人狼物語 三日月国


87 【身内】時数えの田舎村【R18G】

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視点:


【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥

>>@0 夜長 【祭りの終わり】

 上がる花火を他人事のように眺めていた。

 線香花火はすぐに落としてしまうから
 今も昔もあまり好きではなかったな、なんて思いながら。

 通り過ぎて行く人達は『村のみんな』ではなくて、
 もう自分には縁のないものだった。
 
呼子鳥であれば違ったのだろうけど。


「和臣さん」

 からんと下駄を鳴らして振り返る。
 楽しい夢はもう終わり。
 覚めてしまえば、夢に見た光景は何処にも無い。
 そんな憂鬱が、表情を憂いを帯びたものにさせてしまう。

「どうしたの」
(5) 2021/08/17(Tue) 1:28:05

【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥

 
 楽しい時間が枯れ落ちていく。

 この田舎を離れたって、呼子鳥が居なくたって
 自分は都会で生きていけないわけではない。むしろ逆だ。

 皆に会いたい、そんな細やかな願いすら叶わずに
 あの白い病室で、闘病の甲斐無く息を引き取った姉と違って。

 自分は皆で過ごしたこの村を離れても、呼子鳥が居なくとも
 一人でもただぼんやりと生きていけてしまうものだから。

 なら自分にとって呼子鳥の存在は、この村は
 もしかしたら、大して大切でもないものだったのではないかと
 なんだかそんなふうに思えてしまって、
 それが堪らなく嫌だった。

 そんな自分を隠す為に呼子鳥の真似をして、
 せめて呼子鳥の代わりであれるようにここに居た。

 そうして、姉の代わりに、姉の願いを叶えられたらよかった。
 
(6) 2021/08/17(Tue) 2:58:48

【人】 ごめんなさいを 百千鳥

 
 せめてあの時姉の願いを叶える事ができていれば。
 完治とまではいかずとも、寛解の可能性はあったのだろうか。

 そんな詮無い考えはあれから何度も脳裏を過ぎった。
 無意味とわかっていても、もしかしたらを考えてしまって。

 もしかしたら。
 そう、結局は、この夢も。
 もしかしたら、に縋りたかっただけなのかもしれない。

 もしかしたら、この夢をずっと続ける事ができて。
 もしかしたら、呼子鳥達も来てくれて。
 もしかしたら、みんなもそれを望んでいてくれるかもしれない。

 そして、全ては脆くも崩れ去った。

 本当は、少しだけ安心していた。
 皆は、本当はあまりこの田舎が好きではないのかもしれない。
 夢のような日々を過ごす中で、そんな思いが何処かにあって
 自分だけではないのだと思えたから。

 身勝手に振り回してしまった皆と、それから。
 同じ思いを持って、同じ我儘を通そうとしてくれた誰かへ。

 ごめんなさい。
 
(7) 2021/08/17(Tue) 3:01:08
百千鳥は、心の中で謝罪をして。
(a1) 2021/08/17(Tue) 3:01:36

百千鳥は、見ないふりはもう終わり。
(a2) 2021/08/17(Tue) 3:02:11

百千鳥は、夢を手放した。
(a3) 2021/08/17(Tue) 3:02:29

君ぞ来まさぬ 百千鳥は、メモを貼った。
(a4) 2021/08/17(Tue) 3:16:39

【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥

>>@1 >>@2 夜長

「会いたいよ、夢から覚めてもずっと」

 どこか憂鬱そうに笑う。
 それでもその言葉は本心からのものだった。

「…この夢は、ずっと楽しかったよ。
 だから続けていたかった。それこそ夢のような話でも。
 もう会いたくない人なんて一人だって居るわけない。でも」

「だからお別れが寂しいんだ。」

 楽しい時間はいつか終わってしまう。
 夢は覚めれば色褪せてしまう。
 そんな当たり前の事が嫌で仕方ない。

 嫌で仕方ないのに、過ぎた事になれば熱は冷めてしまう。
 愚かなくせしてまた明日、を愚直に信じる事もできやしない。
 そんな自分が何よりも嫌で仕方なかった。
(8) 2021/08/17(Tue) 18:55:32

