人狼物語 三日月国

95 演劇の村 第一幕


【人】 【鬼】 虎熊童子


「……来るか、この鬼ヶ島に。やって来るか、桃太郎よ」

 虎熊童子は静かに笑う。
 自身に課された役割、その終わりを感じながら。
 ケタケタと、釘のような歯を覗かせて。
 右手に握った大鉈が、獲物の気配を感知する。

「どれ、先ずは小手試しといこう」

 声に反応し、虎熊童子の影が分裂した。
 その数は4つ、この島に上陸した鼓動と同じ数だ。
 影は虎熊童子の周りをグルグルと回転し、そして散開した。目的は侵入者の排除である。
 影が敵の元へと着けば、敵の姿形を模倣した影鬼となる。

「これは試練だ、桃太郎一行よ。己が姿と向き合え」
 
(155) 2021/09/23(Thu) 20:27:36