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【人】 黒眼鏡「サァテ」 カウントダウンの指折りが終わって、 鼻歌が独房に流れ出す。 「どうなるかな」 『プラン』はもう成立した。 あとは、どう進めるかだ。 (1) 2023/09/26(Tue) 21:49:31 |
【人】 黒眼鏡「まァとりあえず」 よっこいせ、と立ち上がり。 「『合図』からだな」 独房の中にどうやってか持ち込んでいた、 携帯電話のボタンを押した。 (2) 2023/09/26(Tue) 21:51:48 |
【人】 黒眼鏡──ポン、と音がする。 釈放されていく人々の群れの中から、 あるいはその群れに紛れた何者かが、 人ごみの中から花火を打ち上げた音だ。 しゅるしゅると煙を曳いて立ち上った花火は、 警察署の直上でぽん、ぽんと音を立てて破裂した。 それがなんなのか、分かるものは少ないだろう。 ただ、何らかの『合図』であろうと思うだけだ。 (4) 2023/09/26(Tue) 21:53:42 |
【人】 黒眼鏡アレッサンドロ・ルカーニオは、かんかん、と格子を叩く。 「おーい、看守さんよ。 おーい」 声を張り上げ、看守を呼んだ。 訝し気な顔で近づいてくる顔を見て、 「ああ、今日はあいつじゃないんだ。 しょうがねえな」 うーん、と言ってから、懐から何かをとりだした。 (10) 2023/09/26(Tue) 22:18:52 |
黒眼鏡は、折りたたまれた<指示書>を取り出した。 (a1) 2023/09/26(Tue) 22:20:12 |
【人】 黒眼鏡「――……っ、これは」 看守が目を見開く。 「ソ。 共和国元老院終身議員の委任状ね。 」──「裏切らず、漏らさずの黒眼鏡」。 10年積み上げたその信頼は、 政治家すらも"港"を利用する切っ掛けとなっていた。 後は簡単な話だ。 絶対に裏切らないということは、 まだ裏切っていないだけ。 かくしてアレッサンドロは、自らの自由が法的に認められる手段を一つ、手に入れたのだ。 ──少なくとも、混乱の極みにある刑務所を出るまでの間は通用するくらいの。 (12) 2023/09/26(Tue) 22:23:03 |
【人】 黒眼鏡看守が直立不動の姿勢になって、牢の扉を開ける。 外からはパー、パー、パー!ファンファンファンファン!!!とすさまじい音が鳴り響く中、 「ドーモ」 がちゃり。という扉が開く音は、どこにも響かずにかききえて。 「あ。預けてたやつ、返してくれる?」 (15) 2023/09/26(Tue) 22:25:13 |
【秘】 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオたとえいつ視線を戻したとしても、堅炭の目はそこにある。愉快そうな、興味深そうな色を湛えて。 「理解したか?あるいはできないか? 疑問があるなら聞いとけ。 疑問が要らないなら、自分は馬鹿だと自覚しろ」 俺は馬鹿寄りだ、と笑う。 「アリソン・カンパネッロのことなんて、本質的には どうでもいいはずだ。 手あたり次第に噛みつくよりはいい兆候だがね」 くるくる、と空中をさまように回した後──指を指す。 ちゃり。また、金属音。 「お前は自分が本当は頭が悪いと知っている。 だから分かりやすい色に…白黒に割り切りたがって、 そのうえこれは性格的な面だろうが、黒を…… もとい、"対岸"を根絶やしにしないと気が済まんタイプだな?」 身を乗り出す。その声色は、やっぱり、心配しているようで。 「いいか、正義だからってお前の生き方が肯定されることはない。 肯定されるのはいつだって、その時正しいことばかり。 暴力をお前の真ん中に置いてるうちは、 お前はどこに行っても、どう生きても、 そのどうしようもなさからは逃げられない。 暴力では誰も納得しないからだ」 ──押し付けるような言葉は、ただ、たんたんと語られる。 (-14) 2023/09/27(Wed) 15:35:58 |
