【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ>>-158 あんたが正直者で助かりましたよ、と苦笑した。 無事ならば何でもいい、……なんて思考は、少々雑だろうか。 「やっぱあの騒ぎはあんたか。 ……その言い方だと逃げられました?」 後でやり返しに来やしないだろうか、なんて思うのは その相手を知らないからだろう。 ──事実、知ったところでその相手についての事はあまりよく知らないのだが。 貴方の気分が悪くなっている理由も知らずに、別ベクトルの心配が始まっている。 「座席の下の引き出しになんか入ってなかったけ…… パーカー畳んで入れてたはずなんで使っていいですよ。 サイズも合うでしょ、きっと」 どこへ行くにもその格好じゃまずいだろうと考えて、そう言えば非常用に一つ上着を用意していたことを思い出す。 汚れたタオルはそこら辺に放っておいてもいい事を伝えながら、エンジンボタンを押してシートベルトを締めた。 「じゃあ見に行きましょう。泳ぎやしませんよ、寒い」 「人も建物も視界に入らない方が思考もスッキリするんじゃないですかね〜。多分ですけど」 自分も海を見たい気分だったし丁度いい。 ハンドルを切り、車を発進させる。 あんまり揺らしちゃ気の毒だとスピードはいつもより少しだけ抑えられていた。 (-183) 2023/09/29(Fri) 11:31:43 |