168 【飛び入り歓迎】Hospital of Delusion ー妄執の病院ー【R-18RP】
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| ─異界化が解かれる前─ [嫌な記憶が過った。 憤懣をぶつけるように叩いた窓は、無事な姿のまま。 まるで己を嘲笑うかのようで、猶更に毒が回る。] (0) 2022/08/15(Mon) 11:34:33 |
| [……冷静になれ。 目を瞑る。心を落ち着かせる。 傷を負った掌では上手く力が入らなかった。 だから、窓は割れなかった。そう言う事なのだと 憎悪に呑まれてしまえば、四谷を独りにしてしまう。] ………悪かった。 [無駄に不安がらせてしまっただろうか。 >>2:154その様子に気が付き、目を開きお前を見た。 見つめる瞳に、怨恨の色はもうない。] (1) 2022/08/15(Mon) 11:35:35 |
| [止血してくれた掌。 傷口は開き切ってはいないものの じわり。手当の跡に血が滲み出てしまってる。 幸いにも開き切ってはいないものの、 与えられた優しさを無碍にしたくなくて 片方の手で労わるように、拳を包んだ。]
……病院だからな。 頑丈に出来ているんだろう。
他に出口がないか、探すぞ。
[己に言い聞かせるみたいに言葉を発して 窓から離れたなら、お前の手を取って再び歩き出すだろう。] (2) 2022/08/15(Mon) 11:36:14 |
| [それから、どれくらいの時間 消えたチハヤの行方を追いながら、出口を探しただろう。 その間にも怪異との遭遇はあっただろうか。 何があっても、四谷の手を離すことなく "一緒に"生き残れたらと思う。 明けない闇に、半ば諦めかけていた ───その時、] (3) 2022/08/15(Mon) 11:36:54 |
| ────!
["光"が、院内を照らす。 その眩さに耐え切れずに、咄嗟に目を瞑った。
次に目を開けた時、院内は────
朽ちていくだけの、廃墟へ。]
(4) 2022/08/15(Mon) 11:37:38 |
| ………………終わった、のか。 [破ることの敵わなかった窓も、鉄格子も、扉も。 その全てが、本来あるべき姿を取り戻し 今にも崩れてしまいそうな、壊れかけた姿に変わる。 呆然と、その場で立ち尽くしていたなら ふと上着のポケットに、振動音がした。 それは、チハヤのスマートフォン。 取り出して見えたものは 闇が晴れた、今と同じ 空 の色─── >>2:118 そして、] (5) 2022/08/15(Mon) 11:38:43 |
| [ 四谷 隆史 "いま、何処にいますか" >>2:129 漸く届いた、メッセージだった。]* (6) 2022/08/15(Mon) 11:39:15 |
| [明けない夜は、ないのかもしれない。 止まない雨も、きっとないだろう。 この画面に映る、青空のように………。 チハヤを見つけることは、最後まで叶わなかったが もしかしたら、それで良かったのかもしれない。 >>L2情か気紛れか、それとも─── 怪異の合間に見えた、一度だけの"憂い"が >>2:148チハヤの傍に在るような気がしたから。] (13) 2022/08/15(Mon) 20:25:51 |
| [端末に落としていた視線。 それは、隣に居るお前を見つめる。 >>11今こうして、確かに「生きている」 それを実感した時、自然と微笑みが零れた。 「死ねなかった」と思うことは、もう無い。 温かな掌の感触が、気持ちを強くしてくれたから。] (14) 2022/08/15(Mon) 20:26:23 |
| ……………。 [お前は、"初めて"誰かの名前を呼ぶ。 己はその名に憶えはない。 けれども、 >>L3>>L4>>L5>>L6 きっと───…"枷"は、解かれたのだと。 あの時の見た笑顔よりも >>2:-24> >>2:-53>2:-62 今のお前は、ずっと………。 あの 空 のように、"綺麗"だと思った。] (15) 2022/08/15(Mon) 20:27:40 |
| ………出よう。 [朽ちて行くのを待つだけの、この廃墟に 留まり続ける理由は、もう無かった。 俺に"生きる理由"を教えてくれた お前の手は、ずっと離さないまま 共に、外への一歩を踏み出せたなら きっと、澄んだ声が語り掛けて来るだろう。 >>2:L4>>2:L5] (16) 2022/08/15(Mon) 20:29:21 |