【秘】 黒眼鏡 → 法の下に イレネオ「こりゃ失礼。 お前は、理解されたいんじゃないのかと思ってね」 あなたの態度に言及するでもなく、 笑いながら意識を逸らす。 たんたんとなる音をまるでBGMのように聞きながら、 「 ぶ っは」──思わず吹き出してから。 「ば、っは、ははははは、っ はははははははは 」はははは あはははははは !!!!!楽しそうに、馬鹿笑いをした。 「しゅ、 好きでもねえのに暴力を振るうのか、 大した悪党だな!!」 「マフィアでやってけるぜ、なあ!」 (-29) 2023/09/27(Wed) 18:56:24 |
【人】 黒眼鏡──真昼のこと。 海沿いの開けた道に面して建てられた、トラックがまるまる入ってしまいそうなスチール・ガレージを改装して作られた店舗。 それなりに古びていて潮による錆も無視できないが、そこは短パンとサンダル姿で表をぶらぶら出歩けるくらいには気ままな彼の城だった。 ──ごり、ごり、ごり。 【Mazzetto】という味気のない店名。 今その店頭に、看板は置かれていない。 入り口の脇にたてかけられたその看板には、そこの主に似合わない小さな花がセロテープで張り付けてあった。 ──ごり、ごり、ごり。 店内は照明が落とされて、黎明に照らされた海の底のようにじっとりと薄暗い。 そんな中で黒い眼鏡をかけた怪しげな男が、カウンターの奥でコーヒーミルを回している。 男はむっつりと口をへの字に曲げて、額からぽたりと汗を垂らしながら重たいハンドルに力を込めた。 ──ごり。 硬く、重い。金属質な音が部屋の奥底まで響き渡り、波に運ばれた石のようにカウンターの裏を埋めてしまいそうになるころ、 「兄貴?」 ──店の扉をがちゃり、と開く音がした。 (40) 2023/09/27(Wed) 20:30:53 |
【人】 黒眼鏡>>40 路面と海面が反射する太陽の光を背負って、 一瞬影となったその男が店内に足を踏み入れる。 「黒眼鏡の兄貴、よかった、ちゃあんと釈放されてるじゃねぇか!」 ガイオと呼ばれるそのマフィアは、観光案内所の役付き者だ──表向きは。 実際にはノッテ・ファミリーの一員として、観光客を相手にスリや詐欺、置き引き、恐喝などを働く、外貨獲得部門を取り仕切っている。 「おう、ガイオ。 お前も出てこれたのか」 「部下たちもな、兄貴も早いじゃねえか。 あんなネタが出たんだ、もう少し絞られるかと思ってたぜ。運がいいな」 気安く笑いながら、意外と丁寧に掃除されている床を踏みカウンターに肘をつく。 アレッサンドロもまたコーヒーミルから手を話し、かちゃかちゃとコップを用意しながら立ち上がった。 「ソウ、裏切者のアレッサンドロです。 いいのか、こんなとこに来て。俺の処分はうやむやになってるだけだぞ」 「とぼけんなよ、『プラン』だろ? 何言ってんのかと思ったら、こういうことだったとは。 最初はびっくりしたが、すぐに失効したし、今なら取り返すのはなんとかなる。 …そんでもってこの機会に恩を返したら、高ぇ利息を取れるんじゃないかと思ってね」 ははは。アレッサンドロがにやりと笑って、ガイオの肩をぱんと叩く。 「抜け目のねえやつだな。ま、わざわざ呼ぶ手間が省けたよ」 「あんたにしごかれたからな。今度またうちに来てくれよ、フィーコも寂しがってる」 「ああ、あの犬」 (41) 2023/09/27(Wed) 20:32:59 |
【人】 黒眼鏡>>42 「兄 貴、… は? …ぇ、 」「ガイオ。犬の世話は、俺からお前の部下に頼んどく。 引き取り先も探すよ」 「……ぁ、……っ、……」 ぼた、ぼた。 綺麗に磨かれた床に、赤い雫がぼたぼたと落ちる。 体ごとぶつかるように突き込まれたナイフの先端は狭い肋骨の間をすり抜けて、 ちょうどガイオの肝臓に達していた。 太い血管がいくつも同時に切断され、ごぼり、と大量の血が傷跡から零れ落ちる。 ナイフを握ったままのアレッサンドロの手が一瞬で赤に染まって、受け皿にもなりきれず、零れた血液はばちゃばちゃと床をまだらに汚していった。 ──そのまま。固く握りしめられたナイフの柄が、ぐるんと捻り捻じ込まれる。 ぶぢぶぢと、さらにいくつもの血管が引きちぎられる音が響いた。 (43) 2023/09/27(Wed) 20:38:48 |
