人狼物語 三日月国


225 秀才ガリレオと歳星の姫

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視点:


到着: ユスティ

【人】 ユスティ



   「ボクは一番の魔法使いになりたいんだ!
    そしたら誰もボクらを笑ったりできないだろ?」



(1) 2023/09/25(Mon) 0:43:52

【人】 ユスティ



     それは幼き日、青芝のような決意。



(2) 2023/09/25(Mon) 0:44:38

【人】 ユスティ



   「星巡りて天翔る万象の揺らめき
    ケプラーの涙、月の糸

       燦燦と巡る運命の流砂をこの背に────」



(3) 2023/09/25(Mon) 0:48:37

【人】 ユスティ



   優秀な魔法使いの卵たちが集う魔法学園トカリス。
   栄光の冠を擁する学舎の屋上で一人、
   新たな魔法の詠唱を試みる青年がいた。

   彼の名はユスティ・フレネル。
   トップの成績を保ちながらも
   一切の妥協を許さない学園の優等生。

   授業の中で教えられるものは当然に
   暇さえあれば独自の魔法を編み出しては試して
   今日もまた狂ったようにその成果を求めていた。


(4) 2023/09/25(Mon) 0:49:07

【人】 ユスティ




   皆はユスティをこう形容するだろう。


             「彼は天才だ!」と



   しかし彼は困ったように笑う。


             「ボクは凡人だ」と



(5) 2023/09/25(Mon) 0:50:03

【人】 ユスティ



      ……………………ダメ、か。


(6) 2023/09/25(Mon) 0:51:07

【人】 ユスティ



   本物を目の当たりにすれば
   自惚れる暇もないのだと彼は知っている。

   新たに編み出された空間転移の魔法は
   詠唱の甲斐も虚しく石ころを空へ運ぶのみ。
   これでは星空へ旅立つことなど夢のまた夢。



          夕焼け空の小隕石が
          小さくため息をついて項垂れていた。**



(7) 2023/09/25(Mon) 0:53:21

【秘】 エウロパ → ユスティ



   君が見せてくれた魔法が
   私の中では一番なんだよ、って。


   
……今でも、それは変わらないのに。


   
(-1) 2023/09/25(Mon) 1:50:54

【秘】 エウロパ → ユスティ



  理論なんて知るもんか。
 
  あの魔力は、ユスティなんだ、って。
  感覚だけで、分かるの。

         誰より気にかけてる人だからかな。

  
(-2) 2023/09/25(Mon) 1:55:23

【秘】 エウロパ → ユスティ


   

   「宿題手伝って!」


   もし、飛んできた鳥の形をした紙を開いたなら
   結構図々しいお願いが書かれていたはず。**

  
(-3) 2023/09/25(Mon) 1:57:35

【人】 ユスティ




   『偉大な人間は常に、凡人たちの
    激しい反発に遭遇してきている。』



   使い古された真理は時代を選ばない。>>13
   秘められた魔の力が全てを物語るこの世界

   努力など砂上に投げられた水滴一粒にしか値しない。
   天才の煌めきは雨となり降り注いでいく最中、
   ただ、ただ、無様に流されていくしかない。


(20) 2023/09/25(Mon) 19:38:26

【人】 ユスティ



   雨の象徴、エウロパ>>12
   水に溢れた衛星の名を冠するユスティの知人

   その姿は子鬼に金棒とも言うべきだろうか
   目を引く程のあまりにも強大な魔の力は
   小さな器から溢れることも珍しくない

   しかし扱い方を覚えれば彼女は鬼となり
   覚えきれなければ災害と化すだろう、
   それがユスティの彼女に対する評価


               つまりは劣等感の象徴だ。



(21) 2023/09/25(Mon) 19:39:19

【人】 ユスティ



   知ったような口を利くな。
   キミにボクの何が分かる。>>15


   与えられたものを行使するだけの矮小な器が
   水ひとつない銀の杯のことなど、
   何を理解した気になっているのか。

   その圧倒的な差を思い知る度に
   乾いた嫉妬心がじりじりと硫化を生む。



(22) 2023/09/25(Mon) 19:40:06

【秘】 ユスティ → エウロパ



     彼女こそが、秀才ガリレオの原点だった。



(-4) 2023/09/25(Mon) 19:40:57

【秘】 ユスティ → エウロパ



   昔はずっと彼女の一歩前を立っていた。
   出会いの始まりは何気ない謁見。

   どこか思い出の地
   一人練習をしている時に
   運命の歯車が微かに回り出した。

   歳不相応に鍛え上げられた魔法の腕は
   同じ年頃の子達の憧れの的となり、

   彼女との出会いが努力に拍車をかける
   それはまさにユスティの自信の象徴。

   その自信は成功という想像を生み
   新たな技と強き精神の創造を促した。

   
(-5) 2023/09/25(Mon) 19:42:25

【秘】 ユスティ → エウロパ



   しかし無常にも与えられる試練はその心を砕く。

   技を磨こうとも魔の源流がなければ成り立たず
   その質量が不足した者は、溢れ出る者から
   お零れの灰汁を掠め取る他ないのだ、と。



(-6) 2023/09/25(Mon) 19:43:53

【秘】 ユスティ → エウロパ



   ユスティは直ぐに思い知った。
   いつも苦労していた魔法の練習も
   エウロパといる時だけ尽く成功する。


         その不和を秀才が察せぬわけもなく

   
(-7) 2023/09/25(Mon) 19:45:02

【秘】 ユスティ → エウロパ



   「ボクがキミを守るよ。
    エウロパは、ボクの大切な……だから。」

(-8) 2023/09/25(Mon) 19:45:34

【秘】 ユスティ → エウロパ



   心を砕かれるいつか前のことが巡り巡り、
   彼女に放った告白じみた宣言が
   蛇のようにまとわり首を締め付けていく。

   守りたいと思った
   たった一人好きだった女の子が


                  まさか────
(-9) 2023/09/25(Mon) 19:47:37

【人】 ユスティ



   項垂れていたユスティの頭に鳥がとまる。>>19
   着地地点に誤差があるなど知りもせず
   その目に映るのは高度な物体操作の実現という
   凡人には成しえない力技の成功事例のみが伝わる。

   こんな事が出来る人は、一人しかいない。>>18



(23) 2023/09/25(Mon) 19:48:16

【人】 ユスティ



     腹立たしい

     その何気ない行為ひとつ成し得るために
     血を吐く思いで身を裂く者もいるというのに



(24) 2023/09/25(Mon) 19:49:02

【人】 ユスティ



   「3秒でここまで上がってこれたらいいよ。」


(25) 2023/09/25(Mon) 19:49:31

【人】 ユスティ



   図々しい申し出には無理難題で返すのがいい。

   返事の記述と共に再び織り込まれた鳥は
   彼女の穏やかなそれとは異なり
   勢いよく直線上に飛び、地面へと刺さるだろう。*


(26) 2023/09/25(Mon) 19:51:18

【独】 ユスティ

/* エウロパのことだから空飛んで着地とかしそうなんだよね。
スーパーマリオみたいに
(-11) 2023/09/25(Mon) 20:38:12

【独】 ユスティ

/* 「イヤッフォゥゥゥゥゥ」とか言いながら飛んでくるエウロパとかいやだな()
(-12) 2023/09/25(Mon) 20:38:41

【独】 ユスティ

/* 毎度の事ながらお付き合いくださるアリスさんには感謝なんですがそれはそれとしてキャラが似通ってないか心配どす
(-13) 2023/09/25(Mon) 20:42:16