| ─生還の後─ [死ぬ為に赴いたはずなのに、 "生きる"と決めて、あの廃病院から出て来た。 今でも、不思議で堪らない。 あの時、お前と逢えていなかったならば きっと今頃………。 初めて、"恐い"と感じた。 だが、隣を歩くお前の姿が。 >>17僅かに感じる掌の痛みと手当の跡が。 そして………温もりが。 夢ではない事を教えてくれる。] (19) 2022/08/15(Mon) 22:50:25 |
| [これから、何処へ行こう………? 歩きながら己に帰る場所が無いことを思い出した。 職を失って、寮からも追い出されたんだった。 だが四谷には帰る場所があるのだろう。 ならば家まで送り届けるとして、 それからは………? 今まで誰かに思ったことがないような "寂しさ"のようなものを感じて、 寥寥たる表情で、お前を見つめる。 そうしたら、自然と視線が交わっただろうか。 >>18] (20) 2022/08/15(Mon) 22:51:36 |
| ─後日、我儘の一つ─ [隆史が浪人生として受験勉強に励んでいる間は、 己は再び職を転々としつつも、労働する毎日を送っていた。 犯罪者にとって、逃亡者にとって 働ける場所は限られているし、 短期間でクビになるのはザラ。 その度に住居も変わって、転々として…。 と相変わらずな状況ではあるものの もうそれで、めげる事は無くなった。 隆史という"存在"が居てくれる。 それだけで、俺の生きる気力にも糧にもなるから。] (26) 2022/08/16(Tue) 1:50:11 |
| [だが、その事実や……己の罪を 未だに話せないままでいる。 話すことで、隆史に距離を置かれることが恐かった。 話すことで、隆史の受験勉強を邪魔したくなかったから。 今日は久しく顔を合わせる日だったろうか。 >>22合格通知を貰っていると良いのだけれど。 そうであれば、めでたい話だから また何時かの日まで─── 己のことは、話さないでおいた方が良いかも、な。] (27) 2022/08/16(Tue) 1:50:55 |
| ………………。 [こっちの気も知らないで……本当に、お前は。 恨み言の一つでも言ってやりたくなるような 顔を合わせていきなり、開いた口から出た 唐突な我儘(お願い)には >>23一瞬の沈黙の後、くすり。呆れた笑みを零す。] ………まぁ、一先ず。 合格したんだな。おめでとう。 けど、俺の近くは………… [その我儘は嬉しくもあったし、応えたくもあったが 事情的に、難しいと思った。 まだ何も話せていないから、知らないだろうし そう行って来るのは、仕方ない面もあるけれど どうすれば落ち込ませずに済むだろう? 紡ぐ言葉を考えながら、口にしていく。] (28) 2022/08/16(Tue) 1:51:43 |
| ………隆史が、そう言ってくれるのは嬉しい。 けど、今住んでいるアパートは、職場の寮なんだ。
例えば、近くにお前が引っ越して来たとしても クビになったら、そこに俺は居られなくなる。
つまり……… 近くなれても、また離れてしまう……かも。
[と、ここまで説明するものの 伝わっているだろうか、と。 落ち込ませていないだろうかと、不安げに見る。
説明下手な己を、内心で恨んだ。*]
(29) 2022/08/16(Tue) 1:52:35 |
| [隆史が進路変更を考えたのは 何を思っての事なのか。 >>32それを聞かせて貰った事はあっただろうか。 少なくとも、あの廃病院での出来事が 隆史の中で何か好い方向へと変わったのかもしれない。 廃病院を脱したその後、一度別れる間際に お前に手渡した、 友のスマートフォン。 そこに映る青空が、きっかけの一つになれていると良い。 故に、隆史が自分で考えて決めた その気持ちを、阻んでしまう事は、避けたくもあった。] (34) 2022/08/16(Tue) 13:13:00 |
| [合格を祝う言葉を述べれば、隆史は露骨にも 嬉しそうな表情を浮かべていただろうか。 >>31「頑張ったな」と言葉にするのではなく そういう気持ちを込めて、彼の頭を優しく撫でる。 毎日見ていた訳ではないが、「東京藝術大学」からの 合格通知が、お前の努力の証だとも思うから。] ………すまない。 [衝撃を受けたような反応と、机上に落ちた合格通知。 落ち込ませてしまったことを、少し申し訳なく思う。 済まなそうに、謝罪はしてみるものの ではどうすれば良いのか、という考えは己には至らず 次の言葉を探していた……時だった。] (35) 2022/08/16(Tue) 13:15:00 |
| 一緒に、住む………?