【人】 黒眼鏡>>44 ぼた、ぼた。 返り血がカウンターの上に数滴飛ぶのも構わず、アレッサンドロは立ち上がった。 血に染まったスウェットを脱ぎ捨てて、扉の隙間から差し込む潮風をも追い越すような早足で、店の廊下を歩いていく。 まだらに赤く染まったトランクスをひっつかんで引き下ろし、サンダルを放り捨て、裸足で全裸のまま私室の扉を蹴り開けた。 みしり、と音がして蝶番が歪み、中途半端に傾いた扉。 それを振り返ることもなく、乱雑にかけられた黒いシャツをとスーツをひっつかむ。 下着、肌着、シャツ、スーツ。 次々と脚と腕を通していって、ボタンが捻じ込まれるように止まる。 その一挙手一投足が鳴り響く開演のベルのように耳に響いて、 アレッサンドロの全身を流れる血流がどくどくと脈打った。 その高ぶりを鎮めるように一度、ぱちんと頬を叩いて。 「うし」 ──すっかり準備を終えてから、壁際に据え付けられた鏡を見る。 ふーー、と吹きだした息は、まるで火が舌なめずりをしたかのよう。 ぎらぎらと燃え盛る堅炭の瞳がひび割れて、ごう、と熱が渦を巻く。 自分でその顔を見て、ふ、と笑い。 「確かに、こりゃ。 人相が悪い」 (45) 2023/09/27(Wed) 20:40:45 |
黒眼鏡は、ポケットに突っ込まれていたサングラスをぴんと指先で弾き、つるを伸ばす。 (a10) 2023/09/27(Wed) 20:41:18 |
【人】 黒眼鏡>>46 そいつは格好をつけて黒眼鏡をかけると、またずかずかと店の方へ脚を進め、 折りたたまれた看板を片手で持ち上げる。 【CHIUSO】の面を向けて店先に放り出す。 潮風がごう、と吹く。 風に流された雲が太陽を覆い隠して、 三日月島の名物である太陽に照らされた海面はほどほどにしか光っていない。 それでもかまわない、と男は、革靴に包まれた脚をがつんと前にだした。 くるくると指先で回す、革細工のキーリング。 かちゃりかちゃりと音を手てて、愛車――フィアット500の鍵が音を立てる。 そんな音では、足りはしない。 そんな音では、贖えない。 10年を費やした弔いが、今日この時に結実する。 そんな風に喧嘩をしたことがないから、男にとってそれは最初で最後の、 ──最初で最後の、 ことだった。 「負ける事考えて喧嘩するやつが、いるもんかい」 だから、彼は勝つつもりだ。 だから、彼は笑っている。 (47) 2023/09/27(Wed) 20:45:26 |
【人】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>47 潮風がごう、と吹く。 地を照らさぬ太陽の代わり、差別主義者の神の代わりに、 俺がやる。 アレッサンドロ・ルカーニアはそういう風に生きて来て、 だから最後までそういう風にやるつもりだった。 「──さあて。」 ──さあて、鳴らそう。 アリソンに捧ぐ鐘を。 (48) 2023/09/27(Wed) 20:47:29 |
【秘】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレくそー、なんて悪態をつきながら、 はいはい、と手を振った。 「全く、今お前を抱き寄せられないのが残念だよ」 「約束約束。叶えるから」 ――嘘。 珍しく嘘をつく自分に顔をしかめて、 けれどかつて、腕の中にあった体温は本物だった。 それを確かめるように、自分の腕をさすって、 「大好きね、……まー、そうかもな、うん」 その言葉を口にすることが、正しいのか。 自問と自戒が渦を巻いて、普段はくるくると回る口を重くする。 そうしているうちに、格子が音を立てる。 届かない手をこちらに伸ばす女に、 もう 届かない笑みを返して。「おー。俺もそう祈ってるよ。 お前も無茶すんなよ、怪我も。あーそれともし金とかないってなったら、俺の口座にはいってるから。あれ、非常用。ちゃんと使えよ!」 はよ行け行け、なんて手ぶりをしながら、あれこれつけたしで放り投げる。手が触れられないなりにあなたを気遣う言葉をいくつも取り出して、 「帰り。車気を付けな」 ──見送った。いつものように、いつものようにはできずとも。 (-64) 2023/09/28(Thu) 5:53:10 |
