人狼物語 三日月国


69 【R18RP】乾いた風の向こうへ

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視点:


【人】 囚われ セト


[ この国の人ではない、とすぐに
  分かったらしいが、それが『お客様』に
  繋がるあたり彼女は根っからの
  お嬢様なのだろう。

  馬鹿にされているのかと思うには
  その瞳の色は純粋過ぎて、
  闇を知らぬ幼子の如く。

  世間知らずで、愛翫の対象。
  心底真面目にお客様だと疑わず、
  陶磁器のような首を傾げるその姿に、
  さらにくつくつと喉が鳴る。

  完全に愉しげな笑いではなく、
  嘲笑と自嘲が含まれていることは
  気付かれないだろうが。
 ]
 
(4) yukiyukiyuki 2021/04/17(Sat) 10:46:16

【人】 囚われ セト


[ 顔を見せて、と言われる言葉に>>0:165
  笑いを止め、ゆっくりと顔を上げた。
  舐め上げるような視線で
  上目に見上げた彼女は、
  ころころと忙しそうにその表情を変える。
  眼光鋭い己の視線を気にする様子もなく、
  屋敷の散策で迷った、と
  恥ずかしそうに答える様子は
  可憐で眩しく、
妙に苛立った。


  続く言葉にがちん、と頭の中に火花が弾ける。

  ああ、彼女はここの娘なのか。
  己の、飼い主の。
  とても外には出せない淫猥な欲望の吐口と、
  光しか見たことがない娘とを、
  一つ屋根の下に置いているとは、

  やはりなんとも素晴らしいお人柄だ、
  あなたの父上は。 
 ]
 
(5) yukiyukiyuki 2021/04/17(Sat) 10:48:21

【人】 囚われ セト


[ 握り込む拳に刃物が無くて良かったと思う。
  床を蹴って、人形のように
  美しく傾げられた首元に
  刃先を向けずに済んだのだから。]


   ─── お気遣いに感謝致します。
   が、お父上にご進言は不用です。
   ここで見たことを、
   今すぐに忘れることがあなたとお父上、
   ひいてはお家の為でしょう。
 
(6) yukiyukiyuki 2021/04/17(Sat) 10:49:44

【人】 囚われ セト


[ このまま引き摺り込み人質にしてしまえば
  ここから出られるかも知れない。
  そんな考えが頭を暗幕のように占めていく。
  爪の色が白く変わるほどぎりぎりと
  握りしめた拳か小さく震えた。 


  ……否、彼女に罪は無かろう。
  瞼を閉じる。
  肺の中の空気を全て吐き出して口を開いた。
  声音は、僅かに掠れて。 ]


   
おやすみ、薔薇のように美しい人

   Bonne nuit,
   vous allez dormir comme un bébé. **
 
(7) yukiyukiyuki 2021/04/17(Sat) 10:51:22

【雲】 囚われ セト


[ 握り込んだ指先、爪が掌の肉を突き破った
  感覚があった。
  ぷつ、と音がして、小さな痛みが生まれる。

  悪意のない純粋な質問が礫のように
  突き刺さり、目の奥ががんがんと鳴った。

  下卑た行為には折れることを許さない自尊心が、
  眩しい輝きに容易くぐらつく。 ]
 
(D2) yukiyukiyuki 2021/04/17(Sat) 18:58:49

【雲】 囚われ セト


[ きっと、それは、
  あまりの純な、汚れの無い
  澄んだ湖面のような彼女に映し出された己が、

  あまりにも下劣で、醜悪で、穢れているのだと

  まざまざと見せつけられるからだろう─── ]
 
(D3) yukiyukiyuki 2021/04/17(Sat) 19:00:04

【雲】 囚われ セト


[ 丁寧に名を名乗る彼女の顔は
  やはり見られなかった。
  父親が己にしていることを知れば、
  その美しく整った表情はどんな風に
  取り乱すのだろう、と醜く唇の端が歪む。

  けれど飼い主にされたことの仕返しを、
  この純な少女に擦ることが正しいとは
  どうしても思えずに。

  甘いのだ、己は。
  今も、昔も。

  馬鹿馬鹿しい。  ]
 
(D4) yukiyukiyuki 2021/04/17(Sat) 19:01:02

【雲】 囚われ セト


   ……名乗る名など、ありません。


[ 吐き捨てるように囁いて。
  そうして座ったまま凛と背を伸ばし、
  身体ごと彼女に向かい合う。

  口を笑みの形に動かして。
  にやりと微笑んだ。 ]
 
