人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



どういうも何も詳しい話はしてやらない。
何も出来なかったことを悔いる気持ちは知っているが、
その奥底、確かな思いまでは分かってやれない。
だけどそれは、そう思うのは君だけじゃないってこと。

最後に見た姿が確かさなのか。
それを言うなら、俺がA.C.Aでなければ君は
"いつも通り"の俺に大丈夫だと言うんだろうな。

まぁこれは、持たざる者としての妬みだろう、きっと。
痛みに顔を顰める間、そんなことを考えていた。

「……人間っていうのは案外、そういうものなんだろう」

ふと、彼女と語った出来すぎた未来を思い出す。
形は違えど、これもまたその未来なんだろうな。

「それに、それなら俺に道を作らない手を伸ばさない方が良かったな。
 そういう甘さが、未来に繋がっているんだよ。ニコ」

『兄』として、『巡査部長』として、
『いいおまわりさん』として、
そのどれかでいろと頼んだ覚えは一度だってないんだ。
後悔したくないのなら迷わずそれを選べ。
選ぶのは"君"で、"君"がどう在りたいかが答えだった。

…あぁ、勿論。"全部受け入れる"とは言わないけどね。
(-306) 2023/09/30(Sat) 13:40:20

【秘】 夜明の先へ ニーノ → リヴィオ

以前だったらかっこいいを届けた後はそうだろうと言わんばかりに頷いていた貴方が、少しそわつく様を見ればなんだか微笑んでしまった。
咳払いも誤魔化しだと伝わってしまって、さらに笑みは深まっていたことだろうか。

ベンチ上では大人しく問いの返答に耳を傾けている。
最後までを聞き届けてから、目を細めて見上げる顔はやっぱり微笑んだまま。

「そっか、ならオレとお揃いだ」
「オレもさ、警官やめないといけなくなったんだけど……じゃあ戻りたいかって言われたらそうじゃなかった。
 何がしたいも、何がしていきたいもわからない、でも……」
「──
自分の道を、歩いてみたい


耳にしたばかりの言葉たちは、簡単に自分のものとしても形作ることができる。変な感じだ、だけどそれがうれしい。一人ではないようで。

「……ねえ、オレたちって本当に似ているのかも。引き取られた先に振り回された同士ってやつ、せんぱいもきっとそうでしょう?」
「がんばってきたんだよね、その中でオレにかっこいい姿もたくさん見せてくれてた。
 ……だから今もさあ、やっぱりせんぱいってすごいなって思うんだ。せんぱいがそうしてくれていたから、立つための勇気を貰えたオレがここにいる」

「ずっと感謝してる。
 ……改めて、ありがとうを伝えたかったんだ」

"大丈夫"を幾度繰り返したことだろう。手渡してもらえたおまじないは絶えず胸の内にある、きっとこの先も。
(-308) 2023/09/30(Sat) 14:57:21

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオ

あなたは騒動の後、署に出向く機会がいくらかあっただろうか。
それともあなたの友から話を聞く機会があっただろうか。

いずれにせよ、あなたが教育係を務めたひとつ下の後輩が、銃に倒れ入院しているとの知らせだ。
怪我の詳細は肩関節損傷、鎖骨下動脈損傷。
噴水のように吹き上がった赤い鮮血は、その場に居合わせた警官が圧迫止血を施し命をとりとめたらしい。
あの日仰いだ協力の約束。
その仕事の最中、署長代理逮捕の大金星との引き換えにしては大きすぎる代償だ。

あなたがその病室を訪れるのはいつ頃だろう。
1週間以内の事ならば、ベッドの上の男はあなたににこやかな笑みを浮かべて迎えるはずだが―――――
(-312) 2023/09/30(Sat) 16:19:35

