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【秘】 座長 トラヴィス → 巫女 ユピテル「人に見せるような部屋じゃない、 けれども『自力で君が見つけた』のならば それは仕方のない、不可抗力だよね。」 「…………」 「また……明日」 好きにして、と言外に示した男は 貴方がパーソナルスペースに立ち入る事が、 そしていずれ失う事が、怖いだけだった。 (-211) osatou 2021/10/17(Sun) 1:22:45 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ貴方よりも15cm高い視点から、貴方を見下ろす。 「おや、おや。 気取ってなどいないさ。 彼らが勝手に私をそう評価するだけだよ?」 朗らかに笑む。 この男は、広間から歩いてきた所だ。 男が見事な笑顔の裏で、機嫌が非常に悪いとは貴方に分かる筈もない。 ──鼻腔に、アルコールの匂いがくすぐった。 「……ね、どうだい? 私とも酒を飲み交わそうよ。 折角なのだから、君の事が知りたいな。」 貴方が肯定ととれる態度を少しでも示したならば 男は貴方を自室へと連れて行くだろう。 向かいざまに使用人を呼び止め、あるだけのワインを用意するよう言付けながら。 (-215) osatou 2021/10/17(Sun) 1:43:12 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「そう、 嫌ではないから、今後私が態度を改める事はないな。」 部屋の扉を開き──一歩下がって貴方を先に通せば──音を立てずに扉を閉めた。 室内は天蓋付きのキングサイズベッド、 それから広い机に、椅子。 机上には既に赤白のワインボトルがいくつも用意されており、 部屋も特に荒れた様子は無くなっている。 椅子を引いて貴方の着席を促して、 自分も向かい側へ腰掛けた。 「………さて、 私のことが知りたいのかい? 光栄だな、何から聞いてくれる?」 手慣れた動作でボトルのキャップを切り、 スクリューをコルクへ押し込む。 ぐっと斜めに力を込めて、後は力任せに引き抜けば、 ふわりと室内へ葡萄の香りが広がった。 グラスへ赤を柔らかく注いで、貴方へ差し出す。 貴方が手に取るならば、そっとガラスを重ねるだろう。 (-230) osatou 2021/10/17(Sun) 2:34:55 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「はは、無粋だなあ。 その内容がそこまで気になる訳でもなかろうに。 大方、私の弱みでも突きたいだけだろう? であれば、もっとストレートに尋ねたまえよ。」 すらりと伸びる足を組む。 机へ肘を置く。手の甲で頬を支える。 ワイングラスの縁を、人差し指の腹でなぞった。 「私としては、 君の竪琴の弦。それの錆び具合が気になる所だな。 チューニングの仕方を忘れた訳ではあるまい。」 そうしてつらつらと言葉を発しつつ、 貴方へ何度もワインを注ぐ。 グラスが透き通れば、何度も何度も赤で満たす。 酔い潰そうという魂胆すら、貴方に透けて見えるだろうか? (-235) osatou 2021/10/17(Sun) 3:01:42 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「『何もかもが嫌になった。 自堕落に過ごしていて、 劇団に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。 そんな後悔を背負って、 今日も私は泥水と共にワインを煽る』 ─────とでも、言って欲しいか?」 仕方ない、と瞳を伏せ グラスへ唇付け、傾ける。 「望むなら、君とそんな戯曲を踊っても良いさ。 館の箱庭──舞台の主役は君と私。悪くないね。 まずはステップの仕方から教えよう。」 冗談、と笑う。 この男、アルコールには33%ほど強い。 「楽しみだな。 君が再開した暁には、 42弦を必死に張り替える君が見えるのか。」 (-241) osatou 2021/10/17(Sun) 3:42:21 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「…………私に脚本の才能は、無かったからね。」 ぽつり、水面に落とされた雫のように呟いた。 それからぐっとグラスの赤を煽る。 96ぐらいのアルコールが回った。 → (-243) osatou 2021/10/17(Sun) 4:01:08 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ嗚呼、嗚呼。 思い出したくない過去を、思い出してしまった。 