人狼物語 三日月国


205 【身内】いちごの国の三月うさぎ

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【人】 高野 景斗

[ この恩忘れません、別にそんな言葉が
 欲しかったわけじゃない。手を差し伸べたい
 気持ちがない訳では無いが、

 誰かと共に食事に来て、
 自分だけ食事をせずにいれば相手に無用な
 心配や不安を与えてしまう。

 その状況を作るために連れ出していた、
 それを知るものは既に、デビューを果たし
 テレビ、ラジオ、舞台の中だけの人間になっている。

 ――それでも時たま、感謝や弱音を口にする相手に
 自分を選ぶような後輩もいる、人への感謝を
 忘れない。それもまた業界人として成功するために
 必要な事だと思う。天狗になった瞬間に、

 その椅子は
音もなく
、消えていくものだ。 ]
(5) 2023/04/03(Mon) 14:27:02

【人】 高野 景斗

[ 午後、収録日にはラジオ局に向かい、
 当たり障りのないトークの中、
 しれっと、旬の食べ物の話題も出すが、
 それを選んで食べることはあまりない。

 週に一度から二度、あの店に顔を出す時以外は。

 仕事を終えれば、スタッフと共に、
 食事に向かう事もなくはないが、

 大抵は、自宅に戻るまでの間に
 スーパーやコンビニに寄り、出来合いを買って
 という生活だった。

 同じことの繰り返しで、恐ろしく早く歳を重ねて
 いるような気がしていた。

 それでも何かを変えようと思えるほどの、
 熱意も切っ掛けも、若さもないと、思い込んで
 ただだらりと、生きることを全うしていた。 ]
(6) 2023/04/03(Mon) 14:27:19

【人】 高野 景斗

[ そこに色を差したのが、あの日だ。

 味気ない日常にふっと湧いた悪戯心
 内緒話をするように、そっと顔を寄せて。
 名前を問われて、答えたあの日。

 あの日帰り際、良いものが見れたと
 そう言った。悪戯の行方のことではなかった事
 それは伝わらなくても当然のこと。

 良いものがみれた、
 君の良い顔がみれた

 そう伝えるには少し照れくささが勝ったものだから。


 差された色は目の覚めるような赤でも、青でも、
 黄色でもなく、黒に青が少し混じるような、
 
 優しい色。久しぶりに黒以外を見るには
 ちょうどいい、
優しい
色だった。 ]
(7) 2023/04/03(Mon) 14:28:10

【人】 高野 景斗

[ 味気ない日々に色が差したことに
 自分より先に、周りの人間が気づいた。

 なにかいいことあったんですか

 そう問われて不思議そうな表情を浮かべて
 自分で気づいてないんですかと笑われて

 例の企画のことでしょうなんて言われて
 そうだね、と曖昧に頷いて。

 自分で理由を探し当てるより、
 店に顔を出す頻度が増えたほうが、先だったが

 名前を教えて貰ったときには、理由にも
 心当たりができていた。 ]
(8) 2023/04/03(Mon) 14:28:29

【人】 高野 景斗

[ 会うたびに一つ知り、二つ知りたくなり。
 よそ行きの顔ができなくなって。

 会わない日々を数えるようになり
 気持ちが抑えきれなくなって。

 撥ね付けられる事がないから
 欲に際限がなくなって。

 二人で過ごすことのできる日々が増えて
 好きと伝えてもいい関係になっても
 思いは尽きるどころか、増す一方で。

 今日もまた、知らない事を一つ埋めて
 ほくそ笑んで。 ]
(9) 2023/04/03(Mon) 14:28:49
[ 朝食を済ませ、合流までの時間。
 外を散歩しようと言い出したのはどちらだったか。

 川のせせらぎに混じって少し遠くに、
 水の流れる音がする。

 自分たちの居室の他にも部屋に備え付けの
 温泉からか、それとも足を踏み入れる
 ことがなかった家族風呂や、大浴場の方か。 ]

