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カジヤマは、会議室の端末に送信した『あきちやんだめだー』そこからしばらく返信はない。 (a0) 2022/06/06(Mon) 21:35:49 |
【人】 跼蹐 カナイ──会議室の扉が、そっと後ろ手に閉められた。 消耗こそすれ神経が昂ぶったような感覚が持続し続けているのは いよいよおかしくなりつつあるのか最初からおかしかったのか。 一度深く息を吐いて、注意深く気配を探る。 自身に現れた力が特定の個人を探す事に長けたものではなくとも、 不安定に揺れる気配があれば、すぐに気付く事はできる。 それが多少遠くであっても、大まかな方向程度は。 『おねがいします』。 たったそれだけの文章でも、 何が起きたのかということを察するには十分だった。 だから闇雲に探す必要は無いのだと知っていた。 『ただ二つお願いがあるのです。 聞いてもらえるのです?』 『はい、構わないのです。 1つは、この能力が制御できなくなったら その時は僕を止めて欲しいのです。 叶様や他の人に害をなしたい訳ではないので』 (0) 2022/06/06(Mon) 22:47:34 |
カナイは、無事に、という言葉には、きっと何も言わないまま。 (a1) 2022/06/06(Mon) 22:48:59 |
カナイは、少し眉尻を下げるだけだった。 (a2) 2022/06/06(Mon) 22:49:10 |
マユミは、カナイを待っています。きっと、約束をした場所の傍で。 (c0) 2022/06/06(Mon) 22:50:37 |
【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ>>0 叶 叶は容易く、その気配を見つける事が出来るでしょう。 場合によっては、あなたを呼んでいるようにすら。 静かに、しかし体中を軋ませて、待っているのです。 そして、いくつかの角を曲がった先に、それは居ました。 みし、ぱき。骨で形作られた片翼と手足が軋みます。 その中心で俯いていた顔が微かに上がり、 そして安堵の顔を見せました。 タブレットは足元に落ちていて、 骨の足の長さのせいで半ば浮いている少女に それを拾う事は出来ないのでしょう。 だから、視線をあちらこちらに送るだけ。 和装が溶けてしまったせいで露わになった上半身。 両肩から肘までは、檸檬色と葡萄色の結晶に覆われています。 そして胸元をぎちぎちに締めているサラシの上部から、 鎖骨の上辺りまでを血の色をした結晶が守っているようです。 だから、口をはくはくと動かすだけ。 「よかった」 だから、涙を流すだけ。 「きてくれた」 (+0) 2022/06/06(Mon) 23:03:28 |
【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ>>0 >>+0 叶 そして、そして――それだけです。 少女は静かに待っています。 ただ、骨と結晶が軋む音が徐々に大きくなっていくでしょう。 今は、抑えているだけで。 少女の大部分は、考えているのです。 『変わりたい』 と。その為に……あなたのすべてをたべてしまいたい、と。 『あなたになりたい』 、と。少女は、あなたを待っています。 約束を果たしてくれるのを、待っています。 (+1) 2022/06/06(Mon) 23:09:02 |
ナオアキは、骨を折った。 (a3) 2022/06/06(Mon) 23:17:12 |
【人】 跼蹐 カナイ>>+0 >>+1 弓日向 以前二人で歩いた道程を、今は一人で歩いている。 会議室を後にして、空気の良いとは言えない廊下を少し歩いて 一回、二回、角を曲がって、…… ────三回目の角を曲がった所に、あなたは居た。 その凄絶な姿を見て、 あなたの代わりに悲鳴を上げるように軋む音を聞いて。 ああ、と。 息を吐くようにやるせなさを吐き出した。 ──追想。 ……気味が悪くとも、こうして確かに利益を齎しているのなら。 けれど、益にならないなら?…… ……そしてあなたのそれは、あなたを何処まで、 どういったものにまで変化させ──変異させてしまうのか。…… (2) 2022/06/06(Mon) 23:28:44 |
