![]() | 【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ>>-33 「……! やぁ、アリーチェ。 私服のキミもなかなかだね」 ベッドに横たわったまま、顔をそちらを向けて笑みを浮かべる。 いつもなら手の一つも上げるのだが、あいにく今はそれができそうもない。 肩から胴にかけてがちがちにギプスと包帯で固められ、逆手には何本もの点滴が繋がっているからだ。 署で話を聞いていたなら、あなたは病状を動脈損傷による大量出血と肩関節損傷だということを知っているだろう。 「……うん。まぁ……テオドロと約束したからね」 「キミ達が皆無事に釈放されたみたいで安心したよ」 署からも感謝の言葉は何度か聞いた。 改めてあなたからも告げられると、むず痒さが出ていけない。 だから挨拶もそこそこに礼を言われれば、少しだけ困ったような笑みに変わる。 この怪我がなければ格好もつけれたんだけどねと、そんな事を言いたいようだ。 (-34) 2023/09/27(Wed) 20:28:51 |