【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



お揃い、果たして喜んでいいものか。
男は薄く微笑んだまま、君の話を聞き、頷いている。
やがて、緩慢に口を開いて。

「…君が、そうして笑って道を考えられるようになって
 多分俺は、凄く嬉しいんだと思う」

あの日もここで語り合いはしたけど、
あの日の君は迷路の中で、とても苦しそうで。
まるで、自分を見ているようだと思った。

「君なら大丈夫、そう思ったことも嘘じゃない」

「………本当に、俺達は似ているのかもしれないね。
 俺は尊敬や感謝を貰うような人間じゃない、けど。
 あの日の君の"希望"になっていたのなら、良かった」

振り回されたとは言わないし、あの日のように、
君の頭を撫でる手はない。代わりに少しだけ身を寄せて、
君の肩にトンッと少し触れようとする。

「きっと君はこれから大変だろうし、
 自分の道で歩む分、色々と考えることも増えるだろう。
 だから、大丈夫じゃないって少しでも心が揺れたら、
 いつでも──俺に甘えておいで」

どこまで頑張れるかは分からない。
だけどもう少し、頑張れる間は君を見守っているつもりだ。
(-329) 2023/09/30(Sat) 19:01:24

【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ



署に出向く機会も、友人に聞く機会もあっただろう。
そのどちらかは明かすことはないが、
ともかく、君の病室に出向くのは確かで。
それはきっと一週間以内のこと。

ガガッ。…ガッ、………ガラガラ。


扉を開ける音が外から響く。
何やら、少し手こずっているような様子だが。
暫くすればドアは開いて、君の知る男の姿がそこにある。

とは言っても無事とは言えず、左手は三角巾で吊り、
右手は包帯で巻いて、左耳にはガーゼが貼ってある。
しかしそれを感じさせることもなく、

「やぁ、エル。…随分と、無茶をしたようだね?」

何となくいつも通り、
しかし少し異なった印象を覚えるような冷静さで問う。

「……約束、守れなくてすまなかったね」

そうして、二言目は謝罪だ。
もしもあの日君の約束を果たせていれば
君は、そんな怪我を負うことなどなかったのかもしれない。

考えたところで、仕方のないことだけど。
(-331) 2023/09/30(Sat) 19:20:00

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオ

>>-331

「……!?」

慣れぬ左手でスマホの操作をしていたときだろうか。
急に不器用に扉を開く音が部屋に響いて、びくりと肩を震わせた。

「誰かと思ったら……。
 先輩こそ、僕とそう変わらない大怪我に見えますよ」

一週間がもうすぐすぎるとはいえ、未だ何本もの点滴を受けながらベッドで過ごす身の上としては、話し相手になってくれる人が来るのは喜ばしい。
リハビリは早い方がいいというから、明日にはおそらく始まるのだろうが。
なにせ暇なのだ。
寝るだけの日々というのは。

「良いんですよ。
 先輩は先輩の仕事をしていたんでしょう?」
「それで十分です。けど、その傷は……何があったんですか」

確かにあなたが居ればこの怪我は負わなかったかもしれない。
それでもこの傷はあなたのせいではない。
自分への不幸ならば、このように考えることが出来るのに他人の不幸はそう考えることができない。
男の思考は何処か歪だ。
(-337) 2023/09/30(Sat) 19:33:49

【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ



同じように入院している誰かさんのように
何を言っているんだ?
と首を傾げたり、
緩やかに閉まっていく扉に足を挟む、ことはない。
素直に病室内に入り、ベッド際へと近づいていく。

「はは、俺はデートをしていただけだよ」

嘘、とも言えない。
その詳細までは言えないが、確かに彼女とデートをした。
女性を誘うには些か、
いや、かなり色気のない場ではあったが。

そうして、怪我のことを問われれば、
落ち着きを見せた表情からパッと切り替え笑って。

「デートに心が弾み過ぎてね、ついうっかり
 階段から足を踏み外してそのまま転がってしまってね……」

いやぁ、君も気を付けた方がいい。
男は笑顔のままそう付け足して、傍にある椅子に腰掛けた。

これは嘘。しかし必要な嘘だった、と考えている。
誰を守るためか、誰を隠すためか。
そんなことは、どうだっていい話だ。
(-339) 2023/09/30(Sat) 19:51:42

