08

【秘】 王として リアン → 司書 エルナト

「エルナト」

食堂を出て、君を追う。
少し気になることがあったのだ。
これまでは、余裕がなくて聞けなかったこと。

「君は、きちんと食事が摂れているのか」

毎日のように腹をさする仕草が、ずっと気になっていたのだ。
(-18) 2022/05/06(Fri) 22:24:48

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット

「……」

「幸せになることが、幸せだと思った」
「それだけだった」「苦しいのは、嫌だ」

先生
になれないのなら、僕は何もできない」

先生でいることができないなら。
平等に生徒として見られないなら。

「どうか、君、だけでも」
「僕の手で、幸せになって」

甘い言葉に誘われて、すがる先を求めてしまう。
なにも要らない、ただその許しだけがあればいい。

「普通じゃなくたって、嬉しい」
「その姿が見られるだけで」

 好き、で、いさせてくれさえいれば。

息をしたかったのに、焦がれるように目の前の唇を奪う。
その先は愛情の確認ではない、子供が母親に食事をねだるような甘えた仕草をしたあと重たいまぶたを閉じはじめた。
(-19) 2022/05/06(Fri) 22:26:18
ラピスは、食事をとりながら、青年の言葉を静かに聞いていた。
(a12) 2022/05/06(Fri) 22:29:43

【赤】 高等部 ラピス

からり、扉を開く。

準備をするより前に訪れていたクロノを目にとめると、数度瞬きをして。
食堂から早くに居なくなったのは知っていたけれど。

この上級生は、特にトットの不在に動揺した気配はない。
(*1) 2022/05/06(Fri) 22:30:16

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット

誰かは愛と言う。恋慕とはかけ離れた慰めを。
そんな孤独な情を、吐露することでしか癒やされる術を見つけられず溺れている。

生徒達を愛したい
の言葉を綴り続け、誰でも求めてしまう。
僕が■したい人は、誰だったのか。
いつ、誰が証明してくれるのだろう。


夜が明けたのに、まだ空は暗い。
(-20) 2022/05/06(Fri) 22:30:18

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

病を綺麗と形容されるのは不思議な心地がした。
自分もこれを初めて見たなら、同じ感想を抱くかもしれない。

触れてみれば、硬い質感が返ってくる。
確かにそれは鉱石に類似した何かであるらしかった。
指が曲がるのに合わせて、青色も追随して動く。
無理に可動させなければ特に痛みも生じないだろう。

痛くない、と告げるように頭を振った。

身体が部分的に鉱石のように変質していく病なのだと少女は語る。
声が出ないのも病が原因であると添えて。
今は投薬で進行を抑えている。
根本的な治療法は、まだ研究中であるそうだ。
(-21) 2022/05/06(Fri) 22:33:37

【秘】 中等部 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

扉が開く音を聞いて、しまったと思うも、時すでに遅し。

「─────!」

再処置を受けてからというもの、心は大きな不安に蝕まれて周囲に気を遣う余裕などなかった。
エルナトがいつでも帰ってきてもいいようにと施錠せずにいたものあったが、いずれにせよ大きな隙だったのだ。

「や、やめたまえよ……! シャルロッテくん……!
 私は……私は、大丈夫だと言っているのだから……」

錠の落ちる音がした。
その音は、今のバラニにとっては他の何よりも恐ろしい音だった。
恐怖に震え上がるかのように呻き声を漏らす。

「君が頼んだ、なんて……そんな……どう、して……」

あなたの告げる挨拶の言葉には何も返せなかった。
酷く動揺した様子で、あなたにどうしてそんなことをとうわ言のように問う。

布団から少しだけ顔を覗かせて外界の様子を伺っているその姿は、まるでミノムシやカタツムリのようで実に滑稽なものだった。
(-22) 2022/05/06(Fri) 22:34:22

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

「リアンさん。」

食堂から、図書室に向かうまでの廊下。
ゆったりとした動作で歩いてる所に声を掛けられて、
振り返ってその姿を見る。
端麗な顔………は、もう随分仮面で見えなくなっているが。
それでも直ぐに誰か判断できる程度には、聞き慣れた声だった。

「………。」

質問に、少しの間。
いつも浮かべてる柔らかな笑みは変わらないまま。

「昨日はね、ちゃんと食べたんだ。」
「でも、やっぱりお腹いっぱいには食べられないね。」
「成長期だからか、すぐお腹が空いちゃって。」

あはは、と笑う。
少年の食事の風景は、多くの人が一度も見たことがない。
(-23) 2022/05/06(Fri) 22:34:46
ラピスは、昨日から小さな花を胸ポケットに挿して過ごしている。
(a13) 2022/05/06(Fri) 22:38:05

【赤】 童心 クロノ

扉が開いて、ラピスの姿を見て。
その様子を見て、ぱちぱちと目を瞬く。

「…………」

「……トットくん、は?」
(*2) 2022/05/06(Fri) 22:40:07

【赤】 高等部 ラピス

「………………。」

伝えるべきか、迷いはした。
でもいずれ知ることになると思ったから。

『昨日が』
『トットくんの番でした』

胸ポケットに飾られた花。
それが、
誰がトットを連れて行ったのか

何よりも明らかに語っていた。
(*3) 2022/05/06(Fri) 22:46:31

【秘】 王として リアン → 司書 エルナト

相変わらず仮面は身に着けたまま。いつも通りの調子で君の前に立っている。

「……成長期という割には。
 君の、食事する姿を見たことがなかったものでな」

食事を人前で取らない学生は多い。
それは、食事を必要としなかったり。人前で食べる気がしなかったり。そんな理由が多いように見えていたから。

「特殊な体質、なのか?
 特定のものしか食べられない、だとか…そういった偏食の可能性も考えていたんだが」

ただでさえ気が滅入る事が続いている。
少しでも悩みの解決に力添え出来たらと思っているのだけれど。
(-24) 2022/05/06(Fri) 22:54:03

【赤】 童心 クロノ

「……………」

よろ、と一歩よろめいて
教室の机の一つに、がつ、とぶつかった。
その胸に飾られた花は、
どういう訳だかよく分かる。


「…………、」

わたしが、失敗したから?
咄嗟に思ってしまった言葉を飲み込む。
きっとそういう訳では無いだろうと。


「…………………」

分かって居ながらも自責がぐるぐる巡って、

何も言えずに、そのまま俯いた。
(*4) 2022/05/06(Fri) 22:58:37

【秘】 ライアー イシュカ → 雷鳴 バット

「……毎度騒ぎになんのは理由があるってことだろ」

吐き捨てるような口調がかえって肯定の色を強くする。
薄々そうなると理解してはいるももの、
言わないという選択肢を取れるほど器用な人間でもない。

なんだその顔、とばかりに眉間を寄せて。
驚いたのは貴方が近づくにつれて兎が逃げる行動からだ。
あ。と、反射的に追おうとしても
今日は鍵を無理やり借りて入っている訳ではない。

兎はただ檻を隔てた向こう側で固まっている。

「え、なに……お前、なんかしたの。
 1羽足りない気がするけど、病院でも連れて行ってる?」

貴方が昔から兎から避けられていたり、
逆に理由を聞いていたならこれは本当に軽いだ。

「はあ、よくわかんねえけど……
 何かお前こう、あれ。お子様だったじゃん。ぼーっとして。
 テキセツナチリョウができる自我でも見つかったか?」

病気の変化についての質問に関しては、
貴方が答えなかったなら軽く首を振った。

「……気持ち悪くなってるだけだ。
……これがまともで堪るかよ。
(-25) 2022/05/06(Fri) 23:03:29

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

「あはは………そうだね、人前では食べないかな。」
「可哀想だから。」

という、なんだか普通とはずれた回答。
てく、てくとそちらに近づいて、目の前まで立てば、
身長差分、少し見上げる形。

続けられる質問には、くすくす、と笑い。

「もしかして、心配してくれている?」
「やっぱり上級生は、下級生の事が気になるのかな。」
     
あなた

それとも、"王"だからかな?なんて首を傾げて。
うーん、と顎に指をあてて、思案して。

「まぁ、そうだね。体質……というか、病気かな。」
「人と同じものが食べられないから。」
「……あなたなら僕のご飯が作れるよって言ったら」
「食べさせてくれる?」

ちらり、と鷹色の目が君を見る。
お腹をさする。
お腹が空いて仕方ないな。仕方ないよ。
ご飯を目の前にしたら、お腹が減るのは仕方のない事。
じわり、溢れる唾液を、こくりと飲み込んだ。
(-26) 2022/05/06(Fri) 23:07:26
司書 エルナト(匿名)は、メモを貼った。
2022/05/06(Fri) 23:08:29

司書 エルナト(匿名)は、メモを貼った。
2022/05/06(Fri) 23:08:48

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 中等部 バラニ

「そんな様子で言われたって、信じられないよ」

ちらと視線を向けた先、ベッドの上のあなたはミノムシのよう。
すぐに朝食を摂るのは難しかろうと、サンドイッチとあたたかなホットミルクを載せたトレイを、テーブルに置く。

「病気が治るのは、いいことだと思うけど」
「昨日のバラニは、大切なものも一緒に失くしてしまったみたいだったもん」
「だから、先生お父さんに助けてってお願いしたの」

酷いことはしないで、ともお願いしたけれど、それは聞いてもらえなかったのかもしれない。
或いは、少■のこのような行いが、酷いことだったのかもしれないけれど。
少■はあなたを振り返る。
ゆっくり、ベッドのそばへと歩を進める。
(-27) 2022/05/06(Fri) 23:23:19

【秘】 王として リアン → 司書 エルナト

「可哀想……」

ピンとは来ない。人と違った環境で育ってはきたが、自分はどちらかと言えば育ちの良い方だ。

「さてな。僕は僕の思惑の為に、君たちを気に掛けている。
 結果的に、それは君たちの笑顔に繋がればいいと思ってはいるが」
「心配するだけなら、ラピス辺りはいつだって君たちの事を思っているんじゃないか」

気になっている。間違いではない。
下級生だって、同級生だって関係なく。
見上げてくる、鷹色の目を片方が黒く濁った琥珀色の双眸が見つめ返した。

「なるほど。僕に用意できるのなら、用意しよう。
 料理の腕に自信があるわけではないから、僕にしかできないというものでもなさそうだが」

極端に言えば、命を差し出すようなことがなければ。
この王は、君の言葉に頷きを返すだろう。
―――どんな突拍子のないものが待っていようとも。
(-28) 2022/05/06(Fri) 23:23:27

【墓】 ライアー イシュカ

      
「──トット?」


殆ど飾りの様な担当だったとしても、
無意識にまず同班の小等部に目が映り、他の班に移る。

同僚アオツキよりも自分の担当の方が遥かに問題が多かった。
己が未熟だからなんて死んでも認めたくない。
まだ
一人いるのに何も声をかけないのだって、
聞こえてしまったからこそ何も言えない。

「……馬鹿な奴」

将来への思想や病への向き合い方などこの男より遥かに大人だった。
それを本来は馬鹿と表せる筈もないのに咄嗟に口を吐いた言葉はそれだった。

最後に告げた言葉は禄でも無かった。
最後に見た顔が思い出せない。
だからあの時の言葉を考えたくない。
考えたって、言ってしまった事実は変わらない。それが怖い。
(+6) 2022/05/06(Fri) 23:24:47

【赤】 高等部 ラピス

/*
スゥーーーーーッ ということで実質最終日ですの 
トットくん……ウッウッ 我ら小さいものクラブ 墓と地上に別れようと最後の時まで一緒ですわ………

本日で決着がつかなかった場合、自動的にコミットで狼を吊ることになりますわね。
まあ9割方コミット進行になると思いますので……差し支えなければ提案がございまして。
(*5) 2022/05/06(Fri) 23:25:08

【赤】 高等部 ラピス

/*
私凶狼お嬢様、クロノちゃんを噛んでもよろしくて!!?!?!?


OKいただければ匿名箱でも確認取ってきますわ
(*6) 2022/05/06(Fri) 23:25:33

【赤】 童心 クロノ

/*
笑っちゃったわ……よくってよ!!!!
何にしてもエルナトくん吊りで死ぬんですがね!!どうぞ!!
(*7) 2022/05/06(Fri) 23:30:08

【墓】 ライアー イシュカ

>>+5 バット

「え、何急に。そんなの言う奴だっけ。
 お前が急に何かしてくる方がビビるんじゃねえの。
 
……冗談だって。
されて嬉しい事でも考えれば?」

やや動揺して声が上擦ったのは秘密だ。
実習生はこの有様だが、学生時代よりは緩和している。
なにしろ当時なら話を聞いてない振りをしていた。

「あ、中等部の面子の好み。
 僕は殆ど知らないから役に立たないぞ」

「苺も、もう品切れだ」
(+7) 2022/05/06(Fri) 23:31:57
イシュカは、唯一喜ぶものを知ってる相手にあげられるものがもうない。
(c6) 2022/05/06(Fri) 23:32:28

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

少年はほとんどの時間をここで過ごしてきた。
親には捨てられたと自認しているし、実際にそう。
此処での暮らしは、どちらかと言えば育ちが良い方、
になるのかもしれないが。

「へぇ、どんな思惑?」
「ラピスさんは優しそうだよね、あんまり関わりはないけど。」
「よく、下級生のお世話をしてるのをみるし。」

何にせよ気にかけられているのは事実。
嬉しいね、なんて笑う。無邪気な笑み。
異彩の両眼をじっと眺めて。

「本当に?」
「うん、大丈夫、貴方でも用意できるよ。」
「人なら誰だって用意できる。」

その言葉を聞けば。
嬉しそうに、身体を寄せる。

許しまで得たら、もう我慢できない。
空腹は耐えがたい。


(-29) 2022/05/06(Fri) 23:35:38
はなわずらいの トットは、メモを貼った。
(c7) 2022/05/06(Fri) 23:40:11

【独】 ライアー イシュカ

小等部組がよりによってえっち担当なんですか????(テラとトットを見つつ)
(-30) 2022/05/06(Fri) 23:41:57

【赤】 高等部 ラピス

/*
後追いの上から襲撃をかけられるクロノちゃん二重に命を散らしていて心がボロボロになりますわね
まあまあ最終日 殺りたいこと殺ったもん勝ち青春ならですわ
承諾いただきありがたき幸せ よろしくお願い致しましてよ……
(*8) 2022/05/06(Fri) 23:42:21

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

それから、手を君の頬へ伸ばす。
拒まれなければ、両の手で触れる。

「僕ね。」
「……人の体液しか食べられないんだ。」

そうして、告白する。
自らの病を、自らの食事の対象を。

「汗とか、涙とか、唾液とか。」
「…血とか、尿とか、精液とか。」
「そういうものしか食べられなくて。」

だから、人前でそれを食べるようなことはしないし。
お腹いっぱい、食べる事も出来ない。
そもそも、分け与えてくれる人自体が少ないから。
気持ち悪いから。


だから、お腹が減って仕方ない時は。
自分でも抑えつけられるような、初等部の子を無理やり。
"食事"にしていた。これまで、ずっと。
他の班の子を。……最近は、この班の子まで。


