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【赤】 従業員 ルミ──────そ、れは [ すぐさま反論を紡げずに、掌を握り締める。 そうだ、自分は彼を傷付けたかった。 夢の中で一方的に会い続けることより 傷の先で思い出して貰うために。 この際、目的が完遂出来ないなら 頬の痛みでもなんでも良いはずではないのか。 ] ……ッは、 忘れてたのに……忘れてるのに わたしのままなんて、よく言えるね、お兄さん [ 視線が交わる。過去と今が交差する。 ] (*93) 2024/05/09(Thu) 21:28:19 |
【赤】 従業員 ルミ[ ぜえ、と肩で大きく息を吸った。 掴まれた腕を振り解こうと、──振り上げようと 動かしかけて、力を抜いて、また勢いに任せようとして ──繰り返すたびに喉を掻き毟って死にたくなる。 ここで首でも絞めてやれば。 彼には一生忘れられない記憶として残るだろうか。 ここで頬でも殴ってやれたなら。 みっともなく縋り続けていた過去を全部捨ててでも、 目的を成せる存在だったら。 ] ──────……、わから なぃ、 [ まるで破れたページを継ぎはぐように。 細切れで、強張った話し方だった。 妙に冷静な頭が、彼の問いかけの答えを探している ] (*94) 2024/05/09(Thu) 21:28:26 |
【赤】 従業員 ルミわたしには、これしか出来なかっただけ ……こうするしかないって、おもった、だけ お兄さんのこと探して、調べて 昔の断片を見つけて………… お兄さんはわたしがいなくたって楽しそうで わたしは、昔のお兄さんしか、いなくて。 思い知れば、傷付ける覚悟が出来るって思った、の ──────……そうすればもう、 [ あの公園に行かなくて済んだんだよ。 楽しかった過去を、本当は美しいだけの思い出を、 綺麗なまま封じ込めて死ねたんだ。 ] (*95) 2024/05/09(Thu) 21:28:41 |
【赤】 従業員 ルミ実るわけないこの馬鹿みたいな恋を 叶えたがってる自分を殺せると思ったから……… [ 執着なのか偏執なのか刷り込みなのか。 誰に何を説かれたって響かない。 わたしにとってはこれが、わたしの恋。 これが恋ではないなら愛なのだろう。 愛ではないなら、 そう思う人の方がおかしくって、恋を知らない。 ] (*96) 2024/05/09(Thu) 21:29:35 |
【赤】 従業員 ルミ…………べつに、あのまま続けてたとして お兄さんを子どもで縛ろうなんて気はなかったよ。 アフターピル……避妊薬持ってるから、それ飲んで。 明日から実家、帰るんでしょ。 さっきスマホのパスワードは盗み見ておいたから 実家にお兄さんのフリして、帰らないって連絡して。 長期休暇の間だけ、この家にいてもらう気だったの ──それで……何をしても、どうなっても、 わたしを忘れられないくらい傷付けてやろうとしただけ [ 犯罪だよね。そんなのも覚悟の上だよ。 言って、わたしは飾られたブランドバッグを見た。 もう連絡も絶えた昔の客からのプレゼント。 売れば高い値段がつくような代物。 可視化されたわたしの価値。 ] (*97) 2024/05/09(Thu) 21:30:10 |
【赤】 従業員 ルミ[ お兄さんの痛いのを食べてあげるね、と笑った子どもは 今や呑み込めないほどの傷を付けたがる化物だ。 ] そしたら、逮捕とかされるのかなって。 慰謝料とかの準備もしたし。 もしあれを見てお兄さんが利用価値を持ってくれたら、 それでもいいなって思ってた。 そういうのも含めて、いっぱい働いて ……頑張ったんだけど。 [ 現実は、想像のように上手くはいってくれないか。 自分で自分を殴った彼を見ただけで 怪我を心配してしまう甘さも弱さも抜けていない。 ────昔なら、 ] (*98) 2024/05/09(Thu) 21:30:30 |
【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩だって、いたいって泣いちゃうより たのしいってわらうほうが、しあわせだもんね! わたしもみんなも、お兄さんも! (-33) 2024/05/09(Thu) 21:30:55 |