【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ>>1 >>2 >>3 叶 みし、ぱき、ばき。 骨の身体は、両の前足がゆっくりと、地面に向かっていきます。 四足歩行の構えをとろうとしているのでしょう。 震えながら、至極緩やかな動きで。 肉の身体は、たったひとつ。 ためらいと、かなしみと、あなたへの期待と喜びを込めて。 静かに、微笑んで。頷いてみせました。 「ころして」 確かにそう口が動いて――骨の前足が、地面に着きました。 ばき、べき。少女は、弓を引きました。 その向こうが神か、運命か、あなたかはわかりませんが。 次は、あなたの番です。 (+2) 2022/06/06(Mon) 23:44:40 |
マユミは、その大きな骨の手足と翼の根元を、結晶で補強しているようでした。 (c1) 2022/06/06(Mon) 23:44:49 |
【人】 跼蹐 カナイ>>+2 弓日向 人体には存在し得ないパーツが床へ近付いていく。 悲鳴じみた音を立てて、ゆっくりと。 その様相を見て胸の内に湧いたものは、恐怖ではなくて。 「…ああ……また僕は」 「死で何かを得た分、死で何かを失うんだ…」 ヒトとは異なる形状の骨。 四足歩行の──凡そイヌ科の特徴を呈するそれは。 唯一の慰めであり、拠り所だった、飼い犬を想起するものだった。 あの子も自身が恐怖から解放されたすぐ後に旅立ってしまった。 「……でも、これは」 「きっと、おれにしかできない事だから」 どうせもう引き返せない自分がやるべき事だ。 それに、あなたの状態は、自身の内にある力で対処する事が。 恐らくあまりにも──適切なものだったから。 そして何より、同じ理不尽を受けた被害者のあなただから。 こんな形でも、その願いの一つくらい、 叶 えたくて。やりたい事だ。だから引き返せない、引き返さない。 (4) 2022/06/07(Tue) 1:12:10 |
【人】 ハリの豺狼 カナイ>>+2 弓日向 だから逃れる為ではなく、向き合う為に。 その四文字を確かに認識したその直後、 また一つ、二つ、まるであなたの心の軋む音のようなむごい音。 それを聞きながら、叶はやはり逃げなかった。 ──恐怖を呼び起こし、研ぎ澄ます。 殆どあなたの理性による制御を外れた意思が、 どのような行動を取ろうとも、それを回避しようともせず。 恐れるものは、あなたではなくて。 これまで、そしてこれからの自身の行いと、その発覚だ。 この力はある程度対象を目視できなければならないようだった。 だから回避などに感けている余裕など無くて、 何れにしてもあなたに正面から向き合うほかなかった。 (5) 2022/06/07(Tue) 1:13:54 |
カナイは、この力を使う時の感覚が恐ろしくて。 (a4) 2022/06/07(Tue) 1:17:01 |
カナイは、それと同時に、どうしようもなく安心する。 (a5) 2022/06/07(Tue) 1:17:16 |
カナイは、多分、前に力を使った時からあまり時間が経っていない。 (a6) 2022/06/07(Tue) 1:18:24 |
【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ>>4 >>5 >>6 叶 あなたの独白。あなたの想起。 あなたの決意。あなたの――あなたとの、約束。 それらを聞き、想い、抱いて…… 放たれた矢のように、その四ツ足は床を蹴りました。 あなたの全てを磨り潰して、啜る為。 愛しい人の胸に飛び込むように、跳びました。 その瞬間、あなたの目にはしっかりと。 血色の結晶が映っていました。 そしてそれは、激しく爆ぜるのでしょう。 空気を震わせて。身体を砕いて。その少女を壊します。 ぱき、ばき、と音がして。 それが肉体からか、結晶からか、骨の手足からか。 判別は難しいのでしょう。ただひとつわかる事は、 あなたの前には、結晶も、骨の手足も。 剥がれ落ちた血塗れの少女が転がっているという事です。 (+3) 2022/06/07(Tue) 1:40:36 |
【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ>>4 >>5 >>6 叶 少女は、実にあっさりと、死んでいました。 きっと殆ど痛まなかった事でしょう。 きっと苦しまなかった事でしょう。 幾分か軽くなった少女が、 軽くなった分だけ血を床に広げて動かなくなっています。 その顔は、苦しみも、恨みも、つらみも、持っていません。 ただ、微笑んでいました。 最後に微かに動いた唇は、筋肉になんらか、 電気信号が通っただけかもしれません。 それでも、それを信じるなら―― 『ありがとう』 。たしかに、そう言っていたのです。 唯一、後に残ったのはつけっぱなしのタブレット。 きっと、少女がそうなる直前まで手にしていたのでしょう。 幾つもの変わりたい願望や、呪詛めいた言葉が沢山。 テキストファイルにいくつもいくつも、連なっています。 ずっと蓄積したそれらの末尾、一番最後の空白。 沢山の改行はきっと、その感情から遠ざけたかった言葉です。 そこに―― (+4) 2022/06/07(Tue) 1:49:13 |
