【人】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ>>107 その日の空は晴れていた。 緞帳を割るように光は破砕された開口部を割って差し込む。 パレードが幕を開けた頃に比べれば随分と光は色を帯びていて、 道向こうの目的地であるように主張する夕の色がやけに視界に眩しかった。 僅かな隙間を縫って吹き抜ける風が傷をひりひりと傷ませる。 「お前をパトロールカーに乗せてやることはしょっちゅうだったけれどな。 性懲りも無い暴れ方ばかりするもんだから、ガソリン代を請求してやりたかったくらいだ」 まだお互いが若く未熟で、ちょうど今の夕焼けのように昼と夜の交わりとの関わり合いを、 どんなふうに図るべきなのか探るようにしていた頃の話だ。 今、或いはこうなる直前よりもずっと上手く切り抜ける方法なんざ知らなくて、 どちらも自分の上、社会だとかそういうものに叱られため息を吐かれていた、 あの頃の夕日が一番眩しかった。 「お前は引き継ぎは終えてきたのか。どうせろくに話もしてないんだろう。 口を開かないことばかり得意になっちまったもんだな」 #BlackAndWhiteMovie (108) 2023/10/01(Sun) 0:59:55 |