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオ

>>-339

「デート、ですか。
 まぁ良いですけどね、相手は美人でした?」

あなたが【A.C.A】の人間だったことは聞いている。
それでも男はあなたへの態度を変える気はなく、今もたったひとりの先輩だと思っていた。
そのあなたがデートだと言ってはぐらかすならば、それは詳しく聞かないほうが良いということなんだろう。

それでも怪我の方については、明らかに嘘だとわかってしまった。
そんな、笑顔で心配させまいとする下手くそな嘘だ。
デート相手よりも気になる事だったけれど、そう言われるとやっぱり、あまり追求はできない。

「それはあまりにも不用心が過ぎるでしょう……。
 言いたくないってことなら、深く聞かないことにしますけど……もう少し後輩にも心配させてくださいよ」

男は何も知らない。
あなたと同じように、自分が教育係を務めた後輩がその怪我を負わせたこと。
行方不明となって、その捜査も手打ちになってしまっていること。
その他も、全部だ。
(-341) 2023/09/30(Sat) 20:04:04

【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ



「…あぁ、とても美人で俺には勿体ないくらいだった」

本当。それが誰だとは言わないし言えやしない。
でも君はきっと聞かないでいてくれる。
そう信じているから、男は緩やかに微笑んだ。

それで怪我の嘘、その笑顔は
"いつも通り"に振舞っていたつもりだが、
君が察してしまうのなら何も言えるはずがない。
だとして、その詳細を明かすことは一生、ないだろう。
聞かれたら答える男ではあっても、
それだけは語ってはならない真実ものだった。

「はは、これが真実だよ。俺を疑うのかい?
 こんなにも正直者で無敵の俺だと言うのに」

今まで散々リヴィオ・アリオストに騙されてきたんだ。
君は、何も知ることなく未来を歩いていくべきだ。
例え歪んだ道だとて、その道が途絶えない限り、ずっと。

ただ、出来ることなら本当は、
その歪みがいつか、真っ直ぐになればいいと。
君のことが大切な先輩は未来に期待している。

例えその未来を、この海のような翠に映すことがなくとも。
(-345) 2023/09/30(Sat) 20:34:04

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオ

>>-345

「デートついでに病院まで連れて行ってもらったらいいんですよ、先輩は」

まさか本当にそうなってたとは、流石に思ってないが。
それでも手当をされている様子を見れば、病院に一度は行ったのだろうからとりあえずは及第点だろう。

「そういう事にしておいてあげますよ。
 僕の周りは皆すぐ無茶をする人ばかりだ……あ、そういえば先輩、イレネオ知りませんか。
 連絡が取れないんですけど……アイツ、釈放ちゃんとされてますか?」

勿論正直に答えなくて良い。
答えるべきではない質問だ。
ただそれでも、それを知らぬ愚かな男は、可愛い後輩を純粋に心配をしていただけ。

「……先輩?」

どこか遠くを見ているようなあなたに気づいて、ベッドに寝かされたまま不思議そうに、その顔を見上げた。
(-348) 2023/09/30(Sat) 20:56:00