マユミは、カナイに向けて。『いきて』と、遺しました。 (c2) 2022/06/07(Tue) 1:49:48 |
カジヤマは、 「行くな、行くな、 行くな!! 」 (a7) 2022/06/07(Tue) 2:47:44 |
カジヤマは、咽がすり切れて、叫べない。身体が動かすことが出来ない。 (a8) 2022/06/07(Tue) 2:48:01 |
カジヤマは、篝屋の傷は、" " (a9) 2022/06/07(Tue) 2:53:00 |
【人】 ハリの豺狼 カナイ>>+3 >>+4 弓日向 そうして刹那に嵐は過ぎ去って。 再びの静寂と、それから徐々に血臭に満たされ始めた廊下。 ゆっくりと広がっていく血溜まりと、横たわる少女を見た。 能力の起源に紐付いた奇妙な安堵は長続きしない。 だから今この胸の内を満たすものは。 その思いを理解できたばかりの少女を失った事によって齎された 喪失感と、悲しみと、それから人を手に掛けた罪悪感だった。 「………弓日向さん」 ほんの少し軽く、けれど脱力しきって重く。 まだ温かい身体をすぐ近くの仮眠室へ運び込んだ。 野晒しは忍びなく、けれど会議室へ連れて行くには憚られた。 「あなたはあの時自分の事を薄汚い人間と言ったけど、 おれはそうは思いませんでした」 寝台へと寝かせて、瞼や唇が開いたままなら閉じさせて。 その横で殆ど唯一の遺品となるであろう端末に指を滑らせた。 連なる望みと、呪詛と、それから。 そして、あなたの最後の言葉を思い返して目を伏せた。 「おれの方がずっとどうしようもない」 そんな人殺しに感謝するだけでなく、生きろと言うなんて。 いったいこれから何処へ生きて行けと言うのだろう。 (8) 2022/06/07(Tue) 5:05:59 |
【人】 ハリの豺狼 カナイ>>+3 >>+4 弓日向 だからそんな身勝手はすぐにしまい込んで。 きっとまた少し血に汚れた白衣の裾で目元を乱暴に拭った。 「神様なんて居ないかもしれないけど」 深く息をして、仮眠室を後にするべく立ち上がった。 「居ない方がいいのかもしれない」 だって、もし仮に、そんなものが居たら。 「おれはそれを殺さなきゃ気が済まないから」 たとえばこれが、誰かの描いた筋書きであるのだとしたら。 自分はその誰かを怨まずにはいられないだろう。 そしてきっと、それを殺さない限り。 自分に本当の意味での平穏が訪れる事は無いんだろう。 でなければ、真に恐ろしいものを取り除けはしないのだから。 (10) 2022/06/07(Tue) 5:07:37 |
カナイは、静かに電気を消して、仮眠室を後にした。 (a10) 2022/06/07(Tue) 5:08:01 |
カナイは、また声を聞く。きっと仮眠室を出て少し後の事。 (a11) 2022/06/07(Tue) 5:20:35 |
フカワは、全てが有耶無耶になってしまえたらと思った。 (a12) 2022/06/07(Tue) 5:45:29 |
【置】 トラジコメディ フカワ『そうはならねえから…… 今はただ、明日を願うしかないんだ』 まだ切り出していない鉄パイプの上に、 引き伸ばした剥き出しのハンガーや導線を括り付けて、 コンドームとガムテープで補強し固定する。 己がひた隠しにする他愛もない秘密も、 誰かが背負い続ける痛みと罪、恐れも、 皆が抱える前までは僅かだった歪みも、 その全ては、いつか白日のもとに晒されてしまう。 逃げ続けることは不可能だ。 だから逃げない。消極的で、確かな理由。 安寧が脅かされることを恐れても、 脅かすものに立ち向かうことは、恐れてはいけない。 彼らもきっとそうである、はずだ。 (L0) 2022/06/07(Tue) 6:04:00 公開: 2022/06/07(Tue) 6:00:00 |