「リアンさん。」
「食べてもいいの?」

少し荒くなった息。熱を上らせた顔は。
餌を前にした、飢えた獣のようであった。
空腹の抑えが利かない。
(-32) 2022/05/06(Fri) 23:42:35

【独】 神経質 フィウクス

/*
嘘でしょ?
監視した回数だけ恋させられるんだ
デバッグできたのでOKです バカの挙動を取ってすまない……
(-31) 2022/05/06(Fri) 23:42:55

【独】 ライアー イシュカ

え、この僕の用意していたうさうさに狂うイシュカのロール・・・・・・書く雰囲気じゃなさすぎないまま最終日まで来てしまった!?!どどどどどうしよう?!書いていいのか!?いきなり恋差分でうさぎに狂いだすイシュカを!?温度差おしまいでなくって!?
(-33) 2022/05/06(Fri) 23:45:26

【独】 ライアー イシュカ

置き手紙があれば閑話休題として置いたのに・・・
(-34) 2022/05/06(Fri) 23:45:43

【赤】 童心 クロノ

/*
こちらこそ!よろしくお願いいたしましてよ〜!
でもちょっと力尽きかけてましてよ!ゆっくりお付き合い頂けると嬉しいですわ〜〜!
(*9) 2022/05/06(Fri) 23:46:07

【独】 はなわずらいの トット

/*
行け〜〜〜〜〜〜ッ!!!!悔い無くやれ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!
5メガネは応援しています!!!!!!
(-35) 2022/05/06(Fri) 23:48:11

【秘】 ライアー イシュカ → 月鏡 アオツキ

バレンタインとトットが消えた日から少し時間の経った夜。
不意に貴方の部屋に控えめなノック音がしたと思えば、瓶を一本だけ抱えた男が唐突に「今日」と呟く。

……今日と言うか最早「今」なのだが、
さてそのまま外に出て定例会の日に使う部屋に行くのも、ドアを閉めるのも自由だ。
(-36) 2022/05/06(Fri) 23:49:46

【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ

「ツキは」「たくさん苦しんできたんだね」
「ここで、もしくは、病気で」「辛い思いをしたから」
「誰か、助けてくれた人みたいに」「なりたいのかなって」

想像で思い出をなぞるだけ、そこに確証はないのだとしても。
聞こえのいい言葉を口にすることに抵抗がないのは、
それを受け取った人間がどこに降り立つのか、責任をもたないから。

「僕、ツキを安心させられるように」「がんばるね」
「大人も、どうにかするって」「言ってた」
「きっと僕も」「ツキも、よくなるよ」

代替品は誰でも構わないのだから、気軽に手を差し伸べたって構わないだろう。
ただ、無責任で甘やかな言葉だけが向けられる。
唇を掠めたそれの意味を、どれだけ稚気の内の子供が理解しただろう。
あやすように背中を撫でる手は、蕩けるような熱を持つわけではない。
けれども、それはよいことなのだろうと受け止めて。
やさしいもののように、笑うのだ。

やがて朝が来たならば、共に食卓に向かう。
朝は短く、夢想の中に腰を落ち着ける時間は少なく。
それでも貴方がそれで構わないというのであれば。
(-37) 2022/05/06(Fri) 23:53:43

【秘】 中等部 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

こちらに近付いてくるあなたを見て、身を隠すように包まった布団を掴む力を強める。
中等部にもなったというのに、やっていることは本当に小さな子どものようだった。

「こ、来ないでくれ……」

弱々しく拒絶の言葉をあなたに放つ。
こんな状況で命令口調でなんて言えるわけもなく、懇願するように。

「や、やめておくれよ……
 私は、こんな姿を君に見られたくなかったから……」

微かに覗くその瞳には、涙をいっぱいに溜めているのが見える。
昨日のバラニとも違っている、一昨日までのバラニとも違った。

そこにいるのは、弱々しく何もかもに怯えるだけの少■だった。
(-38) 2022/05/06(Fri) 23:54:45

【独】 雷鳴 バット

/*
狼たち かわいいな みんな撫でてあげたいな……
(-39) 2022/05/06(Fri) 23:56:09
司書 エルナトは、メモを貼った。
(a14) 2022/05/06(Fri) 23:56:50

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

見た目には美しいそれは、けれども美しいばかりではないのだろう。
触れた石は暖かくはなかったから。青年の頭でも、確かにわかることだった。
つるつるとした手触りを、なにか確かめるように触れて。

「……戻らない?」

美しい瑠璃色は進行性のものだと今聞いた、では。
退行して元の身体を取り戻すのは、難しいのだろう。
少なくとも抑制するだけが精一杯の今は。
それがなんとも寂しくて、小さな手を自分の膝の上に乗せて。
体温を移すように、ぎゅうと頬で挟んだ。固い感触が、時折あたる。
(-40) 2022/05/07(Sat) 0:11:56

【秘】 王として リアン → 司書 エルナト

「僕は、僕が善き王であるために この学園を善くしたいと思っている。
 君たちを幸福で笑顔溢れる日々が送れることは、僕が僕たる為に必要な事だ」
「彼女は、積極的に君たちを導いてくれる。本当に面倒見がいいんだ。
 体質の事もあるからなのか、他人への気遣いが自然と出来るのは見習いたいところだな」

穏やかな口調。
君を見つめる目―――片方は、焦点があっていないが。
君が喜ぶのなら 、と思った。

(-41) 2022/05/07(Sat) 0:15:47

【秘】 王として リアン → 司書 エルナト

病気内容の告白を受けて、眉を寄せた。
内容、それ自体は良い。血や汗で良いのなら、幾らでもやれるだろう。勿論死なない程度になら。

それよりもむしろ。

「構わない―――が、僕の身体は綺麗ではない。
 君が見ていて気分を悪くしないか心配だ」

仮面のかかりきらない頬に触れたのなら、熱を持った指先が右頬の化粧を落とすだろうか。
その下には、
どす黒くおぞましい痣
が見える。

「僕の身体は、傷と痣で埋め尽くされている。
 それでもかまわないのなら好きにするといい。今更、傷が増えたところで僕は気にしないからな」

ここではない方がいいだろう、と図書館に向かうまでの間に存在する空き教室に入っていく。
(-42) 2022/05/07(Sat) 0:22:16

【秘】 雷鳴 バット → ライアー イシュカ

「そう、か……」「確かに」
「ちゃんとした理由があるなら」「説明も、する」

全く疑わしく思っていない、というわけではない。
それでも敵愾心めいて恨めしく思うほどの理由は、青年にはなかった。
或いは、そう思えるほど"足りていない"かだ。
貴方の言う通り青年の頭の中というのはお子様で、あれこれと頭の回るほうではなく。
他人にこれとごまかされてしまったら、追及できるほどのものも持っていなかった。

続いて。不意に向けられた問いには明らかな動揺があった。
瞳孔は忙しく動き、言いよどむ間と呼吸があって。
どんなふうに答えれば良いのかが脳の内側で錯綜するように回っている。

「僕が」「兎を」
「……」
「……逃した、から」
「怒られた、大人に」

言葉は曖昧に。事実とは異なる事を言うのは慣れていない。
喉の奥で揺れる空気の流れは、それが嘘であることを明らかにしていた。
その質問があったからか、或いは単純に話題に途切れがあったか。
なんとなくもどかしい間があって、提案を。

「……一人のほうが、」「いい?」
(-43) 2022/05/07(Sat) 0:22:52

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 中等部 バラニ

少■はあなたの言葉を聞き入れず、歩みを止めることはない。
すぐそばまでやって来れば、ベッドの端へ腰を下ろして、あなたを見つめる。
不幸中の幸いか、布団を引き剥がすつもりはないらしい。
ただ、そう——ずっとずっと怯えたままだから、少しでも安心させてあげたいな、と思う。
けれど、近付かれることを恐れているようだし、それを聞くのは嫌だし。困ったな。

「こんな姿って?」
「だいじょうぶだよ、私はバラニのことがだいすき」

だから、どうにか会話を試みるしかない。
掠れた声が穏やかに、愛を紡ぐ。
(-44) 2022/05/07(Sat) 0:27:26

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

「殊勝な考えだね。素敵なことだと思う。」
「どんな理由であれ、気にかけてくれて悪い気はしないもの。」
「……悪い気がする人もいるだろうけど。」

赤髪の彼を思い浮かべつつ。
まぁ、あれは特殊な例というものだろう。

「高く評価してるんだね。ラピスさんの事。」
「仲はいいの?」

なんていう雑談。
普通の少年らしく、人の事には興味があった。

(-45) 2022/05/07(Sat) 0:30:21

【墓】 雷鳴 バット

>>a11 >>a12 >>+7 食堂
「ん」「……考えてみる」

肯定が飛んだのは、自分は怖がられているということなのか、
何かしら喜ぶことを考えるということなのか。
やっぱりいつも口数の少ない彼の言葉からは、判然としない話。
少なくとも食卓の席では、催しの相談もそれで終わってしまった。
いつか何か、動きがあるかというのはまた別の時間の話になるのだろう。
(+8) 2022/05/07(Sat) 0:32:54

【赤】 高等部 ラピス

『クロノちゃんのせいではありません』
『大人が決めたことです』

緩く首を振って、心に浮かんだであろう可能性を否定する。
少なくとも大人達が連れて行く彼らに関しては、
くじ引きのように決められていくだけだ。

『そろそろ』
『終わりが近づいています』

伝え聞いたところによれば、大人達の目的は達成されつつあるらしい。
だからこの集まりももうすぐ終わりだ。
もう君も、罪悪感に苛まれなくて良くなる。


「………」

飾られた花が、小さく揺れた気がした。
(*10) 2022/05/07(Sat) 0:35:47

【赤】 高等部 ラピス

/*
ようやく終盤 健康を優先してごゆっくりですわ
無理ないペースでお付き合いくださいまし!
(*11) 2022/05/07(Sat) 0:35:59

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

でも、普通の少年ではないから。
今、こんなに飢えに苦しんでいる。

「………わぁ。」

はらりと取れた化粧。
その内側にある黒いものに、声を上げ。

「どうしたの?これ。貴方の病気?」
「すごいね、気付かなかったな。」

もう少し化粧を爪で落として、しげしげと見つめる。
それから、齎される言葉には。

ふ、と思わず吹き出して、それから、笑い声をあげた。

「あっはははは…………おかしい事言うんだ、リアンさん。」
「貴方はミルクを飲むときに、牛の柄を気にするの?」
「僕にとっての貴方達は、そういう存在なんだ。」

ずっとこの食性で生きてきたから。
人間を牛や豚と同じ『家畜』としてしか見れない。
自分に食糧を提供するだけの生き物。
良くてかわいいペット、その程度の、認知。


空き教室に、後ろからついていき。
扉を閉めれば、そのまま鍵まで。

(-46) 2022/05/07(Sat) 0:37:08

【秘】 司書 エルナト → 王として リアン

それから、貴方に抱き着いた。
ぎゅっと、身体を押し付け熱を伝えるのは。
愛や恋や性によるものではなく。
ただ、熱して汗を出させるためだけの捕食行動。

首に腕を回して、見上げる。



「……ちゅーしていい?」



汗も涙も、今は出ていない。
だから一番すぐに取れる給餌手段を、口に出した。
(-47) 2022/05/07(Sat) 0:40:39

【赤】 童心 クロノ

「……おわ、り?」

文字を読んで、読んでいく。
もうこんな事をしなくてよくなる。
わたしは何もできてない、とか考える場合ではなくて、


「…………はやく、おわって」
「おわったら、はやく……」


「はやく、おわってほしい…………」



乞うように口が繰り返して、
俯いて、服を握って、すこし。


「…………きょうは、
 だれを、連れてけば、いいのかな」


「きょうは、わたしがやる……やる、から……」
(*12) 2022/05/07(Sat) 0:55:23

【独】 ライアー イシュカ

これ、エルナトくんとトットくん、仲良ししてるってことですか!?いいね〜〜〜!!バラニくんとシャルロッテくんちゃんもずっと対面で殴り合ってるイメージあるな〜〜〜!ワイワイ
(-48) 2022/05/07(Sat) 1:04:32

【秘】 月鏡 アオツキ → ライアー イシュカ

「急ですね〜 イシュカ」

比較的元気そうに見える実習生はいつもどおりだ。
嫌なほど感情がまた見えない。

「良いですよ、いきましょう。
 ピーナッツとチーズ分けてもらっていたんです。
 イシュカのためですよ?」

一度厨房によって皿を持ち出してくる。
そのまま定例会の部屋に向かえば、ひとつ息を吐いて。
いつもの席についた頃に口を開いた。

「イシュカ。
 何されました? 大人たちにつれていかれて。
 そして、どうなりましたか。君の病気とやらは」

ふざけて聞いているような口調でもからかうようでもなく、
ただそれが本題とでもいうように彼は静かに告げた。
(-49) 2022/05/07(Sat) 1:11:41

【秘】 中等部 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

「私だって、同じだよ……」
「君の事が、大好きだから……愛おしいと思っているから……」

だからこそ、知られたくないと思っている。
君の前では皆に誇れるような立派な男としてありたいのだから。

このような醜態を見せてしまえばもう手遅れかもしれないけれど、その一線だけはどうしても譲ることはできなかった。

「……恐ろしいんだよ、君にこのことを知られるのが……!」

今にも泣き出しそうになってしまうのを、何とか堪えている。
君が傍にいる限り、バラニはずっとこの秘密が表沙汰になることに怯え続けることになってしまう。
(-50) 2022/05/07(Sat) 1:15:13

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

『少なくとも、今は』

不可逆のものだと頷いた。
研究が進めば、或いは元に戻るのかもしれない。
外科手術で取り除いたこともあるが、それは対症療法のようなもので。
根治できなければ、また夜色が身体を覆っていく。

じんわりと、肌の温もりが移る。
感覚の消失した石部分はそれを感じ取ることはできなかったけれど、肌には確かに温かさが灯った。
感触を確かめるように微かに動かされる指の動きが青年の頬に伝わるだろう。
(-51) 2022/05/07(Sat) 1:16:08

【秘】 王として リアン → 司書 エルナト

「そういった相手には、また別の手段を考えるさ。
 例えば、僕の同室相手だったりな」

考える事は同じだ。
本人に言えば、更に機嫌を損ねることになるだろうから 言えはしないのだが。

「いや?だが、見ていればわかるだろう。
 勉強会の様子であったり、朝食時の様子であったりな」

同い年で同班というだけの関係だ。
ほとんど何も知らないに等しい。
だが、それでも。わかることはあるものだ。

(-52) 2022/05/07(Sat) 1:33:55

【赤】 高等部 ラピス

「………」

無垢できれいな手は、一度も汚れなくていい。
私が悪かったことにするためには、それがいい。

無理に仲間にされて、大人に突き出された事実があれば。
多少は疑いの目を逸らすことができる筈だから。

待ち受けている治療が少女にとって残酷なものである可能性だってある。
バレンタインのように。
だからこれは傲慢で残酷で身勝手な決定だ。

『次も、私がやります』
『ですが』
『準備があるので、また夕方に話しても良いですか』

生徒が居なくなるのは夜。
それまでは知らせない方が都合が良い。
この黙秘をどう受け取るかは、少女に委ねられている。
(*13) 2022/05/07(Sat) 1:35:35