【独】 ユスティ

/* アリスさん闇の魔術好きそうだよね(?)
なんか手出しておこうかしら(?)
(-14) 2023/09/25(Mon) 20:43:49

【秘】 エウロパ → ユスティ



   
魔法に憧れたのは君に出会ったからだった。


  
(-18) 2023/09/25(Mon) 22:37:34

【秘】 エウロパ → ユスティ


 
   魔法の才を期待されて付けられた名前。
   でも、その名に見合わず、魔力の欠片さえ
   見つけ出すことが出来ずに。
   ほんの子供だましみたいな魔法さえ使えない。


   両親は、優しく接してくれたけれど
   同い年の子達からは揶揄われることも多かった。

   星の名をもらっておきながら
   魔法一つ使えないのか、と。


  
(-19) 2023/09/25(Mon) 22:38:25

【秘】 エウロパ → ユスティ



   魔法なんて使えなくていいもん。
   そんな風に拗ねては、悲しくなっていた。
   憧れなんて持てなかったのに。
   君と出会って世界は変わる。

   私達の思い出の場所。
   川のせせらぎが聞こえたのだけ覚えてる。
   しょんぼりした顔で彷徨い歩いた先に


        
―――――君が、居たんだ。


  
   
(-20) 2023/09/25(Mon) 22:40:35

【秘】 エウロパ → ユスティ


   
   「……まほう、つかえるの?

    すごいね!
    私、君みたいなまほうつかいに初めて会った!
    こんなまほう、見たことない!」


  
(-21) 2023/09/25(Mon) 22:42:26

【秘】 エウロパ → ユスティ



   周りの子よりも数歩先を行く魔法。
   魔力が眠っていただけだと知らない私は
   自分には出来ないものを見たんだと思った。



   「私、エウロパっていうの。
 
    また、まほう見せてくれる?
    やくそく……いいよね?」


   そう、言ったあの日から。
   運命の歯車は回り始める。


  
(-22) 2023/09/25(Mon) 22:43:00

【秘】 エウロパ → ユスティ



   ただ、もっともっとユスティの魔法を見ていたい。

   そして、君みたいに魔法が使えるようになりたい。
   魔法への憧れが生まれるんだ。

   その想いは、知らず知らずのうちに
   君の手助けへとつながる。


  
(-23) 2023/09/25(Mon) 22:44:24

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「がんばって、
    私はいつでも君を応援してるから!」



   
君の手を取って、微笑む。

   その何気ない行動一つで
   足りなかった魔力が君の手へと渡って。

   
   それは無意識の手助け。
   私にとってはただの応援。
   
   
君にとっては―――――。


  
(-24) 2023/09/25(Mon) 22:45:18

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「ありがとう、ユスティ。

    君は私にとって、
    一番のまほうつかいだよ。」


  
(-25) 2023/09/25(Mon) 22:46:04

【秘】 エウロパ → ユスティ



   あの日の言葉を忘れたことなんてないよ。

   大好きな人の言葉だもん。
   
   約束みたいなあの言葉。
   いまも、まもってくれるのかな。*


  
(-26) 2023/09/25(Mon) 22:46:31

【独】 ユスティ

/* エウロパトルネード使っとる……英傑やん……(?)
(-27) 2023/09/25(Mon) 23:06:05

【人】 ユスティ



   何が好きで手伝わなければいけないのか。
   勘弁して欲しいとユスティは苦虫を噛み潰す。

   無理難題に逆上してくれれば
   どれだけ楽なのだろうか

   残念ながらエウロパという少女は
   そう思い通りにはなってくれない>>31


(43) 2023/09/25(Mon) 23:23:41

【人】 ユスティ



   本来なら出来ないと決めつけるはずだ。
   だがしかし彼女は疑わない。

   やればできると、疑わない。

   挫折を知らないがために
   己の実力に蓋をしないからこその芸当

   無邪気な大声に心がささくれだつ様は
   ユスティ自身もまた自己嫌悪を覚えてしまう。


(44) 2023/09/25(Mon) 23:24:25

【人】 ユスティ




   「…………意地悪がすぎたかな。」


(45) 2023/09/25(Mon) 23:24:33

【人】 ユスティ



   どうせできるわけが無い。
   ユスティはその憶測を疑わない。

   エウロパが辿り着くことがないと踏み
   屋上を後にしようとその声に背を向ける。

   そもそも無言詠唱なんて普通じゃできない
   詠唱を完璧に唱えてこその魔法であると
   それこそがユスティのポリシーでもあった。


   何度も無言の芸当を見せられた側の彼には
   今更詠唱を行う姿など滑稽そのものだ。>>34

   再びため息をつくと扉に手をかけ、


(46) 2023/09/25(Mon) 23:25:18

【人】 ユスティ




     その刹那、歳星の姫が空を舞った



(47) 2023/09/25(Mon) 23:25:46

【人】 ユスティ




   突然の飛躍などないのだと
     突きつけるように空を踏みしめる。>>36>>37>>38


   それなのに凡人がようやく上り詰めた場所を
     まるで階段のように軽やかに飛び越える。>>39


    その光景はまるで女神が下界に降り立つよう。



(48) 2023/09/25(Mon) 23:27:02

【人】 ユスティ



     振り返ると彼女はもう、そこにいた。


(49) 2023/09/25(Mon) 23:28:01

【人】 ユスティ



   誰もが見惚れた姫の舞
   時間が止まったかのような錯覚さえ覚える光景は
   目に見える全てを魅了するだろう。


   しかしながら裏腹にユスティが感じるものは
   腸が焼け爛れたかのような嫉妬でしかなかった。



(50) 2023/09/25(Mon) 23:28:50

【人】 ユスティ



   「そんなに魔法の腕が立つのなら

        勉強だって一人で出来るんじゃないの?」


(51) 2023/09/25(Mon) 23:29:34

【人】 ユスティ



     風に晒された心が乾く。

     風が止まり傍へ降り立つ女神は
     今のユスティにとっては魂を削る死神に等しい。

     嫌味を吐き捨てると離れるように
     エウロパの三歩先を歩こうとして

     何をしていたのかと問われてしまえば
     一度だけ歩を止めて
     漆黒に淀んだ瞳で問いかけを返す。


(52) 2023/09/25(Mon) 23:30:26

【人】 ユスティ



   「ボクが何をしていたかなんて
    キミには分からないよ。

            ………分かられたくもない。」


(53) 2023/09/25(Mon) 23:30:51

【人】 ユスティ



   (ああ…不愉快だ。なにもかも。)



(54) 2023/09/25(Mon) 23:31:15

【人】 ユスティ



   とはいえ約束は約束だ。
   こんなくだらないイベントさっさと済ませよう

   妙な真面目ぶりを披露しながら
   ユスティの足はただ静かに図書館へ向かう。*


(55) 2023/09/25(Mon) 23:32:24

【秘】 ユスティ → エウロパ



   魔法は万能ではない。
   有用ではあるが結局使い手に依存する。

   幼い頃からその事実に気づいたユスティは
   決して自分を選ばれた人間だと驕ることなかった。

   魔法が使えないことを嘲るなんて以ての外。
   そういう魔法使いはユスティにとっては
   もっとも許せない人種のひとつであった。


(-28) 2023/09/26(Tue) 0:07:41

【秘】 ユスティ → エウロパ



   自分が選ばれて当然とは思わない。
   しかし努力を重ねれば選ばれる可能性があるし
   選ばれる人間でありたいと走り続けることは
   ユスティにとっては代謝にさえ近いもの。

