人狼物語 三日月国


260 【身内】Secret

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極夜の季。異形の刃が朱に染まれば、月の女神が蒼ざめる。
地上の民は怯え、惑い、鋭き刃に蹂躙される。
女神はただただ無力を嘆き、涙を零すのみ。

――三日月国の伝承

【人】 大槻登志郎

 

 今日は……チェキ10枚で!


[ コンセプトカフェ“ フェアリーテイル ”
  店内に男の注文が響いた。 ]


  
(0) 2024/05/04(Sat) 22:23:18
宣伝係 "ている"が参加しました。

【人】 宣伝係 "ている"

 

[ 従業員が描いた落書きから生まれたマスコットキャラは、
  今日も今日とてSNSで宣伝ツイートを行っているようだ** ]

 
(1) 2024/05/04(Sat) 22:45:03
会社員 雷恩が参加しました。

【人】 会社員 雷恩


 ただいまーっと。

[誰も居ない部屋に向かってただいまと言うのは癖だ。

幼少期から親に帰宅時の挨拶を口にすることを
何度も強く言い聞かされてきた結果、一人暮らしになっても
怒る親も居ないのに、つい「ただいま」と口にする男になった。]


 …………。


[とは言え独り言は多い方ではない。
一度部屋に入れば無言で帰宅後のルーティンをこなすだけだ。
スーツをハンガーに掛けて消臭スプレー。
シャワーを浴びて首にタオルを掛けた状態で冷蔵庫を開ける。
男の一人暮らしらしい中身の寂しさ。
350mlのビール缶を開けて飲みながらスマホを弄る。

恋人はここ半年いない。
予定のない夜を持て余す気持ちももう薄れている。]
(2) 2024/05/04(Sat) 23:10:51

【人】 会社員 雷恩

[今は仕事も落ち着いている。

出版社に営業職で採用されて、今年から一人で担当するが、
教科書部門なので頻繁に客先の高校に行くことはない。
教科書の改訂は昨年度だったので今年は大きな変化もなく、
各高校の選定時期に合わせて顔を出し、教科書準拠の
問題集もどうですかと売り込むくらいものだ。

学生時代、特に真面目という訳でもなかった自分が
どうして教科書部門なのか最初は戸惑ったが、
ライトノベル部門の同期の残業量を知った今は、
教科書部門で良かったと思っている。

他人に振り回されて睡眠や食事が儘ならない生活なんて、
自分には到底向いていない。]
(3) 2024/05/04(Sat) 23:28:18

【人】 会社員 雷恩

[特別に薄情な心算はない。
目の前に困った人がいて、それを平気で無視出来る神経はない。
ごく普通の男だと思う。
善行をいちいち数えないが、善行の後に気分が良くなる程度の。

ただひとつだけ――というか一人だけ。
親切を与えた女の子のことは覚えている。

放っておくと死にそうだなと思っていた。
ずっと面倒を見てやれる程の善人ではないから
いつしか会わなくなったけれども。

死んでいなければ良いなと思う。
思い出したついでに、次の帰省の機会にでも
あの公園に寄ってみようか――――――**]
(4) 2024/05/04(Sat) 23:37:08

【独】 会社員 雷恩

/*
ダミーのオタクチップ、コンカフェ客として大正解すぎる。
(-0) 2024/05/04(Sat) 23:37:41
従業員 ルミが参加しました。

【人】 従業員 ルミ

 

 るる@フェアリーテイル

  おきゅおわです!
  今日もたくさんの王子様たちのお迎えありがとうっ
  今月のお給仕シフトはこんな感じだよ〜


[ 白雪姫を模した制服を着た少女の自撮り画像と、
  お給仕日程♡と書かれたシフト表が添付されている。 ]

 
(5) 2024/05/04(Sat) 23:52:24

【人】 従業員 ルミ

 

[ 童話系コンセプトカフェ" フェアリーテイル "。
  営業時間は17時から23時。
  土日祝のみ昼間も開店し、客を独自の名称で呼んだり、
  イベントごとにシャンパンやチェキを扱ったりと
  至って普通のコンセプトカフェである。

  同僚たちが次々退勤していくのを見送って、
  るる──もといルミはSNSのリストを切り替えた。 ]


  ……


[ 自分を推している、所謂" オタク "のアカウントを漁り
  営業を掛ける度合いを見計らって選別していく。

  この人は他店に通い始めた。
  あの人は最近通う頻度も増えたけれど厄介さも増した。
  それから、あれもこれも、ああそういえば──…… ]

 
(6) 2024/05/04(Sat) 23:52:48

【人】 従業員 ルミ

 

  …………どいつもこいつも……
  新しい女、新しい店、……すぐわたしを忘れていく……


[ 見て。漁って。見つけて。掘り起こして。
  探る。なぞる。
  わたしじゃない、わたし以外を愛した痕跡を洗い出す。

  ネイルで彩った爪先が画面を強く叩いた。
  薄桃のリップだけ乗せたはずの唇に赤が滲む。


  くだらない。くだらない。────なにが王子様だ。
  こいつらは" ずっとわたしだけ "だと嘘を吐いて、
  呆気なく他の女に靡いただけのこと。
  メッセージアプリを起動して、トーク画面を遡る。

  自分の顔がかわいいことなんて知ってるの。
  だって皆口を揃えてそういうから。
  自分の性格が面倒なこともよーく知ってるの。

  だって皆目の色を変えて逃げていくから。 ]

 
(7) 2024/05/04(Sat) 23:53:42

【人】 従業員 ルミ

 

[ どうして愛されるために偽らなくちゃいけないの?
  過去の傷も、今の痛みも知らん顔して笑い続けるなんて、
  わたしにはきっと到底出来ない。

  だからお金を積めば対価を得られる夜の世界に来た。
  お客さんからお金という名の愛を受け取って。
  稼いだお金をホストに流して、愛されようとしたけど、
  上手くいかなくてそのうち通うのをやめた。

  でもね、今のわたしにはそれでもいいの
  ────落ち着くために呼び出したSNSアカウント。

  アイコンもプロフィールの設定もない。
  フォロワーに紛れていても気付かないような、これは。 ]

 
(8) 2024/05/04(Sat) 23:54:20

【人】 従業員 ルミ

 



   ふふ…………はやく"また"会いたいな
   わたしだけの、運命の、お兄さん♡



 
(9) 2024/05/04(Sat) 23:54:37

【人】 従業員 ルミ

 

