148 霧の夜、惑え酒場のタランテラ
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| (3) 2022/05/23(Mon) 0:39:05 |
| 『 知っている?一匹の蝶の羽搏きは 何処かで竜巻になるかもしれない、なんて。 私はね、フィーが力を持っていて よかったと思っているの。 貴女なら、正しい選択をできる筈よ。』 (4) 2022/05/23(Mon) 0:39:45 |
| それはいつかに聞かせてもらった話。 セシリーは聡明な人だった。 私よりずっと魔法にたけていて 知識も人一倍持っている勉強家で。 私にも色々なことを教えてくれた。 一方で私が使える魔法は少ないし。 覚えも悪くて、愚図だった。 例えば、建物にかけられた魔法を 感知することは私には出来ないし。 >>0:436 その魔法の原理も理解できない。 持っているのは、未来を視る力。それだけ。 この力をセシリーが持っていれば完璧だったのに。 聡明なセシリーにあったなら、 もっと……なんて、言われていた。 里の皆がそう陰で囁いていたのを私は知っていた。 どうあがいても努力では才能にかなわないことも。 出来損ないが、力だけを手に入れてしまったことも。 (5) 2022/05/23(Mon) 0:41:52 |
| それでも私は―――――。 だから、私は―――――。 セシリーのことが好きだった。 セシリーのことが嫌いだった。 (6) 2022/05/23(Mon) 0:42:47 |
| 私が生まれなければよかったと。 姉を見ていると、思ってしまうから。 でも、 尊敬だってしていたし、 セシリーの妹でよかった、とも。 「ねぇ、セシリー。 貴女は……恨んでる? 知っていながら見殺しにした私を。 出来損ないの預言者の私を。」 里の外へと出かける用事があると言って 出かけて行ったセシリー。 私は、彼女が死ぬことを知っていた。 それなのに……。 見殺しに、してしまったのは―――――。* (7) 2022/05/23(Mon) 0:44:30 |
| (a1) 2022/05/23(Mon) 0:53:27 |
| (85) 2022/05/23(Mon) 19:05:22 |
| 未来なんて、見たくなかった。 せめて、何も考えずに、 盲目的に姉を守るだけの妹になれていたら…。 私は利口なんかじゃない。 利口じゃないくせに、利口になろうとしたから…。 (86) 2022/05/23(Mon) 19:06:26 |
| 今も残る 未練 に 何も語らない死者の想いの憶測に 私は 踊 らされている。 (87) 2022/05/23(Mon) 19:07:20 |
| ―― 霧夜の酒場 ―― 夢を見ていた。 変えられなかった未来の、夢。
守れなかった明日の、夢。 (88) 2022/05/23(Mon) 19:07:45 |
| 自室に戻って、いつの間にか寝てしまって 気づけば夜。…… 霧 の深い夜。 何故か濡れている頬を拭うと、 立ち上がる。 元々、行って見たいと思っていたし 行く理由だってあるから、迷わず外へと。 女性が独り歩きするには少し遅い時間だけど そんなことは気にしなかった。 こんな夜に出歩く人は少ないはずだから。 あの時髪に飾られた バラ を手に歩き出した。 >>0:395 (89) 2022/05/23(Mon) 19:08:28 |
| 町を照らしているはずの明かりは 今日は頼りにならない。 >>n0 それでも、昼に行っていたからか 酒場近くまで…導くように並ぶ街灯までは 迷わずに行くことが出来た。 街灯の列と共に見えるのは見覚えのある花弁で。 道標を辿るように歩いて出会うのは 胸元にバラを飾った青年。 >>69 思わず手の中のバラと見比べてしまった。 (90) 2022/05/23(Mon) 19:10:14 |
|
「もしかして…昼間の、人?」
持っていたバラを差し出すように見せて 問いかけたら、なんて返ってきたかな。
(91) 2022/05/23(Mon) 19:10:49 |
| 「昼間はその……失礼しました……。」 どちらにせよ、ぺこりと頭を下げて 石を投げたことを謝った。 それから、落ち着かなさそうに辺りを見て 何かを探すような素振りをして。 店に入ればいいのだけど 落とし物がまだ落ちたままなら 拾っておこうと思ったから、すぐには入らなかった。 そうやってもたもたしていたから 多分、私が酒場に入ったのは 他の人たちと比べたら遅かったはず。 >>80>>84 見つからなさそうなら 一度店内に入ろうとは思っていたけれど。* (92) 2022/05/23(Mon) 19:12:50 |
― 三年前 ―
頼む! 俺の娘が病にかかったんだ!
金ならある!
頼むから薬をくれ!
……材料が切れている?
それで今ギルドに依頼が出ている?
分かった、俺が行って来る!