   川が流れる森の奥深く
   血と汗が滲む秘密の修練場は
   彼にとってもまた思い出の場所。


(-29) 2023/09/26(Tue) 0:08:31

【秘】 ユスティ → エウロパ



   鍛錬を続けていくうちに焦燥が募る。

   努力を重ねれば重ねるほどに
   理想とした場所から遠ざかっていくような感覚。

   心のどこかでは気づいていたはずだ。
   自分は凡人で、選ばれた才能などないのだと。



(-30) 2023/09/26(Tue) 0:09:42

【秘】 ユスティ → エウロパ



   突きつけられそうな現実に
   澄んだ空を運ぶ一人の少女。


            それこそユスティがこの世界で
            最も恨み、最も愛する人。


(-31) 2023/09/26(Tue) 0:10:01

【秘】 ユスティ → エウロパ



   「
えっ!?
、そ、そんなっ、たいしたことないよ!」


(-32) 2023/09/26(Tue) 0:11:31

【秘】 ユスティ → エウロパ



   必死に平静を装っても心はごまかせない。
   栄光への崖に亀裂が入った時に
   屈託のない素直な賞賛は心地が良かった。


   「エウロパ、素敵な名前だね。
    ボクはユスティ。

      エウロパはどうしてこんなところに?」


   それはそうと、ここは誰も好んでくる場所じゃない。
   この出会いは全てが数奇に満ちている。


(-33) 2023/09/26(Tue) 0:12:42

【秘】 ユスティ → エウロパ



   誰かに努力を認められる。
   ただそれだけの事がどうしようもなく嬉しい。

   また魔法が見たいという彼女を
   ユスティが断るはずもなく

   なんどもこの場所で会うにつれて
   いつしか彼にとってもまた
   エウロパが来る時間に焦がれるようになった。


(-34) 2023/09/26(Tue) 0:14:21

【秘】 ユスティ → エウロパ



   応援されると言われて気が舞い上がる。

   まだ器が幼いユスティには
   静かに脈々と流れてくる魔力を感知できず
   手を取られてほのかに顔を赤らめる姿は
   今にして思えばなんと哀れなことだろう。

   キミにとっての一番であり続けたい。


   幼き無垢な恋心は
   人生最大の挫折によって打ち砕かれるというのに。


(-35) 2023/09/26(Tue) 0:15:13

【秘】 ユスティ → エウロパ



   忘れたくないのに忘れてしまいたい。


            驕り高ぶった凡人の告白なんて。


(-36) 2023/09/26(Tue) 0:18:19

【秘】 ユスティ → エウロパ



   それから長く年月が経つと
   
   あの有名な魔法学園トカリスが
   優秀な魔法使いを育てるために
   推薦によるスカウトをはじめる時期となる。

   選ばれた者には手紙が届くという。
   ユスティにとっても大切な一大イベント


             そしてこれこそが惨劇の序章。**



(-37) 2023/09/26(Tue) 0:18:53

【人】 ユスティ




   分からない
   天才の考えることなど>>56>>57

   分かるはずだ。
   論理的な思考は秀才の十八番なのに。>>58



         見れば分かるはずだ。
         彼女の危険性も、彼女の覚悟も
         その覚悟がズレているのではないかと
         自分が言うべきことはそれだけなのに。



(71) 2023/09/26(Tue) 18:51:48

【人】 ユスティ



   分かりたくないのだ。

      凡人が「理解」など甚だ図々しいと
      本人が一番知っていることなのだから。



(72) 2023/09/26(Tue) 18:53:11

【人】 ユスティ



   想像を具現せよ。

   人々の空想や願いから
   魔法という概念は生まれる。


           誰もが初めそこに立つ。>>61
           そして当たり前の事を成し遂げる
           それが困難であると知るからこそ
           人は力を正しく使うための技を知る。


(73) 2023/09/26(Tue) 18:54:40

【人】 ユスティ




     天才に足りぬは技



              秀才に足りぬは力




(74) 2023/09/26(Tue) 18:56:23

【人】 ユスティ



        そこにないはずの差を感じる理由など……
(75) 2023/09/26(Tue) 18:57:03

【人】 ユスティ



   「一人で出来るような努力をしてから
      そういうことは言うべきなんだけどね。」>>63



(76) 2023/09/26(Tue) 18:57:37

【人】 ユスティ



   彼女の思惑を知ればそんなことも言うまい。>>67
   少し目を澄ませば分かるはずのことだろうと
   感情と身勝手な空想が全てを狂わせる。

   情緒とは力であり、力とは時に己さえ蝕む。>>69
   先人達の歴史から学ぶべきと知ってなお抗えない。
   全てが魔法使いにとって必要な性質だからだ。>>66


(77) 2023/09/26(Tue) 18:58:32

【人】 ユスティ



    「傲慢だ。
          いかにも天才キミらしい。」>>65


(78) 2023/09/26(Tue) 18:59:39

【人】 ユスティ



   微かに怒りが滲み声が震える。
   椅子から落ちたこともないだろうに
   地べたを這い蹲る者の何を知るのか

   天才に生まれた宿命に抗うことなど
   天才に憧れた男の前では火に油を注ぐだけ

   すると突然エウロパを吊るす糸が切れたように
   その身体がよろけて、ユスティへと手が伸びる。>>68


(79) 2023/09/26(Tue) 19:00:18

【人】 ユスティ



    「哀れだね。
          天才ともあろう人が。」


(80) 2023/09/26(Tue) 19:01:07

【人】 ユスティ



   とっさにエウロパの身体を支えながら
   ユスティは呆れた様子でため息をつく

   下手な言い訳をする理由もよく分からないが
   だとしてもっと上手く言って欲しい
   これではリアクションもしづらくて仕方ない。

   当のエウロパ本人は保健室に行くどころか
   図書室に行こうと頑なだ。

   その理由が宿題ではないことくらい分かる。
   と言ってもじゃあその理由はなんだと
   聞かれたところでそこまでは分からない。


(81) 2023/09/26(Tue) 19:01:49

【人】 ユスティ



   腹立たしい。
   まるで子供の相手でもしているようだ。

   なんの悪意もなく、含みもなく、
   自然のままに力を行使する。

   その結果どんなことが起こるか
   確証は得ずとも憶測はいくつか思い浮かぶ。
   いや、思い浮かべなければいけないはずだ。


            そしてそれをわざわざ
            天才になど教えてやる義理もない。



(82) 2023/09/26(Tue) 19:05:52

【秘】 ユスティ → エウロパ




      「じっとして。」



(-38) 2023/09/26(Tue) 19:06:27

【秘】 ユスティ → エウロパ



   エウロパの手を引くと彼女を抱き締める。
   魔力が流れる蓋を少しだけ締められれば
   あるいは不必要に湧き出て器から零れるものを
   掬いあげて整えることが出来れば。


            それが適切だったかどうか……


(-39) 2023/09/26(Tue) 19:07:44

【人】 ユスティ



   「これで少しは気分も楽になるかい?」


(83) 2023/09/26(Tue) 19:08:38

【人】 ユスティ



   これは軽い応急処置にしかならないが
   これで何とかなったというのなら
   そのまま図書室へ行くとしよう。


         ただ今後不調を誤魔化そうものなら
         保健室に磔にでもしてやろう。*



(84) 2023/09/26(Tue) 19:11:32

【秘】 エウロパ → ユスティ



   私の周りには魔法が使える子が多かった。
   そういう子たちが集まってたのかな。
   その中で、魔法が使えなかった私は
   笑いの対象にしかならなくて。

   
仲間外れにされてしまったんだ。


  
(-41) 2023/09/26(Tue) 19:17:08

【秘】 エウロパ → ユスティ



   そのことがすごく悲しかった。
   魔法が使えない人もいっぱいいるよ、と
   両親はそう教えてくれたのに
   まるで魔法が使えることが
   当たり前みたいに言われて、輪から外されて。