[ 知ってるよ。
  次のお兄さんの長期休暇がいつからなのか。

  どんな会社に勤めていて、何時に帰っていて
  同期の誰と仲が良いのか。
  営業先はどこか。
  ──恋人の遍歴まで、なにもかも知ってるよ。 ]


  ……次のシフト、調整して貰わないと、ね


[ この次のお給料で、目標にしていた金額に到達しそうなの。

  お金ってさ、必要でしょう?
  お兄さんを養っていくためなんだものね。
  不便はかけられないから、ちゃんと頑張るよ、わたし。 ]

 
(10) 2024/05/04(Sat) 23:55:15

【人】 従業員 ルミ

 

[ でも、長期休みに帰省先で、なんて待てないな。

  いつから休暇があるのかもう知ってるよ。
  インターネットって、本当便利に発達したんだね。
  おかげでお兄さんのこと調べるの、苦労しないや。

  長期休暇に入る前日、前夜。
  それがわたしの、勝負の日。 ]


 
(11) 2024/05/04(Sat) 23:57:46

【人】 従業員 ルミ

 

[ 運命は偽物のような顔をして二度やってくるの。* ]


 
(12) 2024/05/04(Sat) 23:59:44

【人】 従業員 ルミ

 

[ ねえ。わたしを思い出した夜は、ありましたか。
  わたしにはたくさんあったよ。
  間違った夜と、歪な朝と、嫌気が差すような傷と一緒に
  貴方のことを思い出した。

  歩くのが却って不便そうな厚底の黒いブーツ。
  フリルやレースで飾られた可愛いお洋服。
  いつも以上にばっちり結んだツインテール。


  きっとお兄さんは、休暇前の出勤を終えた後。
  目前に迫った帰省のことで頭がいっぱいかな?>>4
  それとも別のことを考えていたのかな。

  私はわざとらしく見えないように注意を払って、
  お兄さんの前で転んでみせた。
  転んだ人間を気遣って声をかける、くらいは
  日常の些細な善行でしょう?** ]

 
(13) 2024/05/05(Sun) 0:07:11

【独】 会社員 雷恩

/*
本当に「読ませる」のが上手い。
天を仰ぐ程に好みの文章ですありがとうございます。

特に>>7
「口を揃えて」と「目の色を変えて」のとこ。
好き。
(-1) 2024/05/05(Sun) 0:09:43
従業員 ルミは、メモを貼った。
(a0) 2024/05/05(Sun) 0:10:22

【人】 会社員 雷恩

[多くの同世代がそうであるように、
ネットリテラシーに敏感ではない。

本名や勤務先、最寄り駅の特定が出来るような
「言葉」にだけ注意して、顔だけはスタンプで消して、
日々何気なく知人のアカウントに向けてアップする
写真の写り込みから個人情報を特定出来る人が
自分のアカウントを覗いているなんて夢にも思わない。>>10]


 おやすみ。


[呟くと同時、投稿ボタンを押した。

#明日から帰省 #言うて3駅先なだけ #飲み行ける奴いる
#これ美味い

タグとともに、最近出た新しいビールのピーコックブルーの缶の
写真を添えて。*]
(14) 2024/05/05(Sun) 0:34:59

【人】 会社員 雷恩



[どんな作為があろうが気づかない方にとっては偶然も同じ。]

 
(15) 2024/05/05(Sun) 0:36:11

【人】 会社員 雷恩

[手土産は最寄り駅前のケーキ屋で買ったプリン。
社会人一年目の帰省で手ぶらで帰ったら母に叱られたので
買うようにしている。
もうこの歳で母親に反発するような青さはない。

帰省のことを知った地元の友達からの誘いDMの通知音が鳴り、
足を止めてスマホを確認した。

目の前の人の転び方が不自然だったかどうかまで
見ていない。>>13]


 ?!


[視界の端に何かが揺れて顔を上げた。
目の前で跳ねた毛束を知覚した瞬間に音がした。]
(16) 2024/05/05(Sun) 0:36:43

【人】 会社員 雷恩



 
ええ……

 あー、大丈夫……?
 具合悪い?


[雨でも雪でもない、地面がつるつるな訳でも逆に凸凹し過ぎている
訳でもない。
だから、最初は気を失って倒れたのかと疑って近寄った。

周りに他に誰か居れば態々自分が声を掛けることはないが、
見回してみても他に誰も通りがからない。
病気で倒れたなら、救急車を呼ぶのも自分しかいないだろう。

服装から年下と決めつけてタメ語で話す。
この段階で、記憶に残っていた女の子と彼女はまだ結びついていない。**]
(17) 2024/05/05(Sun) 0:37:54
会社員 雷恩は、メモを貼った。
(a1) 2024/05/05(Sun) 0:39:42

【独】 従業員 ルミ

/*
あ簡易メモオフだ
開始前にオンにしておくかな
(-2) 2024/05/05(Sun) 10:31:16

【人】 従業員 ルミ

 

[ 作られた運命でも、気付かなければ贋作じゃない。
  偽物でも、思い至らなければそれは本物じゃない?

  精密に。緻密に。秘密裏に。
  現実はおとぎ話ほど優しくも綺麗でもないけれど、
  だからこそそれを演出しても良いでしょう?

  貴方が気を付けていることすら、
  あまり気を配らない同僚がいて大変ね。>>14
  貴方のアカウントだけでは特定しきれないことも、
  他のフォロワーが載せた情報から探ることが出来る。

  少しずつ、少しずつ。
  急いては事を仕損じる……って昔の人が言ってるもの。
  私はいきなり毒林檎を食べさせるような馬鹿じゃない。
  ────だから。 ]

 
(18) 2024/05/05(Sun) 11:31:03

【人】 従業員 ルミ

 

[ ねえお兄さん、私知ってるよ。

  誰といつ飲みに行ったのか。
  どこに遊びに行ったのか。
  恋人はどんな人で、いつ付き合って、いつ別れたか

  そのひとが、誰なのかまで、ぜんぶ。 ]

 
(19) 2024/05/05(Sun) 11:31:17

【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩

 



  (  ──やっと会えたねずっと見てたよ、お兄さん♡  )



 
(-3) 2024/05/05(Sun) 11:31:31

【人】 従業員 ルミ

 

  ……ううん、大丈夫です
  ごめんなさい。
  履き慣れてない靴だから……


[ ゆっくり、早まる心臓を抑えるように顔を上げた。
  いきなり自分の近くで人が転んで、
  すぐに立ち上がろうとしない不自然さを覆うように。
  はにかんで彼を見上げ、立ち上がる。 ]