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

「そういうもんなんだろうな。」

良くも悪くも。
今回にあっては幸いとも言えよう。

「そうだなぁ。
俺の甘さが全部今になってる。
でも、後悔はしてねえよ。」

貴方の言葉に、頷いて笑う。
全くだ。甘く計画性もなく。だからふらつく。
けれど後悔はしていないのだ。

貴方が小突いてくれたから
目が覚めたような気がした。

「お前の手を引っ張らない方が良かったなんて
そんなこと絶対言ってやらねえ。
リヴィは、俺にとって必要な、大事な奴だから。」

離さないと誓った。

「だからこれからも、一緒に居ても良いかな。
友達になるのか、俺もまだ良く分かんねえけどさ。」
(-349) 2023/09/30(Sat) 21:19:01

【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ



「はは、病院デートなんてつまらないだろう?
 今度は埋め合わせとしてカフェに行く予定さ」

嘘、本当。ぐるぐると混ぜて、分からないようにする。
それが今までのリヴィオ・アリオストという男で、
無敵という仮面は剥いでしまったとしても
リヴィオもまた、都合の悪いことは覆い隠していく。
それが上手く出来るからこそ、
"リヴィオ・アリオスト"は20年近く生きていた訳だ。

「…イレネオ?いや、俺は知らないな。
 ばたばたしたまま警察を辞めてしまったからね」

本当。行方すらも知らない、生死だってそうだ。
でもそのひとつを考えない訳ではない。
答えは結局分からないから、箱の中に仕舞われたままだ。

元気だといいねと呑気にも語るのは、願いか、あるいは。

「あぁ、あと君は"僕の周りは"と称するが
 今の現状を見ると君が一番無茶をした人間だからね。
 それを忘れず、見舞いに来る人の有難みを噛み締めてくれ」

「君がこうなる事で悲しむ人はちゃんと、いるんだからね」

これに懲りたら無理はするな。
今回は仕方がないとはいえ、命がいくつあっても足りない。
不思議そうにこちらを見る視線に笑いかけて、
ゆっくりと、腰掛けた椅子から立ち上がった。
(-350) 2023/09/30(Sat) 21:25:37

【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



後悔はしていない。それは男もまた、君と同じ。
そうして甘さも同じだ。
目的は違えど確かに同じ道を歩いていたらしい。

「……はぁ、君ってやつは本当に」

「ひとつだけ、ひとつだけ明確にしておこう。
 これは、俺の譲れないものだから」

そう、君が誓おうともこれは男の譲れないもの。
俺を大切にしようと思うのなら、果たせと願うもの。
絶対に、言っておかなければならないことだ。

「……俺は、
があれば君を連れて行きはしない。
 そして、君はそんな俺を追いかけてはならない」

友達になるのか、何になるのかは分からない。
だとして、これは男の提示する一緒にいるための条件だ。
頷かなければ、こちらも君に頷くことはない。

人を掴むなら、君自身が幸せになれ。
それが願いだ、それが望みだ。
俺に"希望"をくれた君に──叶えて欲しいことだ。

「約束、してくれるかな?」
(-351) 2023/09/30(Sat) 21:35:55
リヴィオは、本当はとても、狡い男だ。
(a36) 2023/09/30(Sat) 21:36:16

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → リヴィオ

>>-350

「え……本当に連れて行ってもらったんですか」

埋め合わせと言うくらいだから本当にそうだということだ。
冗談のつもりだったのに。
誰だか知らないが、相手の女性に少しだけ同情してしまった。他意はない。

「そうですか……。
 携帯にかけてるんですけど、繋がらなくて。
 ……まぁ、いいです彼も忙しいんだろうし……って、ええ?
警察やめた?


どうして、という言葉はあなたの笑顔に封殺されてしまっただろうか。
なんとなくだけど、答えてくれる気がしない。
答えてくれたとしても、それもまた、はぐらかされたような答えに違いない。

「僕のは運が悪かっただけで……。
 まぁ、死にかけたのは確かですけど…………」

あなたより傷は少ないけれど、この一つの傷が致命傷になりかけた。
それは本当だ。
けれども、僕は。
僕はあなたの後輩だから。

「でも」
「それブーメランですからね」

僕だって、心配するんですよ。
ねぇ? 先輩。
(-355) 2023/09/30(Sat) 21:59:49

【秘】 夜明の先へ ニーノ → リヴィオ

「あはは。
 尊敬とか感謝は、勝手に手渡されちゃうんだよ。
 貰うべきじゃないって思っても……貰って?
 だってせんぱいがしてきたことの結果なんだ」

例えそれが貴方が本当に見せたい姿じゃなかったとして。
その中で救われた人間がいたことをどうか覚えていてほしかった。
肩に触れられるのを拒んだりしない、あの夜と同じ。
誰かに触れられるのはずっと怖かったけれど、今は目を瞑ることも震えることもない。
時計の針がようやく動いた気がした、だからこちらからも体重を少し返す。