 蛍って見たことある?
 随分昔に、祖父の家で一度だけ
 見たことがあるんだけど、

 夏はそういうとこに行けたらいいなって。

[ 約束を口にすることへの戸惑いや罪悪感を
 消してくれたのも、君だったから。

 なんて大げさな理由なんか、いらない。
 ただ君と、見たことのないものを、一緒に見たいだけ。

 これが最後ではなく、これが最初なのだから。
 これから何度だって、そういう機会は作れるのだ。 ]

【人】 高野 景斗

[ 旅行から帰った後の日常。
 一年前と比べれば、全く違うが、ここ最近と
 銘打てば、そう変わりはない日々だった。

 アラームの音で目が覚める。
 昨晩も遅くの帰宅になったが、作り置きの
 おかずと、タイマー機能で炊いた米、
 春キャベツはレンジで軽く熱を加えて
 塩昆布とごま油で和えて。

 ゆっくり食事を楽しんだ後、入浴して
 眠りについて。

 目が覚めたら、炭酸水を流し込んで
 体と脳に覚醒を促して、コーヒーマシンの
 スイッチを入れ、トースターにパンを押し込み
 顔を洗って、歯を磨いて、昨晩の残りと
 マーガリン、いちごのジャム、を塗ったパン、
 粉末のスープ、で軽い朝食を取り、出社する。

 通勤ルートの途中のパン屋には、
 帰りによく寄るようになった。
 ここの食パン、彼も気に入っているから。
 明日の朝食は、これに決まりだ。 ]
(10) 2023/04/03(Mon) 14:30:12

【人】 高野 景斗

[ 翌日は休みだと連絡を取り合って
 彼を迎えにいく事にも、随分慣れた。

 
――従姉妹殿の、あたたかい目線にも。


 寝坊しても構わない日の前の晩、
 提案を受け、少し考えるように顎に手をやり ]

 唐突だね?
 いくつかあるけど、特にこれってのは
 決めてないな。

 君が見立ててくれるの?
 じゃ、君のは俺が見立てようかな。

[ 君の場合は職業柄、仕事中に使うことはないだろうけど
 まず間違いなく、その香りに触れる回数は、
 自分が一番多いと自負しているし。

 自分が使うとしても、相手もそうなるだろうから
 君が見立てる、なら少なくとも君にとって
 良いと思えるものを選んでくれるだろう。

 長く使えるようにオーダーメイドにするのも
 良いかもしれない。 ]
(11) 2023/04/03(Mon) 14:30:39

【人】 高野 景斗

[ 君が家に泊まる時、
 浴室から出てきた時なんか特に、

 自分と同じシャンプーの香りがしたりして
 密かに、どきっとしているのは、

 まだ言っていない。伝わってはいそうだが。

 なにせ浴室から出てきた後、
 必ず、短い時間でも、ぎゅうと抱きしめているので。

 そんな君が、俺の選んだフレグランスを纏う
 というの、なんだかとても、らしいことをしているように
 見えて、胸が踊ったものだから、

 乗り気、という返事をして。* ]
(12) 2023/04/03(Mon) 14:31:01

【人】 高野 景斗

[ 人は一人で死ぬものだ。 
 その考え方自体は大きく変わっていない。

 無理心中したところで、その死体が
 引き上げられたら、個と個で。

 同じ棺に入ることも、なければ
 あちらで再会できる保証も一つもない。

 だから、
ひとりでいい


 だから、ひとりが
こわい


 相反する思いはいつまで経っても
 解決することはない。それでも、その声が
 その存在が、怖さを消し去るほどの愛しさを
 教えてくれるから。 ]
(24) 2023/04/03(Mon) 22:48:40