  …………


[ 白い、雪の結晶をモチーフにした髪飾り。
  靴のビジューは街灯を反射して煌めいている。
  膝上丈の黒いワンピースをふわりと揺らして。

  私はお兄さんを、じ、と見つめた。 ]

 
(20) 2024/05/05(Sun) 11:32:09

【人】 従業員 ルミ

 


  ……優しいですね、お兄さん
  転んだ人に声、かけてくれるなんて。


[ あの時の善性を、そこに見出して。 ]


 
(21) 2024/05/05(Sun) 11:34:43

【人】 従業員 ルミ

 


  やさしいね、おにーさん
  ルミに話しかけてくれたひと、はじめて……


 
(22) 2024/05/05(Sun) 11:35:37

【人】 従業員 ルミ

 

[ 公園でひとりぼっちだったあの頃は。
  こんな綺麗な格好は出来ていなかったけれど。

  明らかな問題物件と見てわかる私と、
  関わろうとした人なんていなかった。
  ──あの、たった一人を除いて。


  それは最後まで続いてはくれないやさしさで。
  でも、それでも、わたしは── ]


 
(23) 2024/05/05(Sun) 11:40:57

【人】 従業員 ルミ

 

  ………………お兄さんって
  私の昔の知り合いに、少し似てるかも。


[ 気のせいかな、と笑ってみせた。

  貴方の記憶の芥になって、
  もうそこに私がいないのかを探る為に。** ]

 
(24) 2024/05/05(Sun) 11:43:02
村の設定が変更されました。

【人】 会社員 雷恩

[自分が経験していないことに対する危機感は薄い。
誰だってそういうものだろう。
特に、男として生きて来たのだから尚更。

この出会いが仕組まれていたとも知らず
そもそも出会いの為に身辺を探られていたことも知らず。

写真や言葉端から推理してまで誰かのことを知りたいと
思ったことはない。
精々がつきあっていた頃の彼女の「飲み会」に
男がいるかを本人に聞いた位か。

下手すると自分よりも自分を構成する要素を知っている
人間がいることを――それがつい最近思い出したばかりの
女の子ということを知らないまま。>>19]
(25) 2024/05/05(Sun) 22:10:25

【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ


[蟻地獄はどうやら日常と同じ色をしているらしい。]
 
(-4) 2024/05/05(Sun) 22:10:50

【人】 会社員 雷恩

[返答の声色はしっかりしていて、倒れた原因は体調不良では
ないと知れる。>>20
一先ず安堵の溜息を吐いた。

履き慣れない靴、と聞いて視線が足元に移る。
底が随分厚い。それにゴテゴテしている。
だが服装との雰囲気は合致していることを思えば、
服に合わせて履きたかったのだろうと推測できる。]


 ……具合が悪いんじゃないならいいや。
 怪我は?


[相手が立ったので此方も立ち上がる。
スカートを履いた相手の足元にしゃがんだ状態が拙いと
いう危機感は一応ある。

厚底を履いていても、自分の方がまだ背は高い。
見つめる視線に気づいて瞬きをひとつ。]
(26) 2024/05/05(Sun) 22:11:39

【人】 会社員 雷恩



 いや、目の前で人が倒れてスルーできる奴が
 特別薄情なだけで、ふつうは声掛けるだろ。
 自分が何もしなかった後に何かあったんじゃ
 寝覚め悪いってヤツ。


[特に口にしなかったが、ワンピースの少女は
随分と可愛らしい顔立ちをしている。
転ばなくても人に優しくしてもらえるのでは?
優しさに飢えているような口ぶりに少し違和感を覚えた。

このまま実家に帰ると忘れてしまえる程僅かな――]
(27) 2024/05/05(Sun) 22:12:11

【人】 会社員 雷恩



 え?なんて?


[聞き取れずに聞き返した。
過去に同じ言葉を聞いていても記憶が繋がらない。

やはりどこかが痛むのか。
身体を近づけて聞こうとすると。]
(28) 2024/05/05(Sun) 22:12:41

【人】 会社員 雷恩



 …………………ナンパ?


[その文言はあまりに常套句だったものだから、
思わず噴出した。

気のせいかなと笑う顔に、どこか懐かしさを感じながら。]
(29) 2024/05/05(Sun) 22:13:05

【人】 会社員 雷恩


 気を付けなよ。
 君みたいに可愛い子にそう言われたら、
 心当たりなくても適当言って成りすます奴も
 いるかもだから。


[プリンの箱を開けて、保冷剤を取り出すと、
彼女に差し出した。]


 足、後で痛むかもしれない。
 冷やしたらマシになるかも。


[その出会いを運命と捉えない位には普通の男は
「じゃあ」と軽く会釈をして通り過ぎようとした。*]
(30) 2024/05/05(Sun) 22:13:40

【人】 従業員 ルミ

 

  怪我……んー。たぶん、大丈夫……。
  ……ふふ、お兄さん、身長高い。


[ " あの頃 "はどうだったかな。
  今ほど身長差がまだ無かったかな。
  時間が経って、もう並んだ時の差は忘れてしまった。

  人は声から忘れて、思い出を失くして、
  最後に匂いを手離してしまうらしいけれど。
  ────貴方はどうだろう。 ]


  そうかな。
  わたしが優しいと思ったら、それが正解なんだよ
  だからありがとう、お兄さん


[ にこ、と微笑んで髪を揺らした。
  ここまでならきっと、よくある話 ]

 
(31) 2024/05/05(Sun) 23:07:19

【人】 従業員 ルミ

 

[ ありふれた、明日になれば忘れるような一幕
  思い出にすら残らない記憶の残留。

  ────彩った爪先が掌に食い込んだ。 ]


 
(32) 2024/05/05(Sun) 23:07:24

【人】 従業員 ルミ

 

[ 彼は「ナンパ?」と笑って、言葉を流した。>>29
  運命は、当然のような顔をしてやってくるもの。
  けれど人は、ただの日常を運命とは呼ばない。

  抜け出せない未来への片道切符。
  貴方の行き先が別の女のところだったとしても、
  わたしだけが、それを書き換えられるの。 ]


  …………はあい。
  わたしの気のせいかぁ。


[ ざぁんねん、と笑って保冷剤に手を伸ばす。 ]

 
(33) 2024/05/05(Sun) 23:07:29

【人】 従業員 ルミ

 


  ────────……なんで?