【秘】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオ「なにが違えんだよ、言えよ、ほら定義してみろ、学校出てんだろ!?」 ぎりぎりと締めあげられながらも、かはは、と哄笑を続ける。 「おめー法律によって許可はされてない暴力を 抵抗できない相手にふるってるよなァ、 相手を脅してよォ」 「お前が一番知ってんだろ? ヤってんだからさぁ」 それは間違いなく侮辱であり、罵倒だ。 ──そして、事実だ。 「何が違うか、 何が同じか、 ちゃんと確かめろ、今、なあ!」 (-71) 2023/09/28(Thu) 9:09:38 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡──ノッテ・ファミリーのアジトは、当然ながら街中にある。 周囲の人間もそこがマフィアの根城であることは知っているから、壁によりかかったり周囲で騒ぐやつはそうそういない。 それでもそこは市中であり、人通りもあれば車や荷物が往来することも珍しくはなかった。 そんな中。アジトの一角にひっそりと置かれたその「荷物」──何の変哲もない黒いスーツケースは、ファミリーの一員である若者が置いていったこと、そして取締法失効に伴う混乱によって、見分されることもなかった。 だから、それが原因であると気が付くものはいないままで。 ──パパパパパパパ パァン !!けたたましい破裂音と共にそれが「爆発」した時。 すわ襲撃かと銃を手に駆け付けた構成員たちが見たのは、内側から真っ二つに焼け焦げ吹き飛んだスーツケースの残骸に過ぎなかった。 「っンだこれ」 「……な、なんだ? テロ?」 「いや、これ…花火じゃねえか」 「イタズラ〜?」 「ウチ相手にそれやるのはバカかジェームズ・ボンドだけだろ」 「じゃあCIAだ」 「CIAがうちに何の用だよ」 構成員たちは、訝し気に顔を見合わせる。 そんな混乱と焦燥が、彼らの判断を僅かなりと鈍らせていたといえる。 …だから、気が付かなかったのだ。 「よう」 アレッサンドロ・ルカーニアが、ぽん、と肩を叩くような距離に近づいてくるまで。 (G0) 2023/09/28(Thu) 11:29:12 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>G0 「ぅお」 「キャ」「ギャア」「ひ!」「マジでビビる!」 「くそばか眼鏡」 「やめてくださいよアレ!」 「……って、おいおい、お前ら、おい…」 驚いたように飛び跳ねたり文句を言ったり、めいめいの反応を見せる構成員たち。 ──だが数名は警戒して距離を取り、手に持った銃を遠慮がちに向ける。 「どうした」 にやにやとしたいつの笑みに、向けられた銃口が下がる。 訝し気な顔と困惑した視線が絡みあって、緊迫した糸がぷつり、と切れた。 「い、い、いや、だって、あれ、取締法」 「裏切ったって…」 「いやそんな」「旦那がさぁ、そんな」「ね、だよね」「お前らさぁ」 「ハハハ、まあ待て、お前ら、落ち着け」 まあまあ、なんて手つきでその場を押さえる。 カポ・レジームとしてのその仕草に、構成員たちは思わずぽかん、と立ち止まって。 (G1) 2023/09/28(Thu) 11:31:18 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>G1 「怪しいと思ったら」 バ バ ガン 。「ぐ」「ギャ」「っ、あ」「っづ」 「先に拘束」 背後に隠していたソードオフ・ショットガンから一度に二発。 立てつづけに放たれた鳥撃ち用の散弾が、至近距離で密集していた構成員たちを襲った。 室内にいたことで肌の露出している服を着ていた若者たちが、あちこちに被弾してうずくまる。 直径0.2inch以下の鉛の雨が手足や顔、首の皮膚を突き破り、発砲炎に照らされた赤い飛沫が花束のように咲き乱れた。 「う…」「ってぇ、く、…ッ」 「コラ」 被弾の少なかったソルジャーが痛みと衝撃に顔をしかめながら、 突きつけるよう向けた拳銃がバギン、と真横に弾かれる。 身を低くし、スーツの裾を翻しながら距離を詰めたアレッサンドロが、踏み込みと同時に跳ね上げた足刀。その横殴りの爪先が、中途半端に前にだされた銃身をとらえたのだ。 さらに振り抜いた足が振り下ろされて、若いその男の掌をばきばきと踏み砕く。 「、っ、あああああっ!!」 「アキッレーオ、ピストルを構える時腕伸ばしすぎ。前も言ったろ? 室内戦なら引いて体につけんだよ。おめ〜は前からかっこつけて、銃をこう…横に構えるからさぁ、やめろってマジ」 (G2) 2023/09/28(Thu) 11:33:28 |
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