【秘】 王として リアン → 司書 エルナト

「気付かなくて当然だ。気付かせないようにしていた。
 気を張って隠していたんだ」

演劇用の化粧と仮面を利用して。そして、徹底して風呂には一人で入るようにしていた。
王である自分が、誰かに不安を覚えさせないように。

化粧の下は、どこまで行っても黒に染まっている。
左頬の化粧の下には、まだ陶器のような白い肌が見えるのだが。
右側は、もう。

(-53) 2022/05/07(Sat) 1:40:09

【秘】 優位 リアン → 司書 エルナト

「はは……!面白い事を言うな、エルナト」

君の言葉を聞いて、思わず笑みが漏れる。
君が、王である自分を"下に見る"等とは思わなかったからだ。

抱き締められることは拒まない。
だが、君が首に手を回しても。
自分の方へ顔を近付ける事を許さない
。頬を掴み、顔を固定するようにしてやる。

「口付け等、貴様には勿体無い。
 体液が欲しいというのであれば直に与えてやる。
 王の施しだ。有難く受け取るといい」

その体勢のまま、親指で君の口を開かせる。
隙間に、垂らした唾液を落としてやる。"これで十分だろう"と言わんばかりに。
(-54) 2022/05/07(Sat) 1:52:02

【秘】 ライアー イシュカ → 月鏡 アオツキ

「相変わらず何考えてんのか分かんねえ顔だな……
 僕のせいにするな。素直に食べたいって言え」

怒られるか小言の一つくらいは覚悟していたのだが。
踊る程あっさりで、かつこの言葉と表情のちぐはぐさに違和感を覚えないのが、今イシュカに見えているアオツキと言う存在だ。

悪態を吐きつつ厨房に入った途端足を止める。
今は誰もいない有り触れた厨房の光景を見て目を細め、呟く。

「結局、全部無駄になったな」


あの日いた貴方ならそれが何を指しているのか、
失踪した日時を考えると明白で。
男だけでなく同室者の生徒すらも失踪していたのだ。

あの日のケーキが数日不在の部屋に置かれ続けていた光景が
浮かんでもおかしくないかもしれない。

いずれにせよ足を止めていた時間はほんの僅かで、
貴方の後に続いて部屋に向かい、席に座るだろう。

「……薄々想像ついてる癖に」

何をされたか、と言われた瞬間に緊張で両手を握り締める。
視線が落ち着かず思い出した記憶だけで
ここまで体が強張らせ、顔色を変える程に恐怖が隠せない。

「…………そっちも気付いてるだろ。
 治った、のかはわからない、けど、
 ……これが、"まとも"な状態って、
……思いたくない」
(-55) 2022/05/07(Sat) 1:59:19

【秘】 司書 エルナト → 優位 リアン

随分周りをよく見ているのだろうな、と思った。
やはり王という自認がそうさせるのだろうか。
あるいは元から面倒見のいい性格なのかもしれないが。

「疲れるんじゃない、隠し事をするのって。」
「他に知ってる人はいないの?」

流石に同室の人に隠すのは大変な気もするし、
多少は知られているのかもしれない。
それでもきっと、多くの人は君を、見た目麗しい上級生くらいにしか思っていないだろう。自分もそうだったし。
それらの努力も全て王であるためというならば、
それはもはや、執念にも近いものだな、と思った。

「そんなに王であることが大事?」

広がる黒に、これ以上ここで暴いて、
誰かが通ったら困るだろうと、指を止めて。

(-56) 2022/05/07(Sat) 2:13:30

【秘】 雛鳥 エルナト → 優位 リアン

それから、"王への嘆願"が、笑い飛ばされたことに。
少年は少しだけ、泣きそうな顔をして。
ご馳走が乗ったお皿を下げられたみたいな気分。

でも、その後の行動に。
"王からの贈物"に。

「…ん……ちょうだい…………?」


舌を出して、受け止めるように。
垂らされたそれを、口の中に運んで。
ぬちゅ、と口の中で転がして、絡めて。
君の顔を、とろんとした目で見つめながらずっと、そうして。
それからようやく、こくん、と喉を鳴らして飲み込んで。
はぁ、と漏れた熱い吐息は。
すこしばかり君の香りに染まっていた。


「ねぇ、もっと……もっと欲しい…………」


上気した顔で、尚も求めるように口を開いて待つ少年は。
さながら、雛鳥のようにも見えるだろう。
(-57) 2022/05/07(Sat) 2:21:07

【秘】 月鏡 アオツキ → ライアー イシュカ

「気付いていても、私は完全には教わっていないんですよ。
 全部又聞きでしたし、
 ――この日まで私にその手が来る事がありませんでした」

「だから、イシュカがそんなに怖がってるのを見て
 ああ、やっぱり、よくないことがあったんだなって思います。
 ……なくなっていたと信じたかったんですけどね。
 変わっていませんでしたか、やっぱり」

グラスを差し出して、お酒をつぐ。
瓶ごと飲んでしまわないように、少量から。
差し出してさほど取り乱さないことに安心をする。

「まとも…… すみませんね。
 元のイシュカがどうであったかもわからないんです。
 君は自分の"病気"をどう自覚していたのか教えて貰って良いですか?

 もし、教えていただけないなら先生方に詳しい事を聞いてきます」

「悪化してる可能性もありますからね。
 私が感じる正しそうなことを教えてあげましょう。」
(-58) 2022/05/07(Sat) 2:28:54

【秘】 冷静 フィウクス → 月鏡 アオツキ


勝手にすりゃいいさ


返答はどこまでもそっけなく、突き放すようなもの。
それでもこれは、確かにあなたへ向けた肯定だった。

「あんたがどうしようと、俺は勝手にする。
 その責任をなんであんたに負われなきゃならない?
 不確定要素になりかねないのは互いに同じ事だ。
 
だからこそ公平に。
あんたの手を取れると思ってる」

そこに義務や責務なんて無くて、結局はただそうしたいだけ。
そうしないと自分が気に食わないというだけ。
あなたもこの気難し屋も、きっとそう変わらないはず。
全てはたったひとりの人間の、今は些細なはかりごとだ。

"それでも"手を伸ばそうとする事は、無価値な事だろうか。

「俺が"生徒"だから、あんたが"先生"だから。
 だから助ける、助けられるなんてのは。
 その方が俺にとっては余程信用がおけない。
 互いの立場が変われば成立しなくなるような協力関係は脆い」
(-59) 2022/05/07(Sat) 2:29:41

【秘】 冷静 フィウクス → 月鏡 アオツキ


「あんた達が役を被る事を否定するわけじゃない。
 建前の必要性を理解できないほどガキじゃない。
 その上で今は、
 
あんたのその言葉が本音だと信じてもいい。


あなたの言葉は信じている。
紛れもなくあなた自身の心よりの言葉だと信じている。
それでも今はまだ、心底信じられる未来なんて無くて。

わかる事と言えばここには救いたがりが多いという事だけ。
誰にもどうすれば誰も彼もを救えるかなんてわからない。
自分だってどうすれば救われるのかなど未だわからない有様で、
"それでも"それを探す為の猶予を稼ごうとしている。

今はそれが見付かるかさえわからなくたって。
何を以て『救われた』とするかなど、価値観次第でもあって。
生きていれば考え方が変わる事もあるだろう。

「それでもあんた達を心底信じて、目指す所を共にする為には
 あんた達の事を知る必要がある」

「何も今すぐじゃなくていい。
 だが、
あんた達までここから居なくなる前には
。」
(-60) 2022/05/07(Sat) 2:30:29

【秘】 直視 フィウクス → 月鏡 アオツキ


「教えてくれなきゃわからない。
 きっと俺にはいつまで経ってもわからない。
 何も教えないなら、ここの大人とそう変わらない」

片側だけの視線があなたの手を一瞥して、
その後は透明な瞳をただ真っ直ぐに見据えている。
懐疑や怒りに歪められたものではなく、
ただ冷たく透徹した色をして。

「そうは思わないか?」

どのような形であれ穏やかな様相を呈する事は病が許さない。
だから同じように微笑みを返す事はできないけれど。
あなたの伸ばした手は、決して振り払われはしない。
(-61) 2022/05/07(Sat) 2:30:57

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

他人のことは、他人が説明してくれるから。
自分のことよりもなんだか深刻なもののように感じられたのだ。
人それぞれの状況に、程度問題の差などないのだろうけれど。

ぱち、ぱちと目を瞬かせる様子は眠りにつく畜獣のよう。
甘やかな膚の香りと、つややかな指の触れる感触が。
どうしても、ひどく、――に思えたから。

ざら、と舌が指先を這って。
かりと、尖った歯が白い指に立てられた。
(-62) 2022/05/07(Sat) 2:36:15

【秘】 優位 リアン → 雛鳥 エルナト

「昨日までは、誰も知らなかった。同室の彼とはここ最近までお互いに干渉しないようにしていたからな。
 なるべくなら隠しておきたいものではある。気持ちの良いものでもないだろう」

君を含めて、3人だ。たったそれだけの人間しか知らない話。
醜いものに対して人間は態度が変わるものだ。こちらがどれだけ努力しようとも。

「大事だな。
 元々そのように育てられたということもあるが、何より自分の気を緩めないためという理由もある」

王であることは、権力のある立場にあることと同時に プレッシャーを常に与えられる立場に就くということだ。
日頃から模範であり、善くあるための努力を欠かさないように。
そういった思いを抱えて。

王で有り続けることを望んでいる。

(-63) 2022/05/07(Sat) 2:45:36

【独】 神経質 フィウクス

/*
何らか"感情"抱いてしまうと不機嫌になっちゃうから
ちょっと冷たいくらいが普通の人で言うところのニュートラルな精神状態になるんですよね。
わかりにくいね〜 ややこいね

そんでもって共謀者その一、なんかしとるね。(肩書きを見る)
(-64) 2022/05/07(Sat) 2:48:28

【秘】 王 リアン → 雛鳥 エルナト

強請る声を受けながら、口の中に溜まっていた唾液を与え終えると。流石に何度も、すぐに与えられるものではないから 一度手を離し、自分の口元をハンカチで拭う。

「欲しいのなら、与えてやる。
 舐め取ってみせろ。まさか、垂らさないと飲めないなどとは言うまいな」

腕を捲り、傷と痣で埋まりきっている肌を露わにする。
裁縫用の裁ちバサミを取り出せば、一度息を吐いて―――吸ってから。
自らの腕に思い切り突き立てる。
歯を食いしばり、苦悶の声を飲み込んだ。

眉を寄せたままハサミを抜き去り、君の目の前に 腕を差し出す。
ぼたり、ぼたりと零れ落ちる鮮血が床を汚していく。
白いブレザーにも、赤が飛び散り 良く映える事だろう。
(-65) 2022/05/07(Sat) 2:55:51

【秘】 ライアー イシュカ → 雷鳴 バット

「……兎は馬鹿じゃねえけど、賢くもない。
 普通は逃がしただけなら怯えはしないだろ。
 悪意を持って逃がしたとしても気付かない。……」

追及されないのを幸いとばかりに淡々と。
己が気にした所ばかりを逆に尋ね続ける。

弱みを突かれないならまだいつも通りらしく振舞えはする。
最もそのいつも通りは大多数の人にとっては不快だろうが。

「ちなみに僕、他の教師に聞く事もできるが。
 その答えはそのままでいいわけ?」

完全なカマかけだ。見る人が見なくてもわかりやすい程に。
男もただの実習生だ。詳細な話を聞ける保証なんてない。

暫し貴方から目を離さず、錯綜する答えが纏まるのを待つ。
意外にも怒気を帯びていない白群が射抜き続ける。
もし答えがなかなかでないなら、
待つ合間に以下の下記の言葉をかけていただろう。

「……別に。執拗に話しかけてこないならいい。
 それに嫌なら言われなくてもこっちが去ってる」
(-66) 2022/05/07(Sat) 3:35:44

【秘】 神経質 フィウクス → 雷鳴 バット


「俺はこれまでに一度もお前に遠慮をした覚えは無い。
 お前の事は……別に、そういう奴だと思ってるだけだ」

自分に誰かを特別慮る余裕はそれほど無いし、それに。
もし仮に、言いたい事があるのに言わずに黙っているだとか。
何か煮え切らない様子であれば、それは少しは気に障る事だろう。

けれど大抵は、恐らくはそういうわけではなく
単に互いに話す事が無ければ無理に会話をしようとはしない。
これまでの付き合いの中でそういうものと認識している。

それは今に至ってもおおよそ変わりなく。
それが自分にとっては不都合ではないから良いとしている。
きっとこのどこかいびつで遠回しな接し方を、
心地悪いとは感じず、そういうものとあなたが受け取るように。

「………これから、か」

これから、卒業まで。
自分と比べれば、あなたに与えられた猶予は長いだろう。
けれど、と思ってしまうのは、きっと悪い癖だ。


そんなふうに思って、同じように一度部屋へ視線を移した。
そうしてこの部屋を貸し与えた者の事を思い返す。
きっと、大丈夫だ。
(-67) 2022/05/07(Sat) 4:37:51

【秘】 不明 フィウクス → 雷鳴 バット


「俺は……この病を治したいとは思わない」

「治さないまま外で生きていけるとは思ってない。
 だが、結局、この病を治そうと治すまいと。
 俺にはもう外に居場所は無いんだ。
 だからこのままこの場所に居られるなら、それでいい」

フィウクスもまた、誰にも自分の正確な病状を教えていない。
あなたとまったく同じではないけど、少しだけ近いような理由で。

知らないから教える事ができない。

自分の正確な病状を知らない。教えられていない。
他ならぬ自分自身の事だというのに、
教えられていないからいつまでも自分で自分がわからない。

「おかしな考えだと思うか?」

あなたがフィウクスという人間を理解する事が難しいように。
フィウクスがあなたに歩み寄るのも難しい事だった。
少なくとも、『普通の人』のようにはできなかった。

自分を正しく見る事もできなければ、
誰かを正しく見る事もできはしない。
そんな、どこまでも不自由でいびつな在り方を強いられても。

今となっては、この病も確かに自己を形成する一部だった。
だから今更になって手放す事は難しくて、けれど。
そんな自分の居場所を作るには、外の世界は広すぎる。
(-69) 2022/05/07(Sat) 4:39:56

【独】 神経質 フィウクス

/*
ここまでずっと尽くレスがデカくてネチャネチャしてる
許してくれ 許して たすけて〜〜〜〜っ
(-68) 2022/05/07(Sat) 4:43:10

【秘】 共謀者 フィウクス → 王 リアン


「────、」

不意に腕を引かれて、反射的にそちらを見て。
結ばれた握手の形にひどく苦い顔をした。

形だけでも笑みを返す事のできない自分が。
心にもない返答しか返せない自分が。
それらへの自己嫌悪が苛立ちとなって内に向いた。


「………馬鹿が」

「気が逸ってしくじるなよ」

案の定不機嫌そうに、なんとも回りくどい返答だけを返して。
手が離れれば、今度こそ何処かへ向けて歩き出した。

心で、言葉で、態度で応える事のできない自分には。
結局のところ、行動とその結果で応えるのが精一杯だ。
(-71) 2022/05/07(Sat) 5:17:29

【独】 神経質 フィウクス

/*
肩書きでも応えときました。
(-70) 2022/05/07(Sat) 5:18:05

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

「………?」 「??」

大型犬のような仕草が可愛いな、とぼんやり考えていたから、続く行為の理解がすぐには追いつかなかった。
まず歯が立てられる感覚への驚きで反射で肩が跳ねて、
それからぱちくりと目を丸くして手を見る。