 
(34) 2024/05/05(Sun) 23:07:33

【人】 従業員 ルミ

 

[ 物心ついた頃から、わたしは飢えた存在だった。

  喧嘩ばかりの両親に外へ放り出され、
  公園で毎日ひとりぼっちで砂に絵を描いているような。
  ほとぼりが冷めただろう頃にこっそり帰って
  置かれてあるパンを食べる。

  友達もいなくて、大人は遠巻きで、わたしはひとりで。


  でも、そんなくだらないだけのわたしの世界には、
  ある時から貴方がいた。

  手を引いて、家に連れ帰ってくれたこと
  公園でたくさん遊んでくれたこと
  ────わたしに笑い方を教えてくれたこと。

  わたしの全てを作った、貴方との過去。 ]

 
(35) 2024/05/05(Sun) 23:07:40

【人】 従業員 ルミ

 

[ かわいそうな生き物を見捨てられなかったのか。
  或いはもっと別の何かか。

  でも、貴方はわたしの傷を癒した。
  孤独以外の味を教えて、体温を分けた。
  まるでずっとこの日々が続くように錯覚すらさせて。

  あれが愛じゃ無かったなら何だった?
  成長するにつれて、公園を避け始めた貴方
  ──恋人すらも作っていた、お兄さん


  明確なさよならも言わずに
  新しい傷だけ残して大人になった、わたしの運命。 ]

 
(36) 2024/05/05(Sun) 23:07:59

【人】 従業員 ルミ

 

[ ねえ、わたし可愛いでしょう?
  手入れした髪も女の子らしい服も、このメイクも。
  SNSで見かけた貴方の恋人よりもずっと、ずっと。

  わたしは保冷剤──ではなく
  それを差し出す彼の手へ、そっと触れた。 ]


  あの、……お兄さん
  わたしの家、すぐ近くなんです

  足、挫いちゃったかもしれなくて。
  夜だと何かあるかもしれないし……
  家まで送ってくれませんか……?


[ あ、これもナンパになっちゃいますか?
  そう言って首を傾げる。
  会釈して通り過ぎて、はいさようなら、だとか
  一晩だけの善行の思い出になんか、させやしない。 ]

 
(37) 2024/05/05(Sun) 23:08:07

【人】 従業員 ルミ

 

  あ。わたし、ルミっていいます
  普段はカフェで働いてて……
  最近ストーカーっぽいお客さんがいて、怖くて。

  ……お兄さんなら、変なことしなさそうだし。


[ 全部、ぜんぶ。
  美しい過去の思い出になんか、させられない。
  ────させてあげられないよ、お兄さん。* ]

 
(38) 2024/05/05(Sun) 23:10:06

【独】 会社員 雷恩

/*
>>33「 わたしだけが、それを書き換えられるの。」めっちゃくちゃ好き
(-5) 2024/05/05(Sun) 23:36:06

【人】 会社員 雷恩

[記憶の中にある「女の子」は小さいままだ。
2人の歳の差故か、成長期は先に男の方に訪れて、
「幼女を家に連れ帰る」ことに対し
「ふつうではない」と感じる精神が育ってしまった。

責任感よりも目の前のリスクを恐れる。
思春期の男子なんてそんなものだと自己を正当化し。

一度手を差し伸べた相手がどんな風にその手を見るのか
離されたらどんな気持ちになるのか
想像力は欠如していた。

大丈夫と微笑むその顔は「女」のもの。
歳の差は縮まらなくとも、二人の間に流れる月日は平等で
記憶のあの子も「女性」に成長するという当たり前の現象も
想像出来ていない。]
(39) 2024/05/06(Mon) 0:06:14

【人】 会社員 雷恩



 そーゆーもん?
 まあ、「ありがとう」はもらっとく主義だから、
 「どういたしまして」


[相手に怪我はない。
でも備えて保冷剤まで渡した。
割と完璧な「人助けをした」という一連の行動は
それで終わりの筈だった。]
(40) 2024/05/06(Mon) 0:06:52

【人】 会社員 雷恩

[此方に心当たりのない「昔の知り合い」は、
今は彼女にとっては簡単に会える相手ではないようだと知る。
今、注意したばかりだが、この子は少し危機感が薄いのだろうか。
残念がっている様子など見たら、それこそ悪い奴ならば
成りすましを計画しても可笑しくないと思うが。]



 さっき怪我ないっつってなかったか?
 やっぱり痛むんだ?
 うーん……


[足を挫いた相手を家まで送るというのは。
もしかしなくても身体を支えることになるのでは?
それを通りがかりの男に頼むなんて、
やはりこの子は危機管理能力が低いのかもしれない。

別の意味で心配になってきた。

ここで「用事があるから」と別れて、
その後に通りがかった相手に彼女が同じことを頼むとして。

大抵の男ならそれを「誘い」と取ってしまうのでは?]
(41) 2024/05/06(Mon) 0:07:34

【人】 会社員 雷恩



 一応、連絡1本入れさせて。
 駅着いたって連絡してるから、寄り道だって
 言っとかないと心配させる。


[プリンならリュックに入れて多少揺れても崩れないだろう。
箱を仕舞って、実家に事情を説明するメッセージを入れておく。

そうしている間に明かされたプロフィール、
名前は流石に記憶に繋がった。]


 ルミ。
 ……この近くに住んでる……昔から?

 10年……15年くらい前にあそこの公園によく居た?


 ってか本当に「昔の知り合い」って俺の事だった?


[ナンパじゃなくて、と屈託なく笑う。]
(42) 2024/05/06(Mon) 0:08:06

【人】 会社員 雷恩


 偶然、最近になって、あの子今どうしてんのかなーって
 思い出したんだよ。
 だから公園通って実家に帰るつもりの今なんだけど。

 元気だったか?