「……うん、ありがとう。
 せんぱいの大丈夫のおまじないは、効くからなあ」

「でも大丈夫じゃなくなっても、すぐには来れないかも。
 オレ、この街を出ようと思っててさ。
 事情は〜……ややこしいんだけど、居ない方がよくって。
 顔を知ってる人に色々見られるのが困るっていうか……」

見回りだけは元気に行っていたものだから、警官としてのニーノを知る住人は多い。顔見知りも。
彼等にはニーノは死んだことにしないといけない、提出された死亡診断書が真実となるように。
だから。

「……だからね。
 今までみたいに毎日って会えなくても。
 忘れないでいてほしいし、……見守ってくれてたら嬉しいって、なんというか」
「こ、心で……?」


言葉通りの見守りというよりかは、心持ちというか、こう……言葉が少しふんわりした。
(-357) 2023/09/30(Sat) 22:20:19

【秘】 リヴィオ → 花浅葱 エルヴィーノ



連れて行ってもらったのか。
さて、笑顔に隠されたものはどちらだろう。
混ぜて隠して、本当の答えは箱の中。

椅子から立ち上がった後、ぐっと背を伸ばす。
傷んだ骨に若干響いたが、これくらいじゃ笑顔は崩れない。

辞めた理由を問われれば「A.C.Aだったから」の一言。
他の理由はもしかすると、まだ、あるのかもしれないが、
複数回答を求められた訳じゃあないから、内緒のままだ。

「おや、君は一体いつから先輩に言い返すようになったのかな。
 俺は無茶ではなくてデートの結果さ、同じじゃない」

「棚上げは良くないよ、エルヴィーノ後輩君

包帯の巻かれた右手を伸ばす。
その手は、君の背……ではなく、軽く肩を叩いて、
それから身を反転。都合の悪いことブーメランは知らないフリ。

「君とも今度、約束の埋め合わせをしよう」

君の心配を背に受けながら
ひらひらと手を振り、緩慢な足取りで扉の前に。
「あ、しまった」などと呟いているのは、多分気の所為。

両手が不自由ってのは本当に──不便なことだ。
(-359) 2023/09/30(Sat) 22:24:46

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

「……。分かった。
約束するよ。次があったら、お前の言葉に従う。」

言葉を飲み込んで、少しの間があって。
男はこくり、と頷いた。
貴方が譲れない事ならば、それは受け入れねばなるまい。

「ちゃんと、俺自身のことも考える。
アリーチェたちの事も、勿論。」

「でも、行く時は言ってくれよな。
じゃないと、多分、追いかけちまうから。」

急に居なくなられたらきっと。
主に置いて行かれた犬のように、探してしまいそうだから。
もしもそうなったら、と言うだろう。

尤も。
次なんて、来させないつもりで居るのだけれど。
(-361) 2023/09/30(Sat) 22:31:09

【秘】 リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



勝手に手渡されるものを突き返すのは難しい。
結局、こういうところが"悪役"になれないひとつなんだろう。
でもそれに後悔はない。後悔は、しない。

だから、君からの言葉贈り物。ちゃんと受け取るよ。

触れる肩。拒まれなかったことに安堵の息を吐き
海の色は視線だけが空に向いて、
少し、何かを考えるようにその双眸を閉じた。

「俺も、」

「………俺も、この街を出ようと考えているんだ。
 友人に頼めば、いい物件を探してくれそうなんでね」

A.C.Aに所属していた、それだけが理由じゃあない。
今の家は与えられたもの決められた場所で、職も与えられたもの決められた道で。
名前も、何もかもが"リヴィオ・アリオスト"のためのもので。