【人】 高野 景斗

[ これまでに何度か、自宅で過ごしているところ
 掛かってきた電話に出ることがあった。

 どこで目にしたのか、あの厳格な父が
 MVの話題を出し、開口一番、

 "姿勢が悪い"と言うものだから、笑ってしまった

 あれは撮影だからどうしたって見栄えが重視される
 だとか、散々っぱら話したあとで、父は

 "ちゃんと食べているのか 困っていないか"と
 そう口にした。実に7年ぶりに会話したのを
 それを聞いて、思い出したくらいだ。

 ちゃんと食べている、生きている。
 そう伝えた後、入院している時
 意地を張らずに顔を見に行けばよかったと
 父母二人共えらく後悔したんだと聞かされて

 近いうち、顔を出すと約束したときも、
 彼はすぐ近くで見守るようにしてくれていたか。 ]
(25) 2023/04/03(Mon) 22:49:20

【人】 高野 景斗

[ 料理を覚えたと言えば、野菜を送ってくるようになったし
 母は"連れてきて"とうるさくなった。

 何一つ伝えてはいないのだが、
 察するものがあるらしい。

 フレグランスの話をしていた時だったか
 その後の話だったか。

 夏には蛍を、その話を覚えてくれていたのか
 彼の方から、祖父の家の近くが良いと
 言われ、僅か思案するような顔をした後 ]

 嫌じゃなければ、祖父母の家に行かない?
 だだっ広いだけが取り柄みたいな家だから。
(26) 2023/04/03(Mon) 22:49:48

【人】 高野 景斗

[ そう口にした。否と言われれば近場に
 宿のあてはいくらでもあると告げるだろうが。

 ――そもそも、こそこそと隠れなければ
 いけない事も、ないと思って。

 世間的には冷ややかな目を浴びることも
 あるのだろうと理解はしているつもりだが。 ]

 爺さんも婆さんも、孫には甘いから。
 稽古の時以外はね。

[ 彼のおかげで、ひとりではなくなったのに
 それをひた隠しにしなければと考えること自体
 少し我慢ならない所もあって。

 ――とはいえ、父母、祖父母世代には
 デリケートな問題かもしれないけれど。

 話してもいい?と聞き、許可を貰えたなら
 父母には話してしまうつもりでいた。 ]
(27) 2023/04/03(Mon) 22:50:07

【人】 高野 景斗

[ 共に休みの日、出かけることも
 少しはあるが、大掛かりな買い物、は
 これまであまりなかったと思う。

 要所要所、販売員の手を借りながら
 選ばれたそれは、勝負の時にも
 大いに役に立った、と言える。

 大晦日、父母には出演の話はしてあるから
 祖父母もきっと、テレビにかじりついていることだろう。

 舞台袖から電話を掛けて、
 声と愛をねだり、受け取った後。

 一歩踏み出すその時にも、
 その香りが背を押してくれた。

 黒のボトル、その香りの名は「英雄」

 卒業するには、うってつけと言えるだろう。
 君の思いを背に、その席を自ら、蹴り壊すには
 似合いすぎるくらいだった。 ]
(28) 2023/04/03(Mon) 22:50:40

【人】 高野 景斗

[ 出会って、二度目の春を前に、
 冷蔵庫の中には、取り寄せた苺が
 冷えている。

 フレグランスを買いに行った日、
 ついでに、と食器やグラス、カップ等も
 買い漁って。

 今ではこの部屋には二人分のモノが、溢れている。
 
 その日も、その香りに助けられたと言える。
 言葉は淀みなく、零れていたとしても、
 言葉通り、緊張はしていたから。

 夏か近づいた帰り道、
 もうすぐ、夏ですねと次の季節を
 なんでもないことのように言う君が居た。

 夏が逝く前、
 すべてが夢だったと思わされるような
 悪夢に魘されて、冷えた手を、
 救い出すように握ってくれた君が居た。 ]
(29) 2023/04/03(Mon) 22:51:10