【赤】 従業員 ルミ[ 息を吐く。 なりたかったものは、愚かにも見た夢は。 なれなかったものならよく知ってる。 昔の記憶に置き去りのままの幼いわたし。 痛みも食べてあげると息まいた世間知らず。 ] ……薬が抜ける間の時間稼ぎにはなったんじゃない? ほら、もう良いでしょ だまされてあげるから ……さっさと離してよ、お兄さん [ 今ならまだ、間に合うよ。 妙な同情心でも湧いちゃった? やっぱり嫌になったでしょう? それでも今なら許してあげるから。* ] (*99) 2024/05/09(Thu) 21:37:09 |
【赤】 従業員 ルミ[ 美化され続ける思い出と、 色褪せて消える思い出の違いはなんだろう。 失った過去は二度と手に入らないが故にうつくしく、 苦しい記憶を経てきたと思い難い防御本能故に ある程度の痛みならば無かったことになる。 狩人はどうして白雪姫を助けたのか。 見返りも求めずに? 憐憫のただひとつだけ? ────狩人に恋すれば白雪姫は死なずに済んだのに。 りんごは落ちない。 死ぬ" かもしれない "未来から助けたひとよりも 既に骸となった自分を救った王子を選んだ姫。 どうして死して尚、 狩人の救済の尊さを覚えなかったのか。 説明がつかないことを、恋と呼ぶ。 ] (*105) 2024/05/09(Thu) 23:03:04 |
【赤】 従業員 ルミ……終われそう、じゃないの 終わらせるの────お兄さんを好きな気持ちごと。 全部、この家で あの公園を見れる場所で、思い出すら消えるくらいに。 [ 随分と口も回るようになったらしい。 あの薬は効果こそ覿面だったけれど、 害さぬよう与えるとなれば時間はこんなものか。 ] ……幻滅できるなら、とっくにしてる。 [ 貴方が見知らぬ女を抱いた日に。 わたしを忘れて楽しく毎日を過ごす様子に。 所詮そんなものか、と手離せる愛ならそうしてる。 出来やしないから、心ごと殺すんだ。 ] (*106) 2024/05/09(Thu) 23:03:08 |
【赤】 従業員 ルミ[ ぱち、と目が瞬く。 ] …………ああ。そっか。 わたし、目的を達成した後の自分のこととか あんまり考えてなかったや。 心を殺せば、自分は死ぬのと同じだと思ってた。 お兄さんには、与えた傷と一緒に生きて貰う為に お金を渡すしかないと思って、慰謝料、用意したの どうせ生きてる意味もないなら いつ死んだって同じだし──── [ 新しい発見を得たというように頷いた。 言うことを聞かないなら死ぬと脅した時はただ、 善良な人間なら 目の前で人が死ぬのは嫌だろうと思ったのだ。 そこに期待がなかったといえば、嘘になるけれど ] (*107) 2024/05/09(Thu) 23:03:37 |
【赤】 従業員 ルミそっかぁ いつ死んでも同じなら、逮捕とか待たなくて良いよね。 ……でも、生きてれば お兄さんはずっとわたしに怯えてくれるかな? [ " 今の "彼を分析できるほど、彼を知らない。 とにかくこの恋を終わらせるために必死だった。 恋を終わらせて、傷の中で会い続ける。 わたしは貴方の傷になって生きていく。 ────新しい世界を知った子どものような声で、 独り言のように言葉を零して。 ] (*108) 2024/05/09(Thu) 23:05:13 |
【赤】 従業員 ルミ──────…… なんで、そんなこと聞くの? 答えたら叶えてくれるっていうの? ばぁか。 なりたいものなんか、……わたしの願いなんて お兄さんにとって、ずっと────…… (*109) 2024/05/09(Thu) 23:05:19 |
【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩えへへ、おとなになったらねぇ けっこん? おつきあい…? ……つき……? ……そしたらずっといっしょにいられるんだってー! おいしいのかなー。たべもの? よくわかんないけど、おっきくなったら ルミとたべようね、おつきさま! (-41) 2024/05/09(Thu) 23:06:08 |