 って、ストーカーに遭ってんだっけ、
 じゃあこんなとこで男といるの見られたら拙いな。
 送ろっか。


[言われたことを疑いもしない。
ストーカーがいると聞いて納得の顔立ちの可愛さだ。

記憶の女の子は化粧をしておらず、
どちらかというと汚れている時もあったように思うが、
成長した彼女は髪の先まで綺麗にケアされていて、
「可愛い」を保つために頑張っていることが伺える。
可愛くなったらなったで大変なんだなと
他人事のように呟いて、リュックを前抱きにすると
背を向けてしゃがんだ。]
(43) 2024/05/06(Mon) 0:08:54

【人】 会社員 雷恩

[肩を貸すにも身長差の所為で上手く支えられそうにない。
腕を支えにするくらいで歩けるなら、そもそも
他者の善意の延長を頼んだりしないだろう。

それならばおんぶをするのが一番足に負担が少ない気がして。]


 公園でよく会ったなってとこまでは覚えてんだけど、
 家がどの辺とかまでは覚えてないから
 ナビは頼むよ。


[自分との繋がりを残す為に彼女が取った手段だと気づかない。
「偶然」の再会を純粋に喜んでいた。**]
(44) 2024/05/06(Mon) 0:09:22

【人】 従業員 ルミ

 

[ 欠けた器を完全な状態に戻せるのは、
  それはきっと誰かの優しさや愛だけだ。>>40
  痛いと泣く幼子の頭を撫でるように
  転んだ相手を気遣って保冷剤を渡す、その甘さ。

  完璧だけで我慢出来ない己さえいなければ
  これはただの、夜の一幕で終われたのに。 ]


  えへへ……
  少し動かしてみたらやっぱり痛いかなって。


[ きちんと「たぶん」の予防線を張ったんだもの。
  これは罠だけれど、明らかな嘘じゃない。

  痛い、だって虚偽というわけでもないのだから。
  ────過去を大事に抱えているのが自分だけだって
  思い知らされたこの心臓がいたいだけ。 ]

 
(45) 2024/05/06(Mon) 1:09:33

【人】 従業員 ルミ

 

[ 連絡を入れたいと言われれば、笑顔で頷いた。>>42
  スマホを操作する指先を盗み見る。
  バレないように、けれど見逃さないように。

  彼の過去の中の幼子はこんなことをしない。
  私の記憶の中の貴方は──── ]


  ……やっぱり雷恩お兄さんなんだ!
  うん、ルミだよ。
  昔の知り合いなんて、お兄さんしかいないもの。


[ 名前すらトリガーとしては危ういかと思ったけれど、
  どうやら貴方の記憶の撃鉄を起こすに成功したらしい。

  にこにこ笑って、会えて嬉しい、と微笑んだ。
  屈託のない笑みの鏡写し。>>42
  そのまま彼の言葉を聞き続ける。>>43 ]

 
(46) 2024/05/06(Mon) 1:09:40

【人】 従業員 ルミ

 



    ──────……。



[ その口からは一言も、過去を気にする素振りは出ない。

  徐々に距離を置いたことも。
  離別の言葉すらなく手を離したことも。
  わたしだけをあの公園に置いたまま大人になったことも。

  なにも気に留めていないのが見て取れて、
  それがやっぱり、運命を陳腐なものにするみたいで。


  最近になって思い出したって、忘れてたんだよね?
  わたしのこと、ずっと、記憶になかったんだ。
  わたしはずっとずっと、憶えていたのにな。 ]

 
(47) 2024/05/06(Mon) 1:09:44

【人】 従業員 ルミ

 


  ………………ひどいひとだね、お兄さん


[ 小さな呟きは、風だけが聞いている。
  貴方の耳にはきっと届かない。 ]

 
(48) 2024/05/06(Mon) 1:09:47

【人】 従業員 ルミ

 

  うん、元気だったよ。
  雷恩お兄さんも元気そうでよかった。
  送ってくれるのも嬉しい、ありがとう。

  "偶然"会ったのがお兄さんで良かったぁ。


[ 仕組んだ必然の再会のもとで、わたしは笑った。

  言い分を疑いもしないその善良さに付け入って、
  わたしは今から運命を手にする。
  二度と忘れられないくらいに痛烈で
  一生他の女に移ろえない程の傷痕を残すの。

  蜘蛛の糸にかかった蝶の末路、知ってるでしょう? ]

 
(49) 2024/05/06(Mon) 1:09:51

【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩

 

[ どいつもこいつも都合よくわたしを消費していく。
  短期間でわたしを捨てていく。

  他のキャストに指名替えしたあの客も。
  金が必要な時だけ呼び寄せてきたあのホストも。
  自分は他の男とは違うと言って寄って来た男も。

  その優しさや温もりに救われたことは一度もない。
  わたしが掬われたのは、お兄さんにだけ。

  小さな生き地獄以外の世界を見せてくれた。 ]

 
(-6) 2024/05/06(Mon) 1:10:12

【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩

 


  [  ────ねえ、これって運命でしょう?  ]


 
(-7) 2024/05/06(Mon) 1:10:21

【人】 従業員 ルミ

 

  ……えっ。
  お、おんぶ? い……いいの?
  重い……かも、だけど……。


[ てっきり肩を貸すか、腕を掴ませるだとか。
  そんな支えを考えていたけれど、
  リュックを前で抱えた彼はおんぶをしてくれる気らしい。

  しゃがんだ大きな背中に少し動揺して、
  それからえい、と身を預ける。

  ──今までの彼女にもこんなことをしたのかな。
  "女"として見ていれば、おんぶは選ばないかも。
  そんな想像と考えがぐるぐる巡って、
  回る度に心がちくちくとささくれ立つ。

  優しさに喜ぶ自分と、可能性に憤る自分の二律背反。
  かさぶたに貴方の温もりという薬を塗る。 ]

 
(50) 2024/05/06(Mon) 1:10:25

【人】 従業員 ルミ

 

  実家、出たの。
  あの公園がね、ベランダから見えるとこ住んでるんだ。

  えっと、まずはこの道真っ直ぐ──


[ 公園の近くというわけではない。
  上層階からならベランダから遮蔽物なく見下ろせるのだ。
  彼の実家からも近すぎない距離に家を借りている。

  ここからならおんぶでも五分もかからないだろう。
  人気の少ない道を、二人で進む。 ]

 
(51) 2024/05/06(Mon) 1:10:28

【人】 従業員 ルミ

 

[ やがてマンションのエントランス前まで到着すれば、
  彼の服をすこし引っ張って意識を向けさせる。

  道中ではどんな話をしただろう。
  近況報告か、あるいは昔話でも交わしたか。
  いずれにせよ、わたしは「あのね」と話を切り出し ]


  せっかく久しぶりに会えたんだもん。
  少し上がっていってほしいなって。

  ……だめ、かなぁ?