それは、愛されていたからじゃない。
引き取った以上、そうするしかなかったのだろう。
だから俺が俺として、彼らが彼らとして生きていくために、
今このタイミングで選ぶことが必要だった。

「………まぁ、だから」
「忘れることはないし、見守っている……が、」

(-370) 2023/10/01(Sun) 0:37:59

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



瞳を開き、深く、息を吸ってから。
吐いて、少し躊躇って、………それでも。

「──
暫く
、俺と一緒に暮らすかい?」

声にする。言葉にする。

自分を受け止めて受け入れてくれた人達のためにも。
抱いた本音や想いを語って、生きていこうと考えている。

これは、その一歩──のうちのひとつ。

「勿論、既に決まっているなら断ってくれて構わない。
 行き場がまだないならって話でね」

「……どうやら俺は、君のことが心配みたいだからさ」

ひとりで歩くのって、きっと大変だから。
その一時の支えを担い見届けて、満足に死ねたらいいなと。
狡い考えを笑顔に隠し、君の隣を
少しの間
歩こうとする。

「情けない俺も見せてしまうだろうけど、
 それは、……出来れば、許してくれると嬉しいな」
(-371) 2023/10/01(Sun) 0:39:15
リヴィオは、君と同じものを見ている。
(a37) 2023/10/01(Sun) 0:40:35

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



「あぁ、…約束、してくれ」

君には、ちゃんと"幸せになって欲しい"。
そしてこれは、身勝手な願いなんだろうと思う。
しかし、だとして。願わずにはいられない。
これは、仕方のないことだった。

だから、それでいい、そういうように頷いて。

「……君、言っても言わなくても同じじゃないか?
 約束してくれと言ったところだろう?」

「精々その時の俺に祈っててくれ。
 その約束はあまり、したくない」

君と俺は"対等"で、主と犬じゃあない。
気まぐれに消えた友人か知人か。
それを想って探すなど、やめておいた方がいい。

一方的に、身勝手に。
狡い言葉を並べ続けて、君を縛り付けるやつなんだ。
だけどそれが俺で、この約束を後悔することは一生、ない。

それでもきっとその時、俺は君のことを
考えずにはいられないのだろうなと──そう思うのだ。


「………さて、そろそろ俺は行くよ。
 伝えたいことは伝えられた」
(-373) 2023/10/01(Sun) 4:12:10

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → きみのとなり リヴィオ

「…同じじゃねえよ。」

唇を少し尖らせて。
ほんのちょっぴり、拗ねた顔。

「分かってて見送るのと
知らないうちに居なくなってるんじゃ、全然違う。
好きな奴が急に居なくなったら、心配する。それだけだ。」

そもそも、貴方が気づいたら居なくなるなんて
考えたくも無いのが本音だ。

それくらいには貴方の事を好いている。
守りたくて、笑っていて欲しくて、自分は此処に居ていいと
そう思って欲しいと願っている。


だからこれは、我が侭。
(-379) 2023/10/01(Sun) 10:59:18

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → きみのとなり リヴィオ

「怪我が治ったら、酒でも飲もうぜ。
ルチアーノを誘っても良い。」

貴方が去るのならば
男は見送る。次の約束新しい未来を取り付けながら。

「その時には、色々片付けておくからさ。」

警察は辞めないだろう。
まだやり残したことが多くあるし、何より――
そうしろと、背を押されたような気がしたから。
(-380) 2023/10/01(Sun) 11:07:39

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ

どうやら貴方も同じように街を出るつもりらしい。
そんなところまでお揃いなんだなあって不思議な心地に微笑んでいたのだが。
躊躇いがちに何か言葉を続けようとしているの気付けば、なあにとでも言うみたいにその瞳を覗き込む。