   ひとりぼっちになってしまった私は
   森の奥深くに迷い込み
   君の秘密の場所へと辿り着く。


  
(-42) 2023/09/26(Tue) 19:17:29

【秘】 エウロパ → ユスティ



   魔法が使えなかった私の傍に居てくれた。
   それだけで、私にとって君は一番なんだ。


         
……君が凄い魔法使いじゃなくたって。
    

  
(-43) 2023/09/26(Tue) 19:19:16

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「すごいよ?私は出来ないし
    他の子の魔法ともちがうもん!」

  

   心から凄いって思ったんだ。
   魔法が使えないと思っていたから
   魔法のことを何一つ知らないから。
   何のためらいもなく、賞賛を口にできる。

  
(-44) 2023/09/26(Tue) 19:19:47

【秘】 エウロパ → ユスティ




        今は……どうだろう。
        言っても君が受け取ってくれないかも、と
        嫌な想像がよぎって口を噤んでしまう。

 
(-45) 2023/09/26(Tue) 19:20:07

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「……わたし、仲間外れにされちゃったんだ。
    まほうが使えない子とは遊ばない、って。

           ……ユスティは、遊んでくれる?」



   どうしてここに、と聞かれれば
   言われたことを思い出して
   少し表情が暗くなってしまったと思う。
   君の方を見る瞳にも、きっと不安が滲んでた。

  
(-46) 2023/09/26(Tue) 19:20:38

【秘】 エウロパ → ユスティ



   でも、君はまた魔法を見せてくれるって。
   私の頼みを断らないでいてくれた。

   何度も秘密の場所で会って
   君の魔法を、魔法の練習を見せてもらった。

   最初はね、魔法が見たいって気持ちの方が
   強かったのかもしれない。

   でも、そんなの最初だけだった。
   君と一緒にいることが、会う目的になって
   時を重ねていけばいくほど
   君が大切なんだ、って想いは強くなっていく。


  
(-47) 2023/09/26(Tue) 19:21:28

【秘】 エウロパ → ユスティ


   
   大切だという想いは今も変わらない。

   あの頃は意図していなかった魔力供給。
   今なら、自分の意志で、それができる。

   君になら、全てを渡してもいいとすら思うのに。
   ……それも哀れだって、君は言うのかな。


  
(-48) 2023/09/26(Tue) 19:21:52

【秘】 エウロパ → ユスティ



   
私にとっての一番はずっと君なのに。


   一番でありたいという心を
   打ち砕いてしまったのが私だったなんて。

   

   月日が流れて、魔法学園に入学できるほどに
   私もユスティも成長した。

   幼い頃よく遊んでいた私達。
   勿論、そのつながりは変わらないままだった。

   
これからも変わらないんだと思ってた。


  
(-49) 2023/09/26(Tue) 19:22:43

【秘】 エウロパ → ユスティ



   その日は一人で魔法を使ってみようって
   外で練習してたんだったかな。
   近くで君の魔法を見続けていたからなのか
   私はその日、ようやく魔法を成功させて。
   手に小さな青紫の花を握ってたんだ。

   魔法で咲かせた、スターチス。
   君を想って咲かせた花。 


   君に渡したいって思ったの。
   初めて魔法が使えたんだよ?って。

  
(-50) 2023/09/26(Tue) 19:23:24

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「あなたはとても強い魔力の持ち主ね。」


   「ぜひ、魔法学園トカリスに来て欲しい。」


   通りかかった大人に、
   花を咲かせた瞬間を見られてすべてが変わった。

   私をスカウトしたのは学園トカリスの関係者。
   誰だったのかはもう、よく覚えてない。

  
(-51) 2023/09/26(Tue) 19:23:49

【秘】 エウロパ → ユスティ



   
……選ばれたのは、それを求めてた君じゃなかった。



   魔法が使えないと思われていた私に
   選ばれたものの証である手紙が届いて。

   ユスティは魔法学園に入学するんだと思ってたし
   魔法が使えない私は入学出来ないとも思ってた。

   だからね、手紙が来たのは素直に嬉しかったんだ。
   君も喜んでくれるんじゃないかって
   勝手に、そう思ってた。


   
(-52) 2023/09/26(Tue) 19:26:07

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「ユスティー!
    きいてきいて!
    この間、魔法が成功したの!
    お花咲かせたんだよ!
    ユスティにも見て欲しいなって思って。
   
    それとね、魔法学園トカリスから手紙貰った!」


   自慢なんかじゃなかったの。
   ただ、私は、これで君と同じ魔法使いだね、って。
   同じ場所に行けるよね、って。

   ただそれだけのつもり、だったのに。**


  
(-53) 2023/09/26(Tue) 19:26:52

【秘】 ユスティ → エウロパ



   魔法が使えることがそんなに偉いのか
   迫害とも呼べる文化的風潮の暴力に晒され
   まるで逃げるようにやってきた少女

   魔法というものを忌み嫌ってしまっても
   おかしくないはずなのに
   たった一言賞賛を口にできることが
   どれだけ素晴らしい行為なのか

   知れば追い返そうだなどとは決して思わない。


(-54) 2023/09/26(Tue) 23:32:09

【秘】 ユスティ → エウロパ



     「キミもきっとできるようになるよ
      魔法には不可能なんてないんだ!」



(-56) 2023/09/26(Tue) 23:33:57

【独】 ユスティ



   キミの美徳とも言える真っ直ぐな賞賛を
   素直に受け取れなくなってしまったボクには
   キミの傍にいることさえ烏滸がましいのだと

               それがキミには言えない
               ボクの本当の気持ち。


(-55) 2023/09/26(Tue) 23:35:18

【秘】 ユスティ → エウロパ



   幼き少年は少女の不安げな声に首を縦に振る
   暗い表情が物語るその出来事は
   この場所では起こらないのだと示すように。


   「魔法のコツは想像力なんだ。
    イメージがすごく大切なんだよ。」


   やれるまで練習すればきっとできる
   そう信じて疑わないユスティは
   自ら学んできた魔法の扱い方を
   エウロパに惜しみなく伝えて

   時には練習に付き合うとさえ
   言ってみせるようになった。


(-57) 2023/09/26(Tue) 23:35:47

【秘】 ユスティ → エウロパ




   いつかキミと二人で魔法を使えたら。



      エウロパに魔法を教えていくにつれ
      そんな憧れに近い空想が身体を突き動かす。
      最後はもう理屈で語ることは出来ずに
      ただひたすらに彼女の成功を願う。


