【秘】 Commedia ダヴィード → Il Ritorno di Ulisse ペネロペ乗れと貴方に言われれば何処へと問うまでもなく、息をつく暇もなく。 とりあえず乗り込んでそれからどこに行くんだろうと考える。 男はいつだってそういう風に生きてきた。 「ええ。勲章が似合うようになったでしょう?」 こういう生き方。 暴力と血に塗れたいずれ必ず地獄へと至る道。 男は神に祈らないが、それでも己の生き方が神の愛に背く生き方であることは理解していた。 「俺はノッテファミリーのダヴィードです。 これまでそう生きてきたし、死ぬまでそう生きる」 ――ああ、やっと伝えられた。 だからそれは「こうありたい」という希望ではなく、「そう生きる」という決意として表された。 いつか貴方に頭を下げ、アジトの門を潜った日に、捨てた希望だったのに。 こうして言葉に出来るようになるまでには短くない時間が必要だった。 (-47) 2023/09/27(Wed) 22:46:52 |