[ すこし弱々しい声音で、わたしは首を傾いだ。
  再会をここで終わらせたくないと言うように、
  ────或いは蟻地獄の入り口で手招くように。** ]

 
(52) 2024/05/06(Mon) 1:12:28
村の設定が変更されました。

【人】 会社員 雷恩

[いつからだったか、公園に一人でいる女の子を
見かけるようになった。

2歳上の兄が友達と遊ぶようになって、
自分はそれに混ぜて貰えなくなったから周囲を見る
習慣が出来たから気づいたのだろう。

自分よりも随分小さい――小学校入学前に見えた。

そんな小さな女の子が、保護者といるのでもなく
誰かと遊ぶでもなく、ただ、「居る」。]


 『なーなー、アイス食う?』


[最初に話しかけたのは、兄と食べていた時の癖でつい買った
半分に割るタイプのアイスの片割れをあげた時。]


『知らない人にものもらっちゃいけないって
 母さんには言われてるけど、俺があげるのはいいよね』


[相手の子にとって自分も「知らない人」なのに。]
(53) 2024/05/06(Mon) 19:48:07

【人】 会社員 雷恩

[どんなことを話していたか、すべては思い出せない。
ただ、ちょうど遊び相手がいなくて寂しかったから、
自分より小さい女の子に兄貴風を吹かせることで
気持ち好くなっていただけ。

優しさだったかと言われたら首を傾げてしまうが、
与えた側がどんな気持ちでいても、与えられた側が
それを優しさと捉えるのなら、そう呼んでも差支えはないのだろう。]
(54) 2024/05/06(Mon) 19:48:55

【人】 会社員 雷恩



『雨じゃん!傘持ってねーの?!』


[日を重ねれば、彼女が家に帰れない事情があると
子ども心にもわかる。

雨が降った日も、そうではないかと公園に立ち寄って、
濡れている子を見て慌てたっけ。

家に帰ればなんて言えなかった。
強引に手を引いて同じ傘に入れた。
家に連れ帰って]


『母さーん!友達ずぶぬれ!!』


[どこの子かわからずとも、濡れた少女を放っておけない
優しさを持っている母親は、温かい風呂と牛乳を用意してくれた。]
(55) 2024/05/06(Mon) 19:49:17

【人】 会社員 雷恩

[いつが家に連れ帰った最後の日かはもう覚えていない。
多分中学に上がり制服を着るようになった頃から
段々女の子を家に上げるのが恥ずかしくなって、
公園で会って話しても、「バイバイ」と早目に切り上げるようになった。

与えた優しさに鈍感な男は、与えた痛みにも鈍感だった。

手を離されたあの子が今も痛みを覚えていることも知らない。>>45]
(56) 2024/05/06(Mon) 19:50:02

【人】 会社員 雷恩

[経験していないことに関する危機感は薄い。

スマホを盗み見ようと思ったことはないし
そうしようとした人とつきあったこともない。
指先の動きが数字を打刻する時、視線に気づくことはなかった。]


 あー、そうだよな、「お兄さん」って
 呼ばれてたんだっけ……。
 いま聞いたら恥ずいななんか……。


[むず痒い気分になるのは、あの日々以外自分が
「お兄さん」であった時がないからだ。

懐かしさに緩んだ頬が羞恥に染まり、
少しだけ強張る。

「昔の知り合いなんて、お兄さんしかいない」>>46

ああやはり、あの子は「ひとり」だったのか。
友達がいなかった理由は、大人になった今ならば
色々推測することは出来る。

よくここまで生きて来れたものだ。
物理的に守ってくれる相手に恵まれず、
心を護る為に呼べる相手にも恵まれず。]
(57) 2024/05/06(Mon) 19:50:30

【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ


[チクリ、と身勝手に罪悪感が胸を刺す。
呟かれた言葉を耳が拾った訳ではないけれど。]
 
(-8) 2024/05/06(Mon) 19:50:58

【人】 会社員 雷恩


 おーおー元気だよ。
 本当、俺で良かったな?
 
 人気のない道端で足挫いたって聞いたら
 悪いこと考える奴もいるだろうからな。


[さて、「悪いこと」を考えているのはどちら?]
(58) 2024/05/06(Mon) 19:51:29

【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ


[偶然ではない運命が存在することを知っているのは、
糸を張る絡新婦のみ。]
 
(-9) 2024/05/06(Mon) 19:51:54

【人】 会社員 雷恩


 飲み会の後に酔っ払いを担いだこともあるし、
 落とさないから安心していーよ。


[どう見ても軽そうだが、社会人となった男は
女の子に「軽そう」と言うことがセクハラ案件になるという
人権教育研修も受けているので触れない。

女性の身体に触れること自体に対しては
彼女からの依頼ということで大目に見てほしい。]


 遠慮して掴むのが弱かったら逆に危ないからな?
 しっかり捕まってろよ。


[予想通り軽い。
だが、速く動けばスカートが風に舞うかもしれないから
慎重に歩を進める。]
(59) 2024/05/06(Mon) 19:52:15

【人】 会社員 雷恩



 ……へえ。
 この町は出なかったのか。


[実家を出られて良かったなという言葉は飲み込んだ。
彼女にとって実家は毒だったというのは
自分の推測に過ぎない。

ただ、実家を出られる「力」は得られたのだなと
何となく安堵の溜息を吐いた。]
(60) 2024/05/06(Mon) 19:53:01

【人】 会社員 雷恩

[マンションまでの道では、会話を途切れさせないように。
もし人とすれ違っても、このおんぶは双方合意の元と
わかるようにのリスク回避。

ただ、愚かな男は、背負った軽い身体の中にある
リスクには気づかずに、既に彼女が知っている
自分の個人情報を明かしていく。

好きなビールの銘柄、1歳の甥がいること、
実家に買っていくプリンは最寄り駅近くのケーキ屋。

そして着いた場所は、あの頃一人でいた少女の身なりを
思えば意外な程家賃が高そうな。
「カフェ」とはそんなに高給なのか、或いは]
(61) 2024/05/06(Mon) 19:53:45

【人】 会社員 雷恩



 ……誰かと住んでたりするんじゃないの?
 シングル向け物件じゃなさそう。

 一人暮らしなら一人暮らしで、
 昔の顔なじみだからって簡単に男を部屋に呼ぶのは
 危ないよ。

 俺が「その気」になったらどうすんの。


[彼女にとって自分はまだ10歳かもしれないが、
自分にとって今の彼女は、背中に当たる柔らかさを持つ「女性」だ。

無理矢理襲ったりはしないと誓って言えるが、
こんなに好意的な態度で来られると、
下心を持たないと言い切れない。]
(62) 2024/05/06(Mon) 19:53:57

【人】 会社員 雷恩



 カフェで働いてるって言ってたよな?
 今度、そこに客として行くよ。
 どこにある何て店?