一体どうしたというのだろう。
困惑の色が強い視線が向けられている。
(-72) 2022/05/07(Sat) 5:22:45
リアンは、フィウクスの手を 今度こそ掴んだ。
(a15) 2022/05/07(Sat) 5:43:08

フィウクスは、その手を──今度は振り払わなかった。
(a16) 2022/05/07(Sat) 5:48:18

【置】 神経質 フィウクス


随分と久し振りに生家への手紙を認めた。

この10年来、家族とは殆ど他人のようなものでこそあれ。
ここに居る為の頼み事であれば
大抵は聞き届けられた。
それほどまでに彼等は戻って来て欲しくないんだろう。
あの場所の、唯一の恥とも呼ぶべき自分という人間に。

だから、これも、きっと。
何らかの形で聞き届けられはするんだろう。
(L0) 2022/05/07(Sat) 5:50:20
公開: 2022/05/07(Sat) 6:30:00

【置】 神経質 フィウクス




……

………


…………だからどうにも私には、
人生の半分以上を過ごしてきたこの場所で
この場所をもう一つの家として生きていけるような、
卒業とはまた別の選択肢が必要なように思うのです。

叶うなら、私はこの場所で生きていきたいのです。

先生方の配慮や尽力も虚しく、
今やこの10年間を無益に過ごして来た私には
過ぎた願いとは思いますが────
(L1) 2022/05/07(Sat) 5:52:22
公開: 2022/05/07(Sat) 6:30:00

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 中等部 バラニ

瞳にいっぱいに涙を溜めているのを見ると、拭ってあげたくなるのだけれど。抱きしめたくなるのだけれど。
今はきっと、触れようとするのは逆効果だろうな。
少■は膝の上で、手持ち無沙汰な指先をもごもごと絡ませている。

「……だいすきだから知られたくないこと」

少■はあなたから目を逸らさない。

「実はね、私にもあるよ」
「だいすきだから知られるのが怖くて、知られたら嫌われてしまうかもしれなくて。
それでも、いつか言わなきゃいけないこと」
「……バラニは、隠したい秘密を知られたら、どうなると思う?
知られることの、その結果訪れることの何を怖がってるんだろう」

それは、上級生のお姉さんが少■に言ったことの繰り返し。
秘密を知られてどうなるかは、知られるまでわからない。
もしかすると、思ったほどに恐ろしいことでは、ないのかもしれない。
(-73) 2022/05/07(Sat) 7:05:58

【赤】 童心 クロノ

「………………、」

どうして、と言いたかったけれど。
なんで、と問い掛けたかったけれど。
口を噤んで俯いて、頷いた。

昨日の自分の様子を見て
負担を掛けさせまいとしてくれてるのだろうか。
あなたがひとりで罪を負おうとしてるんじゃないか。
また失敗されては困ると思われているのだろうか。
大人から、頼まれたことをやれない子供だと罰されないか。
あなたに、役に立たないと思われてるんだろうか。
ううん、そんなことは無いと思うけど。けれど。

後暗い不安が消えなくて、あなたの顔が見れない。



「…………じゃあ」

「また、夕方…………」

「教えて、ね?」


出入扉へ足を向け、
返事も見ないまま、退室しようとする。
次の標的は、標的を。私は知らない方がいいんでしょう?
わかったよ。
……ちゃんと、わかってるよ。
(*14) 2022/05/07(Sat) 7:42:37

【秘】 月鏡 アオツキ → 王 リアン


「そこは長年の王としての勘で戦って貰って……おや。
 また、疑いましたね〜? 将来も誓っていたんですから、もういませんけれど」

この話はここまでにしましょうと話を切る。
アオツキが態々こんな冗談を言えるようには見えないが、如何せん裏に含まれていそうな感情は顔に出なかった。


「よくおわかりですね〜。そんなところです。
 まったく……生徒にこんなことを考えさせているなんて、
 私も少し口が悪くなりそうになりましたよ」


「さて、そんな"病気"が存在したなんて……初めて聞きました。
 善悪は君の心が決めているんでしょうか……?
 そうでなければ、今頃真っ黒ですよ」

君のような心の持ち主が、こんな"仮面"で生き延びられていたなんて。贔屓せずとも、既に酷い状態になっていることがわかる。動ける程度でよかったと思うほどに。

「君は進行を遅らせるべきです。
 何よりこれ以上酷くなれば君が動きにくいでしょう」
(-74) 2022/05/07(Sat) 7:50:33

【秘】 月鏡 アオツキ → 王 リアン

事情こそ知らないが、その痣に指を這わせる。
痛みを与えぬように、優しく触れて。目を細めた。

「夜に抜け出して下さい、お酒飲んでみますか?
 食事を残して下さい、……わ、悪いことです。

 あまり許されないこと探し、私も手伝いますから
 君たちが暮らしやすい学園を作る為にですよ。
 だから、動けなくなったら知らせて下さいね。

 私たちは君の味方です。

 今日はこの後は休んで……
 少しぐらい悪いこと考えてみるように」
(-75) 2022/05/07(Sat) 7:52:08

【鳴】 月鏡 アオツキ

『実習生、貴方の担当していた生徒の話です』


――――――――
――――

「今なんと言いました?」

バレンタイン君を治療している?

「どうして」

「どうして、治療のことを私に伝えなかった!」

「彼は、――――」
(=0) 2022/05/07(Sat) 9:21:16

【鳴】 月鏡 アオツキ


自分はまだ彼の役に立てていないのに。
先生と慕ってくれた彼に答えられていないのに。
 
彼は、簡単に治るような病ではなかった。
時間をかける必要があった。
突然"正常"をに合わせられるような治療をしていいものじゃない。
現に彼が望んでなんていなかったじゃないか。


「……教えて下さい、彼に怪我をさせていませんか」

「彼に無理を強いていませんか?
 彼は望んでいたんですか、彼は泣いていませんでしたか」
(=1) 2022/05/07(Sat) 9:22:43

【鳴】 月鏡 アオツキ

「彼は、」


人の不幸の形は様々で、人の幸福も様々だ。
それでもどんな生徒にも幸せをあげるために、ここにきたのに。


「彼は、昼寝が出来るようになっていますか?」


求めた答えはいつまでたっても返ってこなかった。
(=2) 2022/05/07(Sat) 9:25:25

【鳴】 月鏡 アオツキ

『この場所にとって、彼にとって理想的な処置をしました。
 経過観察は怠らないように』


最後まで冷たく帰ってきた事実は治療が正しく行われたことだけ。
少しでも縋って、信じていたのが間違いだった。
もしかしたら、非道な治療はもうなくなったと。
そう思いたかった。


「ああ出来ないんだ」


其れでは、と立ち去る声を追うことも出来なかった。
立場も何もかも至っていない自分が、
起きていることを止めることなんて出来なかったから。
(=3) 2022/05/07(Sat) 9:27:42

【鳴】 月鏡 アオツキ

 
(=4) 2022/05/07(Sat) 9:28:39

【鳴】 月鏡 アオツキ

 


「全部一方的でしたね、私がしたことは」

窓際で緩まない頬を触って、ため息をつく。
(=5) 2022/05/07(Sat) 9:29:18

【鳴】 月鏡 アオツキ

それなら最後まで一方的でいいだろう。

恋を夢のようだと話した君に伝えようとした、
もう喪われた恋の話。

もう帰ってこない日々、それはまるで夢のような時間で。
君が想像するよりも身近で、愛を知っている人の傍で感じられることを。

「今の君がもし、恵まれていると言うのなら。
 私たちが全力で否定してまうでしょう」

「彼が望んだ幸せはこんなものではない。
 私たちがもらった幸福は、こんな形では昇華されない、と」

「……だから、ちゃんと幸せにしてみせます。
 もっと先生をしますからね、待っていて下さい。
 もう、しっかり分けらるようにもなったんですから」


揺れて邪魔になった長い髪を掴んで、筆箱に入ったカッターを取り出す。
余計な感情が籠もったその髪を一房、投げるようにゴミ箱に捨てた。

「そろそろ整えるか、この髪も」
(=6) 2022/05/07(Sat) 9:43:16

【鳴】 月鏡 アオツキ





「さて、授業の準備をしましょう。
 ――早く皆さん、戻ってくるといいんですが」


一瞬だけ作られたその口元は笑っていて。
足音の残響を最後に、誰もいない教室は静かになった。
(=7) 2022/05/07(Sat) 9:43:30

【秘】 哀れな子羊 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

「君にも……?」

君の言葉を訝しむように呟きながらも、今までの様子を思い出す。

ずっと気になっていたことと言えば、そうでないはずの人間にもお父さんと呼ぶ姿。
君にも何らかの事情があるのだろうと思って、深く触れようとはしなかったけれど。

知られたくないこと、隠したい秘密、抱えている悩み。
この学び舎がある意義を思えば、君もそれを持つのは決しておかしなことではない。

未だその瞳には涙をいっぱいに溜めながら、君のことを少しだけ見て、それからすぐに視線を落とす。

「…………父上や母上には、酷く失望されてしまうだろうね。
 跡取りに相応しい立派な男になれと言われていたのだから」

その言葉には、家族の期待や想いを裏切ることに対する恐れが。
そんな機会は、生涯失われてしまうのではないかという不安が。
(-76) 2022/05/07(Sat) 13:42:36

【秘】 哀れな子羊 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

そして──

「それに、なにより……」
「君には、そんな軟弱者だと、嫌われたくなかった……」

「君には、君の前でだけは……
 私は……立派な男として、ありたかった、んだよ……」

それは君に恋焦がれたからこそ、立派な姿を見て欲しいと思う。

少年の見栄だった。

ひとつぶ、ふたつぶ。

ぽろぽろと零れる涙が、少■の頬を濡らして、視界をぼやけさせる。
そんな姿も見られたくはなくて、更に身を隠すように布団に包まった。
(-77) 2022/05/07(Sat) 13:44:47

【赤】 高等部 ラピス

「………」

俯いたままのその顔は何を考えているのだろうと思った。
きっと罪悪感だとか、不信感だとか、恐怖心だとか。
そういう様々な負の感情に支配されている。
………そうだ。 負の感情に。
それがどれだけ大人達に都合が良いかもわかっていた。

少女を解放するために、少女に治療を受けさせる。

また、勝手なことをする。
どうしたってその不安を拭えないままで、
きっと自分が無力であることもよくわかる。

何か伝えたくて、でも言葉は出てこなくて。
チョークの先が黒板に当てられる音はしたけれど、
それ以上の、文字を綴る音はしなかった。

だから少女が振り向かずに教室を去っても、何も変わりはなかったのだろう。
(*15) 2022/05/07(Sat) 13:54:52

【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノ

クロノが丁度部屋にいる時間。
ラピスがふらりと部屋に戻ってくる。
両手には、いつものホットミルクが甘い香りを漂わせていた。

「?」

飲む?と首を傾げる仕草で尋ねて、共用テーブルに。 

恐らくは、朝にうやむやになった話について
再び話にやって来たのだろう。



/*
会議は朝の時系列で、そこで引き渡すと他の場所で以降の時系列ロールができなくなるかな、と思ったので無理やり夕方or夜にすっ飛ばしました。都合良い時系列で構いません!
(-78) 2022/05/07(Sat) 14:07:01

【墓】 充実 バレンタイン


結局、それほどひどいことをされたとは思っていない。
治療の内容に納得してしまっているから。
不安を溢れさせてしまう不出来な容れ物には蓋が必要だ。

ただ、会う人会う人皆なぜか悲しそうな顔をする。
自分を心配性とからかった生徒だって。
自分を寝坊助だと叱った先生だって。

『……』

僕を担当してくれた、あの人だって同じ。

いつものように中庭の木陰で休んでいても、
頭の上に花冠が乗っている、なんてことはない。

ああ、なら早く治らなきゃな。
皆が見たいのは、多分病が完治したバレンタインだ。
(+9) 2022/05/07(Sat) 14:56:13

【秘】 雛鳥 エルナト → 王 リアン

「おや、じゃあ意外とレアだ。」
「嬉しいね、王の秘密を知っちゃった。」
「穴倉に叫ばないといけないかもね。」

ロバ耳の王様。
本好きな少年らしいジョークであった。
勿論、実際に口外するようなことはしない。
隠されたものを暴いて広める趣味もない。

「……そう、やっぱり貴族って。」
「そう言うのがとっても、大事なんだね。」

という顔は、此処に来て初めて少しばかり陰りを見せた。
少年と同室の彼が貴族の生まれであるというのは、だれしもに知られている話。
彼も常に模範であろうと、立派な大人であろうとしている。
そのために"治療"を受け、薬の力まで借りて。


「……あんまりわかんないや。」
「肩書き通りに振舞うのって、疲れそう。」

なに一つの重荷も背負ってない少年には、
その覚悟も、プレッシャーも、理解はできないのであった。

(-79) 2022/05/07(Sat) 16:59:57

【秘】 雛鳥 エルナト → 王 リアン

「ぅぁ………」


体を離されれば切なげな声。
しかし給餌がまだ終わらない事を知れば、
はやく、はやくとせびるように自分の体を抱いて。

鮮血が、溢れて。


「あぁ………っ」


という小さな叫びは。
その腕のグロテスクな様相に。
突き立った鋏が齎した生々しい傷に。
……ではなく。

床に零れてしまったご飯への、悲しみから。


でも、すぐに新鮮なご飯の方に目を向けて。
君の手を、抱くように掴んで。
服が汚れようと気にすることもなく。
その傷を上から、下まで。
這うように、ぬるりとした舌が撫で上げるように。
動いて、血を掬っていく。

「…おい、しい………リアンさんの……とっても…美味しいよ………」


ほんの少し前まで、血を口にするのには抵抗があったのに。
今はもう、何も感じはしなかった。

血を吸いだそうと強く吸い付けば、
君に強い痛みを与えるだろうか。
(-80) 2022/05/07(Sat) 17:07:07

【秘】 月鏡 アオツキ → 神経質 フィウクス

「はい、勝手にします。
 まったく……なんといいますか。

 私の方が歳上なのに、君は食えないこというんですね〜。
 立場ならこちらの方が優位なんですよ、
 どれだけこの体で生きてきたか」

君の病気を知って、差し伸べる手段を変えなかったのは
このギムナジウムに君《不幸な子供》という存在が必要だからだ。

主観はそれこそ、彼らで良いのだろう。
この計画に幾つかの問題があるとするのなら、すべての人間が幸福になると病を原因とした何らかの施設のもくろみを壊してしまう。バランスが必要なのだ。
きっとそのバランスに、私たち《不幸な子》も入るのだろう。

この身体が治されることは、暫く無さそうだ。

「……何も言っていないのに協力させるなんて他の大人と同じ。
 
私はそう思っていませんけど〜?
 