(-58) 2023/09/26(Tue) 23:37:06

【秘】 ユスティ → エウロパ



   それが功を奏したのか
   はたまたエウロパの観察眼の賜物か

         恋心から造られた想像の具現は
         あまりにも大きな軋轢を生んでしまった。


(-59) 2023/09/26(Tue) 23:38:48

【秘】 ユスティ → エウロパ



   時は流れ、そろそろスカウトが終わる時期
   ポストの中身を確認する日課も今日で終わり。

   結果は褒められたものではなかったけど
   あまり落胆はしていなかった。

   自分が特別優れているとは思ってなかったし
   それでも挑戦できたことには
   確かな意義があったとユスティは疑わない。

   そしてなにより
   その努力の中でも大切な時間を過ごせたのだから。

   
(-60) 2023/09/26(Tue) 23:39:37

【秘】 ユスティ → エウロパ



   ユスティはその日もまた
   魔法の鍛錬に勤しんでいた。

   今日もまた来てくれるであろうエウロパに
   ダメだったという結果を伝えて。

   それでもまた一から頑張って自力で
   トカリスに入学してみせるという
   決意を表明するために。


(-61) 2023/09/26(Tue) 23:40:09

【秘】 ユスティ → エウロパ




   天才なんかじゃなかった。


      それでも良かったのだ。
      普通の魔法使いとして
      普通の彼女の傍にいれるのなら


            どこまでも頑張れる気がした。




(-62) 2023/09/26(Tue) 23:41:16

【秘】 ユスティ → エウロパ




       「二人で一緒にトカリスに行こう。
        そしてこれからもずっと、傍いて欲しい。」

(-63) 2023/09/26(Tue) 23:42:44

【秘】 ユスティ → エウロパ



       自分が取り残されるなんて考えてすらない。
       今日こそ、そう伝えると決めていたのに。
(-64) 2023/09/26(Tue) 23:43:48

【秘】 ユスティ → エウロパ



     本来喜ぶべき成長を
     あるなんて思いもよらない招待状絶望

         ユスティは目の当たりにしてしまう。


(-65) 2023/09/26(Tue) 23:45:36

【秘】 ユスティ → エウロパ



      ────────っ



(-66) 2023/09/26(Tue) 23:46:35

【秘】 ユスティ → エウロパ



   動悸が止まらない。
   ユスティは堪らず胸をうずくまった。
   脳が煮えたぎり、黒い血が駆け巡る。

   エウロパが受け取った手紙は有能の証。
   つまりエウロパの力は自分よりもずっと上で
   魔法を使えないというのは嘘だったということ。

   そこに当人の自覚があろうとなかろうと
   彼女の力は本物で、自分には無いものだと
   もはや疑いようのない事実。



(-67) 2023/09/26(Tue) 23:47:25

【秘】 ユスティ → エウロパ



   この数年、自分も成長したと思っていた。
   いままで出来なかったはずの魔法が使えて

   いままであやふやだった魔法も
   エウロパといる時だけは強力な形となって
   大人にも引けを取らない仕上がりになった。

   好きな女の子前で努力したらいつもより頑張れたと
   己の都合のいい解釈をしただけで

   その実態は自分よりずっとずっと優れた少女の力を
   ただ借りていた、己は狐でしかなかったのだ。


(-68) 2023/09/26(Tue) 23:48:43

【秘】 ユスティ → エウロパ



   幸せな
スターチス思い出
が枯れてゆく。

         満ち足りた盆の底に大きな穴が空く。



(-69) 2023/09/26(Tue) 23:49:44

【秘】 ユスティ → エウロパ



      世界が黒に墜ちていく。



(-70) 2023/09/26(Tue) 23:50:20

【秘】 ユスティ → エウロパ



   「よかったね。

       その調子で、これからも頑張るといいよ。」



(-71) 2023/09/26(Tue) 23:51:02

【秘】 ユスティ → エウロパ



     膨大な嫉妬心が、心を変える。


(-72) 2023/09/26(Tue) 23:51:51

【秘】 ユスティ → エウロパ



   もし彼女がなにか尋ねようとも
   立ち上がるユスティが何かを答えることはなく。


   その日を最後に
   ユスティがその場所を訪れることはなくなる。


   エウロパに声をかけることも
   エウロパと行動を共にすることも


          全てを拒絶するように
          秀才は天才の前から姿を消した。**



(-73) 2023/09/26(Tue) 23:54:43

【秘】 エウロパ → ユスティ




   
「えっ、ユスティ……?」



  
(-74) 2023/09/27(Wed) 6:03:58

【秘】 エウロパ → ユスティ



   戸惑いながらも手を引かれるまま
   何の抵抗もせずにいれば
   君に抱きしめられて。


  
(-75) 2023/09/27(Wed) 6:04:16

【秘】 エウロパ → ユスティ

  

   
……ドキドキしてるの、私だけなのかな。

   何のためらいもなく抱きしめてくれるユスティは
   私の事、なんとも思ってないのかな。

   
   
もし、そうだとしても。

   私はこの短い時間を少しでも長いものにしたくて
   自分からもユスティに抱きついた。
   身を委ねていれば、魔力の流れが変わっていく。
   あるべき器に、戻っていく。

 
(-76) 2023/09/27(Wed) 6:04:58

【秘】 エウロパ → ユスティ



   
「……大切な人のことを分かりたいって思うのは」

      
好きな人


  
(-77) 2023/09/27(Wed) 6:06:01

【人】 ユスティ



   努力の先に得られる対価
   そこに価値を感じなければ
   その過程は酷く虚しい。>>86>>87

   いくら正論で突き刺そうとも
   その心意気を変えることは難しいだろう。>>86>>88

   持つ者と持たざる者
   互いの心を知るためには
   言葉を交わす以外に道は無いのだと

   分かっていても出来ないのは
   ユスティもまた未熟な一人の人間であるからだ。


(104) 2023/09/27(Wed) 9:52:18

【人】 ユスティ



   虫唾が走る。


   何に対しての謝罪だというのか。>>92
   ただ魔力枯れを起こしてもたれかかった程度のこと
   本当ならそう他人の怒りを買うようなことでもない。

   エウロパはこちらの言うことを疑わないのか。
   そう思うことさえ、人間としての格の差を
   わざわざ見せつけられているようで。


(105) 2023/09/27(Wed) 9:53:05

【秘】 ユスティ → エウロパ



   ユスティにとって
   この応急処置はあまり良いものではない。

   需要を超えた供給は時に器を破壊する。
   供給相手がエウロパであれば
   少しの油断でこっちが倒れてしまい
   最悪の場合死に至ることさえある。



(-78) 2023/09/27(Wed) 9:53:46

【秘】 ユスティ → エウロパ



   それでも処置を躊躇わないのは

   今この瞬間だけなら
   彼女に触れても許される気がしたから。

   こちらに抱きつく彼女の応えには
   何も気付かないふりをして
   こんな時しか触れてはいけないのだと
   強く自らを戒めるように


      処置が終われば何も言わず離れていくだけ。


(-79) 2023/09/27(Wed) 9:54:24

【秘】 ユスティ → エウロパ



   離れた距離が名残り惜しまないように
   背を向け距離を開くと
   いつかを思い出させるか細い声に
   ユスティは唇を噛み締める。

   やめてくれよ。大切な人、だなんて
   ボクにはもうその資格などないのに。


   咄嗟に出そうになってしまった過去の痛みを
   膨大な魔力とともに飲み込む。

   それを口にすることは、決して許されないから。


(-80) 2023/09/27(Wed) 9:55:06

【秘】 ユスティ → エウロパ



   「たとえ体力自慢の騎士だろうと
    太刀筋が洗練されていなければ
    いつかは体力が尽きて
    洗練された太刀筋に首を斬られてしまう。

    あるいは
    たとえ他より大きなバスタブだとしても
    適切に蓋を締めなければあっという間に空になる。」


(-81) 2023/09/27(Wed) 9:55:53

【秘】 ユスティ → エウロパ



   「凡人ボクですら分かるなら
         キミにはその意味くらい分かるだろう?」


(-82) 2023/09/27(Wed) 9:56:12

【秘】 ユスティ → エウロパ



   代わりに口から出たのは
   不安への答えではなく

   不愉快な笑顔を浮かべた天才への、
   当てつけにも等しいヒントだった。


(-83) 2023/09/27(Wed) 9:56:46

【秘】 ユスティ → エウロパ



      ──────────。
(-84) 2023/09/27(Wed) 9:57:43

【人】 ユスティ



     「次はもう助けないからね。」


(106) 2023/09/27(Wed) 9:58:08

【人】 ユスティ



   そう言っても結局助けることになるのは
            これで何回目のことやら。**



(107) 2023/09/27(Wed) 9:58:47

【人】 ユスティ



   時は代わって宿題の時間。
   楽しい楽しい図書室でデート。

              なんてことは有り得ない。


   授業中に寝てしまうということは
   必要な板書すら終わっていないということだ。>>100
   案の定エウロパの頼みは面の皮を更に厚くしている。

   覚えるための方法のひとつが板書であって
   板書すること自体に意味がある訳では無いのだが
   エウロパのあまりに酷すぎる現状に
   ユスティは正論で殴る気力すら奪われていた。>>98


