>>136 ダビー
もう、腹を蹴られても悲鳴すら出ない。
口から空気の塊が押し出されて、声にもならない音が微かに鳴った。
落ちるように倒れ、ごろりと転がる。
呼吸をしようとするたびに、ひゅ、と音がした。
あなたがこれを見て何を思うかは分からない。
分からないが、柘榴色は相も変わらずあなたを見上げ。しかしその焦点はほぼ合っていない。
にも関わらず、銃口を向けられたのには反応してそちらを向き、ゆるりと口の端を緩めて、目を細め。
「撃っていーよ」
トドメでも甚振るでも。欲しがる。
最後の一滴まで、あなたの今が欲しい。