確かにそう感じるな


あなたの頬を撫でていた手をゆっくり退けて踵を返す。
背を向けた男から聞こえてくる声はひとつだ。

「教えてあげられることなんてまだまだない、先生未満です。
 まあ? 私の事をフィウクスくんがどうしても知りたいっていうなら?
 タイマンでしっかり教えてあげますから〜、楽しみにしていてくださいね? 
 もうっ二人っきりになりたなら早く……結構はやくから言われてましたね、おねだりしてくださいよ」

軽口をたたく表情は相変わらずだが、
どこか力が抜けて憑き物が剥げたよう。
(-81) 2022/05/07(Sat) 17:39:59
ラピスは、中庭で休んでいるバレンタインを見かけた。
(a17) 2022/05/07(Sat) 17:46:52

【秘】 月鏡 アオツキ → 神経質 フィウクス

「でもひとつも知らないのはフェアではありませんから。
 聞かれていたことをお教えします。
 ショックな内容であることと、
 仕事に関係なかったので言わなかったんですよ〜」

触れなかった、おかしくはないから。
触れなかった、私にとって違和感でもないから。
誰かにとっておかしい話は、この体では正当化されていた。

君の知るクロツキは死にました。

 今は彼は
のものです。
 
『みんなが幸せになるための学校作り』

 
『辛そうな子を放っておくなんてできません』

 
『一人になんてさせられませんから』


誰かの言葉をなぞって己を殺す。
否、今まで男の口ぶりからすると、そうでなければいけなかった。
先生
で居続けなければいけないと
この男
は患い続けている。
それが何よりも自分達のためになると、そうしたいからし続けている。

「だから
先生の時間
は、
先生
をするんですよ。
 これからも、ずっとです」

僕が生きていなければよかった。
彼が生きていればよかったのに。
僕がいなければ、彼は生きていられたのに。
ああ、そうか、そうだった。彼を生かせるのは。
先生でいさせられるのは、この僕だけだった、ならば。

この人生はすべて捧げてしまおう、先生になるんだ、僕は。
(-82) 2022/05/07(Sat) 17:48:18

【秘】 雷鳴 バット → ライアー イシュカ

「……」

その先に続く言葉を紡ぐのを、躊躇した。
躊躇するような理由があるのだ、そして。
それを貴方に伝えて良いものか、それだけの判断が青年にはできない。
たとえば敏い子供であればもう少し言葉を選ぶなり、
ごまかしようもあったろうに。ただ、じりと惑った足が半歩あとずさった。

「き」「くなら、聞いたら、いい」
「そのほうが正確に」「帰ってくるから」

答えはあやふやなまま、肯定でもなく否定でもなく。
自分の口から言うのだけは、その場しのぎにしかならないとしても固辞した。
貴方がどれだけの権限を持つか、なんてのは青年にははかれないこと。
出来るのは、事態から逃げる準備をすることだけだ。
(-83) 2022/05/07(Sat) 18:36:13
バレンタインは、眠っているかのようにそこにいる。たまに歌を口遊みながら。
(c8) 2022/05/07(Sat) 18:42:09

【人】 司書 エルナト

>>+9 バレンタイン

ちらり、と。
建物の影からひょっこり顔を出す少年が一人。
そこに目当ての人物がいることを確認し、
少し悩み………それから、小走りで駆け寄る。

「バレンタインくん。起き……てるよね?」

確か目は動いてたはず。
正面にいた方が良いかな、と立ち位置を整えて。

「本、読めたかなって。」

その状態だと読めないんじゃないかな、なんて。
一つの心配であった。
(7) 2022/05/07(Sat) 19:00:07

【秘】 雷鳴 バット → 神経質 フィウクス

青年は他とのかかわり合いの中で口籠ったり言葉に詰まったり、
自分の中の考えを口にできないこともよくあった。それは、性格よりも頭の作りのせい。
そうした通い合いがスムーズに出来るということは、
共同体の中の知己としては十分足りうるところなのだろう。
互いに何かを齎すばかりが絆ではないのだし。

「……少しわかる」「僕も、帰っても……」
「僕は、"病気のこども"だから」「追い遣られて」
「たぶん大人になったら」「帰る場所はないんだ」
「子供は育てなきゃ」「よそに悪く言われるけれど」
「子供じゃなくなったら……」

黙り込む。いつか、自分がどうなるかなんてことは想像もつかない。
けれども人に言われたことを真似ることは出来る。
そこに込められた悪意も、噛み砕いて自分のものにすることなくそのままに。

果たして貴方とどれだけ同じ境遇か、まったく違うものかもしれない。
互い違いにもならず、全く違うものがそこにあるだけなのだとしても。
最終的に下した判断は、貴方の言葉に沿うものだった。

「おかしな」「考えでは、ないと思う」

もしもどこにも落ちる場所がないなら、疲れ果てるまで飛んだとしても。
自分は、それで構わない。貴方はどうだろう?
己の病も他人の病も知らないのなら、目の前に見えるものはない。
けれども暗闇の中でも、鏡の像は同じ形をしている。
(-84) 2022/05/07(Sat) 19:06:12

【人】 月鏡 アオツキ

「良いんですか〜?
 有難う御座います、イシュカもやっていましたからね〜。
 生徒たちも使うかもしれないので暫くかしきりにしても?
 こっちの区域なら片付けも要らないって、嬉しいです〜」

両手を合わせて喜んでいるように見える実習生。
その日の放課後は厨房を借りていた。

朝には機嫌が良さそうな口調で。
夕方辺りには気晴らしのように誰かと話す彼は、
いつもより髪がなんだか短くなっている。

「パン、捏ねますか〜。学生の頃ぶりですね〜。
 食べきれなかったらイシュカやバットくんの口に
 全部突っ込んでやりましょう」

一品目のパンは54%の出来だったらしく、香ばしい香りが廊下まで漂っていた。

メモがおいてある。
『パン作り開催中。好きな形を捏ねて持って帰って下さいね』
(8) 2022/05/07(Sat) 19:12:32

【墓】 充実 バレンタイン

>>7 エルナト

『───もちろん、起きてるよ。
 もう眠気に頼らなくてよくなっちまったし』

伸ばした前髪の隙間からは変わらず青い瞳が覗き。
見つめていると、僅かに瞬きのような震えをする。

『本は…… ───
 途中まで読んでたし、最後まで読もうとしてたけど。
 ごめん、暫くはそうできそうにねえや』

僅かに視線を逸らす様子は、
図書室で気まずそうに頭を下げた、
あの時の面影をありありと残していて。

『愛や恋の力で奇跡とか起きるんなら、
 それに越したことはなかったんだけど。

 どうやら僕にはやっぱり、夢みたいな話だったな』

無機質に喋りかける偽りの声は、
それでもどこか皮肉気なニュアンスがこめられていた。
(+10) 2022/05/07(Sat) 19:12:44

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

愛されて、艷やかで。白色のりんごみたいにほころんだ頬。
果実に挟まれた花びらみたいな唇が言葉を発さず、表情だけを作るのを見ている。
檸檬の枝のように細い指は青く艶めいて、それだけが冷たい。

「ラピスの指は、きれいだ。
 でも、僕は。生身のままのキミが好き。
 青い石には、なってしまわないでほしい」

さみしいと思うのは、変化が目に見えてあるからだろうか。
他人の病気は見えないものだから、こうして明らかなものがあるから?
離れていく船を見ていくような寂寥を湛えた目はじっと貴方を見上げて、
もしくはぼんやりと、指先からつながる根本を見て。

獣のような牙が、白い肌を突き破るほどに突き立てられた。
(-85) 2022/05/07(Sat) 19:14:40

【人】 司書 エルナト

>>+10 バレンタイン

「…そう、よかった。」

いつも少し眠たげな声。
先日ははきはきとした声。
今はそのどちらでもなく、何の感情もない電子的な声。
どうしたって、いつものように微笑むことはできない。
可愛がっていたペットが、補助具を付けないと
歩けなくなったような……そんな気持ち。


「……謝らないでよ。別にいいんだ。」
「最後まで読もうとしてくれたなら嬉しいな。」
「本は、最後まで読まないと意味がないからね。」

物語なんて、ラスト一ページで急に変わったりするものだから、と。
少し眉を下げながらも、微笑んで。

「……まだわかんないよ。何か起きるかもしれないさ。」
「……そうだ!本、今どこにある?」
「良かったら、読み聞かせしてあげようか?」

結構、初等部の子達にも好評なんだよ、なんて。
今度はしっかりと笑いかけて見せて。
(9) 2022/05/07(Sat) 19:31:32

【秘】 童心 クロノ → 高等部 ラピス

部屋の自分の机について
ぼんやりとペンを動かしていたクロノは、
同室者が部屋に戻ってくるのを見、立ち、
共用テーブルの方へと座り直す。

「…………朝の、話?」

ぎこちない表情でそう問い掛けながら、
ホットミルクの入ったマグカップへと手を添える。
それに何かが盛られている可能性など、考えなどしていない。


/*
わーい時間軸変更ありがとうございます!
特に問題なく夜の時間軸としましょうか!よろしくお願いします!
(-86) 2022/05/07(Sat) 19:51:06

【墓】 充実 バレンタイン

>>9 エルナト

『うん…… ───今はそう思う』
『想像して、勝手に鬱屈として、塞ぎ込んでしまうよりは。
 最後まで読んじまった方がいいんだろうな』

『不安は今でさえずっと湧いてくるけれど、───
 希望を持つことだって、今だからこそできるから』

だから、君もそんな顔をするなよ。
渦中の僕が言った所で、どうにもならないんだろうけど。

ここが物語の最後のページではないことは、
いくら自分でも分かっているから。

『あー……その手があった。
 何で思いつかなかったんだか。

 部屋に置いてあるけれど、───うーん……』

『読みかけの本が結構、そこらに置いてあるから。
 エルナトがそれを見て、気をやらないといいが』
(+11) 2022/05/07(Sat) 19:57:00

【人】 高等部 ラピス

「………」

じっ……。
こねこねと形作られるパンたちを眺める。
パンの香りにつられて、
他の生徒たちが集まっているようだ。

率先してパン作りに興じている実習生の姿を見て、
自分もやろうかな……と厨房に入る。
気晴らしはいつだって必要だ。
手袋の上から更にビニール袋をつけて、こねこね。
まんまるの形に整えていく。

少女は固いパンが好き。
パンの固さ:43%
(10) 2022/05/07(Sat) 19:57:48
ラピスは、ほどほどに固いパンができた。
(a18) 2022/05/07(Sat) 19:58:19

バレンタインは、小麦の香りを感じた。一度たりとも顔に出したことはないけど、食事は結構好きだったな。
(c9) 2022/05/07(Sat) 19:58:42

【人】 月鏡 アオツキ

「あらあら〜 ほどほどに固そうなパン。
 わたしのこれはなんでしょう。動物には見えますね。
 何かの動物に見えるパンです」

54%ぐらい動物に見えるパンを見せながらまた何かこねている。

「ラピスさんは自分用ですか?
 誰かにあげたりするんですか〜?
 私はせっかくですから食べて貰おうと思ってます」

たわいない話をしながら、もう少し食感あ良い物をと。
まじまじとレシピを見ながら、もう一度こねるのであった。
94%。
(11) 2022/05/07(Sat) 20:05:28

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

「──!」

声は出すことができない。
だから、喉の奥を細く息が通る音だけが出た。
牙が肌を食い破ったのなら、そこから赤い血が滲んで垂れる。
白い肌の下に巡っているそれが、確かにまだ生身が残されていることの証左だろう。
痛みを抑えるように自らの袖を握りしめた。
暫くそうやって、困惑と痛みを落ち着ける。
浅い息遣いだけが耳に届いただろうか。

青年の行動は獰猛さを纏っていたけれど、その奥にある寂しさも見えた気がした。

石にはならないよ。

何か言いたくても片手がこれでは難しかったから、
そう伝えるように青年の頭に手を置いた。
(-87) 2022/05/07(Sat) 20:05:40
アオツキは、しっかりレシピを見ながらお店に出せそうなパンを作り上げた。
(a19) 2022/05/07(Sat) 20:06:17

【人】 司書 エルナト

>>+11 バレンタイン

「……うん、よかった。」
「君が、ただの器だけになってしまったらって、心配だったけど。」
「ちゃんと君が、そこにいるみたいで、良かった。」

動かぬ体、電子の声。
人と呼ぶには些かばかり冷たくなりすぎてしまったけれど。
でも、きちんと心は君のまま。
それに、何もかもを投げ捨てたりしてるわけでもない。
君が落ち込んでいないのならば。
自分が悲しんでいてはいけないなと、緩く首を振り。

「………それ、図書室から持ってった本じゃないよね?」
「数か月前から転々と帰ってきてない本があるけれど…」

すこしじと……っと君を見て。
それから、大丈夫だよ、と仕方なさそうに笑って。

「じゃあ、探してくるから少し待ってて。」

そうして一度、君達の部屋まで。
何事も無ければそれなりの時間の後、帰ってくるだろう。
(12) 2022/05/07(Sat) 20:08:04

【秘】 王 リアン → 月鏡 アオツキ

「善処はするがな」

なんとか、数日後には手を取り合えるようになるのだから やればできるものである。
君の人間関係については 話を切られれば、それ以上追及はしない。
気になりはするが、あまり触れられたくない部分に積極的に触れようとは思わない。

「そのための閉鎖空間なのだろう。
 本来であれば、こんなことを考えさせないようにすることも仕事のうちのはずなのだが―――そうされていないのも、わざとなのだろうか。雑な仕事をしているのかは、分からないが」

「さあ、どうだろうな。
 僕は相手に与えた感情の種類で変わると思っているが……そうであるのなら、変えられるところは―――」

ないんじゃないか、という声は出てこなかった。
君の触れる指先が優しかったからだろうか。
少し驚いたくらいで、顔を顰めたりはしなかった。見た目がひどくなるばかりで、痛みはないのかもしれない。
(-88) 2022/05/07(Sat) 20:09:12
エルナトは、パンの香りを良いとは思えないし、味なんてわかりもしないけど。でも、パンを食べる皆の顔は好きだった。
(a20) 2022/05/07(Sat) 20:09:18

【秘】 王 リアン → 月鏡 アオツキ

「―――はは。それは、面白いかもしれないな。
 誰にも迷惑をかけない悪いことであれば、王の立場を揺るがすこともないだろう」

目を細めて、楽しそうに笑う。
実習生である君が、"悪いこと"を勧めてくれる事自体も含めて。

「最悪、治療を受ける事も考えるさ。
 僕はその立場上―――特権を持っている。必要になるまでは使わないつもりだが」

「あまり周りを不安にさせたくないからな、出来る事はやってみよう。
 アオツキ先輩と話せてよかった。感謝する」

機会が貰えなかったら、君が味方してくれることも 学園に疑問を持っている事も知らないままだっただろうから。
(-89) 2022/05/07(Sat) 20:11:21

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット

・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・


たったその短い時間でも休まったのか。
目を覚ましたアオツキは体を起こせば、寝ぼけ眼で君の額へと口づけをまた落とした。
特別でもなく挨拶程度にも交わされるだろうその仕草も、これまでにはなかったものだ。

