【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ>>145 テオドロ 掛けられた声が見知ったものであると気づいたなら、男はゆっくりと振り向いた。 秋風に長い髪を吹かせる表情は、いつも目下に向ける穏やかな笑みだ。 立ち話、歩きがてら。どちらにせよ貴方に合わせるように足は動かされる。 「人生の中の印象深い出来事が、秋口だったものでね」 風の行方を見つめるように流した視線は河の向こうへと掠めた。 高い橋脚の上からでも島の縁は伺えない。この島で一番高いビルからなら或いは、だろうか。 内心でどんなイメージを持たれているのか、素知らぬ男は柔らかく言葉を返す。 「随分私は良い印象を持たれているらしい。 ……君は帰りかな。それとも署に戻るところだったりしたかい」 #街中 (165) 2023/09/11(Mon) 7:33:43 |