(D5) yukiyukiyuki 2021/04/17(Sat) 19:01:41

【雲】 囚われ セト


   そう、ですね。
   ならば、─── le chien.
   ルシアン、とでも。


[ 地下に飼われた、少々生意気な犬。
  彼女がその単語の意を知っているかは
  わからないけれど。

  シャルケ・セト・ドゥ・シュバリエ

  由緒正しき己の名は、
  もう捨てたと思って尚、
  この澱んだ地下で口にすることは躊躇われて。]*
 
(D6) yukiyukiyuki 2021/04/17(Sat) 19:03:21

【雲】 囚われ セト


[ ルシアン、と繰り返す彼女の声は、
  綺麗な鈴を転がしたようにころころと艶やか。
  
その意味も知らずに。


  質の良いドレスを纏い、
  穏やかな笑みを浮かべて己に向かい
  the DOG、と呼んでいることが可笑しくて、
  

  同時に自分で言ったことなのに
  何処か苦しくて。


  知らないということは、幸せなこと。 ]
 
(D11) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 12:02:10

【雲】 囚われ セト


[ 己のような怪しげな人間にも恐れず
  気負わず話しかけてくれる彼女
  ───アウドラと言ったか。
  
  良い娘だ、純粋で、素直で。
  きっとこの屋敷の中で、見るもの触れるものを
  彼女のまわりの人間によって選別され
  制限されているのだろう。

  そう、無知は、幸せ。
  ……そして時には残酷で。 ]
 
(D12) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 12:03:07

【雲】 囚われ セト


   もう、迷ってはいけませんよ。>>D8
   ここは、あなたの美しさには相応しくない。
   汚れた場所です。


[ 同じことを繰り返す。
  また彼女はここに来てしまう気がしたから。

  おやすみなさい、と小さな声が響けば>>D9
  部屋の空気も揺らぐ。

  花のようにひらり、ひらりと舞う
  ドレスの裾が冷たい床を掃いて。 ]
 
(D13) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 12:03:53

【雲】 囚われ セト


[ 邪魔なことなど。

  ここへ来てから、飼い主以外の人間と
  言葉を交わしたのは初めてだったな、と
  思いながら微かに頭を下げた。

  きちんとした礼をするには、
  体も、心も苦しかった。 ]
 
(D14) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 12:04:42

【雲】 囚われ セト

 *

[ 彼女が当の主である父親に、
  愛でるものが欲しいなどと懇願していること
  など知る由もないが>>D10

  もしその場に居合せたなら、
  その時主はどのような顔をしたのかは
  どうしても知りたいと思うだろう。

  己は己で、その主に
  閨に引き出された夜も相変わらず
  反抗的な態度を変えることなく。

  ぐ、と床に押し付けられた頬を歪めながら、
  そう言えば、花のように美しいお嬢様が
  いらっしゃるのですね、と笑ってやった。]
 
(D15) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 12:05:50

【雲】 囚われ セト


[ 顔色を変えた主から
  執拗になにがあったか聞かれたが、
  その先は頑として口を割らずにいてやった。

  その日からしばらくの間
  食事が与えられることはなかったが、
  主の動揺が己の心を満たしてくれ、
  それは愉快で満足だった。]**
 
(D16) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 12:06:38

【雲】 囚われ セト


[ 食事を数日与えられないくらいのこと、
  どうと言うことは無い。
  そろそろ折れるかと出された食事にも
  さらに数日は敢えて手を出さずに
  いてやったほどだ。

  それでもさすがに意識が朦朧とした己に、
  焦った主が医者を呼んだのだと聞いた時は
  ひとり、笑ってしまった。

  
つくづく愛された犬だと。
 ]
 
(D19) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 23:37:07

【雲】 囚われ セト


   ……もう来てはならないと
   申し上げましたのに。


[ 溜息にも満たない吐息を溢しながら、
  横目でちらりとみやった先の、揺れるドレスの裾。
  当たり前のように、以前会った時とは
  異なる布地に、彼女が大切にされていることが
  改めて分かると思った。]


   そうですか?
   変わらないと思いますが。


[ 一度会っただけの己に、痩せている、と
  指摘する言葉になんでもない、と返す。>>D17

  目立つくらいには肉は落ちたのだろうと
  自嘲気味な含み笑いが浮かんだ。 ]
 
(D20) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 23:38:48

【雲】 囚われ セト


   お気遣いなく。
   そのようなことが誰かの目に止まれば、
   宜しくないでしょうから。
   お気持ち、嬉しく思っています。


[ 食べ物を持ってくる、と言う彼女は、
  いつかの時と変わらず穏やかに笑んでいて。
  こちらはやんわりと否定する。
  やれやれ、と竦めた肩が、
  続けられた彼女の言葉>>D18に一瞬、
  ぴたりと止まった。 
 
  己の忠告は彼女に届いただろうか。
  もしかしたら、気にせず厨房へ向かって
  足を動かしていたかも知れないが。]


   ─── 猫、……
 
(D21) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 23:41:24

【雲】 囚われ セト


[ そうして彼女の腕に優しく抱かれた猫を
  目にすることがあったのなら、
  己はその猫に大変申し訳ない気持ちで、
  くつくつと笑ってしまうだろう。 ]