【赤】 従業員 ルミ…………ひどいね、お兄さんって 叶わないこと言わせてどうするの? それが仕返しのつもり? 好きって、あいしてるって言ったでしょう ……わたしがなりたかったのは、 (*112) 2024/05/09(Thu) 23:06:20 |
【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩……あ、でも、ルミしってるよ! こいびとどうしじゃないと、けっこんできないの! しょうらいのゆめ、それにする! (-42) 2024/05/09(Thu) 23:09:10 |
【赤】 従業員 ルミ………………これ以外の方法なんか、しらない わたしは、新しいふたりで始めたかったわけじゃない わたしと、お兄さんで、……そうなりたかった [ ほら。もうこれでいいでしょう。 叶わなかった夢を語るほど、苦しいこともないのに。 ひどいひと。 今も昔も、──わたしの柔いところを刺し続ける。 ] (*115) 2024/05/09(Thu) 23:12:20 |
【赤】 従業員 ルミ答えたんだから、今度こそ離してよ。 どうせもう動けるんでしょう。 ……いじわるだね、お兄さん。 [ そんなところもやっぱり嫌いになれなくて、 わたしは ぐ、と腕に力を込めた。* ] (*116) 2024/05/09(Thu) 23:13:47 |
【赤】 従業員 ルミ[ 騙しても犯しても傷付けても手にしたかった。 恋が実にならずに落ちるだけなら、 愛が返ってこずに抱えるだけなら。 責めて詰って喚いて足掻いて 忘れ去られる透明な存在になってしまうのではなく 思い出さずとも痛む傷になりたかった。 その後自分が生きるか死ぬかなんてこと、 心の底からどうでもよくて。 積年の恋を殺して執着を埋めてしまったら わたしはわたしじゃなくなるから。 いっそ本当に目の前で死んでやる方が 深い心の傷になれただろうか。 ] (*122) 2024/05/10(Fri) 18:57:56 |
【赤】 従業員 ルミ[ 抉らなければ傷は治る。 その言葉が出てくる時点できっと、 生涯の傷にはなれなかったのだろう。 ] 責任…… ……責任、じゃ、ない わたしの責任を取って欲しいんだったら それこそ子どもでも作って縛ってる。 …………好きだから、忘れて欲しくないから こうするしかなかっただけ…… [ いや、それもある意味責任のひとつなのか。 貴方が好きで忘れられたことが悲しくて、 こうするしかなかった責任を取って 傷付いてくださいと言うようなものかもしれない。 結局安易で安直だった子どもの計画は、 そうやって穴だらけのまま終幕を、 ] (*123) 2024/05/10(Fri) 18:58:30 |
【赤】 従業員 ルミ[ おしまいを迎え──── ] ………………? ……………………ずっと生きて お兄さんに突きつけ…… 罪を突きつけられるべきは、わたし、じゃ…? [ 理解出来ずに数瞬固まって、 俺に罪を突きつければという言葉を飲み込み 今度は戸惑いながら首を傾ぐ。 脳内処理が追いつかない時にぎこちなくなるのは 幼い頃から変わらない癖だった。 罪には罰が伴うもの。 わたしの罪への罰はこの恋を殺すこと。 彼の忘却が罪だと言うのならば、 その罰は今与えられているのでは無いか。 探るように彼の目を覗き込んだ。 未だなお恋に囚われた亡霊のままで。 ] (*124) 2024/05/10(Fri) 18:59:05 |
【赤】 従業員 ルミ[ 矢継ぎ早に彼の口から言葉が紡がれる。 声が音になって、音が輪郭を持ち わたしに恋の種が降り注いで芽生えて。 執着の果ては絶望のはずでは無いのか。 終着の果てで過去が現在に塗り変わる。 ──なんて、そんな、都合のいい夢は。 ] ……、な、んで? 間に合わない方が、お兄さんにとっては 関わらずに済んで良いんじゃないの……? わたしがかわいそうだから? 罪悪感があるから? [ 睨むような目の色で思わず声が萎む。 間に合うと言いたげな様子を見て、 疑問符ばかりが頭上に浮かんだ。 新しい2人で始めたかったわけじゃない。 昔のわたしたちを無かったことばかりにして 平気なふりが出来るわたしと、 平気なふりをさせるあなたなんてものじゃなくて。 ] (*125) 2024/05/10(Fri) 19:00:01 |