【置】 トラジコメディ フカワ弱者は、踏み躙られ奪われるだけかもしれない。 どれだけ願っても明日は変わらないかもしれないし、 唐突に奪われる明日を、 取り戻すことすらできないかもしれない。 ただそれでも。与えられた安心を。用意してもらえた安全を。 享受して不安そのものから逃げるばかりでなく、 戦うこと、維持することにちゃんと意識を向けられたら。 価値のない自分の人生に初めて、意義が生まれるような気がした。 『オレの安心できる場所を、守って』 祈りは痛みに。苦しみに。 身体を侵食するソレは与えられた物への対価だ。 (L1) 2022/06/07(Tue) 6:13:28 公開: 2022/06/07(Tue) 6:10:00 |
フカワは、己の不運を呪って、愛した。 (a13) 2022/06/07(Tue) 6:14:27 |
トラジコメディ フカワは、メモを貼った。 (a14) 2022/06/07(Tue) 7:16:58 |
【人】 ハリの豺狼 カナイ仮眠室を出て、誰かの声を聞いた後。 弾かれたように廊下を駆け出して、 その傍らに気配を探る。読み取ろうとする。不安定な気配を。 今明確に排除すべき恐ろしいもの──奈尾の気配を。 進行方向がわかるのであれば、その背後に回り込むように。 殺さなければきっと殺される。 真に恐ろしいものから逃れるには、殺すしかない。 自分ならきっとできる。自分がやるしかない。 何れにしても脇目も振らず会議室への道を突っ切っていく。 元はドッグトレーナーを目指していたのだ。 犬と共に駆ける為の日々の名残は、まだ身体に残っている。 (11) 2022/06/07(Tue) 7:35:45 |
カナイは、猟犬じみて廊下を駆けて行く。狩るか狩られるかは、まだわからない。 (a15) 2022/06/07(Tue) 7:36:58 |
【置】 氷肌玉骨を手に ナオアキあなたは死ななければならない 奈尾がやって来る方……銃声二発が鳴っていた場所は、 叶らが彼女と相対した場所から随分遠くからだった。 あなたは死ななければならない そこから移動した彼女を迎えに行っていた叶が、 今いた場所とはほとんど反対の位置で。 あなたは死ななければならない 会議室へと向かおうと思えば、 叶が奈尾の背後に回っている暇などなかっただろう。 あなたは死ななければならない あなたは死ななければならない ──奈尾の道中に誰もいなければ。 あなたは死ななければならない あなたは死ななければならない (L2) 2022/06/07(Tue) 8:22:34 公開: 2022/06/07(Tue) 8:25:00 |
【人】 トラジコメディ フカワ『弊社の試験薬が』 『貴方様にご迷惑をおかけしてしまったこと』 『深くお詫びしたいところですが──』 見ないうちに随分と変わり果ててしまったものだ。 我々に投与された薬とは一体全体何だって言うのか。 「故に少々、お時間をいただけますでしょうか?」 針のような気配に震える瞼を開けて、 引き攣った微笑みを顔に貼り付け、奈尾の前に立ち塞がる。 眉間に皺を寄せてアンテナを握り締めれば、 其処彼処から軽くも不規則な足音が響き始める。 それはまるで行進(/パレード)の始まりを告げるように。 (12) 2022/06/07(Tue) 8:46:21 |
【人】 氷肌玉骨を手に ナオアキあなたは死ななければならない パァンッ!! あなたは死ななければならない 開演に水を差す、なんとも無粋な音がした。 あなたは死ななければならない あなたは死ななければならない 「アタシ、会議室に行かなきゃいけないの」 あなたは死ななければならない あなたは死ななければならない 一も二もない発砲。狙いは深和の足元。 三半規管も狂ってきているのか、散弾のほとんどは深和を捉えなかった。 次もそうなるとは限らない。 あなたは死ななければならない あなたは死ななければならない あなたは死ななければならない 「ねェ?」 あなたは死ななければならない 丈夫に作られていたはずの服は溶け、奈尾の上半身はほとんど露出していた。 焼けた肉と黒いどろどろの中に、白が見え隠れ。 斜め掛けにした鞄の肩紐も深く食い込み、骨が支えているようなものだった。 深和からはあまり見えないが、状態としては背中が一番酷い。 あなたは死ななければならない そんな状態にもかかわらず、これはまだ人の形を保って動いている。 (13) 2022/06/07(Tue) 10:10:08 |
ナオアキは、銃口を少し上へやり、引き金を引いた。 (a16) 2022/06/07(Tue) 10:10:32 |