[慌てふためきながら、縋るような目で そんな突拍子もないことを言うものだから 己は目を丸くし、続く提案の言葉を静かに聴く。]
………お前と、暮らしてみるのも 良いかもしれない、な。
[満更でもなさそうに、微笑んだ。
隆史と、ずっと一緒に居られる。 隆史と、離れずに済む。
それが叶ったなら、どれだけ心地良いのだろう。]
(36) 2022/08/16(Tue) 13:15:48 |
| [だがその夢を描き零れた微笑は、 すぐに消えていった。
決して、肯定される事のない罪。 穢れた者は、闇の世界にしか生きられない。 光ある未来を進もうとしている お前の足を、阻害してしまうことを恐れて。]
………だが。 平穏には、暮らせないかもしれない。
[話すなら今、なのだろうか。 こんな目出度い時に、話すこともないのでは。 そう己の中で、葛藤が生じるものの
黙っていれば、変な誤解を生んで 余計に落ち込ませてしまうかもしれない。 それは避けたかった。だから、] (37) 2022/08/16(Tue) 13:30:25 |
| お前と、一緒に暮らしてみたい その気持ちに、嘘はない。
[己の気持ちを言葉にする お前にちゃんと伝わっていることを願いながら]
けれど……… 俺は、綺麗な人間なんかじゃない。 胸を張って生きられるような、立場にもない。
お前の光ある、新しい生活に 影を落としてしまう。
そういう可能性が……ある。
[その事情を、理由を明かすかどうか。 苦悩する表情で、お前を見据えた。]*
(38) 2022/08/16(Tue) 13:37:02 |
| [近くに居たい。一緒に住みたい。
己になんの後ろめたさもなかったならば、 強く頷けただろうし、躊躇う事だってなかった。
それは、遠慮とは違う。 前へ進もうとしているお前を阻みたくなかった。 己が要因で、蔭りが生じてしまう事に抵抗があった。
自責の念に駆られながら、苦しんで、涙して。 弱くて、優しい。その姿と心を知っているから…。
これからは、光の下で生きて欲しい。 だがその願いはきっと、己のエゴなのかもしれない。] (53) 2022/08/16(Tue) 21:18:57 |
| ………隆史。 [きっぱりと言い放った >>41お前の言葉が、苦悩していた己の心を 吹きすさんで行くような心地。 自ずと、笑みが零れる。 続く言葉が、想いが。 もう、あんなに躊躇っていた己が 馬鹿らしく感じる程に、眩しいと思った。] ありがとう。 お前は………強くなったな。 [少しずつ、隆史の中で何かが変わっていっている。 泣いてばかりいた、あの時のお前とはもう違う。 そのひたむきで真っ直ぐな気持ちが。 伸ばされた、掌が。 不安も恐れも、何もかもが払拭されていくようで 伸ばされた手に、そっと。己の掌を重ねる。 その想いが同じである事を、示すように。] (54) 2022/08/16(Tue) 21:19:41 |
| ………一緒に、暮らそう。
[お前の我儘は、己にとっての切望。
もう、躊躇わない。]
聞いて欲しい。 俺の………全てを。
[過去と告白。 その全てを、お前にだけは話しておきたいから。
己の傍に居れば、平和には暮らせないだろう。 知ってしまえば、後戻りは出来ないだろう。
それでも、俺は
──── もう、決めたから。]
(55) 2022/08/16(Tue) 21:29:02 |
| [過ちを後悔し、嘆いて終わりではなく もう「二度と」繰り返さないように。 失わないようにと、手を差し伸べられている。] それが、"強さ"なんだと 俺は………そう、思う。 [ 例えその腹の内に、思惑や欲望が孕んでいるのだとしても
己は悦んで、お前を抱き留めよう。 この温かな掌も、そしてその笑顔も >>-152ずっと己の為だけに在れとさえ、希う。] (65) 2022/08/17(Wed) 0:07:47 |
| それは………痛そうだな。 まぁ、どうでも良いか。 [その言葉の頼もしさが愉快でもあり、嬉しくもあり。 くすりと零れた微笑みを、お前だけに向ける。 全てを明かした後でさえ、 お前は己を拒むことも、自首を促す事もなく。 何が何でも、己との"明日"を描こうとする。 >>57その真っ直ぐな心と決意が、掌に込められていた。 それは、己を余計に掴んで離さず、 己もまた……… 「死ぬまで」離さない。と誓うように 繋ぐ掌へ、"想い"を籠めた。]* (66) 2022/08/17(Wed) 0:12:21 |
| ─後日、手料理─ [少し前までは、想像も出来なかった。 今こうして生きている事も。 …… お前との、生活も。 少し前までは、在り得なかった。 ……子供の頃には無かった 決して、夢見る事の無かった、温かな暮らし。 それは充分過ぎる程、満ち足りた日々。 目が覚める時も、眠る時も。 己の傍には、必ずお前が居てくれる。 その"幸福"が、これからも在って欲しいと願う。] (95) 2022/08/17(Wed) 22:29:31 |
| [一緒に暮らして暫くした、ある日の事だった。 "好物"について、問われたのだった。 >>94] 好きな……料理………? お前の作ったものなら、なんでも。 好きだと思っている、けれど……… [きっと、そう言う事ではないのだろう。 だから考えてはみたものの……。 隆史の手料理以外、何も思いつかなくて。 困ったような表情でお前を見つめる。] (96) 2022/08/17(Wed) 22:30:32 |
| ごめん………。 考えてみたが、よく分からなかった。 [俺はお前以外の、手料理を知らない。 誰もが持っている「お袋の味」の想い出もない。 子供の頃は、カップ麺かコンビニ弁当。 あとは、酒を飲み時につまむ乾き物の余り。 そういうものしか、与えられなかったし 飢えを凌ごうと思えば 携帯食でもなんでも、幾らでも手段はあったし。 >>92そこに好みや関心を抱いた事は、 一度もなかった事に、問われて初めて気付いた。] (97) 2022/08/17(Wed) 22:31:51 |
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