なんでも言ってくれて構わない。
なんだって受け止めるつもりだ。
どんな言葉だって、隠さずにおしえて。

そう願い、続きを待っていた……ら。

「────……、……」

刹那、双眸がまあるく見開かれる。
何も言えず、貴方を見つめたまま、固まってしまって。

……思い出し、過る。
家を出たあの瞬間、どこまでも続く星空に。
途方のない孤独を感じたことを、寂しさを。
それでもおまじないを繰り返し、歩こうとしたことを。


提案が嫌だったわけじゃない。
むしろとてもうれしくて、堪らなくて、だからこそ。

──『大丈夫』がほどけてゆく。

あの夜みたいに一粒、また涙が落ちていった。

[1/2]
(-381) 2023/10/01(Sun) 11:25:18

【秘】 夜明の先へ ニーノ → きみのとなり リヴィオ


「…………く、らす」


夜空を覆う厚い雲はもうないのに、
ぽたぽたと零れ行くそれは通り雨のよう。

「……せんぱいと、暮らし、たい」


感情が形となり溢れてからようやくに気付く。
本当はずっと、ずっと、苦しくて哀しかったんだ。

「オレ、……オレ、ほんとは、」


おまじないが解けた先にあるのはちっぽけな自分。
誰かの人生をなぞるために置き去りにされた、小さなこども。
そのありのままを隠さずに貴方に見せながら。


「………………ひとり、さみしくて、やだ……」



縋る先をようやくに見つけた指先は、
貴方の服の裾を強く握っていた。

[2/2]
(-382) 2023/10/01(Sun) 11:27:01

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



"同じじゃない"。
男はそう口にする君の顔を見て、翠を瞬かせる。

「……そうか、違うのか」

腕が自由なら、その手は口元を覆い
考えるような仕草をとっていたはずだ。

「………あまり、期待はしないで欲しい、が。
 ……メール一通くらいは送る、かもしれない」

約束は出来ない。約束にはしたくない。
その日がいつ来るかなんて、男にも分からないから。
くるりと身を反転させ、君に背を向ける。
そのまま扉まで歩いて、
来た時とは違い器用に扉を開いてから。

「………代わりに、その約束は叶えてもいい。
 そのために精々ルチアーノ友人を口説いてみてくれ」

「それじゃあ、ニコ──
また
ね」

ひらひらと、君に向け振る手はない。
それでも確かに未来の約束を結んで、君にまたを告げよう。

好きも嫌いも、愛も恋も分からない。
だけど君の気持ちは嬉しいと感じられたから、暫くは君と、
その関係を楽しんでいくのも悪くはないだろう。
(-387) 2023/10/01(Sun) 12:33:54

【秘】 きみのとなり リヴィオ → 夜明の先へ ニーノ



見開かれた双眸から落ちていく一粒を、
空に浮かぶ星々よりも綺麗だと感じたのは
君が君だからこそなんだろう。

「…あぁ──…一緒に居よう」

そうっと、大事な宝物に手を伸ばすみたいに
右手を伸ばして、君を軽く引き寄せようとする。

もしも君が拒まずにいるならきっと
間の子猫はにゃあと鳴いて、まぁるい瞳をこちらに向ける。
だから男は、少しだけ許して欲しいなと子猫に微笑んで、
夜空の下、二人と一匹で熱を分け合うのだ。