逃げるようにグラスの底から赤を奪えば、 喉を焼くような発酵葡萄の渋み。 眉間を惜しみなく寄せて、瞳を伏せる。 そもそもワインは、一気飲みするものではない。 「………こんな季節のことだった、あれは、 いやに思い出してしまう、いけないな……。」 がたん。乱暴に立ち上がり、貴方へ詰め寄れば 胸ぐらを掴んで、近くのベッドへ引き摺るように投げる。 貴方が苛立ちに気を取られず、これに抵抗をするならば 更に乱暴に、ベッドではなく床に組み敷こうとするだろう。 理性が外れ、溺れる為の欲を求める男の力は、 鍛えた経験があるのかそれなりに強い。 酔っ払いが貴方に、八つ当たりをしようとしている。 「歌に自信があるのなら……私の下で存分に歌わせてやる。」 (-244) osatou 2021/10/17(Sun) 4:18:35 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「うん、君に無くて、それが? 私に関係あるかな。」 床を跳ねる腕を重ねて掴む。地に押し付ける。体重を掛ければ、片手で苦労はない。 貴方の膝下へ腰を下ろせば、脚をバタつかせる事すら容易くはなくなるだろう。 どうやら、筋力の差も此方に味方しているらしい。 空いた手で貴方の衣服を剥ぐ。 ボタンがあれば、無理やり引っ張って脱がせた。 そうして自らのベルトを引き摺り外せば、貴方の手首の自由を奪う。 実に手際よく貴方を追い込んでいく様は、どこか手慣れていた。 きっとこれが初犯ではない。今はここに居ない者たちが、貴方と同じように男の毒牙に掛かった日があったらしい。 「男は皆ケダモノ──とは、よく言ったものだよね。 ただ、 君は違ったらしいけど? 」くす、くす。 獣のように舌を舐めずり、獲物を見下す。 機嫌の悪さも相まって、酔いの回った頭では、己の欲を満たす事しか考えられない。 自分本意で、身勝手に、欲望の捌け口だとしか貴方を認識していない。 それでも自分の腕の中に居る限りは、 貴方へ下心を持って、この時だけは恋をする。 ……そっと顔を近付けた。 「キスはダメかい、君。」 (-249) osatou 2021/10/17(Sun) 5:03:37 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ 言葉を吐けば、行動に移すまでに、時間は掛からなかった。 稽古の合間にアルバイトを詰め込んだ。 少しでも多く働いて、目標の為の資金とした。 互いに朝は起こし合い、夜は泥のように眠る日々だった。 大きな夢を抱いた私達にとって、何も苦痛にはならなかった。 数年の時を移して、夢は現実となった。 私と君の名前を少しずつ取り合って、それを劇団の名前とした。 座長は二人。演出家を兼ねた私と、脚本家を兼ねた君。 これらは何度も何度も、君と語り合って決めた。 君の紡ぐ物語をいちばん魅せる演出を考えられるのは私だし 私の演出を最大限に引き出せるのは、君の脚本だった。 すぐに役者も裏方も集まって、旗揚げ公演を表明した。 私と君が作る箱庭の、大きな一歩となる物語。 主演は君で、準主演は私。 人生の全てを、惜しみなく注ぎ込んだ。 この公演が必ず成功すると信じていた。 私達の未来は明るいものだと、疑っていなかった。 そうして迎えた、公演の初日。 ……結論から言うと、君は現れなかった。 (-266) osatou 2021/10/17(Sun) 12:27:47 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「へえ、初めてなんだ。 じゃあ、痛いだろうね。」 他人事。瞳を細めて貴方を見る。 せめて酒が抜けていれば、もう少しくらいは貴方を気遣えたのかもしれない。 「がんばって」 まるで狩られる兎の如く怯える姿に加虐欲が満たされていく。 心底嫌そうだ───可愛らしい。 もっともっと、その緑を見せて欲しい。 絶望に染まるそれに、酷く安心する。 首筋へ、喉へ唇を落として、震える声帯にまた笑う。 貴方のシャツを解き、ズボンを下着ごとずり下げて、快楽を拾いやすいとされている胸元、性器、それから後孔……いちいち貴方の反応を伺いながら指で、唇で触れていく。 貴方にとっては、その限りでは無いだろうが。 最低限、男を受け入れる為の準備を済ませて、後は貴方に心身共にほとんど苦痛───被虐される才能でも芽生えれば、少しは快感を与えるだろう。 独りよがりの性行為。 貴方を労ることは、ほとんど無かった。 ……男が満足する頃には、貴方の意識は何処にあるだろう。 (-269) osatou 2021/10/17(Sun) 13:12:54 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「……君が悪いんだよ?」 