(108) 2023/09/27(Wed) 10:00:03

【人】 ユスティ



   「あの…、この際細かいことは言わないけど
    せめて自分の名前の元になった木星のことくらい

            ちゃんと覚えておきなよ……。」


(109) 2023/09/27(Wed) 10:01:30

【人】 ユスティ



   面倒だったかと言われれば
   危うく過労で死にかけた程度だろう。

   幸い分からないところをそのままにせず
   教えれば素直に受け止め可愛げがあったから
   それが不幸中の幸いというべきか。

   軽く一、二時間で終わらせるつもりが
   想像以上に時間がかかってしまったせいで
   この地獄から開放されたのは
   ちょうど図書館の閉館が間近に迫った頃。>>101


(110) 2023/09/27(Wed) 10:02:05

【人】 ユスティ




        「…………もう二度と手伝いたくない。」

(111) 2023/09/27(Wed) 10:02:45

【人】 ユスティ



   喜ぶエウロパの横で静かにぼやく。
   ちなみに嫌味ではない。しっかりと本音だ。


   一大任務を終えて図書室を出ると
   校舎もすっかり人の気配がしなくなり、

   夕暮れに焼ける廊下を二人で歩いていると
   ふとエウロパがお礼などと口にする。
   ユスティにとってこれ程困る質問もそうはない。
   欲しい物は特にないし、手伝うと言っても
   彼女に手伝われること自体が
   ユスティからすれば自身の失敗そのものなのだ。


(112) 2023/09/27(Wed) 10:05:20

【人】 ユスティ



   「
はぁ…
……………考えとく。」


(113) 2023/09/27(Wed) 10:05:39

【人】 ユスティ



   どうせ要らないと言っても聞かないだろう。
   初めから断る選択肢など許されていない。

   返答に困ったユスティはため息混じりに
   保留という逃げの手段へと転じるしかなかった。*


(114) 2023/09/27(Wed) 10:06:14

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「そんな風に言ってもらえたの初めて!
    ユスティが教えてくれるの……?」


  
(-86) 2023/09/27(Wed) 12:40:10

【秘】 エウロパ → ユスティ



   その言葉一つに、どれだけ救われただろう。
   不安を吹き飛ばす君の言葉が嬉しくて
   ぱぁっと明るい表情になって。


   「想像力……あんなことできたらいいな、って
    考えてみたらいいのかな。」

  
(-87) 2023/09/27(Wed) 12:40:57

【秘】 エウロパ → ユスティ



   やれるまで練習すれば、いつかきっとできる。
   この考え方は今の私も持っている。
   今の私の根幹にはユスティがいるの。
   惜しみなく伝えられた魔法の扱い方を 
   推さなかった私が理解するには
   かなりの時間がかかったし
   付き合ってもらった練習も、
   あまり良くない結果が続いてしまった。

   眠る魔力を引き出すには
   私は幼すぎたのかもしれない。


 
(-88) 2023/09/27(Wed) 12:41:38

【秘】 エウロパ → ユスティ



   
いつか君と二人で魔法を使いたい。



        ユスティに教えられるうちに
        その想いばかり強くなっていく。
        それでも、君の前で成功を見せられない。


  
(-89) 2023/09/27(Wed) 12:42:28

【秘】 エウロパ → ユスティ



   君の教えが実った結果、
   大きな軋轢を生むくらいなら。

   一生、失敗していればよかったんだ。


   
(-90) 2023/09/27(Wed) 12:42:51

【秘】 エウロパ → ユスティ



   ユスティが頑張っているのは私も知っていた。
   ユスティならきっと大丈夫だよ、なんて
   
無責任な言葉だったね、今にして思えば。


   嫌味でも何でもなく、
   心からの言葉だったのに
   私が手にした招待状はその言葉を
   君にとっての嫌味に変えてしまうんだ。


  
(-91) 2023/09/27(Wed) 12:43:20

【秘】 エウロパ → ユスティ



   天才なんかじゃなくていい。


      普通の女の子として
      君の傍に立てるなら、なんだっていい。


         ……贅沢なことじゃないはずなのに。


  
(-92) 2023/09/27(Wed) 12:43:54

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「私もトカリスに行けるんだ。
    だから、これからも君の傍に居たいな!」


  
(-93) 2023/09/27(Wed) 12:44:30

【秘】 エウロパ → ユスティ



    自分が置いていくことになるなんて考えてもない。
    今日はただ、喜びを分かち合う日のはずだったのに。


  
(-94) 2023/09/27(Wed) 12:44:57

【秘】 エウロパ → ユスティ



   私が望んだはずの未来への招待状は
   一瞬で絶望に変わってしまう。


  
(-95) 2023/09/27(Wed) 12:45:17

【秘】 エウロパ → ユスティ



    「―――――、どうしたの?」


   うずくまってしまった君に慌てて駆け寄り
   大丈夫?って声をかける。

   私の言葉が原因だと分かっていながら
   放っておく事なんて出来るはずがない。

  
(-96) 2023/09/27(Wed) 12:45:50

【秘】 エウロパ → ユスティ


   
   嘘なんかじゃなかったんだ。
   本当に、今までは魔法が使えなくて
   君が根気強く教えてくれたから
   やっと、成功したんだよ、って。

   眠っていた魔力を目覚めさせたのは君なんだ。
   君がいなければ魔法使いにはなれなかった。


  
(-97) 2023/09/27(Wed) 12:46:19

【秘】 エウロパ → ユスティ



   私は知らない。
   溢れてしまう自分の魔力が
   ユスティの魔法を手伝っていたなんて。


   私は知らない。
   魔法の成功、が大事なんじゃなくて
   自分自身の力で成功させたいと、
   ユスティが思っていることなんて。


  
(-98) 2023/09/27(Wed) 12:46:45

【秘】 エウロパ → ユスティ



   
成功が失敗に変わる。


         
喜びが悲しみへと変わるのは一瞬。


  
(-99) 2023/09/27(Wed) 12:47:15

【秘】 エウロパ → ユスティ




    
記憶が、黒く塗りつぶされていく。



  
(-100) 2023/09/27(Wed) 12:47:43

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「……どう、したの?

    ユスティ、おこってる、の……?」


  
(-101) 2023/09/27(Wed) 12:48:10

【秘】 エウロパ → ユスティ



   どうして、喜んでくれないの?
   どうして、変わってしまったの?