   ……あなたのその美しい猫の名は、
   ルシアン、と言うのですか。


[ 無遠慮にけらけらと笑いながら告げる。]


   この国の言葉ではありませんから
   良いと思いますが、
   その方は嫌がりませんかねぇ。
 
(D22) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 23:42:41

【雲】 囚われ セト


[ すう、と顔に浮かんだ笑みを引いて、
  ちらりと猫に目を向けた。
  主と同じように美しく、
  艶やかな毛皮を纏っている。

  口を開けば、冷たい空気が喉に張り付いて。]


   ……変えてやってもいいかもしれません。
   ─── le chien、は、俺の祖国の言葉で
   
、と言う意味ですから。


[ 感情を削ぎ落とした顔で、けらけらと笑った。
  乾いた笑いが、この国の乾いた風に靡いて
  部屋を漂って、いつしか混じりそして消えた。]**
 
(D23) yukiyukiyuki 2021/04/18(Sun) 23:44:31

【独】 le chien セト

/*
わぁぁぁ……
めっちゃバタついていてご挨拶を忘れていました……
ユキと申します
この度は参加させて頂きありがとうございます
ペアを組んでくださった杏さんありがとうございます!
(-87) yukiyukiyuki 2021/04/19(Mon) 8:42:17

【雲】 le chien セト


[ ラベンダー色のドレスが
  前回とは違う揺れ方で風を纏う。
  話をする相手>>D24というには、
  自分はあまりにも立場が違うと思うのだが、
  彼女はそんなこと意に介さないようで。

  ふふと溢れ落ちる笑みは軽やか。
  己の話も忠告も何処へやら、
  同じように軽やかな足取りで歩き出した彼女は、
  幾らもしないうちにまた舞い戻る。]
 
(D27) yukiyukiyuki 2021/04/19(Mon) 16:34:02

【雲】 le chien セト


   迷子はご卒業されたようですが。


[ 迷うこともなく此処に戻られた様子に
  皮肉げに笑みを一つ。
  鉄格子から躊躇いもなくすい、と腕が伸びて、
  布に包まれたものと飲み物の瓶が
  そっと置かれる。>>D25

  いつだって仄暗いこの世界に、
  細く白い腕がやけに鮮やかで艶かしく映って、
  一瞬、目を奪われた。 ]
 
(D28) yukiyukiyuki 2021/04/19(Mon) 16:34:53

【雲】 le chien セト


[ にゃぁん、という声に我に返り、
  は、と慌てて視線を逸らす。
  グレーの被毛、細身の身体はしなやかに伸びて。]


   ……君が、ルシアンかい?


[ くつくつと笑いを噛み殺しながら
  エメラルドグリーンの瞳を見つめる。

  主が口にする疑問>>D25を聴きながら、
  呆然、といった表情などどこ吹く風。
  その腕の中からすとんと飛び降りて、
  いとも簡単に鉄格子をすり抜けた猫は、
  足を伸ばして座り込む己の元へ
  怯える様子もなく近付いた。 ]
 
(D29) yukiyukiyuki 2021/04/19(Mon) 16:35:51

【雲】 le chien セト


[ 差し出した指先に頭を押し付けるように、
  不運な名前をつけられた美しい猫は
  ゴロゴロと喉を鳴らす。 ]


   良い子だね。
   良い飼い主のもと良い子が育つ。


[ ふふ、と口元が綻ぶ。
  指に残る生き物の温もりが、
  じんわりと心に灯った。 ]
 
(D30) yukiyukiyuki 2021/04/19(Mon) 16:36:33

【雲】 le chien セト


   ─── 本当の、名、ね。


[ 親指の腹でくりくりと猫の額を撫でながら。
  視線は艶やかな毛皮に落としたまま。 ]


   俺は、隣国の生まれです。
   両親は死にました。
   ……愛してくれていたと思いますよ、
   神話に登場する砂漠と異邦の神の名を
   俺に授けてくれたのだから。

   まぁ、砂漠を行く旅人の守護神とされながら、
   嵐と悪意、戦争を司る神でもあるそうですから、
   無償の愛とは少し違うのかも知れませんが。


[ 猫に向かって話すように、淡々と口にする。
  告げることなどないと思っていたはずの名が、
  エメラルドグリーンの瞳に吸い込まれるように
  静かに流れて。 ]
 
(D31) yukiyukiyuki 2021/04/19(Mon) 16:38:09

【雲】 le chien セト


   俺の名は、セト。
   ここにいる間は、ただの犬だけれど。

   ─── 君の名も、変えてもらうと良い。


[ つん、と指先で、猫の湿った鼻先にそっと触れ、
  ようやく顔を上げて、彼女の瞳を見つめて。 ]*
 
(D32) yukiyukiyuki 2021/04/19(Mon) 16:39:21