共に食卓へ向かい授業の為に別れる時には、何処か普段よりも表情が豊かになっているように思えた。
彼はまだ、誰か過去の亡霊の振りをし続けている。
(-90) 2022/05/07(Sat) 20:13:53

【人】 高等部 ラピス

「!」

『誰かにあげるのも良いかもしれません』

固いパンは自分用にするとして、
自分も動物型のものを作ってみることにした。
二重に手に被せものをしているせいか少し動きはぎこちないけれど。
実習生は流石そつなく作っているなぁ、と感心していた。

動物っぽさ:86
(13) 2022/05/07(Sat) 20:15:45

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット


それは一人でいるとき。それは先生でいられる時間。
隠しきれず出てきた自我は君のことを考えた。

「(ミゲルくんが幼いのは何故だろう。
 十分な教育を受けていなかったからだろうか?
 先生達に聞いて、詳細を教えてもらえないか。
 ……ただのネグレクトでなるとも思えないのだけれど)」

頭がはっきりしている今ならわかる。
彼には負の感情が酷く欠落しているようにみえる。

悲しいことが悪いことと……思わせてしまった節があることから、
知識としては入っているのだろう、と、アオツキは判断して、また頭を悩ませる。

「(――駄目だなあ)」

ぞくりと感じた所有欲は、実に不誠実で。
自分を心地よくさせる素直で従順な子が可愛いだけ、に思える。

彼も自分に執着しているのではなく、自分が可哀想なのだろう。
其れは少し寂しいが、情けない姿ばかり見せているの自分が悪いのだ。

「(本当に天使みたいな子だ)」

自分の病は、きっと治されない。彼らのそれに触れることも叶わない。
過ごし方は変わらない、それなら一番聞かなければいけないのは未来のこと。

(-91) 2022/05/07(Sat) 20:15:47
ラピスは、かなり動物っぽくできた。
(a21) 2022/05/07(Sat) 20:16:16

バレンタインは、読みかけの本をあらぬところに置く悪癖がある。その先を読めなくても、忘れないために。
(c10) 2022/05/07(Sat) 20:16:28

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット

・・・・・・・
・・・・


「パンを焼いたんですが、食べますか?」

お茶の香りの中で珍しく普通に起きていたアオツキは、
変な形をしたパンが入ったバスケットを置いた。
お店に出せそうな出来のものもある、食べなくとも彼は問題ないのだろう。

「あの、」

「卒業したらどうするか、あの時聞きそびれていまして。
 保護者の元に返ってしまうのでしょうか……よかったら教えてくれますか?

 私はずっとこの学園で先生をし続けると決めましたから、外へはあまりでなくなってしまいます。
 そう考えると、会えなくなるのが寂しくなるな、と」
(-92) 2022/05/07(Sat) 20:16:35

【秘】 高等部 ラピス → 童心 クロノ

クロノが席につくのを見て、
いつものように黒板に文字を書いていく。
テーブルの上には、厨房で作ったパンが置かれている。
ホットミルクを置いた後、続けて持ってきたものだ。
固いパンと、動物っぽいパン。
もしかするとクロノの好きな動物の形かもしれない。

『お願いがあります』
『治療を、受けてほしいのです』

ホットミルクに口がつけられる前に、その言葉を見せた。

今の"お願い"と、"準備"の話。
両方から、誰が治療の対象になろうとしているのかは想像に難くない話だろう。
(-93) 2022/05/07(Sat) 20:21:11

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 哀れな子羊 バラニ

「……ねえ、それって、もう絶対にだめなのかな。
あんな、すべての情動を削ぎ落してしまうみたいな方法でしか、どうにもできないの?」
「一昨日話したみたいに、これからうんと勉強して、遊んで、強い勇気を持つ、そういう時間のかかる方法では、だめだと思った?」

ゆら、ゆら。濡れて揺らめくあなたの視線は、少しこちらを見たかと思えば、すぐに逸らされてしまう。
それでも少■は、ただじっと、あなたを見ている。
見ていたから。
ああ――やっぱりだめだ。

ぽた、ぽた。
光の雫が落ちるのを見て、少■はあなたに手を伸ばしてしまった。
これ以上、怯えさせることのないようにと、膝に置いていた手を。
その涙を掬うように、あなたの頬へ。

(-94) 2022/05/07(Sat) 20:24:31

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 哀れな子羊 バラニ

「……あのね」
「私、いつも支えてくれて、勇気をくれるバラニがだいすき」

「でも、こんな風に怖いことが起きて、バラニだって不安なんだって思った」
「だから、守ってもらうばかりじゃなくて、私もバラニのことを支えられたらいいのにって思ったの」

「いつもかっこいい姿を見せてくれてありがとう」
「これからは、そうじゃないところも見せてくれたら、きっと、もっとうれしい」

「たぶん、弱いことが悪いんじゃない。
不安になっても、泣いてしまっても、また立ち上がれるなら、それは立派なことだよ」
「もしも一人で立てなくなっちゃったら、私が手を握ってあげる。
……頼りないかな?」

――たとえ手を振り払われたとしても。
少■は夢見るようにやわらかに微笑むだろう。

あなたを繋ぎ留めようとするこの感情は、きっと、やっぱり、呪いなのだ。
(-95) 2022/05/07(Sat) 20:25:48

【秘】 ライアー イシュカ → 月鏡 アオツキ

「……お前にこのまま来ないかの保証もないけどな。
 僕だって、この期に及んで来るわけないと思ってたし」

「……された事は最悪だし今も思い出しても吐きそうになるし正直食堂でお前に手を掴まれた時一瞬それが過ぎって気持ち悪くて手を振り払いかけたけど……
 ……それ以上に、僕が一番嫌いな"嘘つき"に、させられたこと、が……本当に嫌で嫌で、仕方、ない……」

それらを一気に吐き出してから、逆に失われた色々を取り返すように注がれた酒を掴んで一思いに呷る。
宜しくない飲み方なのは分かっていても。
治療を与えられた筈なのに、反比例して空になる心の空虚さが凍りそうなほど辛かった。

「僕は、僕には、お前たちの言ってる言葉がわからない。
 全部嘘をついてるように聞こえる。
……認知の問題か何か知らないが、とにかく薄っぺらい嘘をつかれてる感覚になるし、実際そう聞こえて、……いた。

 成長して病の話を聞いて、「僕の方がおかしい」って事を知っても、それでも耳は、脳はそう認識してくれない。
 理屈じゃないのを、毎回訂正して聞いてる。

……それが急に、逆に聞こえ出し始めて」
(-96) 2022/05/07(Sat) 20:29:19
エルナトは、そこかしこに置いてある本に溜息をついて、目当ての本を探す。
(a22) 2022/05/07(Sat) 20:31:24

バレンタインは、君から渡された本は、きっと、ベッドの上に置いてあるだろう。
(c11) 2022/05/07(Sat) 20:37:07

エルナトは、ベッドの上にあったそれを拾い上げる。今まではここで寝ながら読んでいたのだろうか。
(a23) 2022/05/07(Sat) 20:44:46

【秘】 神経質 フィウクス → 月鏡 アオツキ


「歳上も歳下も優位も劣位もあったもんじゃない。
 結局のところは誰も彼も同じ病人だろうが」

減らず口はあいも変わらず無愛想に。
捻くれた人間性は病のせい、だけでもないのかもしれない。
やっぱり元々あまり性格がよろしくはなさそうなので。

「……何れにせよ、あんたに訊ねる事は増えるだろう。
 あんたに答える気があるなら俺だって聞く耳は持つ、が…
 
俺にだって我慢の限界はあるからな……


向けられた背に向けて、また一つ苦言を零して。
いつも通りの軽口に深く溜息を吐いた。

お互いどこかこれら傷病に依存している。
この場所に居る上で都合が良い、というだけではなくて。
病を失えば二度と立てなくなりそうで、だから縋り続けている。

きっと『普通の人』からすればいびつな在り方だろう。
或いは『普通の人』になりたがっている者からすれば。
治した方が余程幸せで居られるように映るのだろう。

けれどきっと、今はそれでも構わない。
これさえあれば、心折れる事は無いのだから。
(-97) 2022/05/07(Sat) 20:52:09

【秘】 共謀者 フィウクス → 月鏡 アオツキ


「……そうか。」

明かされた事実には、短い返答だけ。
また一つ感情が歪んで、そしていつも通りに抑え込まれた。


「俺があんたを"先生"と呼ぶ事があるかは知らないが。
 
……同僚にでもなればそう呼ぶ事はあるのか?
…まあいい」

あんたの事は信じてるこれから先もよろしく

どこまでもそっけなく回りくどく言葉を投げ掛けて。
こちらも同じように踵を返した。

自身がこの怒りを前に進む支えとしてきたように。
あなたがあなたを碑とする事が、
今はあなたを前に進ませるなら、それでいいんだろう。
(-98) 2022/05/07(Sat) 20:55:39
充実 バレンタイン(匿名)は、メモを貼った。
2022/05/07(Sat) 20:56:26

エルナトは、少しだけ部屋を見まわしてから、君の元へと戻らないと、と足を出口へ向けた。
(a24) 2022/05/07(Sat) 20:56:48

【墓】 充実 バレンタイン


『124ページ目、「太陽には烏、月には兎───
 ……“センセイ”もそうだったのかな』

少し考え事をすれば、
独り言みたいに頭のてっぺんから声が出る。
これだけは余計なお世話だな、とさらに独り言ちて。

さらに遡り、自分の両親のことも考える。
彼らだっていつか愛のもとに集まったはずなのに、
傷だらけになったり、いなくなったりするものだから。

『…… ─── ───』

バレンタインは、睡眠そのものはあまり好きじゃない。
けれど、夢を見るのは好きだった。
大抵は叶わないものだということを知っているからこそ、
それを不安に思う必要も、何も無いから。
(+12) 2022/05/07(Sat) 21:05:29
バレンタインは、でも、叶うかもしれない、と信じることくらいはしてみようと思った。
(c12) 2022/05/07(Sat) 21:08:41

バレンタインは、それで不安になっても、表現するものがないから、いっそ。
(c13) 2022/05/07(Sat) 21:08:53

【秘】 王 リアン → 司書 エルナト

「ふ―――叫んだ結果、学園中に秘密が広まったとして。更なる信頼が得られるようになるなら良いのだがな?」

ジョークに乗っかる形で、小さく笑う。

「人に寄るだろうさ。僕はそう育てられたが―――今は、王族から追放された身だ。
 僕がこうして王として振舞うのは、自分がそうしたいと思っているからに過ぎない」

望まれてそう振舞う必要がある人間と、そうでなく 自分を肯定するためにそのように振舞う人間の違い。
前者のプレッシャーは酷いものだろう。少しの失敗が人生を成功から遠ざけるのだ。
後者である自分は、実家の人間を反面教師として より善い王となり、見返したい気持ちもありはするのだろうが。

「まだ知らなくても良い事だ。
 けれど、全く分からないということもないだろう?図書委員として、相応しい振る舞いを求められたことはないのか?
 例えば、普段ズボラな人間でも、図書委員になって本を乱雑に扱うような姿を見せたりはしないだろう」

(-99) 2022/05/07(Sat) 21:15:01

【秘】 王 リアン → 司書 エルナト

「ッ、ぐ………」

自ら傷付けた腕が、燃えるような熱さを伝えてくる。
額に汗が滲んで、噛み締めた歯の隙間から 時折熱い息が漏れた。

好きなようにさせる。自分はただ与えるだけ。
傷を舌が這う度に、鋭い痛みが伝わって。

「―――ッ」

君の唇が傷口を強く吸い上げる。
声にならない悲鳴のような何かが、喉を通り 外へ出て行く。
強い痛みが信号として伝わると目の前がチカチカとして、壁に空いている方の手をついた。
痛みに慣れていない体は、本能的にそれから逃げようとするが 理性でそれを食い止める。
逃げるなんて、情けないこと。してやるものか。
(-100) 2022/05/07(Sat) 21:15:30
エルナトは、本を両手で抱えて、来た道を戻る。
(a25) 2022/05/07(Sat) 21:25:33

エルナトは、この本の結末は、そんなに大きなどんでん返しもない、普通のものだけど。
(a26) 2022/05/07(Sat) 21:26:07

エルナトは、その普通をしっかりと受け止めることが、大事なのだと思うから。
(a27) 2022/05/07(Sat) 21:26:40

【人】 司書 エルナト

>>+12 バレンタイン

「……や、おまたせ。」

とてとて、小走りに戻ってくる。
両手で抱えるのは、烏と兎の絵が描かれた本。
君の正面にまた立って。

「本当にいろんな本が散らばってたね。」
「ちゃんと読んで、元の場所に戻しなさい。」

なんて言うお叱りも飛ばしつつ。

「どこまで読んだ?」
「続きから、読んであげようね。」

ぱらり、本を捲りながら、問いかけた。
(14) 2022/05/07(Sat) 21:30:17

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

「そうしたくて振舞う………」
「……そうしたほうが、楽?だから?」
「まぁ……やりたいことをやってるなら、いいのかな。」

一方でおそらくは前者側である彼は。
責任感とプレッシャーに押しつぶされて、そうして。
自分の心の成長を、薬に頼ってしまった。
彼の止まり木になれなかったことは、少し悲しく思う。

「うーん、確かに、肩書………」
「でも僕は、元々本は好きで、丁寧に扱ってたから。」
「あんまり肩書によって、って言うのはないのかも。」
「…あ、でも本が図書室に帰ってきてないと気になったりするなぁ……。」

これが責任って言うものなのかも。
そんな風に考えたり微笑んだりする少年は、
年相応の無邪気な様子であった。

(-101) 2022/05/07(Sat) 21:37:05

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

一方で、餌を与えられる少年は。
どこか妖艶で、大人びてるような、逆に幼いような。
まるで本当に蜜月の時を交わしてるかのような、その姿は。
やっぱり、そういう姿を見せればより多くの"ご飯"を生み出してくれると
わかっていてそうしている、捕食行動の一つでしかない。


「もっと…………もっと…………」


食べれど食べれど収まらない空腹。
甘ったるい声で懇願して、口の周りまで紅で汚して。
ぺろ、ぺろ、浮き出した汗まで丹念に舐め取る。
その細長い指の一つ一つを口に含んで、指の間に舌を這わせて。
それでも全然足りなくて、もっと、もっと欲しくて。
だから。


真新しい傷口に、思いっきり歯を突き立てた。


「美味しい……熱い……好き………リアンさん………好き…………」


ドバっと溢れ出した血を思いっきり吸って。
ぐい、と体を押し付けて、叶うなら押し倒してしまおうと。
愛を語るその言葉もやっぱり。
何一つの感情も灯らない、ただの捕食行動でしかない。
病で歪んだ少年の、ありふれた食事だ。
(-102) 2022/05/07(Sat) 21:47:36