【墓】 神の居ぬ間に弓を引こう マユミ>>7 >>8 >>9 >>10 叶 あなたの背か、胸か、腕か。 運び込む際に触れた場所に、少女の血が付着します。 それが血色の結晶になったりはしません。 ただぽたぽたと、水音だけを残して寝台に横たわります。 微かに開いていた唇は閉じられてなお微笑みの形で。 薄い透明な液が通った跡が残る目元は穏やかなまま。 死んだ人間はきっと、何も語らないから。 だから電気を消してしまえば、そこにはもう闇だけ。 日向のような明るさはすっかり、消えてしまいました。 それでも……もし、暗く塗り潰される想いの下に、 この少女の生命が残っていたのなら。 神というクソッタレ 運命 に向かって弓を引く、その誇らしげな顔が、 きっとあなたの隣に立っていたのでしょう。 だから、いつか陽がまた日が昇るのなら。 その時は、あなたと同じ日向に居させてくださいね。 それじゃあ、おやすみなさい、なのです。 (+5) 2022/06/07(Tue) 10:16:58 |
神の居ぬ間に弓を引こう マユミは、メモを貼った。 (c3) 2022/06/07(Tue) 10:27:38 |
【人】 トラジコメディ フカワチッ、と熱い何かがズボンや靴の端を掠めて、 バターでも抉ったみたいな跡をつけたのを感じる。 へへ、だの、ははだの、笑っちまったくらい濃厚な死の気配。 「いえ勿論!……重々、承知です、とも」 『ああああ当たる死ぬ?当たる嫌だ怖い当たる嫌』 実に手強い客だ。ここまで強情なのはいつ振りか。 ──そう、あくまでも映画のように劇のように。 無機質な散弾銃、劈く発砲音、異形と化した彼。 それらをひとつでも、確かな現実のものとして受け止めたら、 もうすぐにでも狂ってしまう。出来る限り俯瞰しなければ。 銃口が上を向いたのを見れば、及び腰で一歩ほど後退りを。 「申し訳ございません……何から何まで」 『こここ、こい、ここ、に、ここから、音の方』 背後の方から駆けてきた中型の実験動物を、 アンテナの柄でいなし、先ほどの銃声を頼りに飛び掛からせる。 狙いが外れたり逸れたり、それか盾になってくれたらいい。 痛みを増す頭は、寧ろ正気を保たせてくれて有難い。 (14) 2022/06/07(Tue) 10:52:49 |
フカワは、念の為アンテナを支えに低く屈む。ひぃい、と情けない悲鳴が溢れた。 (a17) 2022/06/07(Tue) 10:53:55 |
篝屋に来た カジヤマは、メモを貼った。 (a18) 2022/06/07(Tue) 11:59:45 |
【置】 猶大 ロクーーーー顔合わせに数刻遅れて会議室に向かう廊下。 単独行動であることに加えてまともに連絡も取り合っていないロクは、人が減っているだとか、銃声だとか、異変らしき事実にようやっと現実味を覚え始めていた。 ドロドロに溶けた人間だったらしいモノを踏みつけると、不快な粘着質な音を立てて散った。 無意識にシャットアウトした施設に蔓延する臭気も情報を得ようと意識した途端に吐き気を催しそうになる。 濃厚な血と腐敗した肉の絡みあったオブジェが放つそれは探さずとも至る所で目に入る。 「あ〜……メンドクサ。 こんなトコで死ンだ奴らはさぞかしお可哀想に。まぁでも?人間辞めちゃったら俗世の苦しみから解放されるのかね」 それはまるで神の齎す救済のように。 心から人が望んだ解脱のかたちなのかもしれない。 「アイツ、欲望に忠実だったからなぁ……昨日も会議室に来てなかったし、こうなると死んでる方がまだマシかもな」 もしそうだとしたら。 どうもしないのか。どうにかしたいのか。 考えるのも面倒だった。 (L3) 2022/06/07(Tue) 12:46:41 公開: 2022/06/07(Tue) 12:50:00 |
無明長夜 ヌイバリは、メモを貼った。 (a19) 2022/06/07(Tue) 12:54:53 |
【人】 氷肌玉骨を手に ナオアキ 銃弾を浴びながらも飛び掛かっての勢いそのままに近くまで来た一匹には、 避けながら鞄のペットボトルを一本投げつけてやった。 あなたは死ななければならない ぱしゃり、水が打ち付けられる、場違いに爽やかな音。 次いで崩れた肉と露わになった骨が落ちる鈍い音がして。 最後には溶け残りの蓋の奏でる軽い音が転がった。 あなたは死ななければならない あなたは死ななければならない かくん、頭は痛くて重くて持ち上げる気にならない。 傾いてそのままにされた。 あなたは死ななければならない 篝屋に使った騙し討ちのような手段は上手くいかないだろう。 今度は銃を捨てても近くへ寄れそうにない。 あなたは死ななければならない (15) 2022/06/07(Tue) 12:56:57 |
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