【人】 高野 景斗

[ 君に会える特別な日々から、
 君がいる、当たり前の毎日へ変わりゆく頃

 告げた言葉を、告げられた言葉を、
 生涯、忘れることはないだろう

 一つ前の季節を思い出す、
 そのなんでもない日にも、

 
の隣には、愛する
がいる――。** ]
(30) 2023/04/03(Mon) 22:51:34

【人】 高野 景斗

[ ――コスチュームプレイを含む
 アブノーマルなプレイについて。

 自分は興味などない方、だと思っている節がある。

 節がある、というか。あった、が正しい。

 同性同士のカップルだと、オーラルセックスで
 十分に幸せだ、という人たちがいるらしい。
 実際そういう人たちの体験記などを拝見して、
 初夜に望んだ身である。

 望まれれば望まれるように振る舞うことが
 できる、くらいに認識していた自分の性欲。

 貪欲だったのだと気づかせたのは、
 ほんの少し年下の、恋人。 ]
(31) 2023/04/03(Mon) 23:18:32

【人】 高野 景斗

 ……何も言わないで。

[ とある日のこと。別にそうと決めているわけでは
 ないが、翌日が休み、という時に彼は良く
 泊まりに来るし、こちらも誘う事が多い。
 互い期待している事はなんとはなしに、感じ取るから
 やはりそういう日は、色々な事が念入りになる。
 
 そして浴室から出てきた彼に対し、
 何も言わないで、であるから、不思議そうな
 顔をされたとしても、致し方なく。

 おずおずと差し出したのは、新品、
 洗濯済み、のブルーストライプ柄のエプロン。 ]
(32) 2023/04/03(Mon) 23:19:04

【人】 高野 景斗

[ 調理する際に使うものについては、
 彼の好みを聞いた上で、キッチンの近くに
 二着、用意してある。

 この頃は自分も使うことが在るもので。

 ではなぜ、新品かと言うと。 ]
(33) 2023/04/03(Mon) 23:19:15

【人】 高野 景斗

 ……これ、着けた君と、したくて。

[ そういうこと、である。

 痛みを伴うようなアブノーマルなプレイは
 好まず。コスチュームプレイとて、
 見れば見たで興奮するかもしれないという
 思いはあっても、提案まではしたことがない。

 ただこれだけは、別といえば別、で。
 一生懸命働いているだけの君に、
 覚えてしまった欲もある。

 仕事している君に不埒なことをしたいなどと
 呆れられても仕方がないが、
 この所、そういった欲は素直に口にしているもので。* ]
(34) 2023/04/03(Mon) 23:19:26
[――――これは余談の、蜜月の話。

 
 翌日の休みが合えばいつもの流れで
 彼の家に尋ねることになり、その日も。

 少し遅めに帰宅した後、
 二人で珈琲を飲んで休憩を入れて、
 先に風呂を促されたので、遠慮なく汗を流しに向かった。

 泊まる日に、何もしないで抱き合って眠る日もあれば、
 互いにどちらともなく熱を求める日もあった。

 そういう"準備"をするのは、出来るだけ。
 彼には見つからないように密かに浴室で済ませることも
 度々、あって。]


  …………、


[今日も後ろに伸びていった手は、
 相変わらずぎこちないまま、自分の身体を解す為に、動く。]

[『俺で勃つのか?』という考えは、
 以前にもあったけれど、これもまた。

 『俺で興奮するのか?』という疑問符はあれど。
 求められていることは把握してしまった。

 エプロンと彼の前にしゃがみこんで、
 エプロンを拾い上げた後、布面積の大きさを確認しながら。

 少し、躊躇い。]


  ……服の、上からで、いいなら。



[ぽつ、とこちらも零すように返した。

 さすがにエプロンだけを身に纏うのは恥ずかしいが過ぎる。
 ……し、料理人の手前、
 どうしてもエプロンというものが意識的に制御をかける。]

[そうして、立ち上がったなら用意された
 エプロンを拡げ、頭から被って後ろ手にリボンを括る。

 エプロンの裾より少し短い丈のパンツが前掛けに隠れるが、
 上はTシャツの上に胸当てをつけるという、
 何ら不思議はない、エプロンの形。

 女性のように胸の膨らみもない。
 それでも気のせいか、最近胸筋周りが
 肉付きがよくなってきている気はするけれど。


 汚れのない、何の変哲もないエプロンを装着して。
 くるりと、半身を回して。背中側を見せれば、
 後ろはリボンだけで少しずり上がったハーフパンツと、
 Tシャツが覗いているだろうか。]


  ……これで、い?


