【人】 XIV『節制』 シトラ[ 大鍋いっぱいに作ったはずのホットチョコレートは 気付けばすっかり暈が減っていた。 端末の小さな振動に気付いたのは 客足が落ち着いたころ、だったかな。>>266 もしもその場に居合わせたひとがいたなら、 とてもわかりやすく綻んだ表情に気付いたかもしれない。 「アリアちゃんの分の材料は しっかり確保してあるよ」 「熱々が飲みたかったら 食堂で待っているし、 すこし冷めてしまっても良ければ お部屋まで行くから、呼んでね」 一番飲んでほしかったひとへ 短いメッセージを送信する。 返事が来るか、本人が姿を現してくれるかするまで ずっと彼女へと想いを馳せていた。 ]** (299) 2022/12/24(Sat) 22:57:52 |