【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥

>>@3 >>@4 夜長 【祭りの終わり】

「そうだね」

 夢を見せるなら、最後まで騙していてくれたらよかったのに。
 この夢も、この祭りも
 なまじ楽しいと思ってしまえるから、
 尚の事終わりが来る事の寂しさが募る。
 この夢の終わりを感じ始めてから、何度も思った事。

「うん、夢を見せ続けてくれないなら、初めから。
 皆には、きっとこの夢が終わっても会いに行けるよ。
 でも、僕が本当にこの場所で会いたかった人には
 夢から覚めたら、何処に行っても、もう会えないから。」

 思い出の中にしか居ない人には、思い出の中でしか会えない。
 見ないふりをしていた事実を改めて、喪失感が蘇って行く。
 どうにもならない想いを抱えて、それでもと言葉を継いだ。

「でも、この夢で
 皆と過ごした時間が楽しかったのは本当のこと。

 『みんな』と『この村で』会う事はもう叶わなくても
 僕が思っていたよりもずっと、
 皆は過去に縋り付く事無く"今"を生きていける人達でも
 僕はそれならそれで、どうとでも納得する事はできてしまうし
 呼子姉が皆を好きだった事も、無かった事にはならないから」
(21) 2021/08/19(Thu) 22:10:03

【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥

>>@3 >>@4 夜長 【祭りの終わり】

「呼子姉もきっと
 僕が皆と、また昔みたいに遊んでいられた事
 よかったねって言ってくれるとは思うんだ」

「でも、だからやっぱり寂しくて。
 呼子姉と一緒に来て、一緒によかったねって笑いたかった。
 それはもう叶わない事だから、
 いつまでも考えたって仕方ないのにね」

 淋しげに笑って、晴臣へと片手の小指を差し出した。

 目の前に居る人が、和臣でなく晴臣だという事は
 夢の残滓がそうさせるのか、大して違和感も無く腑に落ちて。

「ね、晴臣くん。
 僕はきっと、それでもずっと同じ事を考え続けてしまうから
 また会いに来て、君達の居る"今"を大事にできるように。
 いつか遊びに連れ出しに来て、考える暇も無くなるように。
 …またいつか、約束してくれる?」
(22) 2021/08/19(Thu) 22:12:44

【人】 夢のその先 百千鳥

>>@5 >>@6 夜長 【祭りの終わり】

 置いてけぼりになった小指に、一瞬だけ
 ああ、やっぱり皆は自分が思うほどには、なんて
 後ろ向きな考えが首を擡げて
 けれどそれはすぐに散り失せる事になった。

「……そうだね。

 砂が落ちて積もる場所は、一つだけ。
 そこには当然良くない思い出もあって、
 他のものと混ざり合っているから、よけておくのは難しい」

「だから、掬い取ってよそへやってしまうのも良くない。
 全部が混ざり合って、それでやっと今の僕があるから。
 たとえたった一掬いだけでも、それを失くしてしまったら
 きっとそれは、今の僕とは違う人になってしまうのかも」

 さんざん人に取り落とすな、なんて言っておいて
 その実、自身を省みる事もできていなかった。

 はは、と息を吐くようにも笑いを零す。
 夢を見るのに疲れてしまった今のそれは弱々しいものだけど
 決して、後ろ向きなものだけではない。

「…うん。
 それがいつになるかは僕にもわからない、それでもよければ
 いつか会いに来て、晴臣くん。
 それで会えたらその時は、もう一度"またいつか"を約束しよう」
(37) 2021/08/21(Sat) 4:55:09
百千鳥は、「ゆびきった。」
(a13) 2021/08/21(Sat) 4:55:59