[首だけを後ろに向けて、彼の様子を伺いながら、
 これから、いたします。というのなんだか少し恥ずかしい。*]

【人】 高野 景斗

[ セルフで準備をしていると知っていたら
 ほぐす事から任せてほしいのにと唇を尖らせる
 事もあったかもしれない。

 が、羞恥を煽りすぎてもいけないし
 本人が気づかないで欲しいようなそぶりを
 するので、そちらには気づかないふりを
 することにしている。

 ――そうすると、彼の方からお誘いが
 掛かることもあるので嬉しい時もあるわけで。

 差し出されたそれ、自分に?と問われる
 言葉に小さく頷いて。

 一瞬、理解できないという顔をされたら
 ですよね、って表情を返したことだろう。

 それでも瞬きいくつか分で、
 したいこと、言いたいことは、伝わっただろう。

 タオルで隠された顔が、ほんのりと赤い。 ]
(41) 2023/04/04(Tue) 0:19:33

【人】 高野 景斗

 うん それで、いいです。

[ 求めていることを正確に把握した君が
 少し躊躇いながら、ぽつ、と返事を寄越して。

 躊躇いの中、職業上身につけるものを
 汚すような事をする、ことに対して
 思うこともあるのだろう。

 でもそれ、もう三十回ほど、俺も自問自答
 しているので。口は挟まないし、
 心を決めてくれたなら遠慮をするつもりもなく。

 身につけるまでの間、見ないふりを
 しつつ視界に入る、手慣れた身に付け方に
 ぞくぞくする。

 そう、これまできっと数え切れないほど、 
 それを身に着けて、自分にもそれ以外の
 人たちにも料理を振る舞って、幸せに
 してきたはずだ。 ]
(42) 2023/04/04(Tue) 0:19:46
[ その姿を今から、自分が
 欲望の赴くままに、汚すのだ。

 理想が期待になり、
 期待が現実に変わった瞬間、

 ギラついた視線が、君の全身を舐める。 ]

 あぁぁ……… やばい、予想以上、………

[ 様子を伺うようにされて、
 たった二歩の距離を焦るように詰めて。

 ぎゅう、と後ろから抱き締めた。 ]

 
もう、勃ってる……


[ 抱きしめればゆるりと、どころか
 ぐわっと、熱を蓄え始めてるそれが、
 体に当たる。当たれば、どうしたって
 気づかれてしまうだろうから、口に出して。 ]

 すごい、興奮する……

[ 今夜、寝られなくても諦めて欲しい。
 明日は休みで仕事もない、昼まで寝てても
 構わないから。

 ぴたりと隙間なく、抱き締めたなら
 興奮気味に、熱い息を、聞かせながら
 悪い手が、するりと、Tシャツと肌の間に
 割り込んでいく。* ]

[エプロンを身に纏うのにそう時間は掛からない。
 たった布一枚、紐で結んで留めるだけ。
 それがキッチンのあらゆる助けになることを知っている。

 後ろ手に紐を結んでいるとき、
 ふと視界の端でそわそわしている姿に苦笑を零して、
 そこまで期待されていると、完成度の低さに、
 笑われてしまうかなと思ったものだったけど。

 いざ、お披露目するように半身を翻せば、
 想像以上に色欲の色の付いた目を向けられて、
 少し、ドキリと心臓が跳ねた。

 時折見せる堪えきれないような雄の顔に、
 これまでも何度、狼狽えさせられたことか。

 下から這い上がるように向けられる視線が、
 身体の隅々まで、見られているようで。]


  ……いつも通り、ですけ、どっ……


[普段通りを装うとして、手を伸ばされ、
 後ろから抱き竦められたら勢いに、語尾が跳ねた。]

[ぎゅう、と隙間なく抱き込まれて。
 意識せずとも腰元に硬いものが当たる。

 抱きしめられている分、身動きが取れなくて。
 興奮して掠れた声が、耳朶にちょうど当たって。]


  ……ンッ、 ……、


[それだけでぞく、と期待に身が甘く震えた。
 とくとくと、早まっていく心臓が収まらない。
 
 前に回った腕に、そっと手を添えて。
 もう一度、改めて後ろを振り向いたら、
 首を向けた先に、溜息を漏らす彼の顔があって。]