貴方の体内へ無遠慮に欲を吐き出して、 荒く息を吐き、額の汗を拭う。囁いた。 「どれか一つでも君の言動が違っていれば、 こうはならなかっただろうに。」 責任転嫁。 最初から貴方に乱暴するつもりで誘った癖に。 「いつかこんなひとときの事も詩曲にして、歌い歩いておくれよ。 今みたいに、その美しい鳴き声を晒してさ。吟遊詩人さん?」 それから初物を散らされた小娘のように転がる貴方へ──強ち間違いではないが──また喉へ唇を落とした。 そこへの口付けは、支配欲の象徴。 「シャワーを浴びて行くと良い。 君、酷い顔をしているよ?」 有無を言わさず抱き上げようとして、辞めた。 トラヴィスが占領するこの客室には、シャワールームがある。 代わりにそれをちらりと視線で促して、 貴方が立てないようなら優しく介助するつもりだろう。 貴方の傷と引き換えに、男の機嫌はかなり良くなった。 (-275) osatou 2021/10/17(Sun) 14:24:29 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ誰よりも早起きして、劇場へ足を運んだ朝から カーテンコールが終わっても、舞台の照明が全て消えても、 君の姿は一度もここには無かった。 心血注いだ物語は、───まあ、何とかはなった。 所々おかしい部分は隠し切れなかったが、 どうにか千秋楽まで駆け抜ける事は出来た。 初めてそこに立った0番のテープは、酷くくすんで見えた。 君を探しながら、私は一人で座長と呼ばれ続けた。 君が残した脚本は役者から観客、全ての───否、私以外の人を夢中にさせた。 私は閉じた瞼の裏に、 中心で煌めく君を想像しては掻き消すように目を開いて、 君の居ない箱庭を見据え続けた。 もがくように、これまで以上に全てを演劇へ注いだ。 有名な賞を貰った。誰からも祝福された。 そうして演劇の何もかもが、苦痛になった。 知らなければ良かったとさえ思う、 飢えて渇き、注げば注ぐほど満たされない日々。 ───また、ある時。 なるべくして、限界が訪れた。 → (-277) osatou 2021/10/17(Sun) 14:57:48 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエW数年前──とある劇団から座長が消えた。W ぱったりと姿を消し、行方不明。 その真相は誰も知る術がない。 他人の悪夢を覗く、無神経な者でもなければ。 W劇団は暫く低迷の後、現在は軌道に乗り直してきたらしい。W 誰かが残した、大量の台本。演出プログラム。 暫くはそれらを頼りに踏ん張って立て直したそうだ。 ───そうして、微睡みから醒めていく。 薄く瞼を開いて貴方を見た。 未だその意識は、 夢 と夢 の狭間にある。そばにいて 「 、」 貴方の胸の中で、言葉にならない声をぼやいた。 (-278) osatou 2021/10/17(Sun) 15:01:56 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「色狂いのケダモノだなんて酷いな。 違うよ、狂いたくても狂えないだけさ。」 アルコールに浸った脳が、力加減を誤らせる。 まあいいかと独りごちて。 貴方を乱暴に引き上げて腰を抱き、シャワールームの方へ誘う。 そのエスコートは、優雅さの欠片もないものだ。 「愛しい君よ。 汚したのが私なのだから、 清めてやるのも私であるべきだろうか?」 磨りガラスの扉を開ける。 あまり広くはなく、簡素なシャワーや最低限の洗髪剤、液体石鹸。 ………大きな男が二人で入るには、少しばかり狭そうだ。 「いや、うん、面倒くさいな。 君、好きに過ごすと良いよ。」 掌をくるり。 貴方をそこへ放り込めば、自分はさっさと真白のベッドへ横になりに戻るだろう。 貴方が干渉するならば、勿論その限りではない。 (-282) osatou 2021/10/17(Sun) 16:04:55 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「人の想いは──天秤は、乗せた重さに応じて傾くんだ。 私は君と同じものを乗せて、均等にしただけだよ。」 からからと笑って、貴方の声と水音を聴きながら瞳を閉じた。 貴方がシャワールームを出る頃には、 穏やかに寝息を立てているだろう。 散らかした貴方の服はそのまま床に散らばっているし、 何もかもが先程のまま放置されている。 今この時、貴方がこの部屋で何をしても 男は後手に回らざるを得ない。 仕返しを企てるも、部屋を立ち去るのも、 貴方の意のままに行えるだろう。 (-303) osatou 2021/10/17(Sun) 17:47:52 |
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