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【人】 箱庭の雛 フェレス[ 掠れたように声にならなかった言葉、 少女は声になりそうだったことを知らない。 その言葉の意味を知らない。 忘れ去られた宝物。 たった一つの存在証明。 再び少女の言葉として世界に記憶されることはなかった。 けれど、その言葉は少女の心の中で確かに生きていた。 ] (154) 2021/12/16(Thu) 0:51:45 |
【人】 箱庭の雛 フェレスメミニ、愛しているわ [ 幸せをいつも思い出せますように、 そう願われた少女の名前が。 メミニ。 少女の唇は確かに動いた。* ] (155) 2021/12/16(Thu) 0:52:06 |
【人】 箱庭の雛 フェレスいつの日か聞いた噂話。 あの頃はそんな物嘘っぱちだと思ってた。 夢を正当化する都合のいい言い訳。 その程度のくだらない妄想であると。 けれどそれはきっと、 本当のことだった。 噂が真実だったと知った。 (244) 2021/12/17(Fri) 0:09:16 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ 猫 はその輝きに惹かれた。謝罪の言葉なんて気づかないほどに。 ] えっ……にゃっにおっ!? [ その行為を理解をすれば、 顔を真っ赤にして、慌てて。 やわらかかった 変な感想と共に、少女の体は熱く、 けれど、今までの気だるさなんて存在しない。 ] (245) 2021/12/17(Fri) 0:10:18 |
【人】 箱庭の雛 フェレスあっ、えっと……はい? [ 少女にとっては一瞬の出来事で、 魔術師の言葉に驚愕と、安堵の感情。 長く苦しまれた、呪いがあっさりと解決されたこと。 そのことに実感がわいていなかった。 それこそ、人魚の彼に見送られた後に、 やっとこそその事実を理解したくらいには。 ] (246) 2021/12/17(Fri) 0:10:33 |
【人】 箱庭の雛 フェレス―― 後日談/そして、 ―― [ 言葉は繰り返し、音と成る。 言葉は綴れば、世界と成る。 ] [ 風の音色の響く部屋。 主の到着を今でもかと待ち続ける。 ] もうっ!叔父様は心配性すぎるよ! [ 声が扉の前までやってきて、 怒ったのを表すように扉が大きい音を立てた。 ] (304) 2021/12/17(Fri) 23:12:18 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ 未だ少女という身を脱せない少女。 月日が経ってもそれは変わらず。 ] はぁ、ほんと叔父様は…… [ 怒った表情の裏。 顔に映った笑みは、隠されることもなく。 ] わたしももう子供じゃ…… あ゛ [ 視線の先、開かれた窓と風の音。 開かれたページと、擦れる紙の音。 ] (305) 2021/12/17(Fri) 23:12:31 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ 慌てて、見つからないように、 文字の書かれた本が閉じられる。 ] うぅ、窓閉め忘れるなんて…… [ 屋敷の者が入らなくてよかった。 そう胸をなでおろす少女。 ] よしっ、書こう [ 机の上。 本と、ペンと、インクの匂い。 そこで世界が生まれる。 ] (306) 2021/12/17(Fri) 23:12:45 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ やがて時間は経ち、 綴られた言葉も乾いた。 ] ふぅ…… [ 一息つこうと少女が閉めた窓を開ける。 そして突然の風。 ] んっ…… って、まっ [ 学びもせずに窓を開ける物だから。 風と共に、一枚の手紙が空を翔ける。 ] ……取りに行かないと! (308) 2021/12/17(Fri) 23:13:39 |
【人】 箱庭の雛 フェレス[ 慌てたように飛び出した少女。 窓は未だに開けたまま。 ひらり、 また、ひらり、 少しずつ繰り返して、 一番最初のページ。 ] (309) 2021/12/17(Fri) 23:14:21 |
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