イクリール
「ああ、確かにイクリールさんの言う通り。
手を施さなくてもいい病気だってある。
それが病気かどうかすらわからない子も。
ただ、大人から見たら異常というだけで、
ここにいる子もいますものね」
自分だってそうだ。
こんなところに押し込められるという点で、
スピカはこの病気が嫌いだったが、
今はもうそうではない。
彼の盾になれるから。
「オーケー。私が間違ってるわね、確かに。
いない子と向き合うのに、
偏見を持っていたらどうしようもないわ」
「……あなたに余裕があるのなら。
イクリールさんも手伝ってくれる?
私に何ができるかなんてわからないけど、
でも、こうやって私たちが日常を過ごすだけで。
人を受け入れられると示すだけで。
助かる子たちがいるはずなのよ」
そう、ルヘナに教えてもらったから。