[この機を据え膳としないだけの理性を見せて、
10歳の頃よりも上手くなった手つきで頭を撫でた。*]
(63) 2024/05/06(Mon) 19:54:26

【独】 会社員 雷恩

/*
すごい長くなってしまったな?!
(-10) 2024/05/06(Mon) 19:55:12

【人】 従業員 ルミ

 

  え、


[ 幼い頃の自分は、随分と話下手だったと思う。
  家にいてもどこにいても誰かと会話することもなく、
  常に下を向いて生きていたから。

  だから最初に話しかけられた時も、目を瞬かせて
  視線を落ち着きなくうろつかせた記憶がある。
  差し出されたアイスの片割れ。
  もう二度と元の形には戻れない、分かたれた半分。 ]


  ……あ、あり、がとう。
  ぇと……

  る、ルミはね、名前、ルミっていうの……!
  …………これで、しらないひとじゃなくなるかな……?


[ 知らない人に、と彼が呟いたのを聞けば
  殆ど反射で自分の名前を口にした。 ]

 
(64) 2024/05/06(Mon) 21:18:21

【人】 従業員 ルミ

 

[ 初めて口にしたアイスは冷たくて、甘くって。
  頭がすこし痛む感覚に目を瞠り、
  自分より大きなお兄さんが教えてくれた
  新しい世界に胸を弾ませた。

  それがどんな切欠で生まれたものでも。
  そこにどんな理由があったとしても。

  わたしが優しいと思えば、それが正しい。
  わたしが愛だと思いこめば、それが、 。 ]


  ( ともだち、 )


[ 家に帰れと言わない彼が好きだった。
  びしょ濡れの子どもなんて厄介物件を連れ帰られても、
  温かいお風呂と飲み物を用意してくれる彼の母が
  どうしようもなく羨ましくて、あたたかくて。 ]

 
(65) 2024/05/06(Mon) 21:18:25

【人】 従業員 ルミ

 

  ……ありがとう、雷恩お兄さん!
  ともだちって言ってもらえたの、初めて。
  あと、お兄さんのお母さんも…ありがとうございます。

  めいわくかけて、ごめんなさい……。


[ けれど自分だって、幼いながらに理解していた。

  いかにも訳アリと言った風情の子どもとはいえ、
  よその家に甘え続けられはしないこと。
  笑顔の下が、本当に笑顔とは限らないことも。

  もっと、早く大きくなりたいな。
  お兄さんの隣に立ってもおかしくないくらいに。
  ひとりで自分の面倒をみられるように。

  そうすれば、迷惑かけずに一緒にいられるよね?
  そうなれば、胸を張って好きって言えるかな。 ]

 
(66) 2024/05/06(Mon) 21:18:30

【人】 従業員 ルミ

 


  ねえ、お兄さん。
  大きくなったら、もっといっしょにいてくれる?


[ きっとそれは、ありふれた子どもの夢見事。

  彼の優しさという薬を飲み
  彼の温もりという蜜を呑み
  これが愛だと信じ込んだ幼い子どものよくある話。

  ──現実はおとぎ話のように優しくないのに。 ]

 
(67) 2024/05/06(Mon) 21:18:33

【人】 従業員 ルミ

 

[ 年を重ねるごとに二人は大人に近付いて、
  日を追うごとにわたしたちの距離は離れていった。

  制服を着るお兄さんに「かっこいいね!」と言っても、
  公園で話そうとしても、逃げるように去ってしまう。
  分かってた。
  子どもを家に上げ続けることは出来ないって。

  勝手に傷を癒して、勝手に消えていくひどいひと。
  どうしてわたしから距離を置くのかすら教えてくれず、
  厄介者みたいに話すら切り上げて。

  ずっとずっと待ってたよ。
  あの公園で、お兄さんが来てくれるのを。


  わたし、そんなに簡単に消えてしまえる存在だった? ]

 
(68) 2024/05/06(Mon) 21:18:37

【人】 従業員 ルミ

 

  そうかなぁ。恥ずかしい?
  じゃあ、雷恩さんって呼ぼうか?

  ……わたしが呼び慣れないかもだけど。


[ ああほら、また。
  お兄さんだけがわたしとの日々を過去にしてる。
  わたしが口にするまで、呼び方すら忘れてたの?

  何もかもに心がささくれ立って血を流す。
  恥ずかしそうに緩んだ頬すらわたしを刺激して、
  声が震えないよう抑え込むのに必死だった。
  顔が強張った理由は察せないけれど、
  今この場で聞き出そうという気にはならない。 ]

 
(69) 2024/05/06(Mon) 21:18:42

【人】 従業員 ルミ

 

  あはは。うん、そうだね。
  悪いことを考える人もいるんだろうなぁ。

  ……ほんと、会えて良かった。


[ だって、悪い人はわたしだから。 ]


 
(70) 2024/05/06(Mon) 21:18:47

【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩

 


[ 蜜を食んで育った蜘蛛は、
  日常の色を連れてやってくる。 ]


 
(-11) 2024/05/06(Mon) 21:18:50

【人】 従業員 ルミ

 

[ 社会人が受けるような研修を受けていない女には、
  セクハラ案件がどうこうといったことには無知だ。
  彼の口から出る言葉たちが、
  そういった配慮の元成り立っているのを知らない。 

  しっかり掴まってろ、という言葉に従って
  彼の背中へ身体を預けた。 ]


  ……ふふ、あったかいね。


[ あの頃と変わらない温もりに頬を緩める。
  それから、「町を出なかったのか」と呟く彼に
  短く「うん」とだけ答えて。

  吐かれた溜息に、ぴく、と肩が揺れた。
  ──それがどんな色を孕んでいるか分からなくて。 ]

 
(71) 2024/05/06(Mon) 21:18:54

【人】 従業員 ルミ

 

[ 道中の会話は全て、もう既に知っていることだったけれど
  真新しいものを見聞きするように話を聞いた。

  自分の話はあまり口にしない。
  ひとつの話題を深堀するように聞き役に回り、
  SNS越しに握った情報を固めていく。
  彼の好きなビールは、既に今、家にある。 ]


  住んでないよ。一人暮らし。
  ……でも、お兄さんならそんなことしないでしょ?


