人狼物語 三日月国


32 【身内】降りて流るるにわか雨【R18】

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視点:


 
[本当にこれで終わってよかったのか?
 疑問に思いつつ。]



    研究も個人的な関係も……よろしく



[別れ際にはそう伝えただろう。
 手を重ね、軽く握りながら。
 ……込めたのは簡単に振り解ける弱い力。]
 

 
[数いる恋人のうちのひとり。

 想いを分配しておけば
 彼の方から手を離されても
 神が突然彼を攫ってしまっても

 己が負う傷は浅く済む。

 支えを失ったばかりの心はそんな風に
 いつ来るとも知れぬW次Wに備えていたのだ。

 叩いて渡る、石の橋。
 ひとりだけに傾倒しないとゲッシュでも結んで。]
 

 
[彼が掛け替えの無い存在と気づく前の愚行だ。**]
 

  
[肌を合わせ
 愛を囁きあう度に

 喜びと
 痺れるような気持ち善さと
 溶け合えない もどかしさとが
 綯い交ぜになって
 体の中心に溜まっていく。 


 正直、キツい


 ……が、

 ヒューを蔑ろにした輩と
 同じにだけは決してなるまい、と
 耐えきった。]
 

 
[重ねてくれた手を
 きゅっと、力を込めて握り返して
 笑む。]



   ああ、勿論
   こちらこそ宜しく



[折れそうに細い指だ。

 今は服に覆われてしまったが、
 薄い腹
 細すぎる腰
 身長に比べると余りにも軽い体。

 それから、
 見目はとても美しいのに
 漉くと軋む髪も

 何処もかしこも、心配になる。]
 

 
[だから、手を離す前に問いかけた。]



   今日、この後
   何か予定とかあったりするかな?

   なければ、一緒に食事でもどうだろうか



[器の綻びの方は
 先程までの触れ合いで
 一時的に修復できているようだが、
 体の方のメンテナンスにも
 俺が一役買わせてもらえれば、有り難い。]
 

 
[連れて行きたいと考えているのは
 普段遣いしている飯屋だ。]



   きどった感じの店じゃなくて悪いんだが
   費用対効果は高い。
   体に良いものをバランスよく提供してくれて
   しかも、旨い。



[気に入ってくれて
 通うようになってくれれば…との
 目論み付きだったが、
 その成果はあまり芳しくなかったかもしれない。

 ひとりでは行かないと知れば
 誘う回数が増えるだけ、だったが。

 今日も、
 予定などで断られたとしても
 しっかりと後日の約束を取り付けてから別れ、
 そうでなければ
 連れ立って向かっただろう。]
 

 
[そして、
 恋人とする食事には
 いつもとは全く違う美味しさがあるのだ、と

 初めての気付きを
 また与えられてしまうことになったのだった。]*
 

 


    ……え。…………ああ、
    


[誘われた時はきょとんとしてしまった。

 Na3g、K2.5g、Ca0.7g……、
 一日に必要な栄養素の量も
 効率良く必要量を摂れる食べ物が何かも
 そらですらすら言えるし
 摂らなくてはと日々考えているのだが
 身体の方が受け付けなかったのだ。
 囓るのにも疲れて途中で辞めてしまう自身の姿は
 何とも情けなくて見せられたものじゃなかった

 が。]
 

 
……ぐぅ。


 応えかねていると
 返事の代わりかのように
 間の抜けた音が腹から響いた。

 みるみるうちに、顔が赤くなる。

 食欲、というものが久々に復活したらしい。]
 

 
[懸念は消えた。
 恋人の普段遣いの店がどんな所か
 純粋に興味もあり。]



    ……是非。ご相伴にあずかる



[少し硬い言い方になったのは
 腹の虫を聴かせてしまった恥ずかしさゆえ。]