  
(-102) 2023/09/27(Wed) 12:48:24

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「ユスティもトカリスに行くんだよね?
    これからも、一緒だよね……?」


  
(-103) 2023/09/27(Wed) 12:48:52

【秘】 エウロパ → ユスティ



   
問いかけに返事は返ってこない。

   
   思い返せば、ユスティが推薦を手にしたと
   一言も聞いてないのに、手にしたのだとばかり
   あの時は信じ込んでいた。

   それが、どれほど残酷なことだったのか
   私には想像することしかできない。
   痛みを真に知っているのはユスティだけ。


  
(-104) 2023/09/27(Wed) 12:49:31

【秘】 エウロパ → ユスティ



   次の日、いつもの場所に行っても
   大好きな人の姿はなく。


   
嫌われてしまったんだ、と思った。


   手に握られたスターチス。
   君に渡したいと思ったのに
   君が選んだのは拒絶だったから。


          
渡すことも出来ないまま。


  
(-105) 2023/09/27(Wed) 12:50:42

【秘】 エウロパ → ユスティ




   
―――――また、ひとりぼっちだ。



  
(-106) 2023/09/27(Wed) 12:51:20

【秘】 エウロパ → ユスティ



   うずくまって泣きじゃくる少女の心に
   反応するかのように周りの温度が下がっていく。
   天まで悲しみに共鳴するかのように
   雨が降り注いで、服が濡れる。

   いつしか心地よい川のせせらぎは聞こえなくなり
   冬でもないのに流れる水はすっかり凍り付き
   降っていた雨は雪へと変わる。

   涙さえ凍り付き、寒さに少女が倒れてしまっても
   魔力が尽きるまで季節外れの雪は降り続ける。


  
(-107) 2023/09/27(Wed) 12:51:56

【秘】 エウロパ → ユスティ



   異常な魔力を感知した誰かが
   少女を見つけたときには、
   雪こそ降りやんでいたものの
   あたりは真冬のように寒いまま。
   
少女は寒さで死ぬ寸前だった。


        手に握られたままのスターチスは
        寒さにしおれ、凍り付いてしまっていた。


  
(-108) 2023/09/27(Wed) 12:52:39

【秘】 エウロパ → ユスティ



   辛うじて助かった少女は
   どうしてあんな場所にいたのか、
   どうしてあんな魔法を使ったのか
   聞かれても答えることが出来ない。



    
「…………おぼえて、ない。」



   
大切な人に、何を言われたんだっけ。

   
なんとなく、悲しかった気がする。

   記憶を塗りつぶして心を守ろうとした結果。
   原因不明の魔力暴走だけが、残ってしまった。


  
(-109) 2023/09/27(Wed) 12:53:23

【秘】 エウロパ → ユスティ



   魔法が成功した、って伝えたかっただけなのに
   その成功体験は、大切な人を傷つけてしまった。


   初めての成功が大失敗に変わったから、
   魔力制御が上手くいかない。

 
   成功が失敗に変わることを
   無意識にずっと恐れている。


   成功すればするほど好きな人から遠ざかるなら
   成功なんて要らない、その気持ちが。


  
(-110) 2023/09/27(Wed) 12:54:27

【秘】 エウロパ → ユスティ



   私の身を危険にさらし続けているのだと。
   私自身が知ることはできない。

          拒絶されたあの日の記憶を
          塗りつぶしてしまったから。**


  
(-111) 2023/09/27(Wed) 12:55:37

【秘】 エウロパ → ユスティ


   
   自分自身が危険なだけなら
   魔力制御なんて簡単に覚えないだろうけれど
   君にまで危険が及ぶのだと、
   そこまで考えを回すことが出来たなら
   話は違ってくるのに。

   君がそこで躊躇わないから。
   当たり前のように危険を冒すから
   大丈夫なのだと思ってしまう。


  
(-113) 2023/09/27(Wed) 16:53:48

【秘】 エウロパ → ユスティ



   だから、君の行動に甘えてしまうんだ。

   こんな時じゃなくても触れていたいのに
   こんな時じゃなければ触れられない。
   
   求めるように抱きついても
   気づかないふりをされてしまうのが寂しい。
   ただの応急処置、でしかないのかな?
 
         君の心はやっぱり分からないまま。


  
(-114) 2023/09/27(Wed) 16:55:11

【秘】 エウロパ → ユスティ



   私の心は今も変わらない。
   君は大切な人なの。


   君にとっての私も同じであってほしい、
   それがわがままだとしても。

   私の気持ちすら否定されてしまうのは……。
   返ってこない言葉が否定に感じられて。


   
(-115) 2023/09/27(Wed) 16:55:46

【秘】 エウロパ → ユスティ

 

   「…………それがわかってないから
    倒れそうになる人だっているのに

    どうして自分を下げるようなことを言うの?
    君だから、分かるんじゃないのかな。」

  
(-116) 2023/09/27(Wed) 16:56:06

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「自分が分かることが当たり前の事だと
    そう思うのは違うと思うんだけどな。」


  
(-117) 2023/09/27(Wed) 16:56:24

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「……アドバイス、ありがとう。
    言いたいことは分かるよ。」


   でも、解決方法が分からない。
   特に、魔力を練って洗練させる方法が。


   ……その方法はきっと自分で考えないといけない。
   だから、口を噤んでお礼を言うにとどめて。

  
(-118) 2023/09/27(Wed) 16:56:48

【人】 ユスティ



     「キミ……水のある衛星は
          全部水星の群だと思ってない?」


(128) 2023/09/27(Wed) 20:25:22

【人】 ユスティ



   ユスティが言葉を失ったのは想像に難くない。
   自分のルーツくらい知っておこうとは思わないのか
   ありのまま我が道を生きる天才の感性は
   自らの常識ではやはり語れない。

   天才とは極端に興味の矛先が偏るものだと
   誰かが言っていたのだが
   エウロパにもその片鱗が見えた瞬間だった。


   思わず眉間を指で押えながら
   魔法でエウロパの持つ参考書のページを捲る。

   ページは木星群にある衛星の内容が書かれた
   場所でぴたりと止まりユスティは解説を挟む。


(129) 2023/09/27(Wed) 20:25:48

【人】 ユスティ



   「エウロパという衛星は表面が氷になっていて
    その奥にはたくさんの水があるとされるけど

    最近では生命が生き残れるだけの
    環境があるとも言われているんだ。

    遠い将来エウロパに人が移住する
    そんなことも有り得るかもしれないね。」


(130) 2023/09/27(Wed) 20:26:44

【人】 ユスティ



   試験と関係あるかも分からない
   雑学のようなものだが
   興味を引けて本人が自分で調べる気になればいい。

   後はエウロパのやる気次第だ。



   それはそれとして
   優しさにも代償があることを
   彼女は一度知るべきではないだろうか。>>121>>122



   いや、知ってるからこそのお礼なのか
   聞いてみたい反面あまり深堀もしたくない。


(131) 2023/09/27(Wed) 20:27:29

【人】 ユスティ



     ただ、それも許してはくれなさそうだ。



(132) 2023/09/27(Wed) 20:28:23

【人】 ユスティ



   「そもそも、人に頼らずして
    成し遂げるからこその成功でしょ。

    日頃やろうとしていることなのに
    キミに手伝われてたら意味が無いんだよ。」



(133) 2023/09/27(Wed) 20:29:24

【人】 ユスティ



   何もおかしなことは言っていないはず。
   だがそれで彼女を納得させられた、
   というわけでもなさそうだ。

   むしろ行くなと前に立ち塞がれるように
   物理的な逃げ場まで塞がれてしまう。


(134) 2023/09/27(Wed) 20:30:44

【人】 ユスティ




       「いや、そういうわけじゃ………………」


(135) 2023/09/27(Wed) 20:31:19

【人】 ユスティ




     それは助け舟と呼ぶには小さいけれど。
               ユスティは迷わず乗る。

(136) 2023/09/27(Wed) 20:32:37

【人】 ユスティ



   「相変わらず燃費が悪いね。
      何か食べていったらいいんじゃない?」


   そこは魔力との関係も否定できないから
   だらしないなどと言う気もなく。

   ため息をつくエウロパは流石に不憫で
   ついつい買い食いの提案をしてしまう。

   後は自分だけそそくさと帰ろうと思うのだが
   それを果たしてエウロパが許してくれるかどうか。*



(137) 2023/09/27(Wed) 20:34:28

【秘】 エウロパ → ユスティ


***


   私が学園トカリスに入学してすぐの頃。
   まだルームメイトとも仲良くなってなくて
   頼れる友達が一人もいなかった頃の話。

   その日はグラスに水を満たす授業があって。
   上手くできなかった私は放課後に
   空き教室でグラスのふちを叩いては
   水を出そうとしていた。 

  
(-119) 2023/09/28(Thu) 23:15:15

【秘】 エウロパ → ユスティ



   「みんなどうやってるのーーーー。」


   授業では水を出そうとするたびに
   グラスが粉々に割れてしまって上手くいかなかった。
   出来なかった人は自分で練習するように、と
   言われたから、ため息をつきながら練習していた。
   ……でも、一向に上手くいかない。

