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【人】 ウユニ「なんでもないの。 ……ごめんね、ヴィオラ。 起こしてしまったかしら。」 まだ、陽が高くない時間、 幼子が起きるには随分早かったから、 まだ寝ていていいのよ、と頭をなでた。 (7) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:03:56 |
【人】 ウユニ『ううん。 もう、ねむくなくなっちゃった。 おかあさんは……? ねてるときのおかあさん、 ずっと、くるしそうだった。 だいじょうぶ……?』 (8) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:04:23 |
【人】 ウユニ眉下げて、此方を見つめる目元は 愛しいあの人に、似ている。 この子は……、ヴィオラは、 最愛の人の忘れ形見。 だから似ていて当然なのに、 数年見続けてもまだ、はっとしてしまう。 今でも、この子の存在は夢じゃないのか、と ヴィオラを見ては 驚いてしまうことがあるくらいだから 身籠っていると分かった当時は、 本当に驚愕したし 暫くは信じられなかった。 (9) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:05:10 |
【人】 ウユニ でも、我が子の存在を知れば 死ぬわけにも、この身を蔑ろにするわけにも いかなくなってしまって。 裁縫で生計を立てる術はあったから。 誰にも頼ることなく、私は子どもを産んだ。 (10) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:05:41 |
【人】 ウユニ見とれていたせいで、 咄嗟に言葉が出てこなくて。 大丈夫よ、 と続けようとすれば私の言葉にかぶせるように、 (11) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:06:26 |
【人】 ウユニ 「ありがとう。 嬉しくてつい、泣いてしまったみたい。 これは悲しいからじゃないのよ。 だから、お母さんは、大丈夫。」 (15) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:10:13 |
【人】 ウユニなおも心配そうなヴィオラの気をそらすように 朝食を作って、食べさせて。 視力を失った左目を隠すように眼帯をして、 机に置いてあった仮面を一度、撫でた。 ヴィオラが生まれてからは、付けていない仮面。 それは埃一つ被らず綺麗なまま、置いてあった。 身支度を済ませれば、 ヴィオラの手を引いて、家を出る。 (17) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:12:49 |
【人】 ウユニ目指すのは、あの日以来訪れていなかった丘。 行けば、あまりにつらい出来事を 思い出してしまいそうだったから、避けていた。 久々に来た場所は、 花が増えていること以外は 何も変わっていなかった。 吹き抜ける風の心地よさも、景色も。 (18) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:17:56 |
【人】 ウユニ最後は語り掛けるように呟くと、 蒼空を見上げて、 天国にいる貴方へ笑いかける。 つられた様にヴィオラも 天を見上げて、笑って。 つながれた小さな手の温もりを感じながら、 私は密かに誓った。 (20) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:19:35 |
【独】 ウユニ 私がいなくなっても、 この子が寂しくないと そう思えるような家族が出来るまでは まだ、生きていよう、と。 (-21) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:19:58 |
【雲】 ウユニ幾度も季節は巡って。 一組の男女が夫婦になった日。 祝福の鐘の音が鳴り響く。 それを嬉しそうに、 眩しそうに 見つめていた隻眼の女性がいた。 彼女は柔らかく微笑むと、 夫婦に気づかれないように そっとその場を後にした。 (D78) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:21:55 |
【雲】 ウユニ女性が向かったのは、街を見下ろせる丘。 来るまでに着替えて来たのか、 白いドレスを身にまとって 白い薔薇の花束を手にした彼女は 周りに花々が咲き誇る 木の根元に 寄り添うように 腰を下ろして。 (D79) alice0327 2022/08/27(Sat) 18:23:00 |
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