【墓】 充実 バレンタイン

>>14 エルナト

『124と125ページの間……
 の、どこかまでは忘れちまったから、
 その頭から読んでくれたら大丈夫。──ありがとう』

君が離れてから身体は微動だもしていない。
肉声も、表情すらもないけれど、
内側には気持ちが色々、沢山籠っている。
それを伝える手段がないのが心惜しいだけ。

『動けるようになったら……すぐに、──
 いやすぐには保証できないな。ともかく、

 ずっとこのままなわけじゃねえし。
 筋肉が衰えないようにと起こされた時に、
 身体が大丈夫そうだったら戻しに行くよ』

車椅子を進めて、ちょっとだけ距離を詰める。
『あ』と短く声をあげれば、少しの沈黙が挟まれて。

『……読み切ったら、でいいかな。
 もっと時間がかかるかもしれないけど』
(+13) 2022/05/07(Sat) 21:48:42

【人】 司書 エルナト

>>+13 バレンタイン

「ん、じゃあ124ページからかな。」
「結構読んではいたんだね。」

残りはそんなに長くない。
夕ご飯までには読み終われるくらいの量。
例え君から何の反応もこなくとも。
きちんと、最後まで読み終えよう。
それが友達として、君にしてあげられる事だろうから。

縮まった距離。
文字が見えた方が良いかな、と隣に寄り添う形にして。
二人で本を覗き込む姿勢になって。

「………うん、いいよ。」
「ちゃんと読むなら、いくらでも時間をかけて。」
「きっと本たちもそうしてもらいたがってる。」

にっこり微笑んで。
それから、ゆっくり、穏やかで柔らかな。
変声期の来ていない、ボーイソプラノの声で読み上げていくのだった。
(15) 2022/05/07(Sat) 22:07:39
エルナトは、「太陽には烏、月には兎───」「三つ足の烏は玉兎めがけてついに羽根を広げ────」
(a28) 2022/05/07(Sat) 22:08:55

エルナトは、静かに、読み進めていく。
(a29) 2022/05/07(Sat) 22:09:09

バレンタインは、反応を返すことはできないが。目はずっと本の文字を追っていた。
(c14) 2022/05/07(Sat) 22:21:22

エルナトは、淀みなく読み上げていく。空が赤く染まる頃、ついに指は最後のページを捲り。
(a30) 2022/05/07(Sat) 22:30:06

エルナトは、「────めでたし、めでたし。」金烏玉兎の話を、君に聞かせたことだろう。
(a31) 2022/05/07(Sat) 22:31:03

【秘】 哀れな子羊 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

頬に触れる手にぴくりと身体を震わせて、様子を伺うようにまた視線を君に向ける。
守ってあげたいと思っていた君が、これほど頼もしく思えるのはどうしてだろうか。

自分が情けないと思いながらもこの手を振り払うことはできない。
恐ろしくて、不安で堪らなくて、何かに支えてもらわなければまた立ち上がれない。

「……あの後にはもう、だめになっていたんだ。
 自分自身では、気付けなかったけれども……ああでもしないと、どうにもならなくて……」

涙と共に零した言葉に滲むのは、悔しさと深い絶望。

「私だって……私だって、本当はずっと……」
「そんな風に弱さを克服していければと思っていたんだ……
 今までのように、自らの意志で乗り越えていこうとも……

「けれど、最初から……最初から私は……違ったんだよ……
 最初からあんな方法でないと、私は何も、できなくて……」

少年のその勇気は、最初からあんな方法を頼りにしていたものだった。

たとえ、それからの歩みの全てが彼の意志によるものだったとしても。
今まで信じていたものを足元から崩されれば、少年は挫けてしまった。

(-103) 2022/05/07(Sat) 22:35:36

【秘】 哀れな子羊 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

「頼りなくなど、ない……けれど……」

だから、再び立ち上がるにはそれだけでは足りない。
立ち止まってしまった泣き虫が、また最初の一歩を踏み出すにはもっと目映い勇気が必要だった。

「…………」

「君が手を握ってくれるのなら、勇気をくれると言うのなら……」
「この秘密を明かして構わないと、思えるほどの勇気をおくれよ……」

その言葉が意味するものは、きっと君にとってはもっとも残酷なお願い。
真実を知らぬからこそ、可能性すら想像しないからこその残酷なお願い。

「でなければ、私はきっと……
 シャルロッテくんが好いてくれたバラニに……
 戻れないままに……なってしまいそうだから……」
(-104) 2022/05/07(Sat) 22:41:25

【秘】 抑圧 フィウクス → 雷鳴 バット


結局のところ、何かを与え、与えられるよりも。
ただ互いに適切な距離感が保たれていればそれでよかった。
フィウクスという気難し屋はそういう人間だった。

「……そうだろうな。」

子供は育てなきゃよそに悪く言われる。
あなたの口から出るには少し違和感のある言葉。
その理由を知らないなりに考えて、少しだけ眉を顰めた。

「この場所を出る頃には、
 俺達は少なくとも子供とは言えない歳だ。
 社会に出て、自立して、自分で自分の事に責任を持って
 そうやって生きていく事を求められ始める歳だ」

「どうすれば外で生きていけるのかなんて、
 誰もろくに教えてくれやしないまま」

あからさまな口減らしをすれば角が立つけれど。
こうして確かに治療を試みて、善処して、それでも。
結果的に、社会に適合できなかったとしたら。
それは仕方のない事ということになるから。

仕方のない事ということに、なってしまうんだろう。
(-105) 2022/05/07(Sat) 22:51:52

【秘】 神経過敏 フィウクス → 雷鳴 バット


「そんなのは、俺はお断りだ。」

生きていけもしないような苦痛と、
辛うじて生きてはいけるような苦痛と。
今はまだその何れかを選べる。今はまだ後者を選んでいたい。

「何れにしても俺は人混みの中では生きていけない。」

もしもこの場所から飛び立った先にあるものが、
その空気さえもが自分を苛むだけのものだとしたら。
それならここでできる事をしていた方が幾らかマシだと思う。

「だから俺はここに残る事になるんだろう。
 来年も、その先も、ずっと。
 いつかお前の事を見送るのか、
 お前も同じようになるのかは定かじゃないが。」

ここを出て、当て所もなくたって、行ける所までは。
何処かを目指してみようと思えるなら、それで良いのだろう。
自分はそう思えなかった。ただそれだけの話だ。
(-106) 2022/05/07(Sat) 22:53:03

【秘】 ライアー イシュカ → 雷鳴 バット

「…………そうかい」

落胆染みた溜息。ここまで言っても答えないという事は
余程話したくない事なのはさすがに教師の適性がない男でも察しが付く。
こっちに寄ってこないままの兎と貴方を交互に見て肩を竦めた。

「これだけ言っとく。
 何でお前が飼育委員なのかは知らんし、
 大人が決めた事なら僕にもどうこうできないから黙るけどさ」

「"あいつら"が可哀そうって思う事やってんなら、
 ……思うようになったら?なのか?まあいいや、止めろよ。
 行為でも委員でもどっちでもいいけど」

本当に逃がしてしまって言い淀んでいる可能性も否定できない。
けれど男は貴方についてそこまで詳細に知っている訳でもないから、もしも、の仮定の話でしか伝えられない。

「フィウクスといいさあ……
 何で別に好きでもないのに飼育委員やってんだ」

その分の鍵を僕に回してくれればいいのに、と。
その場にしゃがんでどうにもならない事に悪態を吐いていた。
(-107) 2022/05/07(Sat) 23:14:15

【秘】 ライアー イシュカ → 神経質 フィウクス

「見に来てやったぞ」

貴方の部屋に押しかけた開口一番がこれである。
最も本当にこの部屋で見るつもりはない。
そんな事を要求すればラットと対面できずに終わるのが目に見えているし、普段実習生同士で会話の為の部屋を抑えている。

「僕も戻って来れる目途が経ったら何か飼うかな……」

部屋に向かう途中でポツリとぼやいていた。
(-108) 2022/05/07(Sat) 23:17:35

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 哀れな子羊 バラニ

すり、すり。白い指先があなたの頬を撫で、こぼれる涙を丁寧に拭う。
手を振り払わずにいてくれることがうれしかった。
もしかすると、そんな気力もないだけかもしれないけれど。

「――ねえ、それじゃあ、今から私と、別の方法を試していこう」

ひとりのあなたが挫けてしまったのなら。
ふたりの私たちで、何かを変えられるかもしれないから。
ぐっと身を寄せて、あなたの額に口付けをひとつ。
それは、おまじないのような。
或いは、最後のお別れのような。
すぐに離れて、少■は一度、立ち上がる。

「――もしも、私の秘密を知っても。
バラニがまだ、私のことを好きでいてくれたらだけど」

(-109) 2022/05/07(Sat) 23:36:20

【秘】 恋の呪い シャルロッテ → 哀れな子羊 バラニ

嫌われてしまうかもしれないと思うと、今も怖い。
けれど、知らないところで他の誰かに壊されてしまうより、自分できちんと話をしておしまいになる方が、ずっといい。
少■は躊躇いなく、ふわりと揺れるジャンパースカートのファスナーを下ろした。
――床へ落とせば、ごとりと固い音がする。

次にリボンタイをゆるめて、ブラウスのボタンを外してゆく。
――最初に見えるのは、目立ち始めた喉頭。

露わになるのは白皙の肌。
薄く華奢な、少年のからだ。

「バラニが好きになってくれた『女の子』シャルロッテは、いないの」
「ずっと黙ってて、ごめんね」

――脱ぎ捨てられたジャンパースカートのポケットからは、
鈍く輝く鋏が飛び出している。

――いらないところを切り落としたら、まだ、好きでいてもらえるだろうか。
などと、そんな絵空事を少しだけ、考えていた。
(-110) 2022/05/07(Sat) 23:37:34

【独】 恋の呪い シャルロッテ

>これほど頼もしく思えるのはどうしてだろうか。

ガンギマリになっちゃったからだね。
覚悟ってやつがね。
(-111) 2022/05/07(Sat) 23:39:07

【墓】 ライアー イシュカ

>>8 パン祭り

「……なに、急にパン作り出して。菓子でもなく」

通りすがりに、どうぶつパンに惹かれて寄ってきた。
まさか食べられなかったら自分の口に突っ込まれようと
計画をされていたとも知らずにノコノコと飛んで入ったのである。

得意では全くないが基本的に内向的な事ばかりが好きだ。
琴の演奏とワイルドストロベリーを育ててる辺りで今更だが。
なお、繰り返すが実はパンも菓子作りも得意でもなんでもない。

通り魔のようにどうぶつ度が(39)1d100%のパンを作って行った。
(+14) 2022/05/07(Sat) 23:42:23
イシュカは、全然動物に見えなくて無言になった。ラピスのを見て更に悲しくなった。
(c15) 2022/05/07(Sat) 23:47:16

【秘】 月鏡 アオツキ → ライアー イシュカ

「けっこう私もやっと悪いことしはじめたんですよ?
 それでも耳に入らないなんて!」

「あらあら、すみませんね〜そこまで気が回りませんでした。
 本当にみたことがないものですから、……送ったことはあるんですけどね。
 その扉の向こうは知らなかったんです」


無理矢理食べさせず冷えたチーズを口にする。
こんな贅沢だって自分にとっては悪いことだ。
実習生だけで密会をして、お酒を飲んで、正しくない時間に食事をする。
これをしなければいきていけない者もいるというのに。
世界は狭いな、なんて遠くで何かを考える。


「中々大変な病ですね、聞き取る言葉が逆に聞こえるのは。
 思い込み……被害妄想、そういわれて淘汰されて終わる話です。
 "嘘"とはおもいませんが、世界がそうであったのなら嘘つきになってしまったかもしれないですね。

 大変そうですね〜。それじゃあ私なんて、
 とてもじゃないですが話しにくかったでしょう。
 私、嘘ついたことないんです。心配しないで下さいとは言いませんが……
 信用だけはしていいですよ、イシュカ」
(-112) 2022/05/07(Sat) 23:52:25
アオツキは、イシュカのパンをみて、お花には見えますよと励ましの言葉を送った。
(a32) 2022/05/07(Sat) 23:53:31

【墓】 充実 バレンタイン


夕暮れ。物語を反芻する。
特別なものはなにもない、
愛が成就する、普通の結末を。

きっとそういうものだ。
夢みたいなものなのは、愛それ自体であって、
普通の幸せを得ることはそれほど難しいことじゃない。

不安の病を患っていても、同じことだ。

ましてやどんでん返しで不幸になることなんて、
そうそうあるはずもない。なるべくしてなるもの。
僕のこの身体も、彼の語った恋の結末も。

『僕たちは、──望み過ぎたんですよ。
 もっと普通でいいんです、センセイ。

 身の丈に合った幸せと向き合わなくちゃ───
 それ以上は手に入らないだけだったんだ』

誰かに話しかけるように。
手紙もまた認めなくっちゃな。
(+15) 2022/05/08(Sun) 0:04:06

【秘】 王 リアン → 司書 エルナト

「楽ではないだろうな。
 敢えて言葉にするなら―――それが夢だったから。だろうか」

だから、自分は苦労こそすれ潰れるような事はなかった。
目標であり、生き方であったから。
もし、君の同室と話す時間があったのなら。相談くらいは乗れたのだろうか。
たらればの話だ。

「そうだな、図書室の利用者が 規則を破っていたとして、それを見過ごすこともないだろう?
 他の利用者に不快な思いをさせたくないという責任感は、多少あるはずだ」

そういったものだ、と頷いて。
まだ中等部にいるのだから、気にしすぎる事はないと思うけれど。
それでも、少し何かを知ることが出来たのなら良いと思う。

(-113) 2022/05/08(Sun) 0:05:34

【秘】 王 リアン → 司書 エルナト

王を演じている青年は、誰かと恋仲になったことはない。
だから、他の人間を此処まで許したことがなく、誰かに靡いたこともない。
今だって、君に許しているのは食事のための行為だけだ。
だから、君の妖艶な姿にも 他の人間ほど良い反応を示すことはない。

どこか冷めたような目で、君の食事を眺めていた。
気持ち良いわけではない、どちらかと言えば、痛みと感触に対する不快感の方が強くて。

「ぐ、ぅぁ…っ!?」

だから、歯を突き立てられた時には 耐えられず声を上げて。
強く眉を寄せ、君の肩を引き離そうとする。

しかし、血の抜けている細身の体は自分の身体すら支えられず。
君の思惑通り、押し倒してしまう事が出来るだろう。
強く背中を打ち付け、呻き声をあげているはずだ。

「っ、は……お前が、好きなのは……僕じゃ、なくて……
 与えられる、飯……だろうが……」


ぼんやりとした思考でも、感情の入らない言葉には減らず口を返して。
君が満足するまで、結局は抵抗もままならない。

ああ、クラクラする。
(-114) 2022/05/08(Sun) 0:06:52
リアンは、今日は昼食以降、表で姿が見えなかっただろう。
(a33) 2022/05/08(Sun) 0:07:54

【秘】 王 リアン → 神経質 フィウクス

君の手を取った次の日。

自分の寝台で暫くぐったりしている姿があるだろう。
白いブレザーは赤黒い染みが飛び散って、しかし疲れ切ったように着替えられずにいる。

君が戻ってきたときにはそんな姿があるかもしれない。
(-115) 2022/05/08(Sun) 0:16:05
イシュカは、「咲く」ってか。嬉しくないやい。
(c16) 2022/05/08(Sun) 0:22:46

