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【人】 孤児 ヘイダル俺が勝ってたら、まんまあんたと同じ事を望んでいたよアールアレフ。 だから礼を言う必要はねーかなって思ってたけど、でも、 ────うん、ありがとう。 魔神なら、人ならぬものの望みでも、その願いが伝わりさえすれば叶えてくれるんだろ? 俺の望みは、" 銀獅子ゾラフ自身が望む形での自由 "だよ。そして、ちんちく……いや、ハーレフ。 自由の身おめでとう。 あの勝負がどう転んでたって、お前が自由になるのは決まってたんだよな。感謝しろよなー。 (15) Valkyrie 2019/06/16(Sun) 11:19:55 |
【人】 孤児 ヘイダルなあ、ちんちくりん。 お前、これからどうすんの? 人間になれたはいーけど、家も金もなんも無いんだろ? …………俺は、さ。 ちゃんと金、稼ぎたいのと。 あと……勉強したい、のとあってさ。 ちょっと、アールアレフに助けてもらおうかなー、なんて、な。 (17) Valkyrie 2019/06/16(Sun) 11:43:03 |
【人】 孤児 ヘイダル俺にも色々思うところはあって。 こういう形で借りを作るのは悔しい気もしたけれど、実のところ最も頼れるのは彼女しか居なかった。 「暫くの間、俺とこいつを住み込みで雇ってくれないか?」 ハーレフの手を引いたヘイダルが、アールアレフの自邸を訪れたのは。 輝きを増した美貌にアールアレフの下男らがどよめいて。 サーカスでは銀獅子が消えた大騒ぎになって。 そして魔法のランプがこの世からひっそりと姿を消した、その夜の事。 (20) Valkyrie 2019/06/16(Sun) 12:07:21 |
【人】 孤児 ヘイダル■全てが終わり 銀獅子が消えてしまったとサーカスは騒然としていたらしいけれど、その騒動を俺は目にはしていない。 ただ、ハーレフが皆の願いを叶え、金の煙がふわりと舞ったその後に、軽く握った俺の手指の中、いつのまにか小さな丸いものが入ってた。 緑と青の色が詰まった、ガラス玉。 緑は草原の色。青は快晴の空の色。 どこか余所の風景を映している風なその景色が、ゆっくりと動いていて。 この国では見かけない、知らない花が揺れる土地。 立ち止まり周囲を見渡しているゾラフの姿がその中にあり、息を呑んで見つめる中、一歩一歩、草を踏みしめて歩き出した。 彼の"不自由"の象徴だった固く冷たい首輪も、身体中の傷もすっかり消えているように見えた。 それは、己のために願いを使わなかった事に対するちょっとしたおまけだったのか、それとも銀獅子自身の望みでもあったのか。 彼が一番に求める自由の形をと言いつつも、行く末の安否が気になって仕方がなかった俺が手にした、何よりの贈り物だった。 (23) Valkyrie 2019/06/16(Sun) 13:36:16 |
【人】 孤児 ヘイダル────いつか、あの草原に行ってみたい。 ゾラフに会えたところで、俺の事は忘れてるかもだけど。 でも、いつか。 いつか、国を出て、あの青空の下に行ってみたい。 俺には、新しい目標ができた。 (24) Valkyrie 2019/06/16(Sun) 13:37:08 |
【人】 孤児 ヘイダルそうとなれば、こそ泥稼業などしている場合じゃない。 盗んだ金でゾラフに会いに行くなんて事は出来るはずが無く、真面目に仕事をしなければと思った。 あと、いつか俺がなりたいと思った事には、きっと知識も必要だった。勉強もしなきゃいけないなと思いを巡らせた。 ────なのに。なのに、だ。 目の前のちんちくりんと来たら。 家と金はなんとかなるとか、見た目は己の身を案じるべき年頃の女なのに根拠のない"大丈夫"を連呼してはへらっへら笑っていやがる。 (25) Valkyrie 2019/06/16(Sun) 13:38:08 |
【人】 孤児 ヘイダル「大丈夫なわけがあるか!ばかっ!」 元より、頼れる大人なんて(見た目は幾分若返っちまったみてーだけど)あいつしか知らない。 住み込みで働かせて欲しい。 それが無理なら真っ当な働き口を紹介して欲しい。 それを頼みに行こうとしてたんだ。 1人が2人になったところで、もう今更だ。 このちんちくりんは連日野宿するつもりらしいぞと告げたら、彼女だってきっと黙ってはいないだろう。 「────ほれ、行くぞ」 取った腕は、前みたいな薄布じみた軽さじゃなかった。 肉の重さをきちんと持っていることに、俺は不思議と安堵した。 どこへ?とのんびりへらへら聞いて来る奴には、頭痛を禁じ得なかったけども。* (26) Valkyrie 2019/06/16(Sun) 13:39:39 |
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