  
(-120) 2023/09/28(Thu) 23:15:37

【秘】 エウロパ → ユスティ



   W魔法のコツは想像力なんだ。W

   幼い頃に聞いた言葉を思い出して
   杖に意識を向けながら水を思い浮かべる。

   ユスティと一緒に練習していた時は
   川のせせらぎが聞こえて来たっけ。


   
……なんて、考えてしまったせいなのか。


  
(-121) 2023/09/28(Thu) 23:16:05

【秘】 エウロパ → ユスティ



   いつの間にかグラスから特区に溢れた水は
   机を濡らし、足元まで水がしたたり落ちる。


   「え、出来てる……??
    
でもこれどうやって止めるんだっけ?!


 
   止めないと、そう思っても
   焦ってるからなのか、止まらなくて。
   むしろ水の勢いはどんどん増していく。

 
(-122) 2023/09/28(Thu) 23:16:54

【秘】 エウロパ → ユスティ


   
   服どころか教室の床まで水浸しにして
   それでも私は魔法を止めることが出来ず。


   
「だれかー!!これとめてーー!」



   もう誰でもいいから止めて欲しい。
   そんな気持ちで叫んでた時かな。

           君が来てくれたのは。*

  
(-123) 2023/09/28(Thu) 23:17:32

【人】 ユスティ



   「バ………。ゴホン。素直すぎるのも考えものだね。」

(152) 2023/09/29(Fri) 23:34:55

【人】 ユスティ



   危うく馬鹿と言いかけた。
   何とか耐えた自分を褒めてやりたいと
   ユスティは気を取り直す。

   氷になにか嫌な思い出でもあるのか。
   エウロパの表情は暗い。

   昔、森の中だけ季節が変わった
   あの時のこととなにか関係があるのだろうか。
   考えたところで仕方がないのだが。


   この勉学と魔法の技については
   エウロパという少女はまだまだ謎が深い。

   きっと未熟さの中に眠る信念のような芯を
   ユスティが知ろうともしないせいだ。


(153) 2023/09/29(Fri) 23:35:12

【人】 ユスティ



   「どうかな。

    いるかもしれないし、いないかもしれない。
    でもボクたちが真実に辿り着けるのはまだ先だ。」


(154) 2023/09/29(Fri) 23:35:27

【人】 ユスティ



   勉強範囲ではない話に食いつかれても困るのだが、
   興味を否定する行為は学びにおいては毒になる。

   本当なら歳が十になる頃には看破すべき
   ステージのはずなのだが、
   まだ到達していないのならば合わせる他ない。

   誰かの力を借りるの悪いことじゃない、などと
   救われない正論を言われて顔を顰めるのは
   エウロパのステージの話とはまた別のことだが。



(155) 2023/09/29(Fri) 23:38:14

【人】 ユスティ



   「仮に力を借りたり、助け合ったり
    そうやって大きな物事を達成する時には

    携わる人同士の力がある程度
    釣り合っていなければダメなんだ。」


(156) 2023/09/29(Fri) 23:38:35

【人】 ユスティ



   「例えばキミの力を借りて
    ボクがなにか難しい術を成功させたとしよう。

    キミとボクが同じくらいの力なら
    協力し合ったと誰が見てもわかる。

    でも今キミの力を借りるボクをみたら


          皆はボクの事をなんて言うと思う?」


(157) 2023/09/29(Fri) 23:39:36

【人】 ユスティ



   「正解はね。

         虎の威を借る狐、だ。」


(158) 2023/09/29(Fri) 23:40:14

【人】 ユスティ



     「虎のキミには分からないだろうけどね。」


(159) 2023/09/29(Fri) 23:42:03

【人】 ユスティ



   ユスティはそれ以上を語らず暗に告げる。

   エウロパとの間で協力など成立しない。
   だからキミにしてもらうことなど何も無いのだと。

   決して相入れることなどないし
   狐は狐としかつるめない。

   その国境を改めて示しながら
   どこか侘しげにため息をついた。


(160) 2023/09/29(Fri) 23:42:57

【人】 ユスティ



   突如としてユスティに電流走る。
   やはりエウロパはただで帰す気がないらしい。

   本当は自室で簡素な食事でも作ろうと
   だからエウロパの誘いには乗れないと
   そう言おうとして口篭った。

   「私もユスティのご飯食べたい!」
   と言われる未来しか見えない。

   それだけは本当に勘弁して欲しい。


   どうにかして断る理由を考えていると
   エウロパに手を取られた。

   男なら嬉しいはずの女の子からお誘い。
   だが当の本人にとってはまるで手錠だ。


(161) 2023/09/29(Fri) 23:43:59

【人】 ユスティ



    「……分かったから手を離してくれ。

           ボクはコロッケでも食べとくよ。」



(162) 2023/09/29(Fri) 23:44:37

【人】 ユスティ



   魔力の分流は肌同士の接触により起きる。
   触れれば触れるほど分流の地点は増え
   より多量の魔力を伝達できるものだ。

   しかしエウロパの量は異常であり
   手を繋ぐだけでも支障が出かねない。

   ごめんと謝りながら手を離しながら
   どうして自分が謝っているのかと戸惑っていると
   何を想ったのか、エウロパの足が止まった。



(163) 2023/09/29(Fri) 23:45:32

【人】 ユスティ



   「あそこまでするのはキミだけだが?」


(164) 2023/09/29(Fri) 23:46:04

【人】 ユスティ



   あそこまでしないと魔力を抑えられない人など
   ユスティの中ではエウロパを置いて他にはいない。



(165) 2023/09/29(Fri) 23:46:34

【人】 ユスティ



   静かに答える。しかしユスティには分からなかった。
   その質問はエウロパにとってなんの意図があるのか。
   自分が仮に他の人に同じことをしたとしても
   それが処置でエウロパも同じやり方を知っていたら
   きっと同じことをするのではないか。

   そこになんの差があるというのだろうか。


(166) 2023/09/29(Fri) 23:47:14

【秘】 ユスティ → エウロパ



   まだ気づいてはあげられないんだ。
   まだ、キミの隣にいるには相応しくないから。



(-124) 2023/09/29(Fri) 23:47:45

【人】 ユスティ



   そんな風に立ち止まったせいか
   それとたまたまか。

   お目当てのホットドックの看板には
   SOLD OUTの文字が書かれていた。


   「時間も遅かったからね。
    代わりのものでも食べればいいんじゃない?
    今日世界が終わるわけじゃないんだから。」


   しれっと最後の一個だったコロッケを買うと
   肩を落とすどころか蹲るエウロパが
   なぜかとても哀れに見えてしまった。

   まるでこの世の終わりみたいな空気を発して
   それを横目に一人だけ食べるということもできず。



(167) 2023/09/29(Fri) 23:49:51

【人】 ユスティ



      「………たべる?」


(168) 2023/09/29(Fri) 23:50:15

【人】 ユスティ



   カニクリームたっぷりのコロッケを半分に割り、
   気持ち大きい方をエウロパへと差し出した。

  
(169) 2023/09/29(Fri) 23:50:42
 




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