[ ああ、いっそ「その気」になってくれれば早いのに。
  彼の歴代の恋人たちと自分、一体何が違うのか。

  頭を撫でる手付きの上手さすら気に入らない。
  他の女に同じことをしてきたと分かるから。 ]

 
(72) 2024/05/06(Mon) 21:18:57

【人】 従業員 ルミ

 

  …………うーん、でも……。
  休日以外は夜営業しかやってなくって。
  普通のカフェとはまた違うというか……


[ 店に客として、なんて起こってしまえば
  彼が他のキャストに目移りする可能性だってある。

  それに、ただ可愛い服のカフェというわけではない。
  売れるために、稼ぐために色々な営業がある。
  ────見られて幻滅されてしまうのがオチだ。 ]

 
(73) 2024/05/06(Mon) 21:19:01

【人】 従業員 ルミ

 

  どうしても、だめ?
  このままひとりで家にいるのも心細いし……

  ……他に頼れる人もいなくて……。


[ 何より、なりたいのはそんな関係ではない。

  客と店員。顔なじみ。──そんなものじゃない。
  もっと特別で、唯一の、なにか。

  そんな狙いを孕んで、わたしは彼の手を掴んだ。* ]

 
(74) 2024/05/06(Mon) 21:21:52

【人】 会社員 雷恩


[唐突に話しかけた相手に上手く言葉を返せないのは
女の子がまだ小さいからだと解釈する。
自分は「弟」で、自分よりも小さい子をあまり知らないが、
幼稚園児くらいだろうか?

女の子が喋れないなら自分が喋れば良いと思う程度には
純粋に育った少年だった。]


 ルミな。うん、覚えた。


[それだけは10年以上経っても記憶にあり]



 俺はー、うーん、みんなは「ライ」って呼ぶよ。
 「雷恩」って名前だとみんなあの動物のことだと思うだろ。
 遠足で揶揄われたからヤなんだよねー……


[最初に名前呼びを渋ったのは自分だという記憶はなく。]
(75) 2024/05/06(Mon) 22:41:23

【人】 会社員 雷恩

[初めに買ったのはただの間違い。
次は、ルミという名前の年下の友達にあげる為に買った。

バニラ味も、コーヒー味も、ソーダ味も、
ルミと分け合った。

冬になるとおやつはアイスではなくなったから、
屋台から買った焼き芋を半分こにした。

雨の日に傘を持っていなかった子は
冬には寒そうな恰好のことがあったから、
母に甘えて家に連れて行く日も増えた。

自分が大人になってから思うのは、
みんなができる行動ではないということ。
ルミが帰る時には母はいつも付き添っていた。
その「親」がどういう人物なのか、あんなに小さい子を
公園に放置する人間に対しての悪口を
子には決して聞かせなかった。]
(76) 2024/05/06(Mon) 22:42:15

【人】 会社員 雷恩



 大きく……?
 そーだな、この辺に住んでるなら
 同じ学校に通えるだろきっと!


[歳の差が幾つなのかも気にせず、何歳差まで同じ学校に
通えるかの知識もなく。

「大きく」で想像する姿はルミのランドセル姿くらいのもので。

「もっといっしょ」が意味するのは、公園に行かなくても
校内で会える、程度の感覚。

多くの少年がそうであるように、
少女と出会った当時の少年は恋を知らなかった。]
(77) 2024/05/06(Mon) 22:42:51

【人】 会社員 雷恩

[思春期の訪れでよそよそしくなっても、
女の子を家に連れ帰ることで噂になることを恐れても、
何か明確なきっかけがあって彼女を拒否した訳ではない。

ただ、習慣というものは途切れれば再開は難しく、
反芻しない記憶は薄れて行く。

「大きくなったら」――過ごす時間は短くなった。

クラスが変わった友達とあまり遊ばなくなるのと同じ感覚で
公園に行かないならルミと遊ぶことはないという日々。

それでも高校くらいまでは何となく気になった時に
何度か公園を覗いたことがある。
授業を何となくサボった時、部活が急に休みになった時、
ルミだってその頃には学校に通う年齢だっただろうに、
相変わらず一人でいた。

酔っ払いのおじさんが近寄ろうとするのを牽制するように
ベンチの近くに座ってみる。

高校生になって増えた小遣いは、もう分け合うアイスではなく
ほかほかのコンビニの肉まんも買えるようになっていた。]
(78) 2024/05/06(Mon) 22:43:29

【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ


[男には選択肢があった。

公園に行かないルミに会わないという。

少女があの公園で自分をいつまで待っていたのか――

実家を出ても公園が見える部屋に住むというのは、
もしかして。


――穿ち過ぎだろうか。]
(-12) 2024/05/06(Mon) 22:44:02

【人】 会社員 雷恩


 んーいや、どっちでも。
 名前自体そんな呼ばれないしな、
 どっちでも恥ずいならルミの呼びたい方でいいよ。


[喋り方はこんな感じだったか?
どうにも男心を擽るようなトーンに聞こえてそわそわする。]


 ストーカーもいるんだろ、
 危機感持ってくれよ……。


[流石に数日後に彼女がストーカーにどうにかされたなんて
ニュースを見たら立ち直れない。

どこかの誰かが殺されるニュースにいちいち感情は揺れないが
それが知り合いなら話は別だ。

ストーカーは今どこかで彼女を見ているのだろうか。
自分が触れていることで、逆上しないと良いのだけれど。]
(79) 2024/05/06(Mon) 22:44:33

【人】 会社員 雷恩

[ルミはもう小さな子ではなく、扱える言葉も沢山あるだろうに、
接客業の癖なのか、道中は殆ど此方が喋っていた。
振り返ってみれば、ルミのことを殆ど知らないままだ。

好きな食べ物も知らない。
公園で縁日があった時に自分は甘くて食べられなかった
りんご飴の残りを美味しそうに食べていたのは覚えているが、
りんご好きなのだろうか。]


 俺ももう小学生じゃないからな?
 そこまで無条件に信頼すんなよ〜頼むから。


[苦笑する。
レイプ魔扱いは御免被るが、人畜無害と思われるのは
男のプライドが廃るというやつだ。

――そういえば、思い出した。
食べかけのりんご飴を渡した後になって、
「間接キス」と気づいて内心狼狽えたことを。

意識した過去があるなら、自分はやはり
彼女にとって人畜無害ではないだろう。
]
(80) 2024/05/06(Mon) 22:48:47
 


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