【人】 司書 エルナト

>>+15 バレンタイン

当たり前の物語が、当たり前の結末を辿る。
ありふれた恋物語。
どこにでもある、普通の。
辿るべきところを辿った物語。

きっと世の中の全ての事は、同じように。
何一つ気にかけずとも、流れていくはずで。

「………?センセイ?」

君がどこかに語った言葉は、少年宛ではなくて。
だからそれの理解はできなかったけれど。

「……満足できたかな、なら、よかった。」
「…そろそろ晩御飯時だ。バレンタインくんは、ご飯は食べられないかな。」
「顔くらいは出しておく?」

出すなら、君の車椅子を押して共に食堂に向かうし。
そうでないなら、またね、と微笑んで。
本は図書室に戻すため、抱えて。
建物の中へ歩を向ける事だろう。
(16) 2022/05/08(Sun) 0:27:32
ラピスは、アオツキの励ましの言葉にうんうんと頷いていた。
(a34) 2022/05/08(Sun) 0:28:11

【墓】 充実 バレンタイン

>>16 エルナト

『あ、いや───独り言だ。
 こうなってから心の声が、
 だいたい筒抜けになって困るんだよな』

隠し事のひとつもできやしない、と、
喉が機能していればため息のひとつでも吐いていたところ。

『……ずっと姿を見せてねえと、
 それこそ心配されるだろうし、行くか。

 食事は……食べることもそうだけど、
 生活の空気をみんなで共有するのが、好きだし』

眠気の奥に、不安と一緒に隠れてた好みを放り出して。
自分で行けるのにな、とか言いつつも、
厚意に甘えて食堂まで押して行ってもらおうか。
(+16) 2022/05/08(Sun) 0:35:13

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

たとえ何一つ意味がなくとも、
その捕食行動はやめられない。
食虫植物が、常に虫を誘引する香りを出すように。
ただただ決められた行動を、顔を、声を出すだけ。

服も顔も、君の紅色に染まっていく。
でもそれを気にすることもない。
少年は、非力な方ではあるけれど。
血の抜かれた人間に負けるほどではなく。
引きはがされそうになれば、反発するように身を寄せて。
自分事倒れ込むように、押し倒す。

「何が違うの……?わかんない、わかんないよ………
 だって、貴方達は僕のご飯でしょ………?
 ご飯が好き……リアンさんが好き……すき、すき………っ」


ひと

君と飯の違いが理解できない少年は。
例えば唐揚げを食べて、鶏が好きだというくらいの温度で。
君に蜂蜜のような愛を囁き続ける。
馬乗りに胴体に乗って、顔を寄せて。

「ね、ちゅー……ちゅーしよ……?」
「ちゅーしたい………お願い………ちゅーしたいの…………」


泣きそうな顔で懇願して。
それが受け入れられれば、その薄い色の唇に貪りつくし───

(-116) 2022/05/08(Sun) 0:36:09

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

受け入れられないなら。
君の手に持たれたままの鋏を、奪い取って。

「もっと……もっと………っ」
「ぼくをいっぱいにして…………」


振りかざして。

肩に思いっきり振り下ろす。


何一つの躊躇もなく。
牛肉を得るために作業のように牛を屠殺するがごとく。
樹液を出すために木の皮を剥がすがごとく。
傷つけて、溢れたそれに貪りつくだろう。
(-117) 2022/05/08(Sun) 0:40:28
エルナトは、「今の方が君の事を沢山知れるのかもね」と車椅子の彼に笑って
(a35) 2022/05/08(Sun) 0:44:08

エルナトは、君が食堂に顔を出すと言えば、嬉しげに笑って。だって、友達と一緒の方が楽しいから。
(a36) 2022/05/08(Sun) 0:45:03

エルナトは、るんるんと、楽しげに君の車椅子を押しただろう。
(a37) 2022/05/08(Sun) 0:45:36

【秘】 司書 エルナト → 充実 バレンタイン

ちなみに、道中にて。

「…ねぇねぇ、バレンタインくん。」
「君の体って、動きはしないけど……」
「汗とか、泣いたりとか……トイレとか」
「そういうのも、完全に機能してないの?」

そんな質問をしたことだろう。
(-118) 2022/05/08(Sun) 0:47:08

【秘】 王 リアン → 司書 エルナト

まるで、口を汚して食事をする幼児のようだ。と思う。
もしくは怪物か。もう少し綺麗に食べるものだと思っていた。

「はッ……く……」

分からない、と繰り返す君に何かを言いたげな顔をするものの、頭は回らない。
パンを焼いてもらったからと言って、パンを焼いた人間を好きになるものか?
君は、誰の体液だろうが同じことを言うのだろうに。

「、っ……馬鹿を、言うなよ……お前は"家畜に口付ける"のか?
 それに、僕も……飯を提供する、だけの相手に、唇を許すほど寛容では ない……ッ」


どれだけ泣きそうな声を上げても。
それだけは、
受け入れなかった


だから、鋏を取り上げる事も出来ず 君に
肩を抉られるのだろう。


思い切り目を見開いて、息の詰まったような声を上げる。
どくどくと溢れ出す鮮血が、ブレザーの肩口に染み出し 君が口に入れ損ねた分は床に広がっていく。
目が霞み、焦点が合わない。体の温度が下がっていく。

けれど、王の矜持か。意地か。君が動きを止めるまで、意識を手放すことはないだろう。
(-119) 2022/05/08(Sun) 1:08:22

【秘】 神経質 フィウクス → ライアー イシュカ


「……来てくれと頼んだ覚えはないが」

ドアを開けて、第一声は辛辣なもの。
いつも通り神経質に眉を顰める表情はどこか疲れ気味で、
それでも塩対応の後に一つ溜息を吐けば一度部屋へと引っ込んだ。
勿論ボイコットではなくケージを持ち出す為に。

「…生き物を飼ってると、どうしても」

部屋に着けば適当な所にケージを置いて、
その扉に指を掛けながら呟いた。

「死ねなくなるんだよな」

初めは単なる動物介在療法だったのか、
それともこの病ゆえだったのか。
或いは、死なない理由を与える為だったのか。
大人がそれを勧めた理由は、今となっては知る由もない事だ。

「寿命の長い生き物を飼うには。
 俺はいつここから居なくなるかもわからないし、
 もしもの時は預けられるような奴も、…居なかった」

ラットは賢く、飼い主をよく見分ける。
クリーム色と薄茶色、ケージの中の二匹の鼠が
開けた扉から差し入れた指に寄り付いた。
(-120) 2022/05/08(Sun) 1:08:29

【秘】 ライアー イシュカ → 月鏡 アオツキ

「……はあ、何だよ悪い事って。
 その言い草だと送ったこと、以上に何かしてんのかよ。

 そもそも……何となく聞きそびれてたんだけど、
 何で急に性格変わったの、お前。
 教師になるって決めたから?」 

それは余りに今更過ぎる疑問で。
問い詰めてまで聞く事ではなかったけれど、
一生聞かずにも居られなかった。
それくらいの疑問。それ程の疑問。

「……だから学生時代嘘つきって言われたんだよ。
 大人が庇う訳がないよな。なんだっけ、負の感情……?
 そんな馬鹿げたもん集めてたなら、
 僕が酷い目に遭い続けてる方がいいわけだ。
……ほんと、笑える


全く笑顔のない張り付いた表情のまま。
続く貴方の言葉に「図星だから」ふいと目を逸らして、でも続く言葉に思わずジト目を返しながら呆れたようにチーズを口に含む。

「……その言葉を受けるかは、
 そもそもなんで嘘ついた事がないかの話が先だよ。
 余程の信念でもない限りはそうは言い切れないだろ」
(-121) 2022/05/08(Sun) 1:13:21

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

今までは、もっと奇麗に食べていた。
そりゃあ、舐めたり吸ったりはしたけれど。
傷口に貪りついて、肉ごと食らいかねないほどに
獰猛に食事することはなかった。

でも

(-122) 2022/05/08(Sun) 1:19:27

【秘】 ライアー イシュカ → 神経質 フィウクス

「ま、そうだ。じゃないと僕だって、
 ワイルドストロベリーの育成だけで満足してない」

これだけ兎推しの男が飼わなかった理由は似たような物で。
最も残していく恐怖以外にも、教育実習生になるから引っ越しの為にと言うのは勿論あった。

だから代わりに葉目当てに野苺を育成していて。
パウンドケーキだってその頃大量に実が余っていたから始めたもので、園芸部に餌を貰いに行きはするものの、そもそも学生時代は人と関わる機会は少ない方がいい男だった頃の名残だ。

「だからお前は大人に飼わせられてたのかも?
 ま、推測であって何で飼ってるか知らないけどさ。
 僕は……動物が居なくても22になるまでは、
 余程じゃないと死なない理由があったし、納得はする」

推測と言ったのは、貴方が特別に動物好きには見えなかったから。
むしろ自分が一番動物が好きだと最近思えて来た程だ。

「……もしもの時、ねぇ。正直言うとさあ」

ラットを見て僅かに顔が和らぐ。
普段の仏頂面を見ていないと気付き辛いが、兎が一番で動物が好きになった本来の理由が逃避だとしても確かに好きなのも変わりないのだ。
手を驚かせないようにできる限り低くして差し出す。
なお噛まれる可能性も折り込み済みだ。


「こいつら可愛いし、引き取ってもいいけど。
 それするとお前、生きる理由なくなりそうだから。
 そもそも僕もその保証期間はもう1年切ってるし」
(-123) 2022/05/08(Sun) 1:26:10

【秘】 充実 バレンタイン → 司書 エルナト


『藪から棒に……まあエルナトにならいいか。
 人形にされたわけじゃないから、
 そういう代謝?とかはきちんと働いてるみたい。

 おむつとか履かされたの何年振りだって話。
 あまり言いふらさないでくれよな。
 恥ずかしいって思う気持ちだって残ってるし』

顔には全く出せなくなったけど。
(-124) 2022/05/08(Sun) 1:27:39

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

        自
       分の病
      の気持ち悪
     さと、病のせい
    で誰一人真の意味で
   愛する事ができないと言 
  う苦痛と、それらが溜まりに
 溜まった結果、重度の過食症にな
 ってしまって、ただでさえ満足に
 取れなかった食事は、常に飢餓を
 訴える体を満たすことが難しくて
 それでも今日まで出来るだけ頑張
 って我慢してきたのだけど、もう
 限界で、その時に貴方が声をかけ
  てくれたから、もう、飢えた
   獣は貴方に縋るしかなく
    て、お腹をみたして
     
(-125) 2022/05/08(Sun) 1:35:10

【秘】 苛々 フィウクス → 王 リアン


「──おい、」

あちこち用事を片付けて、自室に戻って来て。
その時にふと目にしたあなたの様子に、
露骨に不機嫌を隠しもせず、じたりとそちらを睨め付けた。

「俺は先走るなと言ったつもりだったんだが
 どうにもお前には上手く伝わっていなかったらしいな?」

地の底を這う機嫌と同様に、随分低い声色で。
多少の無理はしなければならないのはわかっている。
それでも程度というものがある。そんな苦言。
(-126) 2022/05/08(Sun) 1:35:23

【秘】 司書 エルナト → 王 リアン

受け入れられない。
苦しい、もっと、もっと食べたいのに。
この飢えを満たして、満たして。
満たしたらきっと、ちゃんと人を人として見る事が出来て、
そしたら僕も普通に人を愛したり、愛されたりできて。
もう親に捨てられるような、気持ち悪い子供でいずに済んで。
だからもっと食べないと、もっと、もっと。



もっと食べるには、こうするしかなかった。



噴水のように溢れる血を、ごくごくと喉を鳴らしながら飲んで。
やがてその音が徐々に、徐々に感覚を長くしていって。
満腹にはなれないまでも、軽く満たされれば。
捕食行動は、もうとる必要が無くて。
顔を、あげて。


「……リアン………さん………?」
「だい、じょうぶ………?」


ようやく、欲望が覚めてきた頭で貴方の状況を見下ろして。
少年は、もう甘ったるくない声で、そう問いかけた。
(-127) 2022/05/08(Sun) 1:40:47

【秘】 王 リアン → 神経質 フィウクス

「……先走ったつもりは なかったんだがな」

掠れた声で答える。
腹を空かせた下級生に、食料を供給しただけだ。
それにしたって程度はある。分かっているのだが。

「…どちらにせよ、過ごしやすくするには…僕自身の治療も、必要なのだろうな」

手助けをするだけで、進行するのだ。左眼に影響が出るのも時間の問題だろう。
(-128) 2022/05/08(Sun) 1:44:49

【秘】 司書 エルナト → 充実 バレンタイン

「へぇ……そうなんだ。」
「……そうなんだ……………」


と、相槌を打つ声は。
少しばかりの熱を帯びて。
絶対に逃げない餌がここにいる。
じゃあ次、我慢できないくらいお腹が減ったら。


「……おむつとか変えてあげようか?」
「……なんてね。ふふ………」

ドキドキと高鳴る鼓動。
きっと君に聞こえることはないまま、食堂までの道を歩いた。
(-129) 2022/05/08(Sun) 1:45:10

【秘】 王 リアン → 司書 エルナト

君の抱えている病気が深刻で、生きづらいことは分かっても。
全てに応えられないことが歯痒い。
どんなものでも差し出せる、というには関係が浅すぎるだろう。

今は、自分が提供出来るものを 満足いくほど渡せていればいいと思った。

「……満足、出来たか…?」

声の方向に顔を向けて、掠れた声で問いかける。
大丈夫というには、血が足りなくて。起き上がれないどころか、腕ひとつ動かせない。
(-130) 2022/05/08(Sun) 2:01:27
バレンタインは、冗談言うなよ……とげんなりした。それが本気であるとは露知らず。
(c17) 2022/05/08(Sun) 2:01:33

【秘】 哀れな子羊 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

「シャ、シャルロッテ、くん……!? どうして服を──」

額に口付けを受ける。
君のかけてくれるあたたかいおまじないが、冷たい心にぬくもりをくれたと思えば。

躊躇いもなく衣服を脱ぎ始めるのを見て、酷く慌てたように思わず目を逸らした。
どうしていきなりそんなことをするのかすぐには理解できずに、ひとつ確かめるように、おそるおそる君の姿を見る。

ごとり、固く鈍い音が部屋に響いた次の瞬間。

「ぇ――――」

──少■は言葉を失った。

(-131) 2022/05/08(Sun) 2:02:36

【秘】 哀れな子羊 バラニ → 恋の呪い シャルロッテ

──君は、女の子では、ない。

「最初、から……?」

明かされた残酷な真実に問いかける言葉も最後まで続かない。

この光景を見てしまえば冗談だろうとも言える余地すらない。
君から告げられる言葉も事実を裏付けるものでしかなかった。

『こんな私が惹かれてしまったのも、君が男の子だったからなのか?』


ひとつの疑問が頭をもたげる。
もしそうだとすれば、私は最初から立派な男になどにはなれなかったことになる。

──そんなもの、到底認められるはずもない。

君の明かしてくれた秘密を受け入れがたいと思った気持ちは、紛れもなく本物で。

(-132) 2022/05/08(Sun) 2:03:37
 




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