[家を買う為に貯めた金を惜しみなく、医者の目の前に差し出しながら必死に縋った。
その日は少し危険な依頼に身を投じていた。帰って、アイシャの様子を知った時にはもうあちこちボロボロで、魔力も大分なくなっていた。
それでも、迷わなかった。
出立前に彼女の顔を見に行って、手を握りしめた。
彼女は凄い発熱をしていて
息も荒く、こっちを呆けた視線で見た。]
……アイシャ、ダメな父親で
ゴメンな、いつも、
いつも……
[泣きそうになる父の手を、娘はぎゅうと握った。
そうして首を振って笑った。]
「ううん、お父さんは……駄目じゃない、よ
私の、自慢の……お父さん。
お父さんだけは、私を見捨て、なかった…
ありがとう……無理しないで……ね」
[涙が零れた。]
誓う。
何があってもアイシャ、俺はお前を守る。
[そう言えば、娘は安心したように目を閉じた。
覚悟は決まった。]
[ギルドで依頼を受け、男は飛び出した。
ギルドで彼を見かけられたこれが、最期の姿である。
その薬草がある地帯は暗くなると危険だ。
それでも、身を隠し、ギリギリの魔力を駆使して敵の足だけ削る等々工夫して先に進んだ。
崖が近くにある薬草地帯。
目的の物を焦りながら探した。
探すために使わざるを得れないライトの魔力分の体力が減るのすら鬱陶しい。]
……頼む、頼む……あってくれ!!
アイシャが、あいつが危ないんだよ!
[半分泣きそうになりながら必死にかき分けた。
その前から残ってる傷に
途中で受けた攻撃から流れる血。
手は土まみれ。
顔は涙でぐしゃぐしゃ。
それを両手で叩いて落ち着け、と
自分をコントロールしようとする。
探す事暫し。それは運よく見つかった。]
……あった。
これがあれば……!
[その流行り病は対処方がもう見つかっていた。
薬さえあれば治る。元気になる。
気が抜けそうになるのを首を振って叱咤した。]
[ 荒い息がどんどん乱れる。
体のあちこちから流れ出る血が
体をどんどん死に追いやって。
それでも、歩みを止めない。
帰らなければならない。必ず。
約束したのだから!!!
]
なぁ、破滅をもたらす程のイイ女ってさ
どうしてタイミングに
恵まれているんだろうなぁ。
本当に、さ *
[ 青薔薇が導き
蝶が光となって幻想的に舞い
出迎えの挨拶と鼻をくすぐる食べ物の匂い
ここが霧の夜にだけ開く噂の酒場
噂を知っているのなら。
当然知っているだろう。
立ち寄ればどうなるかを。
どうして引き留める人がいるのかを
足を踏み入れたら
どうなっても知らねぇぞ
]
[ 霧の深い夜は全てを覆い隠すように
辺りを染める。
その中でも光る街灯に違和感はないか?
その先に進んで大丈夫か?
ほら、聞こえるだろう
導く者の声が……
ど
こ
か
ら
と
も
な
く
。
]
| (a20) 2022/05/23(Mon) 22:26:35 |
| 青年に諭されて素直に頷いた。 >>138 真面目なのかな、とこの時は思ったから 「それって、貴方の事?」 大切だと思っているのは貴方も入るのか、と。 聞きつつ、あまり謝り続けても反応に困るだけ、 そう思って、この話は打ち切った。 (201) 2022/05/24(Tue) 10:41:55 |
| 言わなかったのではない。 言えなかったのだ。 >>141 言えば、劣等感を募らせることを、 自身と比べてしまうことを、知っていたから。 姉は妹の考えていることを知っていて だからこそ伝えたくてもそれはできず。 何より、知らない方が幸せなことも この世にはあるのだと。 彼女は知っているから。 (202) 2022/05/24(Tue) 10:45:12 |
| 探していたものを宙に出されて 目を丸くした。 正しく探していたものだったから。 こくり、と頷いて。 大切なもの、という言葉に >>143 寂し気に、 バツが悪そうに 目を細める。 本当に大切にしているのなら 肌身離さず身に着けているようなものだから。 宙に浮くブレスレットに手を伸ばすけれど ……届かない。 背伸びして思いっきり手を伸ばしても 届かなくて、 なんで? と言いたげに 青年の方をみたわけだけど。 (203) 2022/05/24(Tue) 10:47:22 |
| 「……私は小さなお嬢さんって 呼ばれるような年じゃない!
私は……フィアンメッタ。」
(204) 2022/05/24(Tue) 10:48:14 |
| 小さなお嬢さん、って子ども扱いされてるように 感じてしまったものだから。 あぁ、でも昼間のこととか考えると 子ども扱いされても文句は言えないか、と 思ったから抗議は控えめに。 (205) 2022/05/24(Tue) 10:48:57 |
| そんな反論は流されたか、それとも? ブレスレットを頭に乗せられて 落とさないように慌てて手で押さえて 落とし物は私の手に戻ってきた。
さてはこの人、真面目じゃないな? イタズラっぽい笑みを不服そうに見ながら
「……少なくともゴーストさんは イタズラ好きってことは知れたかな。」
そう言って。 今度こそ、案内されるままに店に入ったのだった。*
(206) 2022/05/24(Tue) 10:49:49 |
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