「哀しい時は泣いていい。苦しい時は吐き出していい。
 俺に抱えられるものはきっとそう多くもないけど」

「俺の前では大丈夫じゃなくて隠さずに甘えていいんだよ」

ほら、シンデレラも時間になれば魔法は解けるだろう?
おまじない魔法はあくまでおまじない魔法で、
『永遠』に続く万能さを持つものじゃあない。

しゃんとして、着飾っているのも悪くはないけど、
ひとりの人間である俺達は、本当ありのままであっていいんだ。
 
(-388) 2023/10/01(Sun) 13:31:45

【置】 きみのとなり リヴィオ


好きも嫌いも、愛も恋も多くのものを知らないまま。
それでも、誰かを、何かを大切に出来る心はあった。

それは、こんな自分を慕ってくれた君やエル、
こんな自分に何となくでも贈り物をくれたダニエラ君、
こんな自分でも友人になってくれたルチアーノや、
同じ立場で、落ちる前に手を掴んでくれたニコのおかげだ。

破滅願望消えない思いはあるけど、
それでも、生きているうちくらいは前を向いていよう。

俺はもう、ただのリヴィオひとりの人間なのだから。
 
(L3) 2023/10/01(Sun) 13:33:26
公開: 2023/10/01(Sun) 13:35:00

【秘】 きみのとなり リヴィオ → マスター エリカ



向けられた瞳を感じながら
皿の中身がなくなるまでは、ただ、静かに。

君の、貴方の変わらない態度が確かな救いだった。
友人でもない、時折寄る店のマスターである貴方に、
俺は、確かに救われていたんだ。

そんな話、この先誰かに話すこともないだろうが。
抱いた思いは偽物じゃなく、ずっと確かなもの本物だった。


やがて、皿の中身がなくなる頃。
手にしていたスプーンを置いて、両の手を合わせる。

「ご馳走様でした」

その一言に含まれるものが僅かな感謝ではなく、
今までの全てを含むことを知っているのは、男だけ。
だけどそれでいい。これは男の、勝手な思いなのだから。


「……それじゃあエリカさんマスター、落ち着いたら、また」

そう言って立ち上がり、
きっちり値段分のお金を君に渡して扉に手をかける。
そうしてそのままその場を後にする──のではなく、
「…あ」と何かを思い出したように振り返り。

「今度は、具沢山のシチューを食べに来るよ」
 
(-389) 2023/10/01(Sun) 14:44:54
リヴィオは、貴方の作る料理を大層、気に入っている。
(a41) 2023/10/01(Sun) 14:45:57

リヴィオは、柔らかに微笑んでから店を後にする。それは──5日目の午後のことだった。
(a42) 2023/10/01(Sun) 14:47:07

【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ

熱い身体だ。
一人、いたな。そういうのが。
彼は治療を受けただろうか、と脳裏を過った。
受けたのなら、近くまた会う・・こともあるかもしれない。


歪む表情。
無敵・・とは程遠いその様子。
けれどそれを崩し切らないあたりが、この男の趣味の悪いところを擽った。
湿って熱い吐息が好かった。形のいい唇が引き攣るのが好かった。

ああ。
いいな。


片手は貴方の顎に。もう片手は転がしておいた器具に伸びる。
合わせた額はまるで慈しむような優しさでいて、愛情の発露のように鼻先が擦り寄せられる。
金色が海の底を微かに映している。
そして、そのまま。
貴方の震えを食らうように男の唇が押し付けられた。
丁寧さも何もない。欲情の荒っぽさもない。秘密を引きずり出そうとする求めもない。ただそれは、この男が、昼飯を食う時にするような仕草。
食に拘りのない獣が、食べられるものを見つけたから口をつけた。それだけの仕草だった。

(-390) 2023/10/01(Sun) 14:54:09

【秘】 幕の中で イレネオ → きみのとなり リヴィオ

可哀想に・・・・。」

哀れむ声には愉快さが滲む。
もう一度軽く口づけて至近に寄せた。それからようやく身を離し、場違いな恭しさでその手を取った。
口を開く。閉じる。弧を描いた。もう一度、開く。

「ダニエラが」「心配ですか」
「それなら」
「貴方が頑張れば」
ましになる・・・・・かもしれませんね。」

嘘だ。
彼女の責めは、もう終わっている。
(-391) 2023/10/01(Sun) 14:54:24
 




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